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始まりの章
幸福な目覚め2
しおりを挟む改めて、俺というキャラクターを思い出そう。
どんなキャラで、何ができて、今後何が起こるのか。
名前はシヤン・アンラジェ、現在7才。
ゲームの中では、確か25歳で彼とは7才、ヒロインとは9才年が離れていた。
身長182cm、銀髪のウルフヘア、灰色の瞳。右目に泣きぼくろ、甘いマスクで常に微笑を浮かべているが、人を殺す事に躊躇いがない。
王陛下の侍従兼側近で隠し攻略キャラ。裏では王国暗部の長を勤めていた強キャラ。
ルートの入り方は4人の攻略後ランダムで王都内に初エンカウント。その後は王宮や王都内でエンカウントし、好感度上げ。他攻略キャラ全員の好感度をピッタリと中央値にし、シヤンの好感度を中央値以上、彼(王陛下)からの好感度をマイナスにして後半まで行くと確定ルートのシナリオに入る。
夜の王都、路地裏にてヒロインはシヤンが暗部の仕事をしている最中に遭遇する。反逆者の拷問、殺害場面だ。
シヤンは目撃したヒロインを殺そうとするが、好感度が中央値以上であれば拷問されていた相手の反撃からシヤンを庇うという選択行動ができ、ヒロインが誤って相手を殺してしまう。
初めて人を殺してしまったヒロインに、微笑みながら『あぁ、貴女もこちら側に存在しているのですね……。私の為にありがとうございます』と言って、シヤンはヒロインの背後に周り、小ぶりのナイフを握らせる。ヒロインの手をナイフごと握り締め、そのままもう1人残っていた虫の息の反逆者の喉仏に突き刺す。絶叫する反逆者とヒロイン。それを抜き、次はナイフで動脈を切り裂き、血飛沫がヒロインの顔と、画面を斑に紅く染める。
『もっと、貴女を好きになれそうです』
その後アンラジェ邸宅に連行されて手とり足とり反逆者を共に拷問させられた末、ヒロインの精神は崩壊。そして精神崩壊したまま共通ルートの断罪へと移行する。シヤンのルートだけヒロインの瞳からハイライトが消えるのだ。
シヤンは自分の為に人を殺してくれる(正確には強制的に殺させるんだが)ヒロインに愛情を抱き、恋愛シナリオの方向としては共依存の関係になる。
シヤンルートはまずエンカウント難易度が高い&グロい為攻略を進める人は少数だった。乙女ゲームということで、グロ耐性のない女性プレイヤーが多かった事も理由に上がる。
またシヤンだけの好感度上げが非常に困難なのだ。シヤン以外の攻略者は会うだけで好感度が上がってしまい、中央値に持っていくのが難しく、シヤンは会話選択以外で好感度が上がらない。
システム上、キャラの好感度値が数値ではっきりと出ない為、中央値に見えて中央値じゃない事も多々ありルート分岐が難しいのだ。
また、中央値以上が分岐の絶対条件の1つだが好感度を高値にしてしまうと『これ以上貴女を知りたくない』とルート後に殺されてしまい、アンラジェ邸宅のシヤン自室にて剥製にされてしまうのだ。言わずもがな低値は選択行動が起こせない為路地裏シーンにて殺される。
とにかく時間がかかり、運でしか攻略できないキャラだった。
さて、今の俺は7才でまだ暗部との関わりは少ない。
武術等はまだ父や師範に習っている最中でゲーム時よりも格段に弱い。
今後俺は彼が死なない様に、ヒロインの全ルートを潰しつつ、彼を撫でて抱き締めて甘やかして行かないといけない。
やることは山積みだと、俺は口角を上げて行動を開始した。
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