よこはま物語 弐、ヒメたちのエピソード

✿モンテ✣クリスト✿

文字の大きさ
38 / 48
ヒメと明彦4、良子・芳芳編

第32話 美姫の裏切り1

しおりを挟む
20

 月曜日の午後、発作的に自分の部屋で服や下着をバックに闇雲に詰めて、家を飛び出した。入試試験全フケ事件からもう4ヶ月。耐えられなかった。

 元町の喫茶店でどうしようか?と考えながら、紅茶を飲んだ。店を出た時、偶然、達夫をみかけた。行くあてのない家出だったので、私から声をかけた。彼が中華街にアパートを借りている一人暮らしということを寝物語に聞いていたのだ。私、都合のいい女なんだろうか?良子だったら「わたくし、そんな行動原理で何かした経験はありませんわ!」と言うだろう。いいんだよ、良子は良子、私は私。

 そう言えば、渋谷で占いのおばあさんがいて、占ってもらったことがあった。「嬢ちゃん、あんたは、積極性があって、考えるよりも先に行動に移す直感的なタイプだよ。リスクを考えずに動いてしまう。だから、失敗が多い。人の意見や価値観を素直に聞き入れられない、自分とは違う考え方に拒否反応が出てしまう。言葉が強過ぎて、人間関係がこじれてしまう。注意するんだよ」と言われた。全部じゃないけど当たっているが、ムカッときた。

 2月の大学入試を全部フケてから、パパもママも私を見る目は冷たい。2月からもう4ヶ月も経っているけど、行動制限がかかっている。明彦のアパートにいます、という手も使えなくなった。だって、彼のアパートにいないんだもん。浮気したんだから行きにくいのだ。

 予備校の申請を強制的にやらされて、今年は予備校への提出のつきそいにママが一緒。明彦じゃ手ぬるいと思ったんだろう。もちろん、彼はバイトで忙しく、そんな暇はなかったのだけど。

 息が詰まるから、3回に1回は予備校に行くフリをして、公園で時間を潰したり、美術館で時間を潰したり。良子なら、そういう行動は逃避行動と言います、となじるんだろう。でもね、良子も大学合格したから、予備校でお目付け役がいないんだよ。予備校なら、浪人した知り合いもいる。残念なのは、達夫も大学合格したから予備校で会うということはできなかった。でも、私は、大学の入学試験を落ちたわけじゃない。全フケして受けなかっただけだ・・・受験しなかっただけ・・・

 最初の大学の入学試験で、ちょっと寝坊して、電車が遅れたりして、間に合わなかったのが始まり。誰にも言えない。滑り止めだったので、次から頑張れば良いと思ったけど、モチベーションが下がった。次の試験は時間の余裕があったけど、試験会場の手前で足が萎えた。それから、ズルズルと全フケになった。

 誰にも言わず、全フケはしばらく黙っていた。合格発表で大学に見に行くのも辛いから、大学から合格通知と入学手続きの書類が来るから見に行かない!と言って誤魔化した。良子が私の受けた大学は一緒に見に行けるじゃない?行こうよ、と誘われたけど、行かなかった。だんだん、パパ、ママ、良子が様子が変だと思ってきて問い詰められた。全フケを白状した。最初のつまづきはあまりに情けないので言わなかった。

 パパ、ママ、茨木の大学から帰ってきていてこの話を聞いたお兄ちゃん、良子が激怒した。家の応接間で4人に問い詰められた。そこに、ママか良子に聞いたんだろう、明彦がノコノコやってきて、間に割って入った。

 まあまあ、浪人したと思って、また予備校に通って来年受ければいいじゃないですか。みんな浪人してますよ、いい経験だと思って、あまり問い詰めてもヒメが可哀想でしょう?と事を丸く収めようとする。パパ、ママ、お兄ちゃん、明彦で事後対策とか相談しだした。明彦だって、私の味方をするフリをして、みんなとグルじゃんか!

・・・良子に耳を引っ張られて、私の部屋に連れて行かれた。良子にホッペタを思いっきりひっぱたかれた。ムカッとした。お前なんかにビンタされる覚えはない。私は引っ叩き返した。頬をおさえて、目を見開いて睨まれた。フン、お嬢様は人にビンタされたことがないんだろう?スッキリした。

「フン!良子は第1志望に合格したからいいじゃないか!私のことは、ほっておいてよ!」
「そういうわけにはまいりません!美姫!あなた何を考えているの!去年の秋から様子が変だったでしょ?いろいろなものから逃避しても、問題は解決しません!問題に向き合いなさい!明彦も来年また受ければいいことだ、ってパパ、ママ、お兄様に言ってくれてるでしょ?」

「良子も明彦も、パパとママとグルだよ!明彦も私の心配をするフリをしてグルだ!」
「あなた、何を言っているの?明彦は味方になってくれてるじゃないの?」
「なんだ?良子?明彦の肩をやけにもつね?明彦は私の彼氏だよ?あんたのじゃないよ!」
「そうよ。当たり前じゃないの」
「何が当たり前だ!人の彼氏とエッチしておいて!」私から三人でしようよ、と言ったのはわかっているけど。
「三人の合意でしてました。美姫が不服ならもう彼とはいたしません」

「あんたは、どうせ他に男もいるだろう?中学校以来、何人の男と今まで寝てきた?相手には困らないじゃないか?私なんか、明彦しか経験してないもん!」自分で言っていて説得力はないと思った。達夫とセックスしちゃったんだから。

 良子の目を盗んで、明彦のアパートに泊まったとママにウソをついて、達夫と外泊していたんだから。だけど、それもこれも、明彦が私をかまってくれなかった、良子が私を監視ばっかりして味方になってくれなかったせいじゃないか!

「美姫!私は、去年の夏から、明彦と美姫としかセックスしてません!誰でも彼でもお股を開くような女じゃありません!」こいつ!人がチクッとくることを言いやがった!
「おうおう、人の彼氏とさんざんやっておいて、開き直った!明彦としかエッチしてないって?どうせ、私のいない時に二人で隠れてやってたんだ!そうに決まってる!」
「なんの根拠があってそんなことを言うかしら!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

処理中です...