この令嬢、凶暴につき

AQUA☆STAR

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序章

プロローグ

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〈世界の狭間〉

 まるで雲の上の様に白い地面、頭上には真っ青の空が広がった空間、その中心部、チェスの台が置かれた丸テーブルを囲む二人の少女がいた。

 一人は黒いドレス姿、もう一人は薄いピンク色のワンピースを着ている。二人はこれまで無言でゲームを進めていたが、ワンピースを着た少女が駒を詰めていくと、不意に話を始めた。

「首尾はどうかしら?」

 その問いに、黒いドレスの少女は「順調よ」とだけ答える。

「どのくらい順調なの?」
「魔界側が大きく動きを見せているみたい。今のままじゃ、遅かれ早かれこの世界は終焉を迎えてしまうわ」
「ふふ。心配いらないわ。順調と言ったはずよ。すでに手は打ってある」

 ワンピースの少女はそう言うと、チェス盤から手を離し立ち上がる。そして、部屋の中を見渡した。壁や床は真っ白だが、天井には満天の星空が描かれている。そんな幻想的な光景を眺めながら、彼女は満足げな笑みを浮かべた。

「そろそろね……さぁ、定められた世界の命運を存分にかき回しなさい」


 ◇


〈アーニスト王国 王都郊外〉

 アーニスト王国に名だたる名家、ティアニスト家の屋敷は、王都中心部から南へ少し離れた王都を一望することができる小高い丘の上に建ち、その屋敷の離れにレイ=ティアニスト、今年で16歳の少女は住んでいた。

 この離れは、元々は使用人たちの宿泊寮として使われていものであったが、新しく寮が建築されたことで寮として使われなくなり、今は本家から追い出されたレイと、彼女の従者である世話役のダークエルフ、セラだけが滞在している。

 内装に移ると、レイの部屋には大きな本棚が置かれており、その中には大量の書物が所狭しと収められている。また、机の上には本棚よりも分厚く本が積み上げられている。

 なぜ本がここまで多いかというと、それは彼女が行なっている仕事に関係する。

 本家からの援助を受けられないレイは、体を動かさずとも出来る仕事として写本を生業としていた。印刷技術が革新的飛躍を遂げたこの時代であっても、印刷で作られた複製本は人が書き写したものに未だ質も、制作時間も敵わない。

 こうした仕事も、読み書きが一般的に普及し始めたこの時代では重宝されている。毎日決まった収入とはいかないものの、写本が一つ、それも高価な魔導書や歴史資料などが完成すれば、ひと月は困らないくらいの資金が入る。

「今日は、これくらいにしておこうかな…」

 朝の日の出から始めていた写本作業が一区切りつき、小休憩を挟む。窓の外を見ると、すでに日が落ちかけていることに気がつく。

 集中していたせいか、時間の経過を忘れていたようだった。レイは椅子から立ち上がり、大きく後ろに背伸びをする。しばらく動かしていなかった筋肉の張りがほぐれ、関節がパキパキと音を立てる。

「疲れた…」

 大きく息を吐くと、自然と声が出る。凝り固まった筋肉を伸ばすため、両腕を大きく左右に伸ばした。

「あ、そうだ、夕飯の準備しないと」

 椅子から立ち上がったレイは部屋を出ると、食堂へと向かう。離れの作りは非常にシンプルなもので、部屋のドアを開けるとすぐに広い空間に出ることができる。いわゆる大広間と呼ばれる場所から、レイの自室など各部屋につながる扉がある。

 大広間からキッチンへ向かい、レイはテキパキと夕食の支度を始める。とはいっても、すでに用意してあったスープを温め直すだけなのだが、今日は体調が悪いせいか魔法を上手く使うことができず、火を起こすだけでも思ったより時間がかかってしまった。

「コホッ、ゴホッ」

 料理をしている最中に咳き込む。最近は気温が低く底冷えするほど寒くなり、おかげで体調を崩すことが多くなった。風邪でも引いたのかと思っていたのだが、どうやらそれだけではなさそうだ。

"最近、体が重いような気がする…"

 レイは自分の体に起きている異変について考えていた。ここ数日はその症状が特に酷くなっているように感じられた。原因不明の倦怠感に襲われていることに加えて、言い表せない妙な胸騒ぎまで感じ始めたのだ。

 まるで何か恐ろしいものが自分に近づいて来ているかのような、そんな予感がしてならない。

 しかし、レイはあえてその胸騒ぎについて深く考えようとはしなかった。考えれば考えるほど、答えの出ない思考の泥沼から抜け出せなくなるからだ。

 向かいの席にも温めたスープを一皿置き、スプーンを手に口へと運ぶ。季節はとっくに冬真っ盛りであるが、レイは暖炉に焚べる薪すら自分で用意しなくてはならない。病弱なレイが外へ出ることは滅多になく、冬場の薪集めとなれば尚更であり、暖を取るのも一苦労であった。

「ふぅ、あったかい」
「レイ様、遅くなり申し訳ございません。薪をお持ちしました」

 そう言って大広間に入ってきたのは、腰まで伸びる銀髪に雪を積もらせながらも両手に薪を抱えて入ってきた使用人の女性。彼女はセラ、ティアニスト家に仕える使用人である。彼女を支える唯一の使用人であり、唯一の心を許せる友人でもあった。

「先に食べているわ、セラ」
「はい!ってレイ様、またそんな薄着で…今、上に羽織るお召し物を」
「大丈夫よ。それより、寒い中薪集めありがとう」

 そう言ってセラの頬に手を当てるレイ。感謝されたセラは頬を赤らめながら、暖炉の前へと薪を置き、レイが座っているテーブルの向かい側へと腰を下ろした。

「あれ、セラ。その手の傷どうしたの?」
「あ、これですか。薪を集めているときに棘で切ってしまったみたいで…」
「ちょっと見せなさい」
「れ、レイ様っ」

 レイは彼女の手を取ると傷口に触れ、呪文を唱えた。すると、淡い光がセラの手を包み込み、みるみるうちに傷が癒えていく。

「コホッ、はい、治ったわ」
「あ、ありがとうございます。でも、無茶しないでください。これくらいなら私にも治せますので…」
「そう?でも、セラが傷ついたままなのは嫌だから。それに、治癒魔法の練習にもなるしね、ゴホッ、ゴホッ」
「レイ様……」

 レイの優しい言葉にセラは笑みを浮かべる。そんな彼女を見て、レイもまた笑みを浮かべた。

「そういえば、執事長のジェラード様からお話を聞きました。レイ様に縁談の話が来ているとか」
「縁談?」
「はい。お相手様は今度、屋敷へいらっしゃるとのことです」
「そうなの…。でも、別に私なんかじゃなくても本家のお姉様達がいるはずじゃ…」

 セラの言葉にレイは疑問を浮かべる。そもそも自分に縁談が来ること自体、おかしな話なのだ。

 そもそも、まだティアニスト家の娘は誰も結婚していない。だからと言って、私生児である自分がティアニスト家の、それも本家である姉二人を差し置いて、こんなに早く縁談が来るなどあり得ない話だ。そんなことをすれば、姉達の面子を汚すことになり、ティアニスト家自体の名声に響いてしまう。

 或いは、それを理解した上で誰かが仕組んだのだろうか。様々な憶測が交錯する。

「ちなみに、相手はどちら様?」
「それがですね、非常に申し上げにくいのですが…」

 セラは少し困ったような表情を浮かべる。そして、覚悟を決めたような表情になり口を開いた。

「お相手は、ルシウス=アーニスト様です」
「ルシウス…アーニスト…、ん…アーニスト?っ⁉︎ゲホッ、ゲホッ」
「だ、大丈夫ですかレイ様!」

 レイは驚きを隠せず、その拍子に咽せてしまう。彼女が驚くのも無理はない。

 なぜなら、そのルシウス=アーニスト。アーニスト王国の王族、現国王であるガイル=アーニストの長男であり、いわばこの国の皇太子殿下である。皇太子が縁談の相手であると聞き、レイは驚きを隠せなかったのだ。

「お、お父様は?」
「ティアニスト卿は現在、この件で王宮に出向かれているみたいです。朝には戻られるはずですが」
「そ、そう……」

 相手は王族だ。いくらティアニスト家といえども無下に断ることはできないし、断れるはずがない。それ以前にレイも私生児ではあるが、父親から受け継いだ貴族の血が通った娘である以上、自身に拒否権などないのだ。貴族の娘とはそういうものだ。

 何よりも驚きなのが、その話が一切自分の耳に届いていない事だった。本家から叩き出され、家族の縁も皆無に等しく、無干渉であった本家の父、義母、義理の姉たち。

 彼女たちはレイがティアニスト家に来た当初から彼女のことを毛嫌いしている。そんなレイに縁談の話があるなど、あの姉たちが放っておくだろうか。それも、相手が相手、下手をすればレイは次期王妃ともなる。

 あるいは、あえて報せなかったのか。どちらにせよ、本家側がよく思っていないのは明らかだった。

「ジェラードさんは何て言ってたの?」
「え?あ、はい。何やらルシウス様はお忍びで郊外へ来られているらしく、数日後に屋敷へ泊まられることになると……」
「………でも、なんで私に。あぁ、もう。静かに暮らしたかったのに…」

 レイはこれからのことを想像し、頭が痛くなるのを感じた。


 ◇


 数日後、レイは父親であるルーズ=ティアニストに呼び出され、事の次第について説明を受けた。普段、絶対に関わることがない本家の使用人たちによって粧され、今まで着たことがないドレスに身を包み、今日の主役、縁談相手であるルシウスの到着を待っていた。

『よく聞け、これはまたとないチャンスだ。ティアニスト家のために、必ず皇太子殿下をものにするのだぞ』

 父親から聞かされたその言葉が、レイの脳内で繰り返し再生される。久しぶりに会った娘の体調も確認せず、ティアニスト家の名声を高めるため、娘をただの結婚道具としか見ず、縁談相手の皇太子を迎え入れようとする父ルーズの考えに吐き気を覚えながらも、ルシウスを出迎えようと玄関へ急ぐ。

"あの御方がルシウス様…"

 黒色の髪に、整った顔立ち。その美しさと凛々しさを兼ね備えた姿から、王宮内で女性たちの視線を一身に浴びていることだろう。

「レイ=ティアニスト様。私はルシウス=アーニストと申します。以後お見知り置きを」
「は、はい……ゴホっ、こほっ……ッ」

 レイの体調は彼女がティアニスト家に来た当初より悪化していた。咳が止まらず、立っているだけで精一杯だ。そんなレイの様子を見てルシウスは口を開く。

「レイ様、体調がすぐれないようですが」
「も、申し訳ございません。少し体調が悪くて……」
「そうでしたか。では、父に頼んで今日は……」
「……いえ、大丈夫です。ルシウス様、お気になさらず……」

 心配してくれるルシウスに、レイは精一杯の作り笑いをして応える。ここで倒れて縁談が破談になれば、この後の自分がどんな粗雑な扱いを受けるか容易に想像できたからだ。

「ルシウス殿下、娘もこう言っております。宜しければ、歓迎のご準備が出来ておりますので、中をご案内致します」
「そうですか、ではそうさせていただきましょう。レイ様、あまりご無理をなさらないように」
「ありがとうございます…」

 レイはルシウスと共に広間へと向かい、席に着く。程なくして料理が運ばれてくるが、いつもレイが食べているものとは天と地ほど違う味だった。本来ならすぐにでも横になりたいうえ、喉も通らないほどであったが、皇太子を迎えている側として、食事に手をつけないのは避けた。

「レイ様…」
「お気になさらず……」

 ルシウスがレイの心配をしている横目で、ドレスアップしたレイの義母であるセザリー、そして義理の姉達である長女のセシリア、次女のエリザが広間に入室してくる。

「ルシウス様、お久しぶりでございます。国王陛下様の誕生パーティー以来ですね」
「奥方様、お久しぶりです。セシリア様とエリザ様も元気そうで何よりです」

 ルシウスが挨拶を済ませると、彼女達は苦しそうにするレイを睨みつける。まるで"なぜお前如きがこんな所にいるんだ"とでも言わんばかりに睨みつける二人を前に、レイは思わず目を逸らすように下を向く。

「……セザリー様、お義姉様方お久しぶりです」
「ふんっ、何が久しぶりだい。ろくに挨拶にも来ない礼儀知らずが」
「……申し訳ございません」

 セシリアの言葉を受け、レイは謝罪する。しかし、セザリーはそんなレイに対して更に追い討ちをかけるような言葉を投げかける。

「あなたみたいな人間がルシウス様のお側にいると思うと無性に腹が立つわ!」
「こらセザリー、今日はルシウス様が大事なお話をしにきたんだ。口を慎みたまえ」
「申し訳ございませんですわ……」

 嫌味をつらつらと並べたセザリーだったが、ルーズが釘を刺したことでようやく大人しくなった。

 ルシウスはそんなセザリーの言葉を聞いても、変わらず優しい笑みでレイに話を始める。

「レイ様、体調が優れないところ申し訳ないのですが、少し二人でお話をしたいのです」
「えっと……」

 突然の申し出に困惑するレイだったが、その不安をルシウスは見抜くかのように言葉を続ける。ここで、レイもルシウスの意図に気がつく。

「安心してください。少しだけお話をするだけです」
「…………はい」

 レイは頷く。そして、ルシウスに手を引かれる形で大広間を後にした。


 ◇


「ここなら誰もこないだろう」
「ここは……?」

 ルシウスに案内された部屋は、屋敷の庭園の一画にある小さな小屋であった。中に入ると、そこは庭園に面する窓が一面ガラス張りになっており、中から美しい庭が一望できる場所だった。

 レイはそこでようやく、ルシウスの話し方が変わっていることに気がつく。まるで、古き友と仲良く談笑するかのように。

「レイ、久しぶりだね。僕のことを覚えているかい?」
「あの、あなたとお会いするのは…その、初めてかと…」
「まぁ、覚えていないのも無理はないか。あの頃は君も僕も、年端も行かない子供同士だったからね」

 ルシウスはレイに椅子に座るように促す。

「10年くらい前かな。君は母親であるニーナ=フライア様に連れられ、王宮の遊び場で僕と遊んでいたんだ」
「私が、ルシウス様と?」
「ニーナ様は昔、王宮付きの召使いだったんだ。その縁もあって、娘である君を連れてよく王宮に顔を出しに来ていた」

 ルシウスは昔を思い出しながら、レイに話し始めた。10年ほど前、レイの母親が王宮勤めをしていた頃、彼女も時折遊び相手として王宮を訪れていたこと。そして、そこで幼いルシウスと遊んだ思い出を。

「ニーナ様はとてもお優しい方で、僕のことも可愛がってくれたよ」
「そう……だったんですか……」
「実はあの時、僕は親達が目を離した隙に窓から落ちそうになった。その時、君が僕の手を必死に摑んで、助けてくれたんだ」
「私が……」

 レイは自分が10年以上前にそんな経験をしていたことを覚えていなかった。だが、ルシウスの話を聞くうちに少しずつではあるが思い出してきた。確かにあの日、レイは幼いルシウスを助けていたことを。

「君が僕に手を差し伸べてくれた時、僕は一目惚れしたんだよ」
「……っ!?」
「あの時から君のことが好きだったんだ。……でも君は僕のことを覚えていなかった。それが少し残念だったよ」
「も、申し訳ございません……」

 レイは申し訳なさそうにルシウスに頭を下げる。

「でも、そんな事はどうでもいいんだ。ようやく、君に出会えたのだから」
「ルシウス、様…ゴホッ、ゲホッ……ッ」
「だ、大丈夫かい!?」
「す、すみま……せんっ……ッ」
 
 突然咳き込み始めるレイにルシウスは慌てて駆け寄る。苦しそうに咳をするレイに対し、ルシウスは背中をさする。

「体調が悪いと聞いていたが、まさかここまでとは……」
「ルシウス様、恐れ多い申し立てをお聞きください。どうか、私との縁談についてお考え直してはいただけないでしょうか……」
「レイ?」

 ルシウスは突然の申し出に戸惑いを隠せなかった。しかし、すぐさま我に返り、その理由を問いた。

「私は病弱です。昔から、ずっと……。ルシウス様にご迷惑をッゴホッ!ゲホッ!」
「無理して話さなくていいから」

 咳き込むレイの背中をさすりながら落ち着かせるルシウスだったが、彼は心の中で焦りを抱いていた。なぜこんなにも体調を崩しているのかと。

「はあ…はぁ」
「落ち着いたかい?」
「は、はい」
「実は、君との縁談を持ちかけたのにはもう一つ理由がある。君がティアニスト卿の私生児であることは知っているし、義母、義姉たちからどの様な仕打ちを受けているかも知っている。先ほどのやり取りを見て確信に変わった」

 ルシウスはレイに向かって手を差し伸べる。

「だから僕は、君が幸せになれる方法を考えた。それがこの縁談だ」
「私が……幸せに……?」

 レイはルシウスの言葉と、差し伸べられた手に困惑した。自分を蔑まなかった人間は使用人であるセラ以外にいなかったからだ。突然縁談を持ちかけられ、相手は自分との婚姻を望む者であり、義母や義姉たちの様なことをしないという。今までがあまりにも苦痛だった彼女にとって、それはあまりに信じ難い話であったのだ。

「無理にとは言わない。けれど、君が幸せになれる様に最善は尽くすつもりだ」
「……少し考えさせてください」

 レイはそう返事を返すと、ルシウスに一礼してからその場を後にした。一人残されたルシウスは窓から見える景色を眺めながら、ぽつりと呟いた。

「レイ……僕はずっと待っているよ……」

 そんな呟きを聞いている者は誰もいない。ただ、静寂だけがその場を支配していた。
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