103 / 303
夏休み
保護者と子供たち
しおりを挟む「んじゃ、さっそく行くとするかね」
あの後もう数回小テストを行い、五十問前後を解けるようにしてからギルドに向かう事になった。
「でも本当に大丈夫なんですか?」
「大丈夫だろ。さっきの問題も全員解けてたし、魔物なんて適当に狩ってくればいいし」
「いや、そうじゃなくて。俺たちの保護者になるって事は、師匠にも負担が行くって事ですよね?」
なんだ、俺の心配してるのか?
「んー・・・確かにペナルティーはあるが負担とは思わないぞ?それに、依頼には保護者が付いて行くんだ。何か心配する事はあるのか?」
「あー・・・ない、かも?」
カイトは首を傾げながら自信なさ気に答える。
「そもそも、別にそこまで気にする必要はないだろ。仮に依頼を失敗してもランクが下がったりするだけだし」
「・・・それさえも気にしないんですね。師匠ってもう気にする事すら面倒だと思っていません?」
「そんな事は・・・ないぞ?気にするべきものは気にしてるし、気にしなくていいと判断したものをバッサリと切り捨ててるだけだ。面倒なんじゃない、省エネなだけだ」
「なんですかショーエネって・・・」
「とにかく気にすんなってこった」
ーーーー
空間魔術のショートカットを使い隣街、クルトゥのギルドに到着・・・したのだが、ギルドの前でカイトとレナが顔を青ざめて固まっていた。
「「・・・・・・」」
「何やってんだ、お前ら?まさか今更怖気付いたなんて言いださないだろうな?」
「いえ、あのー・・・はい、正直緊張します・・・」
「あばばばばばば・・・・・・」
やべえ、レナがバグり始めた・・・。
「落ち着けレナ、大丈夫だから。一回中に入っちゃえば雑貨屋と同じ感覚だから。だから大丈夫だってーー」
開けて入った瞬間、荒くれ者共が俺たちが睨んでくるなんて状況にはならない。今までだってそうだったのだから。そう思ってたのに・・・
「「あ゛ぁん?」」
世紀末覇者みたいな大男が機嫌悪そうに椅子にもたれ掛かり、俺たちを睨んできた。
その周囲には取り巻きのようなモヒカンの奴らも三人いる。
しかもソイツらだけじゃなく、ギルド全体の割合が荒くれ集団に占拠されている形となっていた。
何故にこんな時に限って・・・。
睨むような視線に晒されながら受付の方へ向かおうとすると、カイトが固まり、レナのバグり方に拍車が掛かっていた。
俺も耐性がなければこうなっていたかもしれないのか・・・?
「ほら、二人共。ボーッと突っ立ってないで行くぞ」
「そうだぜ?いつまでも入り口にいてもしょうがねえだろ?」
「「は、はい!!」」
俺とメアの言葉に叱咤されたかのように返事をする二人。
そしてミーアは慣れてるから良いとして、メアはやっぱり肝が据わってると思う。
気を取り直して受付の女の元へと向かう。
そこに立っていたのは、前回いたお姉さんとは別の女が立っていた。
俺やカイトと同じくらい少し幼く見えるベレー帽を被った少女。
その少女の目の前に立ったのだが・・・。
「・・・・・・」
「・・・・・・?」
喋らない、反応がない、生気がない。
無視されているというより、さっきのカイトたちのように放心状態になってる感じだ。
笑顔のまま何も言わずにNPCのように棒立ちしている受付嬢に目の前で手を振ったり呼び掛けて見ても反応がない。
「・・・とりあえず殴ったら気がつくかな?」
「やめてあげてください。ただでさえ現実逃避したくなるような現状にトドメを刺すような事をしないであげてください・・・」
「この人、大丈夫、かな?」
「ん・・・辛うじて生きてはいる」
「辛うじてかよ・・・。まぁ、これでアヤトに殴られでもしたら生きてはいねえかもしんねえけど」
「お前ら、俺ががむしゃらに殴ると思ってる?」
俺に殴られる事が死を前提としてるように言わないでほしい。
「おいおい、どうしたよぉ~?ダメじゃねえか、お嬢ちゃんを困らせちゃあ」
どうやって目を覚まさせようか考えていると、後ろから絡み付くような声を掛けられる。
振り返ると、さっきの世紀末覇者のような奴の取り巻きモヒカン三人がニヤニヤといやらしいゲスの笑みを浮かべていた。
そして大男はというと、わざと背を向けてこっちを見ないようにしていた。
要は「何が起きても俺は見てないから、ソイツらが何をしても知った事じゃない」というつもりなんだろ。
そんでコイツらに何かあれば因縁を付けてくる、と言ったところか?はいはい、いつものパターンだよ、全く。
「んでよぉ?その迷惑料って事で、その小娘たちを置いてってーー」
「おい、目覚めろ受付嬢」
ーーパンッ。
「ハッ!?な、何が起きたんですか!?一体私は・・・?確か先輩たちが急用でいなくなったと思ったら凄い人相の人たちがやって来て、それでーー」
軽いビンタを食らわせ、気が付いた少女は混乱しながらも現状を把握しようとしていた。
まぁ、そんなのを待っていたら日が暮れそうだし、ちょっと強引に行くか。
「おい、話を聞けって」
「え・・・ああああ、は、はいっ!?な、なんでしょう!?」
「コイツら三人を冒険者にしてやりたいんだが」
そう言ってメア、カイト、レナを前に出す。
「し、試験、ですか?あの、お聞きしたいんですけど、年齢は・・・?」
「こっちが十六。こっちの二人が・・・あれ、そういえばお前らいくつだ?」
「俺、十三です」
「わ、私も・・・」
「だ、そうだ」
「「だ、そうだ」と申されましても・・・あの、未成年の登録には保護者が必要になりますよ?」
「ああ、だから俺がその保護者になる」
「そ、そうですか・・・ではこちらの紙と、身分証明書の提示をお願いします」
机の下から四枚の紙を出し、一枚を俺の前に、残り三枚はカイトたちの前に置かれる。
何が書かれているかはともかく、先に身分証明書である冒険者カードを出す。
「これでいいだろ?」
「あ、はい!えっと・・・Cランクのアヤト様ですね。少々お待ちくだーーん?」
受付嬢が机の向こうで何かを確認しようとすると、(´・ω・`)という微妙な表情になり再び固まる。
そしてその顔のまま、その何かと俺に視線を往復させ、サッと顔を青くさせた。
何を見てそうなってるのかは知らないが、それを無視して紙に目を向ける。
えっと何々・・・?
「おい、てめえ!無視してんじゃねえぞ!?」
「ヒッ!?」
無視され続け、ついにというかなんというか。俺が紙を確認してる最中に、堪忍袋の尾が切れたモヒカン共が声を荒げてナイフを突き付けて来た。
ただ、それを見て最初に悲鳴を上げたのは受付嬢だけで、俺たちの誰も動揺してなかった。
「良い度胸してんじゃねえか・・・おい、そこの黒髪のガキ!・・・へへっ、なんだ、猫人族じゃねえか!丁度良いや、詫びとしてこの娘をーー」
「ちょっとうっさい」
少しずつ近付いて来た下品モヒカンにデコピンを食らわせ、縦回転しながら飛ばした。
「「なっ!?」」
他二人が同時に声を出して驚いているが、それさえも無視して近くにあったペンを手に取り、紙に署名記入する。
内容は簡単に記されていた。
一,未成年の保護者となる場合、未成年の受けた依頼には必ず付いて行く事。
二,未成年の受けた依頼が失敗した場合、保護者となった者は以下のそれぞれのペナルティが課せられる事とする。
・冒険者であった場合、未成年冒険者と同等の失敗ペナルティを受け、倍の罰金を支払う。
・冒険者でない場合、三倍の罰金をその場で支払い、それができない場合は冒険者の資格は即剥奪となる。
三,未成年者が成人となる場合、未成年者と共に再びギルドに同行し、試験を受けさせる事。
だ、そうだ。
パッと見て全部理解できる程度に簡潔に書かれていたから、面倒がなくて助かった。
すると俺が書き終わったのと同時にカイトたちも書き終わっていたようだ。
俺が言うのもなんだが、この周囲の状況で気にする事なく書いてるコイツらも、相当胆力が付いてきたと思う。
「なぁ、アヤト。これって本名書かなきゃダメか?」
ふとメアがそんな事を聞いて来た。
そりゃそうか。フルネームなんて書いたら王族だって一発でバレるもんな。
「いや、いいんじゃね?俺だって全部書いてねえんだから・・・むしろ全部偽名とかでもイケるんじゃないか?」
「んー・・・いや、そこまではやめとく。なんか紛らわしそうだし、名前考えるの面倒だからいいや。アヤトみたいに頭の名前だけ書いとけばいいだろ」
そう言って最後にサインをする。
そしてメアたちの書き終えた用紙をまとめ、放心状態の受付嬢の目の前に差し出す。
「んじゃ、頼んだわ」
「・・・・・・え?あ、はい・・・」
受付嬢が「こちらです」とボソッと呟き、ゾンビのようにフラフラとしながら試験を受けさせる部屋に案内しようとしていた。
「大丈夫か、アイツ・・・」
「師匠のせいなんですけどね?・・・いやというか、あの人もですけど、この状況どうするんですか?」
怠そうな表情で辺りを見渡すカイト。
その「状況」とは、周囲の人相の悪い兄さんたちが殺気立っている事だった。
「まぁ・・・お前らはあの受付嬢に案内されてろ。こっちは俺がなんとかしとく」
「ん。私たちがなんとかする」
強く強調して言い直し、ムッとしながら横に並ぶミーナ。
「私たち」と俺がミーナを巻き込まなかった言い方をしたからか、はたまたさっきのモヒカンに下卑な目で見られたからか、とにかく少し不機嫌だった。
「ま、そういうこっちゃ。ほら、行って来い」
「了解です」
カイトは少し緊張した笑みでメアたちと一緒に受付嬢の入って行った部屋に入って行った。
「さて・・・とりまここにいる奴は全員冒険者って事でいいんだよな?コイツらの腕がどのくらいか、拝見させてもらおうじゃねえか」
ーーーー
☆★カイト★☆
色々とトラブルが起こりながらもあの場を師匠に任せ、女の人に案内された部屋に入る。
複数の机と教壇が置かれた質素な部屋。
「はぁ・・・ではお好きな席に着いてください・・・。試験用紙は裏返しで渡しますので、合図と共に表にして解いただきます・・・」
そう言いながら「なんで私がこんな事に」とでも言いたそうな暗い表情で説明していた。
俺たちは言われた通り横一列に適当に座り、女の人から裏返しの紙が配られる。
「これから一時間で解いていき、七十点以上で合格、それ以下四十一点までで追試、四十点以下ですと不合格となり、試験を受ける事ができるのはまた後日となりますので・・・では・・・始めてください・・・」
覇気の無い声で合図され、やる気が削がれつつも紙を裏返しにして問題を見る。
そして同時にホッとする。
師匠が渡してきた問題と全く同じだった。
これなら問題なく解けるだろう。
問題一問一問をしっかり見て、見落としや書き間違いがないかを注意しながらペンを進める。
一時間もあるんだから、焦らなくていい。そう師匠は言っていた。
それから二十分が経過した頃、レナが手を挙げた。
「あら、どうしましたか?」
少し時間を置いて落ち着いたのか、女の人の声に元気が戻っていた。
しかし、レナは急にどうしたのだろうか?
もしかしてどこか体調でも・・・
「終わり、ました」
サラッと発言したレナの一言に、その部屋でカリカリと鳴っていたペンの音が消える。
お・・・終わった・・・だと?
いくらなんでも・・・早くないか?
「え、も、もうですか?ちょっと待っててくださいね・・・」
女の人も驚いているようで、焦りながらレナの元に行って紙を回収する。
教壇に戻って採点を始め、しばらく経つと採点が終わったようで、再びレナのところに行く。
「えーっと・・・レナ様・・・満点で合格、です・・・」
「は・・・あ、ありがとう、ございます!」
レナはぺこりと頭を深く下げ、顔を上げると微笑んで小さくガッツポーズを取る。
マジかよ・・・そんな早く終わった上に満点て・・・。
多少悔しい気持ちになりながらも、まだ解いていない問題を書き込んでいく。
その十分後に俺も終わって合格し、更にその五分後にメア先輩も終わり、ギリギリ合格だった。
「あ、あっぶねぇ・・・七十四点て・・・」
「一応四十点までなら追試が受けられるって言ってましたけど・・・先輩、本番に弱かったんですね?」
「戦いなら勝手に体が動くんだがなぁ・・・こういうのはもうこりごりだなぁ・・・」
「あ、でも成人になったらもう一度試験を受けなきゃいけないって・・・」
「言わないでくれぇ・・・」
頭を抱えて机に突っ伏すメア先輩。
ああ、なんだろう、この姿を見てると師匠の気持ちがわかる気がするのは・・・。
とにかく、無事三人共合格して、残るは魔物の素材を取りに行くだけとなり、それが言い渡されるまで受付近くで待機となったのだが・・・。
「そういえば・・・「外」、どうなったんだろ?」
試験中、随分だったけど、話し合いでもして場を治めたんだろうか?
何故か受付の女の人さえ隠れるように俺たちの後ろに立ち、成り行きで先頭に立っている俺が扉をゆっくりと開き、入る前より静かな外を覗き見る。
そこには予想外と予想通りが共存しているような光景が広がっていた。
「「・・・・・・」」
受付近くの、本来俺たちが座るであろう椅子に踏ん反り返るように座る師匠と、その膝に猫のように頭を乗せて寝そべるミーナ先輩。
その前には手を地面に着いて謝罪するような姿勢をしている大男と、ボロボロになって倒れている強面の男たちがいた。
そして師匠からその人たちに向け、威圧を込められた一言が放たれる。
「全員、土下座」
この人は本当に人間なのだろうか?本当はノワールさんと同じ悪魔の種族なんじゃないか?
そんな疑問が浮かぶ歪んだ笑顔をしていた。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。