166 / 189
第9章 魔界
第234話 次の目的地 その7
しおりを挟む
第234話 次の目的地 その7
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********
9人は先ほどまでいたパーティー会場に走って戻りました。
席について食事を再開する者、先に着替えを済ませる者、とりあえずおしゃべりをする者、と、様々でした。
リーフ「あ、ねえ、グシオンさん」
グシオン「何かね?」
リーフ「グシオンさんはさ、私たちがこの魔界の入口に来た時に、声かけてくれたじゃん?あれ、なんで?」
グシオン「言っただろう。暇だったんだよ。悪魔はこのムラサキハッカの生息域から出るのはリスキーだ。かと言って、こんなところに来てくれる生き物などそうはいない」
マリア「でも、ブラドの吸血鬼の一族みたいに、ちょっとずつ血を薄めていって、外に出た悪魔もいたんですよね?」
グシオン「そうだな。確かに、そういうことができないわけではない。ただ、私たちはそういう選択をしなかったから、今もここにいるわけだ」
マリン「出たいとか、思わないの?」
グシオン「どうだろうな。たまにそういうことを思うことはあるが、そういうときはムラサキハッカを抜き取って持ち出したりする。そうすれば少なくとも枯れるまでは、外を歩き回れるからな」
ローズ「ちょっと待って!じゃあさ、魔界でも香油に加工しちゃえばいいんじゃない?それならここから持っていって長い間持ち歩けるよ!」
ジャンヌ「ンー!ホーフ!ホヘハイホウ!」
ブラド「食べ終わってからにしいや」
フィスト「『ローズ!それ最高!』って言ってるのね」
サリー「確かに……もし香油でも悪魔さんたちが香油を活用できたら、地上で誤解されることがなくなるかも……」
ビフロンス「俺はいらんがね。ここの墓場にいるのが性に合ってる」
キャッツ「えー!そうなの!?たまには外に来てよ!」
グシオン「私たちが香油を精製できるようになれば、そういう選択肢も生まれる、ということだな……今は必要ないと思っている悪魔も、使いたくなったら使えばいい」
フィスト「そういうことね」
サリー「じゃ、じゃあ、香油にする方法をちゃんと勉強して、またここに来ますね」
グシオン「楽しみにしているよ」
ビフロンス「おう。俺もだ」
ブラド「なんや。香油が楽しみなんやん」
ビフロンス「香油じゃない。お前さんたちに、もう一度会えるのが、楽しみなんだよ」
グシオン「うん……世界をひとつにするという、とてつもなく大きな仕事を終えた君たちに再開するのは、この上ない喜びだよ」
ブラド「……ありがとう!」
ビフロンス「さて、それじゃ、もう準備いいかい?」
9人が食事と着替えを終えて話していたので、ビフロンスが声をかけました。
ジャンヌ「うん!いいよね?みんな」
「「「「はーい!」」」」
ブラド「グシオンさん、ビフロンスさん、スケルトンさんたちも……ありがとう!」
2人の悪魔は微笑むだけで返事をしました。
スケルトンたちは表情を変えることができないので、手を振って応えました。
サリー「……じゃあ、いい?」
ジャンヌ「うん。お願い」
サリーはジャンヌの返事を聞くと、目を閉じ、集中しはじめました。
誰も言葉を発しません。
サリーのキューブが強く光りはじめました。
そしてその光の源である光の球体が、キューブから出てきました。
サリー「みんな……手をつないで」
8人は慌てて手をつなぎます。
ジャンヌとリーフが、サリーの両手を持ち、9人で円になりました。
サリー「旅立ちの塔……あった」
サリーがそうつぶやくと、9人の体は強い光に包まれ、直後、光とともに体ごと消えていました。
グシオン「……行ったか」
ビフロンス「行きましたね。これで世界がひとつになるんですね」
グシオン「なるにはなる、がな……」
ビフロンス「やっぱり、旦那なにか知ってますね。さすが、すべての知識に通じる悪魔だ」
グシオン「……知っているだけでは何もできんさ。どうするか、選ぶのは彼女たちだ」
静けさが風のように吹きわたりました。
9人の少女はほぼ同時に目を開けました。
風が吹き抜け、9人の髪や服を揺らします。
**********
ジャンヌ:騎士団長
フィスト:近衛兵長
サリー:魔法使い
マリン:海の冒険者
ブラド:吸血鬼の姫
ローズ:貴族令嬢
キャッツ:トレジャーハンター
マリア:シスター
リーフ:エルフ
**********
9人は先ほどまでいたパーティー会場に走って戻りました。
席について食事を再開する者、先に着替えを済ませる者、とりあえずおしゃべりをする者、と、様々でした。
リーフ「あ、ねえ、グシオンさん」
グシオン「何かね?」
リーフ「グシオンさんはさ、私たちがこの魔界の入口に来た時に、声かけてくれたじゃん?あれ、なんで?」
グシオン「言っただろう。暇だったんだよ。悪魔はこのムラサキハッカの生息域から出るのはリスキーだ。かと言って、こんなところに来てくれる生き物などそうはいない」
マリア「でも、ブラドの吸血鬼の一族みたいに、ちょっとずつ血を薄めていって、外に出た悪魔もいたんですよね?」
グシオン「そうだな。確かに、そういうことができないわけではない。ただ、私たちはそういう選択をしなかったから、今もここにいるわけだ」
マリン「出たいとか、思わないの?」
グシオン「どうだろうな。たまにそういうことを思うことはあるが、そういうときはムラサキハッカを抜き取って持ち出したりする。そうすれば少なくとも枯れるまでは、外を歩き回れるからな」
ローズ「ちょっと待って!じゃあさ、魔界でも香油に加工しちゃえばいいんじゃない?それならここから持っていって長い間持ち歩けるよ!」
ジャンヌ「ンー!ホーフ!ホヘハイホウ!」
ブラド「食べ終わってからにしいや」
フィスト「『ローズ!それ最高!』って言ってるのね」
サリー「確かに……もし香油でも悪魔さんたちが香油を活用できたら、地上で誤解されることがなくなるかも……」
ビフロンス「俺はいらんがね。ここの墓場にいるのが性に合ってる」
キャッツ「えー!そうなの!?たまには外に来てよ!」
グシオン「私たちが香油を精製できるようになれば、そういう選択肢も生まれる、ということだな……今は必要ないと思っている悪魔も、使いたくなったら使えばいい」
フィスト「そういうことね」
サリー「じゃ、じゃあ、香油にする方法をちゃんと勉強して、またここに来ますね」
グシオン「楽しみにしているよ」
ビフロンス「おう。俺もだ」
ブラド「なんや。香油が楽しみなんやん」
ビフロンス「香油じゃない。お前さんたちに、もう一度会えるのが、楽しみなんだよ」
グシオン「うん……世界をひとつにするという、とてつもなく大きな仕事を終えた君たちに再開するのは、この上ない喜びだよ」
ブラド「……ありがとう!」
ビフロンス「さて、それじゃ、もう準備いいかい?」
9人が食事と着替えを終えて話していたので、ビフロンスが声をかけました。
ジャンヌ「うん!いいよね?みんな」
「「「「はーい!」」」」
ブラド「グシオンさん、ビフロンスさん、スケルトンさんたちも……ありがとう!」
2人の悪魔は微笑むだけで返事をしました。
スケルトンたちは表情を変えることができないので、手を振って応えました。
サリー「……じゃあ、いい?」
ジャンヌ「うん。お願い」
サリーはジャンヌの返事を聞くと、目を閉じ、集中しはじめました。
誰も言葉を発しません。
サリーのキューブが強く光りはじめました。
そしてその光の源である光の球体が、キューブから出てきました。
サリー「みんな……手をつないで」
8人は慌てて手をつなぎます。
ジャンヌとリーフが、サリーの両手を持ち、9人で円になりました。
サリー「旅立ちの塔……あった」
サリーがそうつぶやくと、9人の体は強い光に包まれ、直後、光とともに体ごと消えていました。
グシオン「……行ったか」
ビフロンス「行きましたね。これで世界がひとつになるんですね」
グシオン「なるにはなる、がな……」
ビフロンス「やっぱり、旦那なにか知ってますね。さすが、すべての知識に通じる悪魔だ」
グシオン「……知っているだけでは何もできんさ。どうするか、選ぶのは彼女たちだ」
静けさが風のように吹きわたりました。
9人の少女はほぼ同時に目を開けました。
風が吹き抜け、9人の髪や服を揺らします。
0
あなたにおすすめの小説
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる