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プロローグ又は共通ルート
前世
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今までの人生で一番嬉しかった時はいつか?
その答えは人によってさまざまだろう。テストで満点を取った時、百メートル走で一着だった時、厳しい上司に認められた時。あるいはそこまで行かなくとも、料理を美味しく作れた時とか、誕生日に大きなテディベアをもらった時とか、そういう答えも在り得るだろう。
え、私? 私は何が嬉しかったか?
ううん、そうだな。迷うけど……やっぱり一番はあれかな。そう、難易度鬼の乙女ゲームで、全てのエンドとスチルを回収しないとたどり着けない隠しキャラのトゥルーエンドを見れた時かな!
私は重度の乙女ゲーマーだった。
乙女ゲームに出会った頃のことを思い返す。おそらく中学二年、私の中で空前の漫画ブームが来ていた頃だったと思う。当時の私は毎日夜をふかして漫画を読んでいた覚えがある。種類は少女漫画から青年漫画まで、ジャンル問わず本当になんでも。
そんなある日、私は主人公の女の子は同じなのに、巻によって相手の男性が違う、恋愛漫画? のようなものを読んだ。
「……コミカライズ? って書いてあるけど……なんだろう」
それが出会いだった。
人気のある乙女ゲームには度々、コミック版が登場する。私が読んだものはその一つで……当時一世を風靡したヤンデレ系乙女ゲームのシナリオを、攻略対象ごとにコミカライズしたものだったのである。これを機に、私は乙女ゲームにはまり込んだ。
「すごい、私が結末を選べるんだ……!」
私は嬉しくてたまらなかった。
ただ、一つ誤算だったのは、私がはまりだした頃の乙女ゲームは、巷でカウンセリングゲームと呼ばれるようなものが大半だったことであった。カウンセリングゲーム。つまりヒロインが闇を抱えた攻略対象の心を救いながら恋愛をしていくのである。それの何が問題なのかって?
恋愛観が歪んだのだ。
それからの私は凄かった。恋愛するたびにヤバい男に当たるのだ。友人からはセンサー扱いされた。そして五人目の彼氏が酒で人格が変わるギャンブラーだった時、私はついに悟った。
現実とゲームは別物である。
当たり前だと思うだろうか? その当たり前ができていなかったのが私だ。そういうやつもいるということ、良く知っておいてほしい。いや、やはり知らなくて良い。
ともかくついに二次元と三次元の区別がつくようになった私は五人目の彼氏と関係を切り、そこから癒しはゲームの中だけに済ませ、ストイックに仕事一本で生きた。極端だとお思いか。しかし私の男を見る目は今まで通り無いままだったので、これは仕方のないことだったのである。悲しいとか言わないでくれ。
そして社会人五年目となった早春の未明、事件は起こった。私はその前日まで三連休で、全く家の外に出ることなく新作乙女ゲームをプレイしていた。
「……君のそばにいると、なんだか血に染まった僕の手が綺麗になったように思えるよ。ねえ、一生隣にいてくれますか?」
「__やった~~~! トゥルーエンド! もちろん返事は喜んでだよ、私が幸せにするからね……!」
私は喜びのダンスを踊った。そう、数時間ほぼ座り続けていた足で。
ところで私の体育の成績は万年二だった。おっと、五段階じゃないぞ。もちろん十段階評価でだ。これが意味するところが分かるだろうか。
私は窓枠にぶつかり、そのまま開けていた窓をすり抜け、そして豪雪地帯だった家の周りにできていた、大きな水たまりへ落下した。もはやサイズは池。当然のごとく泳げない私はそのまま意識を失い__
目が覚めると、知らない肌触りのするベッドの中にいた。
その答えは人によってさまざまだろう。テストで満点を取った時、百メートル走で一着だった時、厳しい上司に認められた時。あるいはそこまで行かなくとも、料理を美味しく作れた時とか、誕生日に大きなテディベアをもらった時とか、そういう答えも在り得るだろう。
え、私? 私は何が嬉しかったか?
ううん、そうだな。迷うけど……やっぱり一番はあれかな。そう、難易度鬼の乙女ゲームで、全てのエンドとスチルを回収しないとたどり着けない隠しキャラのトゥルーエンドを見れた時かな!
私は重度の乙女ゲーマーだった。
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「……コミカライズ? って書いてあるけど……なんだろう」
それが出会いだった。
人気のある乙女ゲームには度々、コミック版が登場する。私が読んだものはその一つで……当時一世を風靡したヤンデレ系乙女ゲームのシナリオを、攻略対象ごとにコミカライズしたものだったのである。これを機に、私は乙女ゲームにはまり込んだ。
「すごい、私が結末を選べるんだ……!」
私は嬉しくてたまらなかった。
ただ、一つ誤算だったのは、私がはまりだした頃の乙女ゲームは、巷でカウンセリングゲームと呼ばれるようなものが大半だったことであった。カウンセリングゲーム。つまりヒロインが闇を抱えた攻略対象の心を救いながら恋愛をしていくのである。それの何が問題なのかって?
恋愛観が歪んだのだ。
それからの私は凄かった。恋愛するたびにヤバい男に当たるのだ。友人からはセンサー扱いされた。そして五人目の彼氏が酒で人格が変わるギャンブラーだった時、私はついに悟った。
現実とゲームは別物である。
当たり前だと思うだろうか? その当たり前ができていなかったのが私だ。そういうやつもいるということ、良く知っておいてほしい。いや、やはり知らなくて良い。
ともかくついに二次元と三次元の区別がつくようになった私は五人目の彼氏と関係を切り、そこから癒しはゲームの中だけに済ませ、ストイックに仕事一本で生きた。極端だとお思いか。しかし私の男を見る目は今まで通り無いままだったので、これは仕方のないことだったのである。悲しいとか言わないでくれ。
そして社会人五年目となった早春の未明、事件は起こった。私はその前日まで三連休で、全く家の外に出ることなく新作乙女ゲームをプレイしていた。
「……君のそばにいると、なんだか血に染まった僕の手が綺麗になったように思えるよ。ねえ、一生隣にいてくれますか?」
「__やった~~~! トゥルーエンド! もちろん返事は喜んでだよ、私が幸せにするからね……!」
私は喜びのダンスを踊った。そう、数時間ほぼ座り続けていた足で。
ところで私の体育の成績は万年二だった。おっと、五段階じゃないぞ。もちろん十段階評価でだ。これが意味するところが分かるだろうか。
私は窓枠にぶつかり、そのまま開けていた窓をすり抜け、そして豪雪地帯だった家の周りにできていた、大きな水たまりへ落下した。もはやサイズは池。当然のごとく泳げない私はそのまま意識を失い__
目が覚めると、知らない肌触りのするベッドの中にいた。
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