2 / 32
プロローグ又は共通ルート
前世
しおりを挟む
今までの人生で一番嬉しかった時はいつか?
その答えは人によってさまざまだろう。テストで満点を取った時、百メートル走で一着だった時、厳しい上司に認められた時。あるいはそこまで行かなくとも、料理を美味しく作れた時とか、誕生日に大きなテディベアをもらった時とか、そういう答えも在り得るだろう。
え、私? 私は何が嬉しかったか?
ううん、そうだな。迷うけど……やっぱり一番はあれかな。そう、難易度鬼の乙女ゲームで、全てのエンドとスチルを回収しないとたどり着けない隠しキャラのトゥルーエンドを見れた時かな!
私は重度の乙女ゲーマーだった。
乙女ゲームに出会った頃のことを思い返す。おそらく中学二年、私の中で空前の漫画ブームが来ていた頃だったと思う。当時の私は毎日夜をふかして漫画を読んでいた覚えがある。種類は少女漫画から青年漫画まで、ジャンル問わず本当になんでも。
そんなある日、私は主人公の女の子は同じなのに、巻によって相手の男性が違う、恋愛漫画? のようなものを読んだ。
「……コミカライズ? って書いてあるけど……なんだろう」
それが出会いだった。
人気のある乙女ゲームには度々、コミック版が登場する。私が読んだものはその一つで……当時一世を風靡したヤンデレ系乙女ゲームのシナリオを、攻略対象ごとにコミカライズしたものだったのである。これを機に、私は乙女ゲームにはまり込んだ。
「すごい、私が結末を選べるんだ……!」
私は嬉しくてたまらなかった。
ただ、一つ誤算だったのは、私がはまりだした頃の乙女ゲームは、巷でカウンセリングゲームと呼ばれるようなものが大半だったことであった。カウンセリングゲーム。つまりヒロインが闇を抱えた攻略対象の心を救いながら恋愛をしていくのである。それの何が問題なのかって?
恋愛観が歪んだのだ。
それからの私は凄かった。恋愛するたびにヤバい男に当たるのだ。友人からはセンサー扱いされた。そして五人目の彼氏が酒で人格が変わるギャンブラーだった時、私はついに悟った。
現実とゲームは別物である。
当たり前だと思うだろうか? その当たり前ができていなかったのが私だ。そういうやつもいるということ、良く知っておいてほしい。いや、やはり知らなくて良い。
ともかくついに二次元と三次元の区別がつくようになった私は五人目の彼氏と関係を切り、そこから癒しはゲームの中だけに済ませ、ストイックに仕事一本で生きた。極端だとお思いか。しかし私の男を見る目は今まで通り無いままだったので、これは仕方のないことだったのである。悲しいとか言わないでくれ。
そして社会人五年目となった早春の未明、事件は起こった。私はその前日まで三連休で、全く家の外に出ることなく新作乙女ゲームをプレイしていた。
「……君のそばにいると、なんだか血に染まった僕の手が綺麗になったように思えるよ。ねえ、一生隣にいてくれますか?」
「__やった~~~! トゥルーエンド! もちろん返事は喜んでだよ、私が幸せにするからね……!」
私は喜びのダンスを踊った。そう、数時間ほぼ座り続けていた足で。
ところで私の体育の成績は万年二だった。おっと、五段階じゃないぞ。もちろん十段階評価でだ。これが意味するところが分かるだろうか。
私は窓枠にぶつかり、そのまま開けていた窓をすり抜け、そして豪雪地帯だった家の周りにできていた、大きな水たまりへ落下した。もはやサイズは池。当然のごとく泳げない私はそのまま意識を失い__
目が覚めると、知らない肌触りのするベッドの中にいた。
その答えは人によってさまざまだろう。テストで満点を取った時、百メートル走で一着だった時、厳しい上司に認められた時。あるいはそこまで行かなくとも、料理を美味しく作れた時とか、誕生日に大きなテディベアをもらった時とか、そういう答えも在り得るだろう。
え、私? 私は何が嬉しかったか?
ううん、そうだな。迷うけど……やっぱり一番はあれかな。そう、難易度鬼の乙女ゲームで、全てのエンドとスチルを回収しないとたどり着けない隠しキャラのトゥルーエンドを見れた時かな!
私は重度の乙女ゲーマーだった。
乙女ゲームに出会った頃のことを思い返す。おそらく中学二年、私の中で空前の漫画ブームが来ていた頃だったと思う。当時の私は毎日夜をふかして漫画を読んでいた覚えがある。種類は少女漫画から青年漫画まで、ジャンル問わず本当になんでも。
そんなある日、私は主人公の女の子は同じなのに、巻によって相手の男性が違う、恋愛漫画? のようなものを読んだ。
「……コミカライズ? って書いてあるけど……なんだろう」
それが出会いだった。
人気のある乙女ゲームには度々、コミック版が登場する。私が読んだものはその一つで……当時一世を風靡したヤンデレ系乙女ゲームのシナリオを、攻略対象ごとにコミカライズしたものだったのである。これを機に、私は乙女ゲームにはまり込んだ。
「すごい、私が結末を選べるんだ……!」
私は嬉しくてたまらなかった。
ただ、一つ誤算だったのは、私がはまりだした頃の乙女ゲームは、巷でカウンセリングゲームと呼ばれるようなものが大半だったことであった。カウンセリングゲーム。つまりヒロインが闇を抱えた攻略対象の心を救いながら恋愛をしていくのである。それの何が問題なのかって?
恋愛観が歪んだのだ。
それからの私は凄かった。恋愛するたびにヤバい男に当たるのだ。友人からはセンサー扱いされた。そして五人目の彼氏が酒で人格が変わるギャンブラーだった時、私はついに悟った。
現実とゲームは別物である。
当たり前だと思うだろうか? その当たり前ができていなかったのが私だ。そういうやつもいるということ、良く知っておいてほしい。いや、やはり知らなくて良い。
ともかくついに二次元と三次元の区別がつくようになった私は五人目の彼氏と関係を切り、そこから癒しはゲームの中だけに済ませ、ストイックに仕事一本で生きた。極端だとお思いか。しかし私の男を見る目は今まで通り無いままだったので、これは仕方のないことだったのである。悲しいとか言わないでくれ。
そして社会人五年目となった早春の未明、事件は起こった。私はその前日まで三連休で、全く家の外に出ることなく新作乙女ゲームをプレイしていた。
「……君のそばにいると、なんだか血に染まった僕の手が綺麗になったように思えるよ。ねえ、一生隣にいてくれますか?」
「__やった~~~! トゥルーエンド! もちろん返事は喜んでだよ、私が幸せにするからね……!」
私は喜びのダンスを踊った。そう、数時間ほぼ座り続けていた足で。
ところで私の体育の成績は万年二だった。おっと、五段階じゃないぞ。もちろん十段階評価でだ。これが意味するところが分かるだろうか。
私は窓枠にぶつかり、そのまま開けていた窓をすり抜け、そして豪雪地帯だった家の周りにできていた、大きな水たまりへ落下した。もはやサイズは池。当然のごとく泳げない私はそのまま意識を失い__
目が覚めると、知らない肌触りのするベッドの中にいた。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
黒騎士団の娼婦
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます
ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。
前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。
社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。
けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。
家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士――
五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。
遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。
異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。
女性希少世界で、自分の幸せを選べるようになるまでの逆ハーレム恋愛ファンタジー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる