花衣ー皇国の皇姫ー

AQUA☆STAR

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統一編

第83話 夢幻

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「本当に、二人だけで大丈夫なの?」
「ご心配に及びません。本国の動乱は、私の育てた神威巫女達によって収まりを見せたようです。私たちは、大宮司亡き神居古潭を、もう一度、大神様達に愛されし国へと作り直すつもりです」

 戦の終結から半月後、宰相であるユーリと、その弟ホルスのふたりは、皇国の内政が落ち着きを見せ始めたことから、故郷である神居古潭へと一時帰郷することになった。

 タタリやその一派による計略により、神居古潭では神威子同士が互いに命を奪い合うという凄惨な事態に見舞われた。その上、国を治める大宮司アムルが亡き者にされ、国は動乱に包まれていた。

 大宮司アムルは、強力な呪力を有するが故に、大神たちによって封じられていたタタリの封印を解くための贄となってしまった。

 かつて、ユーリが神居古潭にいた頃に、彼女を慕っていた神威巫女達が力を合わせ、動乱は治りの様子を見せていた。タタリの復活を手引きし、大宮司を手に掛けた御伽衆たちの残党の包囲網も広がっている。

 ユーリたちの帰郷は、いわば故郷の動乱を完全に収束させる意図もあった。

「私の勝手をお許しください、聖上」
「謝ることなんてないわ。本当なら、私たちも一緒に行きたいくらいだけど、あなたがそこまで言うのなら、止めはしないわ」
「必ず、目的を果たせば戻って参ります。それまで、暫しお待ちくださいませ」
「道中気をつけてね。ホルスも、無事に戻ってきてね」
「御心のままに」

 ユーリとホルスを見送った瑞穂は、ある準備に取り掛かる。半月後に執り行われる、皇達による会談の準備であった。

 これまで、内政の中心的役割を担ってきたユーリが外れたため、仁や右京、千代、さらには可憐や小夜、凛にも手伝ってもらい、諸侯を出迎える準備をする。

「あれ、りっちゃん。御剣と藤香は?」

 2人の姿が見えなかった事から、瑞穂は広間に椅子を運んでいた凛に居所を訪ねる。

「御剣くんと藤香ちゃんなら、市井に買い出しに行ったよ?」
「えぇっ、今⁉︎もぅ‼︎これから忙しくなるってのに、あのふたりったら」

 頬を膨らませる瑞穂を見て、凛はにやける。

「あれぇ、みっちゃん。御剣くん取られたから妬いてるの?」
「そ、そんなんじゃないし!」
「顔赤くなってる~」
「も、もうっ、りっちゃんのばか!」


 ◇


 その頃、買い出しと称して準備から逃げた2人は、活気を取り戻しつつある城下の繁華街あみだ横丁へと来ていた。

「良かったの、勝手に抜け出してきちゃって」
「抜け出すなんて人聞きが悪い、買い出しだって言っただろ?」
「買い出しって、何を買うか決めてないじゃない」
「何も決めずに出掛けるのも、案外悪くないんだぞ?大体、最後に休みもらったの、確かこの前の大戦前だぞ?人間、たまには休まないとおかしくなる」
「ほら、休み目的じゃない。というか、御剣って神器じゃなかった?」
「神器も休みたい」
「ふふ、何それ」

 御剣が藤香と出掛けるのは、迦ノ国との最初の戦を終え、再開した時以来だった。平和が訪れたとはいえ、このご時世である。命がいつ終わりを迎えるか分からないからこそ、御剣は幼馴染と少しでも大切な時間を共に過ごそうとしていた。
 
「何だが、人だかりができているな」
「あれは…」

 そこは、暖簾のない珠那の甘味屋だった。噂では、千代が考案した甘味の千代古を初めとする新感覚の甘味を店で出した途端、客が増えたと御剣は聞いていた。

 知らないうちに珠那の店には数人の雇用人が増え、あっちやこっちやと忙しそうに動き回っていた。

「久しぶりに、珠那さんところの甘味でも食べてみようか」
「賛成」

 市政の人々に混じり、列へと並ぶ御剣と藤香、店内や店先での飲食を一時中止し、持ち帰りのみにしているためか、かなり長い列を並んでいたがあっという間に先頭へと来ていた。

「久しぶりです、珠那さん」
「えっ、御剣くん⁉︎それに、藤香ちゃんも」
「お久しぶりです」
「大和での戦の話、耳にしました」

 珠那は2人を見た瞬間、言葉を詰まらせて涙を流す。

「良かった…また元気な顔を見せてくれて…」
「珠那さん…」

 団子粉の付いた手で涙を拭こうとした珠那よりも先に、御剣は自分の手拭いを取り出し、優しく珠那の瞳を拭う。

「ずっと、皆の安否を心配していました…大変な戦だったのでしょう…よく無事に戻ってきてくれました…」
「言ったでしょう、またここに食べにきます、と」
「そうでしたね…ふふ、御剣くんらしいです」

 落ち着きを取り戻した珠那に、御剣が話しかける。

「それにしても、凄く繁盛していますね。正直、驚きました」
「千代ちゃんが考案してくれた千代古を出してみたら、この通り。おかげで、暖簾も出してないのに毎日行列が出来てしまいました」
「千代古、凄い」
「2人とも、良かったら中にどうぞ。少し休んで行ってね」
「では、お言葉に甘えさせていただきます」

 御剣と藤香は特別に店内へと入り、手近な机に向かい合うように座った。

「俺は千代古と温かいお茶を。藤香はどうする?」
「私も同じ」
「はい、2人とも待っていてくださいね」

 珠那さんは店番を雇用人に任せて、2人の元へ茶と菓子を運んできた。

「さぁ、召し上がってください」
「では、頂きます」
「頂きます」

 口に入れた瞬間、甘味が下の上でとろける様に広がる。異国の甘味は、皇国の甘味とは違って甘味が少し強い気もするが、それでいてしつこくない味わいである。

「美味しい」
「珠那さんが作る甘味は美味しいですね」
「ふふ、ありがとうございます。瑞穂ちゃんや千代ちゃん、それに日々斗くんは元気ですか?」
「はい、皆元気にしています」
「それなら何より。それにしても、藤香ちゃんはいつぶりでしょうか。最後に会ったのは、四年ほど前でしょうか?」
「多分、3年くらいだと思う」

 藤香が葦原村から姿を消して、3年という年月が流れていた。久しぶりに食べる懐かしい味に、藤香は千代古を運ぶ手を止めなかった。いつの間にか、藤香の前から千代古が姿を消していた。

「もう食べたのか?」
「美味しくて、つい」
「御剣くん、藤香ちゃん。これもどうぞ召し上がってくださいね」

 そう言って机に置かれたのは、皿に乗せられた大福が2つ。それは、御剣たちにとっては、ただの大福以上に思い入れのあるものであった。

「これは」
「御剣くん、それに藤香ちゃんも大好物だった大福です」
「そう言えば、忙しくて斎国との戦い以来、食べてなかったな」
「甘くて美味しい…」

 御剣が鑑賞に浸っている横で、藤香は先に大福を頬張っていた。柔らかく、そして食べやすい厚さの皮に、丁寧に捏ねられたこし餡が包まれている。

 とても懐かしい味わいであった。

「珠那さん」
「はい、何でしょうか御剣くん?」
「数は多いですが、大箱一つ分ほど、包んでくれませんか?」
「そんなに食べるの?」
「俺だけじゃないよ。瑞穂たちも食べたいだろうしな。それに、これを味わってもらいたい人たちもいるんだ」


 ◇


 常世 黄泉の国

 黄泉比良坂、死者の魂の選定を行うこの場所で、今宵も大神、菊利乃命が見習いの夜津国映命と共に死者の魂を選定していた。

「黄泉を訪れる魂の数が多いな…」

 キクリは魂の多さから、現世で一つの大きな戦が終わったことを予感していた。その予感は的中しており、ここに来ている魂のほとんどは、タタリによって妖へと変えられた大和帝京の民、そして戦いで命を落とした英雄たちの魂だった。

「あれは………」
「キクリ様、あれはもしや」

 キクリとヒメは、黄泉比良坂をゆっくりと登ってくる一人の巫女がいることに気付いた。

「舞花殿⁉︎」
「菊利乃命様、夜津国映命様、ご無沙汰しております」
「どうしてここに、根の国の方から参られたと言うことは、もしや現世に…」
「現世に行っておりました。皆様にご報告があります。カミコ様のお屋敷に集まってください」
「承知いたしました。ヒメ、皆にもそう伝えなさい」
「はっ、はいっ!」

 舞花は二柱に深々と頭を下げると、坂を登り切り、カミコの屋敷へと戻る。屋敷の前では、舞花の帰りを待っていたのか、カミコが心配そうな顔つきで立っていた。

「舞花‼︎」
「カミコ様、只今戻りました」

 舞花の姿を見たカミコは、思わず飛び出し、彼女を力一杯抱きしめる。

「お勤めを果たして参りました」
「お帰りなさい。無事で何よりよ。貴方が帰ってこなかったら、私…」

 カミコは舞花を抱きしめながら涙を流す。

「お顔が汚れてしまいますよ、カミコ様」
「ごめんね。でも、やっぱり嬉しくて…」
「カミコ様…」

 そして、カミコの屋敷には、話を聞きつけた大神たちが続々と集まってくる。その席には、黄泉の国では見慣れない大福が並べられていた。


 ◇


 皇国の部署の一つに、史書部と呼ばれる部署がある。皇宮の一画にこの史書部が置かれており、皇宮に約100人、各地の支局に20人ずつが配置されている。

 業務の内容は主に記録の記載。つまりは、皇国の歴史、文化、動植物の生態系、伝承、戸籍調査などを全て記録化し、諸本に仕上げるというものだ。

 業務は多岐に渡り、部署長の稗田阿礼を筆頭に多くの文官たちが右へ左へ忙しく歩き回り、筆を走らせていた。

「阿礼さん、資料お持ちしました!」
「そこに置いといて」
「阿礼さん、法科から皇国法典の催促が」
「はぁ?んなもんほっとけ。大体、自分のところで使うもんなら、自分で作れよ!法科の奴らにそう言っとけ!」
「阿礼さん、阿礼さん」
「んだってんだよー!」
「わぁっ!?」

 いくら完全記憶能力を持つ阿礼であっても、それを記録に書き写すには限界がある。山積みになっている書簡を片付けている最中、部下から声を掛けられた阿礼は、思わず感情が爆発してしまう。

「って、瑛春さんか」

 そこには、突然感情を爆発させた阿礼の驚く、皇都守瑛春の姿があった。

「び、びっくりしました」
「悪い悪い、あまりにも忙しくてついな。で、僕になんか用?手短に済ませてほしいんだけど」
「実はそうもいかない内容でしてね。ここじゃ何ですし、河岸を変えましょうか?」

 そう言われた阿礼は、残務を部下に任せて史書部のある館の一室、自らのの部屋へと瑛春を案内する。

「悪いけど茶なんて出さないよ」
「構いませんよ。くつろぎに来た訳ではありませんので」

 煙管に火を点け、一度吸い込んだ煙をゆっくりと吐き出した後、阿礼は口を開く。

「で、わざわざ場所を変えないといけないほど、僕に大事な話って、何さ」
「貴方に、一つ仕事を頼みたくて。貴方ほどの知恵の持ち主にうってつけの仕事です」
「仕事だって?勘弁してくれ。持ち上げてくれるのは嬉しいけど、今持ってる持分だけでも精一杯なんだ」
「なに、大したものではありませんよ。そうですね。これを見れば興味を持ってくださりますか?」

 そう言って、瑛春は数冊の書物を阿礼に手渡す。その書物を見る様に促された阿礼が項をめくると、そこに書かれている内容を目にした瞬間、驚愕し、思わずその書物を閉じて息を呑む。

 そして、阿礼が顔を上げると、瑛春が不気味な笑みを浮かべている。その表情を見て、阿礼は言い知れぬ恐怖心を感じた。

「………」
「お気に召されましたか?」
「瑛春さん。これを僕にどうしろと?」
「その書物の内容を、一つにまとめて貰いたいのです。その数冊には、同一の内容についての記述が組み込まれています」
「一つ聞きたい。その内容は?」
「申し訳ありませんが、それは受けると決めてから教えることにします。御礼は、そうですね。完成すればそれらの本は全て貴方にお譲りしましょう」
「………わかった」

 阿礼の返答を聞いた瑛春は、その内容について口にした。

「そこには、夢幻の狭間への行き方が記されています」
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