【完結】石垣島のソーニャ准尉 (近未来戦記②)

✿モンテ✣クリスト✿

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第3章 イシガキ作戦、イシガキへ

第9話 石垣島、離島フェリーターミナル2

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使

「ほとんど積載していた物を積み下ろしまして、その確認作業です。それと・・・」
「それと?なんだ?アニータを口説きに来たか?子猫ちゃんだけじゃ足りないの?」

「ちょっと、二佐、お止め下さい!あのですね、昨日、二佐と少尉がドックにあるサーモバリック爆薬弾頭ロケット弾の話をされたということで、その話をしていたんですよ。地対地仕様のロケット弾で対空、対艦が可能かどうか?」

「ああ、あの話ね。面白いわね。広瀬はどう思うの?」
「検討の余地あり、です。ロケット弾内部の液体燃料の放出弁から蒸発した燃料が秒速二千メートルで噴出しますね。約マッハ6。それが着火されて蒸気雲爆発を起こします。信管を調整して航空機前方で起動させれば、このロケット弾だと燃料の蒸気雲の直径は500メートルになります。この範囲が爆風でおおわれ、次に爆縮する。信管が正常に作動するなら、いくらJ-20(殲20)がマッハ2で飛行していてもかわせるもんじゃありません。一発で撃墜可能です。命中させなくてもいいんですからね」
「ほほぉ、なるほど」

「それから、艦艇に対しても、艦上二百メートルに信管をセットすれば、航空機と同じく、艦艇は破損、乗組員は爆風と無酸素状態で、戦闘不能状態になります」
「うん、まあ、使えないけどねえ」
「大量破壊兵器扱いですからね。あくまで、理論上の話でありますが」
「想像するだけでおっかない兵器だ。ランチャーは24発装填だよね。連続発射しないで、単射すればかなりの数の艦艇、航空機が破壊、戦闘不能にできてしまうな・・・帰りの沖縄寄港時に防衛省装備庁に引き渡すんだろう?」

「ハイ!装備庁の沖縄分屯所でチェックされるそうです」とアニータ。
「それってさ、装備庁なら航空装備研究所管轄になりそうだ。航空装備研究所って、南禅と羽生がしゃしゃり出てくるような気がする。あんなオタクのキチガイにこれを扱わせるのか?」

「紺野二佐は、南禅二佐と羽生二佐と仲が悪いんですか?」と広瀬。
「仲が悪い?航空装備研究所のある立川とか北千住でいつも奴らと飲んでるよ。逆だよ、逆。あいつらがお茶目するたびに、情報保全隊本部内で問題になるのを私が揉み消しているんだ。だから、奴らにこんな燃料気化爆弾みたいなオモチャを渡すと、また揉み消さないといけない羽目になるから心配しているんだよ」
「なるほど」

「今度だって、どう誤魔化したのか、佐渡ヶ島に最高機密のレールガンを持ち出したろう?戦果があがったからいいが、これだって、情報保全隊本部内でまた審査だよ。アホのあいつらは、昇進もいらん、除隊させられたっていいとほざくが、あんなものを民間に放出したらどうなる?ロッキードやボーイングで大量破壊兵器を作るのがオチだよ。だから、防衛省はあいつらを抱え込まざるを得ないんだ」
「大変な人たちなんですね?」
「大変どころの話しじゃないよ」



「そうそう、ひらめいたんだけどね・・・アニータ、昨晩の話を広瀬にするよ」
「よろしいのでありますか?」
「広瀬の今回の任務にも関わることだ。オフレコで知っておいてもらおう」

 紺野は、石垣島を巡る人民解放軍のモグラ(スパイ)、左派系の破防法違反くずれの中国シンパの話をした。それで、アニータとスヴェトラーナが発見した中国製69式40mm対戦車ロケットランチャーの話も。

「紺野二佐、その状況は大変緊迫しているとしか申せません」と広瀬。
「そうなんだ。それでね、二人に相談なんだが、ペレスヴェートとオスリャービャの佐渡ヶ島帰港を二週間ほど延ばすのはどうかと思ってね。アニータとスヴェトラーナの部下、40名がいれば心強いと私は思う」
「確かに、アニータとスヴェトラーナ両少尉とその部隊がいれば、いろいろな隠密行動もできるでしょうね?」と広瀬。
「キミの子猫ちゃんも残るしね?」
「それは・・・私的な話でありまして・・・でも、そんなことが可能でしょうか?」
「私が情報保全隊本部から統合幕僚監部に申し入れさせる。同時に、エレーナ少佐に言って、東ロシア共和国、東部軍管区に根回しさせれば、大丈夫と思う」

 アニータが「スヴェトラーナにもこの話をしてよろしいですか?」と紺野に聞いた。「もちろん、スヴェトラーナにも知っておいてもらわないと困る」と紺野。
 
「それで、続きがあって、公安警察の富田が、中国人のモグラ(スパイ)と日本人の中国シンパの接触場所のバーを探り当てたそうなんだ。沖縄の暴力団、沖縄旭琉会系が経営するバーらしい。そこに、我々の誰かが潜入して、諜報するのもありなんじゃないかと思ってね」

「それは、私とスヴェトラーナの仕事ですわね?」とアニータ。
「ダメだね。アニータとスヴェトラーナじゃあ、臭いがプンプンするよ。奴らは、同じ世界の人間の臭いに敏感だ。私も同じく」
「じゃあ、誰が?」
「考えたんだけどね、アニータ、君らの部隊でとびっきりの無邪気な人間がいるだろう?子猫ちゃんが?」
「あ!それ、ダメです!私が許しません!」と広瀬。
「キミ、ソーニャはまだ東ロシア共和国軍所属、貴官の指揮系統じゃない」
「そ、それは・・・」
「それと、アニータ、さっき岸壁で会ったんだが、カテリーナ伍長ってどう?」
「ハ?カテリーナ伍長でありますか?彼女は非常に優秀な兵士でして、18才ですが、近い将来、下士官に推薦しようと思っております。ですが・・・」
「ソーニャもカテリーナも優秀、自分の身は自分で守れる。しかも、カテリーナもそうだと感じたが、とびっきり無邪気で、中国の奴らに警戒感を持たれないよね?お二人さん、どう思う?」

 考え込んでいたアニータが「確かに、私とスヴェトラーナでは、意識したとしても相手が警戒するでしょう。でも、ソーニャ准尉、カテリーナ伍長に確認して、本人の了解をもらいたいのですが」
 
「アニータ、ちょっと待って!俺の了解はどうなる?」と広瀬。
「広瀬ちゃん、ソーニャ本人が受ける、っていったらどうなのさ?」
「・・・」
「じゃあ、この作戦、検討の余地があるってことで、決定ね!」
「・・・俺は承服できません!」
「まあまあ、内閣情報調査室持ちで、また豪華リゾートホテルに招待してあげるから。ね?アニータ、ソーニャをまた非番にしてあげてちょうだい!広瀬ちゃん、ごねちゃダメだよ。何なら、首相から防衛大臣に言ってもらって、あんたを臨時で私の指揮下においてもいいんだよ?」
「紺野二佐、あなた、悪魔だ」
「諜報担当だもん」
「南禅さんは無邪気です」
「そうよ、南禅、ソーニャ、カテリーナは無邪気。私、アニータ、スヴェトラーナは違う。聞くところによると、アナスタシア少尉も私の同族ね。アデルマン大尉は無邪気なんじゃない?女は幾種類もあるのよ。おわかり?」
「・・・」
「・・・エレーナ少佐はわかんないなあ。どのカテゴリーにも入らない・・・」
「紺野二佐、少佐は、天使と悪魔、両方兼ねておられますので」とアニータ。
「エレーナ少佐に直に会ってみたいわねえ。でも、佐渡と石垣島じゃ機会はないけど・・・じゃあ、善は急げだ。アニータ、ソーニャとカテリーナを呼び出してちょうだい」

 艦内放送で、アニータは二人を呼び出した。ひと通り、アニータはソーニャとカテリーナに状況説明を行い、任務概要を知らせた。
 
「准尉、伍長、この任務は任意である、両名の承諾がなければ、小官はキミらに下命しない。どうだ?」
「ハ!お受けいたします!」と即座にソーニャ。広瀬が「ソーニャ、危ないよ。暴力団経営のバーに行くんだよ?」と言うと「広瀬二尉、軍の命令であります。任意ですが、小官を信頼されての指示、お受けいたします!」と一人前に扱われてうれしい彼女はニコニコして言った。

 自衛隊の営繕事務職だとばかり思っていた紺野が、諜報担当のスパイと知らされてビックリしていたカテリーナも「小官も准尉と同様、お受けいたします!」とアニータに敬礼した。
 
「ソーニャ・・・」と広瀬。
「あなた、私だって非番ばかりでイヤなんです。今度は任務!面白そうじゃないですか?ソーニャ、頑張ります!」と准尉。

「広瀬、そういうことだ。大丈夫だよ。富田と私、アニータ、スヴェトラーナがバックアップするから。なんていっても、キミの任地の治安に関する重要なことだよ。諦めなさい。さて、お二人」とソーニャとカテリーナに言う。
「ハ!」
「買い物に行こう」
「ハイ?」
「どうせ、キミら、両少尉のような黒のレオタードは持っていまい?市内のスポーツショップとアパレルショップに行って、今回の任務に必要な服を買いに行くんだ」
「りょ、了解であります!」
「私服に着替えて、10分後にここにもどってくるように」
「ハイ!」

 あ!頭痛いのに、10分後なんて言っちゃった・・・「アニータ、コーヒーくれない?とっても濃いエスプレッソを」
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