rose of silver

春野いちご

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 銀の薔薇の指が僕のお尻の孔を押した。
 前から垂れた淫液も手伝って、彼の濡れた指がすんなりと中へと入ってしまう。
「あっ……そんなとこっ…」
 侵入を拒もうと力を入れると、きゅうと締まって彼の指をより強く感じた。
 怖くなって力を抜くと、襞をなぞるように奥へと進んできた。
「ひゃっ……あぁ……そこ…だめぇ…」
「ヒクついて、私の指を締めつけてきますよ」
 内襞の動きを口にされて、自分でも意識してしまう。
 ヒクヒクと疼いている後孔は指を感じて、喜んでいるようにも思える。
「んっ……怖いよぉ…」
 漏らした言葉に、銀の薔薇が顔を上げた。
 下から見上げられて、まともに眼が合った。
 紫の瞳が、ギルバート様を思い起こさせる。
「……ギルバート様」
 つい口に出してしまった名前に、銀の薔薇は揶揄うように笑った。
「私はギルバート様じゃないですよ。それとも、君はギルバート様にこんなことをされたいんですか?」
 問われて、想像してしまう。
 ギルバート様が僕を――
 駄目なのに、身体が反応してしまう。
「んっ…ちがっ……そうじゃ…ないっ」
「本当に? 君の大事な人はギルバート様じゃないんですか?」
 じわっと涙が溢れてきた。
 ギルバート様のことが大事だ。
 でも、それは不純な気持ちじゃない。
 ないはずなのに、どこかでギルバート様に愛されたいなんて不敬の念を抱いてしまう。
 違う。
 惑わされちゃ駄目だ。
「……大事です。……ギルバート様のこと、一番……誰よりも大事です。でも……そんな邪まな気持ちじゃ……あぁっ」
 指が内側の敏感な部分を押してくるから、強い性感に脳まで蕩けそうになる。
 一瞬、目の前が真っ白になって、腰がびくびくと痙攣した。
「…イクッ…」
 後ろを弄られただけで、射精してしまった。
 これも薬の効力なんだろうか。
 そうだと思いたい。
 お尻の孔を指で弄られて、射精しちゃうなんて……

「派手に飛ばしましたね」
 銀の薔薇の声に視線を移すと、彼の顔に僕が放った精液が垂れていた。
「あぁ、ごめんなさいっ」
 思わず謝ると、銀の薔薇がくすりと笑った。
 それから、立ち上がると僕に精液に濡れた顔を寄せた。
「舐めて綺麗にしてください」
 言われるままに、舌を出す。
 ぺろりと自分の精液を舐める。
「どんな味がしますか?」
「苦いです」
「そうですか。じゃあ、甘くしてあげましょう」
 そんなことができるのかと思っていると、いきなり唇を奪われた。
「んっ…んあぁ…」
 またキスされてしまった。
 でも、今度のは前のと全然違う。
 舌が潜り込んできて、僕の舌に絡みついてくる。
 くちゅと濡れた音を立てながら、執拗に舌を舐められた。
「んっ…ふうぅ……んんっ」
 深い部分にまで舌が潜り込んできて、唾液を流し込まれた。
 唇から喉に、とろりと甘い蜜のようなものが落ちていく。
 彼が言った通り、甘い。
 けれど、甘いだけじゃない快感を伴う毒を持っていた。
「んっ…はぁ…んんんっ…」
 ようやく唇を解放される。
 まだ銀の薔薇の舌が口の中に残っているような感触さえある。
 とろんと蕩けた眼で見つめると、彼は艶っぽく笑った。
「さあ、今度は自分でできますね」
 言われて、僕は回らない頭を巡らせる。
「ここ、自分で弄って見せてください」
 まだ入っていた指が、敏感な部分を擦り上げた。
「ひぃっ…ああぁっ」
 まだ残っていた精液が亀頭からどろっと零れてくる。
「薬のせいなのか、淫乱なのか……はたまた主人を想ってこうなったのか、いずれにせよ、まだ終わらないでしょう」
 ぐりっと襞を擦るようにして、銀の薔薇は僕のお尻から指を抜いた。
「ああっ……やあぁ…」
 ジンジンと疼きだけが残る。
 どうして後ろなんかが感じるのか、わからない。
 薬のせいだって思いたい。
 だけど、自分の指で弄るのはやっぱり躊躇われた。
「さあ、後ろに指を入れて、私が擦ってあげたところを自分で弄ってみてください」
 手首を掴まれて、股間に持っていかれる。
「んっ…でもぉ…」
「主人のためなんでしょう」
 そう言われて、僕は覚悟を決めるしかない。
「んっ…はあぁ…あぁっ」
 そろと指を窄まりに沿わせる。
 ユルユルと濡れた蕾を擦りながら、快感に堪える。
「入ってませんよ」
 股間を覗き込まれて、羞恥心に内股が震えた。
「あぁ……見ないで……」
「見てくださいでしょう」
 そうだった。
 この淫らな自分を見せることで、ギルバート様が助かるんだ。
「んっ…見て…」
 素直に応じて、僕は指をつぷっと孔の中へと入れた。
「ひっ……ああぁっ…んっ」
「気持ちのいいところを探してください」
 言われるままに、自分の指をグッグと中に入れて、あちこち弄ってみる。
「ああっ」
 びくんと腰が震える。
 さっき銀の薔薇にも触れられた部分は自分で触れてみても、強烈な快感が襲ってくる。
 こんなところを弄ってばかりいたら、気が狂ってしまいそう。
「そこをもっと擦ってください」
「んっ…はぁっ……怖い…っ」
 ユルユルと腰を振りながら、僕はそろりそろりと敏感な粘膜を指で擦った。
 自分の淫らな内襞の動きが、指から伝わってくる。
 グイグイと引き込むように蠢いたり、きゅっと締め上げたり、いやらしい動きに懊悩する。
「ふうっ…はぁんっ…」
 恥も外聞も捨て、僕はそこを弄るのに夢中になった。
 眼を閉じてしまえば、そこにいる人の存在も消えてしまう。
「駄目ですよ。眼を開けてください」
 耳元に囁かれて、驚いて眼を開ける。
 すぐ傍に端正な顔が迫ってきていて、抵抗する間もなく、唇が重なった。
 また舌を絡まされて、濃厚なキスをされる。
 ギルバート様……ギルバート様……
 相手がギルバート様だと想像すると、嫌でもなかった。
 どころかどんどん興奮してきた。
 こんなのは駄目なのに……
「んっ……はあぁ…」
「少しは上手になりましたね」
 それが意味することがキスなのだと、遅れて気づく。
「んっ…はあぁ…っ……もう…もう……」
 射精したばかりで敏感な身体は少しの刺激でも達しそうだった。
 初めて知った後孔での快感も、怖いくらいの刺激があって、僕は腰を震わせて最後の瞬間を待った。
「勝手にイッては駄目ですよ」
 いきなり手首を掴まれて、乱暴に指を抜かれた。
「あああぁっ」
 それだけの刺激で、精液混じりの先走りがどろっと溢れる。
 でも、完全にイケたわけじゃない。
 ユラユラと腰を振って、訴える。
「……もう……射精したい…」
 訴えると、銀の薔薇は口許に綺麗な笑みを浮かべた。
「君ばかりが満足しては駄目でしょう」
「ああぁ……でも……したら、ギルバート様を解放してくれるって…」
 銀の薔薇は静かに首を振った。
「私の言うことをきいたら……そう言ったんですよ」
 口許だけは優しく甘いのに、言葉には有無を言わせない強さがある。
 今、主導権を握っているのは確かに彼だ。
 今は従うしかない。
「んっ……わかりました」
 身体に渦巻く快感をなんとか抑えながら、僕は返事をした。
「いい子ですね。きっとご主人様も喜んでくれますよ」
 どういう意味だろうか。
 それを考える前に、銀の薔薇は次の命令をしてきた。
「じゃあ、今度は私の番です。私を気持ちよくさせてくださいね」
 彼はベッドに戻って腰かけると、僕のこを手招きした。
 感じすぎて敏感になっている身体をなんとか動かして、僕は椅子から降りた。
 ポタリと精液が床の絨毯に染みを作る。
「ああっ! 汚しちゃったぁ」
 慌てる僕を見て、銀の薔薇が笑った。
「きっと君の主人は怒るでしょうね」
 他人事だと思って、そんなことを言う。
 拭き取らなきゃと思ったけど、銀の薔薇に早くと急かされて、僕は掃除は後ですることにした。
「これからもっと汚れますよ」
 そんな風に言われて、どきっとした。
 まだ淫靡な行為は続くんだと……
「さあ、私の前に跪いて」
 言われるままに膝を折る。
「何をするのかわかっていますか」
 問われて、僕は首を振る。
「想像もつきませんか?」
 身体の奥の淫らな疼きに堪えながら、考える。
 目の前には銀の薔薇の足がある。
 足でも舐めろと言うんだろうか。
「……足を舐める」
 自信のない声で口にすると、くすっと笑われた。
「それもいいですね。でも、それはまた今度で構いませんよ」
 今度なんてないよ。
 絶対にない。
「君には私を慰めてもらいます」
 言って、彼は上着の釦を外し、脚衣の前を寛げた。
「やり方はわかりますか?」
 問われて、僕は首を振る。
「同じ男ならわかるでしょう。君の手と唇で、私を気持ちよくさせてくださいと言っているんですよ」
 銀の薔薇が、自身の性器を外へ出した。
 現れた肉棒は、大きくて長くて立派な大人のそれだった。
 他人のなんか見たことがなかった僕は、マジマジと見つめてしまう。
 自分のと比べてみようと視線を落とすと、銀の薔薇に髪を撫でられた。
「君のとは比べものにならないでしょう」
 なんだか馬鹿にされているようだ。
「さあ、始めてください」
 やんわりと頭を押されて、僕は彼の開いた足の間に顔を埋める。
 頬にぬるっとした感触が伝わる。
 生々しさにゴクリと喉を鳴らした。
「好きなだけ舐めてくださいね」
 なんて揶揄うように言われて、恥ずかしい。
 そんなんじゃないのに……
 でも、従うしかなかった。
 チロと先の方を舐めてみる。
 滑る液体が下に滲む。
 味はそれほど嫌なものでもなかった。
 さっき舐めさせられた自分の精液よりかは濃い味だけど、匂いとかはあまりなかったから我慢できた。
「んっ……んんっ…」
 ペロペロと陰茎を舐めていく。
 ひどく淫らな行為に、本来なら嫌悪感を抱かなきゃいけない。
 けど、薬で淫らになっている僕の身体は、こんな行為ですら、欲望の糧にして中心を疼かせてしまう。
「ふぅ……んんっ…」
 ちゅっと音を立てて、陰茎のあちこちにキスをしていく。
 やり方なんてわからなかったけど、強くなる性臭に興奮してきた。
 微かに薔薇の香りが混じっている。
 ギルバート様の使われている石鹸も薔薇の香りだった。
 同じじゃないのに、同じに思える。
 どうかしちゃったんじゃないか。
 それとも……そんなに僕はギルバート様に淫らな感情を持っていたんだろうか。
 違う……違う……そうじゃない。
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