33 / 35
加藤恵美・真理子編
第9話 メグミと 7
しおりを挟む
「真理子が一昨日言ったのはそういうこと」
「ウソ?」
「ホントだって。真理子は、『私、しばらく、男の子とはつき合わない。メグは、顔を見ると辛いから、話さない、会わない。絶交というのじゃなくて、辛いから私に話しかけない、私を見たら逃げてって。私もメグを見たら逃げるからって。何年か経って、そういう感覚が薄れたら、また会いましょ』と、こうメグミにぼくから言ってくれと言ったんだ」と、ぼくは言った。「そうそう、それから、『コンペティションじゃないけど、私、メグと張り合うって思ったけど、撤回、メグに明彦はゆずるわ』と、真理子は言ったんだ。真理子はぼくとは絶交するだそうだ。真理子にビンタされたよ」
「まさか?」
「だって、真理子がそういったんだから」
「それで、明彦、明彦はどうするの?」
「メグミ、ぼくは真理子から絶交されたんだから、もうぼくから真理子とは会えないということ。あとは、メグミがぼくをどうするか?それだけの話だよ」
「信じられない!」
「信じるとか、信じないとか、それは知らないけど、そうなの」
「じゃあ、メグミ、明彦と平日だろうと週末だろうと、しよ!と言うといつでもできるようになったの?」
「あのね、メグミ、この話は、ぼくと真理子、メグミと真理子の話であって、メグミと彼氏の話じゃないでしょ?」
「え?ああ、彼氏?あれ、もう先週、好きな人ができたから、バイバイって言っちゃたんだ」
「まさか?本当に?」
「メグミ、ウソ言わないもん」
「メグミ、ホントにそういうことをしちゃったの?」
「ハイ、メグミはそういたしました」
「だって、先週だろ?なぜ、先週なの?」
「だってさ、もう、こう喉の上まで、明彦がのぼってきて、彼といても意味がなくなったから、たまらなくなって、それでバイバイしたのよ。いけなかった?」
「これは・・・絶句するしかないな?」
「なんで絶句するの?一緒にいてもお互い意味がないんだから。そういう人と明彦は無理につき合えって言うの?」
「だってさ、10月にぼくはメグミを選ぶって言ったけど、今月までダラダラと来てしまって、ぼくは真理子との結論をださなかったじゃないか?それなのに、その前に、バイバイしちゃったの?」
「しょうがないでしょ?無理だったんだから・・・」
「わかった。わかりました」
「マリに悪いことしたな・・・」
「それはね、メグミ、ぼくだってそうだけど、5月以来、真理子をだましていたんだから、いまさら、真理子にああだ、こうだ、と言えないよ。言えないし、向こうも聞きたくないって、昨日言われた」
「明彦!」
「なんだよ?」
「明彦は、それでいいわけ?」
「それでいいって、真理子に対してか?」
「そ」
「だって、昨日も真理子に謝ろうとしたけど、聞きたくない、知りたくないと言ってました」
「私から・・・」
「言ったっていいけど、真理子が聞くかどうか知らないよ。それに、いまさら、何を言うの?何か釈明できることでもありますか?ホテルからお手々つないでぼくらは出てきたんだからね?」
「う~、どうしようもないか?」
「ハイ、どうしようもありません」
「じゃ、しょうがないね?キッパリとこの話は忘れよう!」
「おいおい、そんなにキッパリとできるの?」
「キッパリと忘れないと。そうするほか何ができるの?明彦?」
「じゃあ、キッパリとこの話はおしまい」
「それで、じゃあ、私たちは?」
「うしろめたいけど、しょうがないじゃないか?ぼくらは、え~っと、どうなんだ?どうしたいんだ?恋人なのか?」
「明彦とメグミは恋人なの?」
「どうも世間一般のそういう概念の恋人じゃあないと思うけど、でも、それに近い関係となるということなんだろうか?」
「それって、平日だろうと週末だろうと、しよ!と言うといつでもできる恋人ということだよね?」
「メグミ、メグミ、それは、世間一般のそういう概念の恋人に近い関係じゃないぞ。しよ!というのが先には来ないよ、普通」
「ちょっと、明彦、ゴメン、メグミ混乱していて自分で何を言っているのかわからない。考える」
「考えなよ。ぼくも考えるから」
「今日は会わないよ、今日は」
「ぼくが今日会いたい!って言いましたか?こんなことがあったのに?」
「言ってません!わかった・・・今日は、メグミ、寝る」
「そうしなさい」
「でも、明日、会ってくれる?」
「もちろん、いいよ」
「じゃ、明日はしよ!」
「・・・いいよ、メグミが明日回復できるんだったら、いつもの通りしましょ」
「うー、ダメだ、今日は。メグミ、寝ていい?」
「ぼくの承諾はいりません。寝なさい。じゃ、明日ね?」
「明日、どうするの?」
「明日は金曜日だけど?」
「あ!」
「こら!メグミ!また、よからぬことを思いついたな?」
「だって、明日、金曜日だもん。銀座、いこ?」
「わかりました、銀座に行きましょう」
「それでね・・・」
「わかったから、もう言わなくてよろしい。八丁目に行けばいいんだね?」
「そおそお」
「メグミ、ぼくは死んじゃうよ」
「こうなったら、明彦に死なれちゃ、メグミ困るもん」
「ハイハイ、お休み。じゃあね」
真理子の話に関してウソをつくのは苦しい。とはいえ、真理子が言ったことを言うわけにもいかないじゃないか?メグミも本心でキッパリ!などと言っているのかどうか、わからない。多少ハイテンションになるときは、逆に、落ち込んでいるのがメグミなのだ。
「ウソ?」
「ホントだって。真理子は、『私、しばらく、男の子とはつき合わない。メグは、顔を見ると辛いから、話さない、会わない。絶交というのじゃなくて、辛いから私に話しかけない、私を見たら逃げてって。私もメグを見たら逃げるからって。何年か経って、そういう感覚が薄れたら、また会いましょ』と、こうメグミにぼくから言ってくれと言ったんだ」と、ぼくは言った。「そうそう、それから、『コンペティションじゃないけど、私、メグと張り合うって思ったけど、撤回、メグに明彦はゆずるわ』と、真理子は言ったんだ。真理子はぼくとは絶交するだそうだ。真理子にビンタされたよ」
「まさか?」
「だって、真理子がそういったんだから」
「それで、明彦、明彦はどうするの?」
「メグミ、ぼくは真理子から絶交されたんだから、もうぼくから真理子とは会えないということ。あとは、メグミがぼくをどうするか?それだけの話だよ」
「信じられない!」
「信じるとか、信じないとか、それは知らないけど、そうなの」
「じゃあ、メグミ、明彦と平日だろうと週末だろうと、しよ!と言うといつでもできるようになったの?」
「あのね、メグミ、この話は、ぼくと真理子、メグミと真理子の話であって、メグミと彼氏の話じゃないでしょ?」
「え?ああ、彼氏?あれ、もう先週、好きな人ができたから、バイバイって言っちゃたんだ」
「まさか?本当に?」
「メグミ、ウソ言わないもん」
「メグミ、ホントにそういうことをしちゃったの?」
「ハイ、メグミはそういたしました」
「だって、先週だろ?なぜ、先週なの?」
「だってさ、もう、こう喉の上まで、明彦がのぼってきて、彼といても意味がなくなったから、たまらなくなって、それでバイバイしたのよ。いけなかった?」
「これは・・・絶句するしかないな?」
「なんで絶句するの?一緒にいてもお互い意味がないんだから。そういう人と明彦は無理につき合えって言うの?」
「だってさ、10月にぼくはメグミを選ぶって言ったけど、今月までダラダラと来てしまって、ぼくは真理子との結論をださなかったじゃないか?それなのに、その前に、バイバイしちゃったの?」
「しょうがないでしょ?無理だったんだから・・・」
「わかった。わかりました」
「マリに悪いことしたな・・・」
「それはね、メグミ、ぼくだってそうだけど、5月以来、真理子をだましていたんだから、いまさら、真理子にああだ、こうだ、と言えないよ。言えないし、向こうも聞きたくないって、昨日言われた」
「明彦!」
「なんだよ?」
「明彦は、それでいいわけ?」
「それでいいって、真理子に対してか?」
「そ」
「だって、昨日も真理子に謝ろうとしたけど、聞きたくない、知りたくないと言ってました」
「私から・・・」
「言ったっていいけど、真理子が聞くかどうか知らないよ。それに、いまさら、何を言うの?何か釈明できることでもありますか?ホテルからお手々つないでぼくらは出てきたんだからね?」
「う~、どうしようもないか?」
「ハイ、どうしようもありません」
「じゃ、しょうがないね?キッパリとこの話は忘れよう!」
「おいおい、そんなにキッパリとできるの?」
「キッパリと忘れないと。そうするほか何ができるの?明彦?」
「じゃあ、キッパリとこの話はおしまい」
「それで、じゃあ、私たちは?」
「うしろめたいけど、しょうがないじゃないか?ぼくらは、え~っと、どうなんだ?どうしたいんだ?恋人なのか?」
「明彦とメグミは恋人なの?」
「どうも世間一般のそういう概念の恋人じゃあないと思うけど、でも、それに近い関係となるということなんだろうか?」
「それって、平日だろうと週末だろうと、しよ!と言うといつでもできる恋人ということだよね?」
「メグミ、メグミ、それは、世間一般のそういう概念の恋人に近い関係じゃないぞ。しよ!というのが先には来ないよ、普通」
「ちょっと、明彦、ゴメン、メグミ混乱していて自分で何を言っているのかわからない。考える」
「考えなよ。ぼくも考えるから」
「今日は会わないよ、今日は」
「ぼくが今日会いたい!って言いましたか?こんなことがあったのに?」
「言ってません!わかった・・・今日は、メグミ、寝る」
「そうしなさい」
「でも、明日、会ってくれる?」
「もちろん、いいよ」
「じゃ、明日はしよ!」
「・・・いいよ、メグミが明日回復できるんだったら、いつもの通りしましょ」
「うー、ダメだ、今日は。メグミ、寝ていい?」
「ぼくの承諾はいりません。寝なさい。じゃ、明日ね?」
「明日、どうするの?」
「明日は金曜日だけど?」
「あ!」
「こら!メグミ!また、よからぬことを思いついたな?」
「だって、明日、金曜日だもん。銀座、いこ?」
「わかりました、銀座に行きましょう」
「それでね・・・」
「わかったから、もう言わなくてよろしい。八丁目に行けばいいんだね?」
「そおそお」
「メグミ、ぼくは死んじゃうよ」
「こうなったら、明彦に死なれちゃ、メグミ困るもん」
「ハイハイ、お休み。じゃあね」
真理子の話に関してウソをつくのは苦しい。とはいえ、真理子が言ったことを言うわけにもいかないじゃないか?メグミも本心でキッパリ!などと言っているのかどうか、わからない。多少ハイテンションになるときは、逆に、落ち込んでいるのがメグミなのだ。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる