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加藤恵美・真理子編
第3話 メグミと 3
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「明彦!」と母が階下から怒鳴った。「お前に電話よ、メグミちゃんよ」と言う。
ぼくは2階からドタドタとおりて受話器を取った。
「ハイ、明彦だよ」
「電話してくれないじゃない?」
「ちょっと忙しかったんだ」
「先週の土曜日から電話なかったよ。それに、9日間も会ってないんだよ。最後に会ったのは先週の月曜日で、おまけに真理子と三人なんだよ。もう、明彦はメグミとエッチしたくなくなっちゃったのかな?なんて思ってるの」
「そういうわけじゃないよ。ちょっと、その話はさ、いま、階下(した)だからさ」
「そうか、明彦の家、電話は玄関にあるっていっていたものね。ママに聞こえちゃうね」
「そうそう」
「どう?今度の土曜日、暇?それとも真理子と会うの?」
「今のところ暇だよ」
「だったら、土曜日、しようよ」
「いいよ」
「ラッキー!久しぶりだもんね」
「そうか、先月は毎週だったからなあ・・・」
「そぉだよぉ~、欲求不満になっちゃうよぉ~」
「メグミ、そればっかりだな」
「そればっかりでもないんだな。たまには明彦の声も聞きたいのに電話をかけてくれないんだから」
「先週の土曜から四日間だけだろ?でも、ゴメン、電話かけるよ」
「土曜日の前でも?」
「土曜日まで明日も明後日もかけるよ」
「うれしい」
「ちょっと、メグミ、電話して欲しいなんて前には言わなかったじゃないか?」
「そうだっけ?」
「そうだよ、おかしいなあ。彼氏と何かあったの?」
「何にもないよ。何にもないから困っちゃうんだし、欲求不満にもなるのよ」
「だったら、彼氏にしてって言えばいいじゃないか?」
「そしたらさ、明彦とできなくなっちゃうじゃない?」
「だって、その方が普通で自然なことと思うけどな」
「彼とは普通で自然にできないと思う。明彦とだったら普通で自然にできるんだよ、なぜか」
「う~ん、それって、ぼくが真理子としないのと同じ理由なのか?」
「きっとそうだよ。かたやプラトニックで、かたやエッチばっかり。そういう関係って多様性があって好きだなあ・・・」
「よくわからないなあ・・・まあ、いいや・・・」
それから、ぼくらは、二人で行った西洋美術館の絵の話やぼくが借した堀田善衛の『ゴヤ』の感想や知り合いの悪口なんかを話した。メグミの人物評論は面白いのだ。「でもさ、いつかプラド美術館に行って、ゴヤやベラスケスを見てみたいよぉ~」
「そうだな、一度は行ってみたいね」
「メグミは明彦と行くんだ、プラドに」
「ぼくと?」
「明彦と一緒だと面白いから」
「そうだね、真理子じゃ、絵の話はわからないからな」
「そうだよ、来年くらいに行こ、プラドに」
「お金貯めなきゃね」
「メグミ、いくらかかるか調べておく」
「だったら、一緒に旅行代理店に行ってみようか?」
「そうそう、土曜日、代理店にも寄ってみようよ」
「『にも』、ね」
「なによ」
「『も』、だよ」
「あ!ヤダ!明彦、エッチねえ・・・」
「だって、代理店の前に寄るところがないと、『代理店にも』とは言わない」
「メグミは、代理店の前に寄るところのほうが大事なの」
「まったく、メグミは・・・おっと、もう十一時だぜ」
「え?もうそんな時間?」
「ぼくら、おしゃべりだから二時間くらいすぐ経ってしまう」
「切っちゃうの?」
「明日も明後日も電話するよ」
「ホントね?」
「ほんとホント」
「あ~あ、ひとりで寝るのつまんないな」
「土曜日がすぐくるから」
「でも、それって時間限定だからなあ~」
「じゃあさ、金曜日の夜からバイト先の第一ホテルに行こう。時間限定じゃなくってさ」とぼくは小声で言った。家族に訊かれるとまずいじゃないか?「でも、泊まるのだいじょうぶ?ママになんていうの?」
「アリバイを作っておく。友達に言って。もちろん、真理子じゃないよ」とメグミも小声になる。
「当たり前だろ?だったら、リザーブしておくよ。二時間休憩、一時間延長じゃないからね」
「それ、ずっと朝までってことだよね?」
「チェックアウトの土曜日のお昼までということだよ。その後、いろんなところに行こう」
「長い時間一緒にいられるんだね?」
「金曜日の夜から土曜日の午後までね。部屋にいるのは十四時間くらいとか?」
「そんなにしたら、メグミ、死んじゃうかもしれない・・・」
「大げさな。ま、いいや、また、明日。お休み」
「お休みなさい、明彦・・・」ぼくはメグミが電話を切るまで受話器を持っていた。メグミが受話器をおく前に「好き・・・」とつぶやいた気がした。ちょっといつもと違うニュアンスだった。
上にあがっていくと、妹がドアから顔を出しておいでおいでをした。「なんだよ?」「兄貴ね、最近、真理子ちゃんよりもメグミちゃんと電話してることが多いんじゃないの?」と、ニタニタして言う。
「そうかあ?そうでもないよ」
「メグミちゃんって、真理子ちゃんの友達なんでしょ?」
「そうだよ。メグミは美術部なんだ。だから、いろいろ話すことが多いんだよ」
「普通、ガールフレンドの友達と二時間も話さないと思うな」
「普通って、別にメグミとも友達だから二時間話してもおかしくないだろ?」
「絶対におかしい!兄貴、二股かけてない?」
「ないない、メグミとはそんな関係じゃないって」
「そうかなあ、絶対に、兄貴は真理子ちゃんと話しているよりもメグミちゃんと話している方が楽しそうだと思うけどなあ・・・」
「人の電話を盗み聞きするな、こら!キミの気のせいだよ、気のせい」
「ま、いいや。そうそう、そういう話ではなくって、直子がね、相談があるって言ってたよ。進路の話とかいろいろ。電話かけてやってよ」
「了解。明日にでも電話かけるよ」
「兄貴、直子に手を出しちゃダメだよ」
「あのね、ぼくはアラレちゃんみたいな子に手を出したりしません。ありゃあ、まだまだ子供じゃないか?」
「大人になったら手を出すってことなの?」
「あのね、そういう話ではなくって、キミの同級生に手なんか出しませんとも」
「どうでもいいや、じゃ、電話かけるのよ、明日」
「ハイハイ、了解しましたよ」
ぼくは木曜日にメグミに電話をかけた。メグミに電話をかける前に真理子から電話がかかってきた。土曜日、暇?というので、ホテルのバイトで金曜日の夜から土曜日まで泊まり込みなんだ、と断った。日曜日、真理子、暇?と訊いて、暇だと言うので、日曜日にデートしようということになった。そのあとの電話で、メグミが言うには、「さっき、真理子から電話があって、土曜日、暇?って訊かれたから、ちょっと土曜日はね・・・って答えたんだけど。明彦が遊んでくれないってこぼしてたよ」
「だから、日曜日に会おうって言ったんだよ」
「ふ~ん、金土はメグミを優先してくれたんだ?」
「だって、メグミが先約だからね」
「先約だからって理由だけなの?」
「だって、真理子とは先週もずっと会ってるけど、メグミとは久しぶりでしょ?」
「じつは、私も彼氏が土曜日暇か?っていうので、断っちゃったんだよ」
「おあいこじゃないか?」
「先約ですからね、明彦の方が」
「じゃあ、ぼくに文句を言うのはやめなさい」
「でもさぁ~・・・」とまた二時間話し込んでしまった。
二階にあがっていくと、妹がおいでおいでをする。「なに?」「ほらね、真理子ちゃんとは三十分で、メグミちゃんとは二時間じゃないか?」
「また、盗み聞きをする!」
「怪しいなあ・・・」
「ぼくの私生活に口出しするんじゃありません」
「ハイハイ。でも、怪しいなあ・・・」
「お休み!」
「怪しい・・・あ!直子に電話してくれてありがと。直子がよろしくってさ」
「ああ、お悩みのご様子でしたよ。来週、会って話そうと言っておいた」
「直子に兄貴は手が早いから気をつけるようにって言ったんだ」
「また、余計なことを」
「直子、真っ赤になってたよ」
「アラレちゃんはウブなんだよ、キミと違って。からかうもんじゃないよ」
「ま、いいや。来週、よろしくね。どこ行くの?」
「どこも行かないよ。駅前の喫茶店」
「なぁ~んだ、デートに連れて行くんじゃないんだ?」
「手を出すなと言ったり、デートに連れ出せと言ったり。まったく、相談事だからね、あくまで」
「ハイハイ、わかりました。よろしくお願いします」
「お休み!」
ぼくは2階からドタドタとおりて受話器を取った。
「ハイ、明彦だよ」
「電話してくれないじゃない?」
「ちょっと忙しかったんだ」
「先週の土曜日から電話なかったよ。それに、9日間も会ってないんだよ。最後に会ったのは先週の月曜日で、おまけに真理子と三人なんだよ。もう、明彦はメグミとエッチしたくなくなっちゃったのかな?なんて思ってるの」
「そういうわけじゃないよ。ちょっと、その話はさ、いま、階下(した)だからさ」
「そうか、明彦の家、電話は玄関にあるっていっていたものね。ママに聞こえちゃうね」
「そうそう」
「どう?今度の土曜日、暇?それとも真理子と会うの?」
「今のところ暇だよ」
「だったら、土曜日、しようよ」
「いいよ」
「ラッキー!久しぶりだもんね」
「そうか、先月は毎週だったからなあ・・・」
「そぉだよぉ~、欲求不満になっちゃうよぉ~」
「メグミ、そればっかりだな」
「そればっかりでもないんだな。たまには明彦の声も聞きたいのに電話をかけてくれないんだから」
「先週の土曜から四日間だけだろ?でも、ゴメン、電話かけるよ」
「土曜日の前でも?」
「土曜日まで明日も明後日もかけるよ」
「うれしい」
「ちょっと、メグミ、電話して欲しいなんて前には言わなかったじゃないか?」
「そうだっけ?」
「そうだよ、おかしいなあ。彼氏と何かあったの?」
「何にもないよ。何にもないから困っちゃうんだし、欲求不満にもなるのよ」
「だったら、彼氏にしてって言えばいいじゃないか?」
「そしたらさ、明彦とできなくなっちゃうじゃない?」
「だって、その方が普通で自然なことと思うけどな」
「彼とは普通で自然にできないと思う。明彦とだったら普通で自然にできるんだよ、なぜか」
「う~ん、それって、ぼくが真理子としないのと同じ理由なのか?」
「きっとそうだよ。かたやプラトニックで、かたやエッチばっかり。そういう関係って多様性があって好きだなあ・・・」
「よくわからないなあ・・・まあ、いいや・・・」
それから、ぼくらは、二人で行った西洋美術館の絵の話やぼくが借した堀田善衛の『ゴヤ』の感想や知り合いの悪口なんかを話した。メグミの人物評論は面白いのだ。「でもさ、いつかプラド美術館に行って、ゴヤやベラスケスを見てみたいよぉ~」
「そうだな、一度は行ってみたいね」
「メグミは明彦と行くんだ、プラドに」
「ぼくと?」
「明彦と一緒だと面白いから」
「そうだね、真理子じゃ、絵の話はわからないからな」
「そうだよ、来年くらいに行こ、プラドに」
「お金貯めなきゃね」
「メグミ、いくらかかるか調べておく」
「だったら、一緒に旅行代理店に行ってみようか?」
「そうそう、土曜日、代理店にも寄ってみようよ」
「『にも』、ね」
「なによ」
「『も』、だよ」
「あ!ヤダ!明彦、エッチねえ・・・」
「だって、代理店の前に寄るところがないと、『代理店にも』とは言わない」
「メグミは、代理店の前に寄るところのほうが大事なの」
「まったく、メグミは・・・おっと、もう十一時だぜ」
「え?もうそんな時間?」
「ぼくら、おしゃべりだから二時間くらいすぐ経ってしまう」
「切っちゃうの?」
「明日も明後日も電話するよ」
「ホントね?」
「ほんとホント」
「あ~あ、ひとりで寝るのつまんないな」
「土曜日がすぐくるから」
「でも、それって時間限定だからなあ~」
「じゃあさ、金曜日の夜からバイト先の第一ホテルに行こう。時間限定じゃなくってさ」とぼくは小声で言った。家族に訊かれるとまずいじゃないか?「でも、泊まるのだいじょうぶ?ママになんていうの?」
「アリバイを作っておく。友達に言って。もちろん、真理子じゃないよ」とメグミも小声になる。
「当たり前だろ?だったら、リザーブしておくよ。二時間休憩、一時間延長じゃないからね」
「それ、ずっと朝までってことだよね?」
「チェックアウトの土曜日のお昼までということだよ。その後、いろんなところに行こう」
「長い時間一緒にいられるんだね?」
「金曜日の夜から土曜日の午後までね。部屋にいるのは十四時間くらいとか?」
「そんなにしたら、メグミ、死んじゃうかもしれない・・・」
「大げさな。ま、いいや、また、明日。お休み」
「お休みなさい、明彦・・・」ぼくはメグミが電話を切るまで受話器を持っていた。メグミが受話器をおく前に「好き・・・」とつぶやいた気がした。ちょっといつもと違うニュアンスだった。
上にあがっていくと、妹がドアから顔を出しておいでおいでをした。「なんだよ?」「兄貴ね、最近、真理子ちゃんよりもメグミちゃんと電話してることが多いんじゃないの?」と、ニタニタして言う。
「そうかあ?そうでもないよ」
「メグミちゃんって、真理子ちゃんの友達なんでしょ?」
「そうだよ。メグミは美術部なんだ。だから、いろいろ話すことが多いんだよ」
「普通、ガールフレンドの友達と二時間も話さないと思うな」
「普通って、別にメグミとも友達だから二時間話してもおかしくないだろ?」
「絶対におかしい!兄貴、二股かけてない?」
「ないない、メグミとはそんな関係じゃないって」
「そうかなあ、絶対に、兄貴は真理子ちゃんと話しているよりもメグミちゃんと話している方が楽しそうだと思うけどなあ・・・」
「人の電話を盗み聞きするな、こら!キミの気のせいだよ、気のせい」
「ま、いいや。そうそう、そういう話ではなくって、直子がね、相談があるって言ってたよ。進路の話とかいろいろ。電話かけてやってよ」
「了解。明日にでも電話かけるよ」
「兄貴、直子に手を出しちゃダメだよ」
「あのね、ぼくはアラレちゃんみたいな子に手を出したりしません。ありゃあ、まだまだ子供じゃないか?」
「大人になったら手を出すってことなの?」
「あのね、そういう話ではなくって、キミの同級生に手なんか出しませんとも」
「どうでもいいや、じゃ、電話かけるのよ、明日」
「ハイハイ、了解しましたよ」
ぼくは木曜日にメグミに電話をかけた。メグミに電話をかける前に真理子から電話がかかってきた。土曜日、暇?というので、ホテルのバイトで金曜日の夜から土曜日まで泊まり込みなんだ、と断った。日曜日、真理子、暇?と訊いて、暇だと言うので、日曜日にデートしようということになった。そのあとの電話で、メグミが言うには、「さっき、真理子から電話があって、土曜日、暇?って訊かれたから、ちょっと土曜日はね・・・って答えたんだけど。明彦が遊んでくれないってこぼしてたよ」
「だから、日曜日に会おうって言ったんだよ」
「ふ~ん、金土はメグミを優先してくれたんだ?」
「だって、メグミが先約だからね」
「先約だからって理由だけなの?」
「だって、真理子とは先週もずっと会ってるけど、メグミとは久しぶりでしょ?」
「じつは、私も彼氏が土曜日暇か?っていうので、断っちゃったんだよ」
「おあいこじゃないか?」
「先約ですからね、明彦の方が」
「じゃあ、ぼくに文句を言うのはやめなさい」
「でもさぁ~・・・」とまた二時間話し込んでしまった。
二階にあがっていくと、妹がおいでおいでをする。「なに?」「ほらね、真理子ちゃんとは三十分で、メグミちゃんとは二時間じゃないか?」
「また、盗み聞きをする!」
「怪しいなあ・・・」
「ぼくの私生活に口出しするんじゃありません」
「ハイハイ。でも、怪しいなあ・・・」
「お休み!」
「怪しい・・・あ!直子に電話してくれてありがと。直子がよろしくってさ」
「ああ、お悩みのご様子でしたよ。来週、会って話そうと言っておいた」
「直子に兄貴は手が早いから気をつけるようにって言ったんだ」
「また、余計なことを」
「直子、真っ赤になってたよ」
「アラレちゃんはウブなんだよ、キミと違って。からかうもんじゃないよ」
「ま、いいや。来週、よろしくね。どこ行くの?」
「どこも行かないよ。駅前の喫茶店」
「なぁ~んだ、デートに連れて行くんじゃないんだ?」
「手を出すなと言ったり、デートに連れ出せと言ったり。まったく、相談事だからね、あくまで」
「ハイハイ、わかりました。よろしくお願いします」
「お休み!」
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