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ヒメと明彦4、良子・芳芳編
第16話 芳子の捜索2
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20世紀のいつか、雅子大学3、明彦大学2、良子・芳芳大学1、美姫浪人
歩きまわっている内に日が暮れてきた。時間の立つのは早いね。さて、あとできることは?
公衆電話をみかけた。手帳を出す。電話する。女性が出た。オペレーターだね。「もしもし、加賀町警察署ですか?私、吉村警部補の従姉妹の張本と申します。吉村はおりますでしょうか?」
「吉村は・・・ああ、オフィスにおります。おつなぎいたします」おや、珍しくいたよ、吉村。ちょっと間が空いた。雑音が聞こえた。
「もしもし、吉村警部補ですが?」とよそ行きの声が聞こえた。
「吉村刑事、私。張本芳子」
「・・・バ、バカ!署に電話してくんじゃない」と小声で答えた。狼狽してんじゃん?
「浩司、頼み事があるのよ。外で会えない?」
「勤務中だ!」
「あれ?もう五時過ぎてますよ?」
「・・・わかった・・・」
「そうねえ、どこで会おうかしら?コペンでどう?」
「バカ!署の目の前だぞ!」
「加賀町署のデカや職員はコペン御用達じゃないでしょ?それに、五時頃、カウンターバーに来る警察署員なんていないわよ、浩司を除いて」
「あ~」
「切ない声だして嘆いてないで。二十分よ。二十分。来なかったら、署の前で、『わたしわぁ~、加賀町署のけーじに犯されましたぁ~』って叫んでやるわよ」
「今、行く!お前だったらやりかねん!」
中華街西門から中華街西門通りをしばらく歩くと、左側の老舗のバーのウィンドジャマー、そこを通り過ぎて、左に曲がって北門通りの加賀町警察署の前にカウンターバーのコペンハーゲンがある。ちょっと行くと同じく、カウンターバーのケーブルカーがある。
横浜の古いバーは、北欧やギリシャなどの地中海人経営の店が多かった。横浜港に出入りしていた北欧や地中海人が、横浜の女性とねんごろになって上陸して酒場のオーナーになったとか言われている。
戦後、進駐軍などの外国人客が増えたため、戦時中に閉店していたそれらのバーが再度開店した。1950年代当時のほとんどのバーは、バーといっても現在のバーテンがシェイカーを握るカウンターバーとは違って、来店客の傍らでホステスの女性がサービスするグランドキャバレーやサパークラブのようなものだった。
ホステスが付かない現在のようなバーは『コペンハーゲン』ぐらいしかなかった。格調高くて立派なバーだ。コペンという名前の通り、北欧系で、老舗の北欧料理レストラン、スカンディヤのおばさんの経営だった。
ドアを入るとL字型の十数メートルある磨かれたカウンターの一番壁際に、船員くずれなんだからわからないが、北欧人のミスター・ヘニングというおっさんが接客をしていた。
木曜日の五時。開店間際。会社帰りの人も誰もいない。ミスターヘニングがいつものコーナーでビールを飲んでいた。
「ハイ!ファンファン!こっちこっち」と、ヘニングがカウンターの奥の方の席に案内してくれる。バーチェアを引いてくれて、ついでにお尻を触っていく。「ヘニングのエッチ!」ま、いつものご挨拶なのだ。
「ハイ、ファンファン、いらっしゃい。何する?」
「え~とね、タンカレーでジンライム。ダブルで並々とお願いしたい」
「オッケー。未成年の飲酒は固くお断りしてます!ダブルね?」とバーテンダーの須賀さんはタバコを横ぐわえにして言った。ここのバーテンダーは全員女性、それもおばさんなのだ。
初めてここに来た客はちょっと戸惑う。入ると、左手は4人がけの数席のテーブル。右手は、2m ✕ 12mのピカピカに磨き上げられた樫のカウンター。バックバーにはズラリと並ぶ酒瓶の数々。ウォールライトの暗い照明。こういう道具立てだと、カウンターの中には蝶ネクタイと黒のベストを着込んだバーテンダーを予想するのに、そこにいるのは3人くらいのおばさんたち。注文取りをするのは、二の腕に入れ墨をいれたレスラーみたいな白人男性のヘニング。そりゃあ、戸惑うのが当たり前だ。
18分経った。ドアが開いて、一瞬バーの中が夕日で明るくなった。浩司。明るい路上から暗いバーに入ってまだ良く見えないようだ。私は「浩司!ここよ、ここ!」と手を上げた。頭をフリフリ、近づいてくる。いいじゃん?ピチピチの19才の女子大生とデートだよ?うれしくないのかよ?
彼が横に座った。私はサービスでバーチェアを彼のに近づける。『あ~』という顔で私を見た。うれしそうじゃないじゃん!
「何、飲んでる?」
「タンカレーベースでジンライム。ダブル、ロック」
「未成年はミルクだろ?」
「あら?その未成年を犯したのはだぁれ?」
「あれは事故だ・・・」
須賀さんが近づいてきた。「上田さん、今日はファンファンとデートかい?良いねえ、カワイ子ちゃんとデートできて。さ、ご注文は?」と彼に聞いた。ここでは、吉村刑事は上田さんなのだ。署が目と鼻の先なのにね。いつかはバレるよ。
「メーカーズマークをフォーフィンガー、ロックで」
「フォーフィンガー?」
「いいんだ、須賀さん、ファンファンと会うのに気付け薬だ。」
「了解!」酒棚から蜜蝋を模した封をされているバーボンの瓶を取り出した。酒をメジャーも使わず注ぐ。ちょっと見て、おまけだ!というように少し足す。トンと浩司の前にグラスを置いて離れていった。
「それで、今日はなんなんだ?頼み事ってなんだ?」
「ちょっとぉ、浩司。そう性急に世間話もしないで、核心から入ろうとするの?高校生が前戯もなく突っ込むみたいよ」
「お前、下品」
「あら、この前はたっぷり前戯してくれたじゃないの?」
「あ~」
「あのさ、最後に会ったのが半年前じゃん?その後、芳子、どうしてた?とかさ、大学どうだった?とか聞いてくれないの?」
「・・・そうか。3月まで高校生だったからな」
「そぉよぉ、高校3年生のいたいけな女子生徒の体をもてあそんだのよ、最後にあった時は」
「お前に会ったのが事故だ・・・で、大学は?」
「まあ、私に興味があるのね?」
「聞けと言ったのはお前だ」
「無事、合格いたしました。学部を聞いてくれないの?」
「面倒な・・・学部は?」
「法学部でしたぁ~」
「お前な、中華マフィアの一家の娘が法学部だと?」
「私はカタギよ。家の商売の運営とは関係ないもん。それに、ウチはウリ(売春)とかヤクとか扱わないでしょ?台湾系のと一緒にしないでね」
「お前のところは『青幇(チンパン)』の息がかかってたっけ?」
「うん、そう。でも、姻戚関係つながりみたいなもので、今は中華人民共和国成立前のような秘密結社的な形態じゃないよ」
青幇(チンパン)は、中国の秘密結社だ。元々は中国の大運河の水運業ギルドだった。時代が変わるに連れて、一部が辛亥革命前の中国の秘密結社になった。その一部は、上海を支配しアヘン、賭博、売春を主な資金源とした。第二次世界大戦終結後の1945年、中華民国政府の青幇への取り締まりがあって、かつての勢いをなくした。国共内戦が共産党の勝利に終わった1949年に台湾や香港に脱出した。中国本土の地下組織は押さえられた。1951年にゴッドファーザーの杜月笙が死ぬと力を失い、1950年代半ばには消滅したと言われているが、香港・台湾などで組織は生き延びている。もちろん、日本各地の中華街でも。
その青幇(チンパン)と双璧をなすのが、紅幇(ほんぱん)だ。。同時期に存在した青幇と対のようにいわれる秘密結社で、紅幇は哥老会と天地会の2つの幇会の総称だ。
1949年に中華人民共和国が成立した後は、徹底した取締りで青幇(チンパン)、紅幇(ほんぱん)などの黒社会は消滅したとされた。しかし、1970年代末からの急速な経済発展に伴って、農村部から都市部への大量の人口流入、貧富の格差の拡大、規範意識の低下、拝金主義や汚職のまん延等が生じたことなどを背景として、中国各地に無数の犯罪組織が形成された。
黒社会的性質を帯びた犯罪組織はその大多数が数十人から百数十人の規模であるとみられており、犯罪活動の内容は、強盗、恐喝、脅迫、人身売買、売春、賭博、薬物取引等多種多様である。
「まあ、その、お前の言う台湾系のグループが変なことをしているみたいなんだよなあ」
「へぇ~、ほんとに?」浩司、聞きたいのはそれだよ。最後に会った時にチラッとその話をしてたもん。まさかとは思うが、美姫に関係するかもしれないじゃん?
「おい、前置きが長い!お前、頼み事があるって電話で言っただろ?なんなんだよ?」
「まだ、お酒を一杯しか飲んでないんだよ。そんなに焦らなくてもいいじゃん?」
「俺は忙しいんだ!」
「自分の女に冷たい言い草ね?」
「誰が俺の女なんだ!」
「もうちょっと優しく話してくれてもいいじゃん?」
「あ~」
「場所、変えようっか?」
「ハァ?」
「二人っきりになれるとこに行こうよ」
「やなこった」
「あ!そんなこと言って、いいの?バラすわよ。ここで叫んでやる!未成年を犯したけーさつかんはこいつだ!って」
「ああ~」
「さ、行こ、行こ」
「どこへ?」
「この近所じゃまずいでしょ?タクシーで伊勢佐木町の裏通りっていかがかしら?」
「・・・ラブホか・・・」
「ピンポーン!どう?女子大生の体をスキにもてあそんでいいのよ?刑事さん?」とカウンターの下で股間を触ってやる。なんだぁ~、浩司、勃起してんじゃん!「あれあれ?言葉とは裏腹ですね?刑事さん。この固いものはなんですかぁ~?」
浩司がフォーフィンガーを一気に煽った。私も合わせてジンライムを飲み干す。ホホホ。彼が須賀さんを呼んだ。「須賀さん、チェック、御願い」
「あらあら、早いじゃない?もうおでかけ?どこに行っちゃうのかしらね?」
「須賀さん、浩司さんと二人っきりになれるところよ」と私。
須賀さんがカウンターから身を乗り出して、浩司の顔に近づけた。
「上田さん、この子が誰か知ってるの?」
「・・・知ってるよ」
「なんだ、知ってるのね。あなた、とんでもない娘と付き合ってるのよ」
「わかってるよ、須賀さん。蟻地獄のように砂に飲まれている途中だ」
「悪い子じゃないわよ。ちゃんとした大学生よ。でもねえ、たまに悪魔になるからね」
「今で十分悪魔だよ。五千円で足りるだろ?おつりは要らないよ」
「ハイ、まいどありぃ。行ってらっしゃい!」
「あ~あ」
私は、ヘニングにウィンクして、浩司の手を引っ張って店を出た。
歩きまわっている内に日が暮れてきた。時間の立つのは早いね。さて、あとできることは?
公衆電話をみかけた。手帳を出す。電話する。女性が出た。オペレーターだね。「もしもし、加賀町警察署ですか?私、吉村警部補の従姉妹の張本と申します。吉村はおりますでしょうか?」
「吉村は・・・ああ、オフィスにおります。おつなぎいたします」おや、珍しくいたよ、吉村。ちょっと間が空いた。雑音が聞こえた。
「もしもし、吉村警部補ですが?」とよそ行きの声が聞こえた。
「吉村刑事、私。張本芳子」
「・・・バ、バカ!署に電話してくんじゃない」と小声で答えた。狼狽してんじゃん?
「浩司、頼み事があるのよ。外で会えない?」
「勤務中だ!」
「あれ?もう五時過ぎてますよ?」
「・・・わかった・・・」
「そうねえ、どこで会おうかしら?コペンでどう?」
「バカ!署の目の前だぞ!」
「加賀町署のデカや職員はコペン御用達じゃないでしょ?それに、五時頃、カウンターバーに来る警察署員なんていないわよ、浩司を除いて」
「あ~」
「切ない声だして嘆いてないで。二十分よ。二十分。来なかったら、署の前で、『わたしわぁ~、加賀町署のけーじに犯されましたぁ~』って叫んでやるわよ」
「今、行く!お前だったらやりかねん!」
中華街西門から中華街西門通りをしばらく歩くと、左側の老舗のバーのウィンドジャマー、そこを通り過ぎて、左に曲がって北門通りの加賀町警察署の前にカウンターバーのコペンハーゲンがある。ちょっと行くと同じく、カウンターバーのケーブルカーがある。
横浜の古いバーは、北欧やギリシャなどの地中海人経営の店が多かった。横浜港に出入りしていた北欧や地中海人が、横浜の女性とねんごろになって上陸して酒場のオーナーになったとか言われている。
戦後、進駐軍などの外国人客が増えたため、戦時中に閉店していたそれらのバーが再度開店した。1950年代当時のほとんどのバーは、バーといっても現在のバーテンがシェイカーを握るカウンターバーとは違って、来店客の傍らでホステスの女性がサービスするグランドキャバレーやサパークラブのようなものだった。
ホステスが付かない現在のようなバーは『コペンハーゲン』ぐらいしかなかった。格調高くて立派なバーだ。コペンという名前の通り、北欧系で、老舗の北欧料理レストラン、スカンディヤのおばさんの経営だった。
ドアを入るとL字型の十数メートルある磨かれたカウンターの一番壁際に、船員くずれなんだからわからないが、北欧人のミスター・ヘニングというおっさんが接客をしていた。
木曜日の五時。開店間際。会社帰りの人も誰もいない。ミスターヘニングがいつものコーナーでビールを飲んでいた。
「ハイ!ファンファン!こっちこっち」と、ヘニングがカウンターの奥の方の席に案内してくれる。バーチェアを引いてくれて、ついでにお尻を触っていく。「ヘニングのエッチ!」ま、いつものご挨拶なのだ。
「ハイ、ファンファン、いらっしゃい。何する?」
「え~とね、タンカレーでジンライム。ダブルで並々とお願いしたい」
「オッケー。未成年の飲酒は固くお断りしてます!ダブルね?」とバーテンダーの須賀さんはタバコを横ぐわえにして言った。ここのバーテンダーは全員女性、それもおばさんなのだ。
初めてここに来た客はちょっと戸惑う。入ると、左手は4人がけの数席のテーブル。右手は、2m ✕ 12mのピカピカに磨き上げられた樫のカウンター。バックバーにはズラリと並ぶ酒瓶の数々。ウォールライトの暗い照明。こういう道具立てだと、カウンターの中には蝶ネクタイと黒のベストを着込んだバーテンダーを予想するのに、そこにいるのは3人くらいのおばさんたち。注文取りをするのは、二の腕に入れ墨をいれたレスラーみたいな白人男性のヘニング。そりゃあ、戸惑うのが当たり前だ。
18分経った。ドアが開いて、一瞬バーの中が夕日で明るくなった。浩司。明るい路上から暗いバーに入ってまだ良く見えないようだ。私は「浩司!ここよ、ここ!」と手を上げた。頭をフリフリ、近づいてくる。いいじゃん?ピチピチの19才の女子大生とデートだよ?うれしくないのかよ?
彼が横に座った。私はサービスでバーチェアを彼のに近づける。『あ~』という顔で私を見た。うれしそうじゃないじゃん!
「何、飲んでる?」
「タンカレーベースでジンライム。ダブル、ロック」
「未成年はミルクだろ?」
「あら?その未成年を犯したのはだぁれ?」
「あれは事故だ・・・」
須賀さんが近づいてきた。「上田さん、今日はファンファンとデートかい?良いねえ、カワイ子ちゃんとデートできて。さ、ご注文は?」と彼に聞いた。ここでは、吉村刑事は上田さんなのだ。署が目と鼻の先なのにね。いつかはバレるよ。
「メーカーズマークをフォーフィンガー、ロックで」
「フォーフィンガー?」
「いいんだ、須賀さん、ファンファンと会うのに気付け薬だ。」
「了解!」酒棚から蜜蝋を模した封をされているバーボンの瓶を取り出した。酒をメジャーも使わず注ぐ。ちょっと見て、おまけだ!というように少し足す。トンと浩司の前にグラスを置いて離れていった。
「それで、今日はなんなんだ?頼み事ってなんだ?」
「ちょっとぉ、浩司。そう性急に世間話もしないで、核心から入ろうとするの?高校生が前戯もなく突っ込むみたいよ」
「お前、下品」
「あら、この前はたっぷり前戯してくれたじゃないの?」
「あ~」
「あのさ、最後に会ったのが半年前じゃん?その後、芳子、どうしてた?とかさ、大学どうだった?とか聞いてくれないの?」
「・・・そうか。3月まで高校生だったからな」
「そぉよぉ、高校3年生のいたいけな女子生徒の体をもてあそんだのよ、最後にあった時は」
「お前に会ったのが事故だ・・・で、大学は?」
「まあ、私に興味があるのね?」
「聞けと言ったのはお前だ」
「無事、合格いたしました。学部を聞いてくれないの?」
「面倒な・・・学部は?」
「法学部でしたぁ~」
「お前な、中華マフィアの一家の娘が法学部だと?」
「私はカタギよ。家の商売の運営とは関係ないもん。それに、ウチはウリ(売春)とかヤクとか扱わないでしょ?台湾系のと一緒にしないでね」
「お前のところは『青幇(チンパン)』の息がかかってたっけ?」
「うん、そう。でも、姻戚関係つながりみたいなもので、今は中華人民共和国成立前のような秘密結社的な形態じゃないよ」
青幇(チンパン)は、中国の秘密結社だ。元々は中国の大運河の水運業ギルドだった。時代が変わるに連れて、一部が辛亥革命前の中国の秘密結社になった。その一部は、上海を支配しアヘン、賭博、売春を主な資金源とした。第二次世界大戦終結後の1945年、中華民国政府の青幇への取り締まりがあって、かつての勢いをなくした。国共内戦が共産党の勝利に終わった1949年に台湾や香港に脱出した。中国本土の地下組織は押さえられた。1951年にゴッドファーザーの杜月笙が死ぬと力を失い、1950年代半ばには消滅したと言われているが、香港・台湾などで組織は生き延びている。もちろん、日本各地の中華街でも。
その青幇(チンパン)と双璧をなすのが、紅幇(ほんぱん)だ。。同時期に存在した青幇と対のようにいわれる秘密結社で、紅幇は哥老会と天地会の2つの幇会の総称だ。
1949年に中華人民共和国が成立した後は、徹底した取締りで青幇(チンパン)、紅幇(ほんぱん)などの黒社会は消滅したとされた。しかし、1970年代末からの急速な経済発展に伴って、農村部から都市部への大量の人口流入、貧富の格差の拡大、規範意識の低下、拝金主義や汚職のまん延等が生じたことなどを背景として、中国各地に無数の犯罪組織が形成された。
黒社会的性質を帯びた犯罪組織はその大多数が数十人から百数十人の規模であるとみられており、犯罪活動の内容は、強盗、恐喝、脅迫、人身売買、売春、賭博、薬物取引等多種多様である。
「まあ、その、お前の言う台湾系のグループが変なことをしているみたいなんだよなあ」
「へぇ~、ほんとに?」浩司、聞きたいのはそれだよ。最後に会った時にチラッとその話をしてたもん。まさかとは思うが、美姫に関係するかもしれないじゃん?
「おい、前置きが長い!お前、頼み事があるって電話で言っただろ?なんなんだよ?」
「まだ、お酒を一杯しか飲んでないんだよ。そんなに焦らなくてもいいじゃん?」
「俺は忙しいんだ!」
「自分の女に冷たい言い草ね?」
「誰が俺の女なんだ!」
「もうちょっと優しく話してくれてもいいじゃん?」
「あ~」
「場所、変えようっか?」
「ハァ?」
「二人っきりになれるとこに行こうよ」
「やなこった」
「あ!そんなこと言って、いいの?バラすわよ。ここで叫んでやる!未成年を犯したけーさつかんはこいつだ!って」
「ああ~」
「さ、行こ、行こ」
「どこへ?」
「この近所じゃまずいでしょ?タクシーで伊勢佐木町の裏通りっていかがかしら?」
「・・・ラブホか・・・」
「ピンポーン!どう?女子大生の体をスキにもてあそんでいいのよ?刑事さん?」とカウンターの下で股間を触ってやる。なんだぁ~、浩司、勃起してんじゃん!「あれあれ?言葉とは裏腹ですね?刑事さん。この固いものはなんですかぁ~?」
浩司がフォーフィンガーを一気に煽った。私も合わせてジンライムを飲み干す。ホホホ。彼が須賀さんを呼んだ。「須賀さん、チェック、御願い」
「あらあら、早いじゃない?もうおでかけ?どこに行っちゃうのかしらね?」
「須賀さん、浩司さんと二人っきりになれるところよ」と私。
須賀さんがカウンターから身を乗り出して、浩司の顔に近づけた。
「上田さん、この子が誰か知ってるの?」
「・・・知ってるよ」
「なんだ、知ってるのね。あなた、とんでもない娘と付き合ってるのよ」
「わかってるよ、須賀さん。蟻地獄のように砂に飲まれている途中だ」
「悪い子じゃないわよ。ちゃんとした大学生よ。でもねえ、たまに悪魔になるからね」
「今で十分悪魔だよ。五千円で足りるだろ?おつりは要らないよ」
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「あ~あ」
私は、ヘニングにウィンクして、浩司の手を引っ張って店を出た。
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