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第五章 油断大敵

90.※不満をぶつけてみた Side.ディオ

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断じて酔ってはいないけど、酒の勢いという言葉があるように、いつもは隠す本音を今日はついつい口に出してしまっていた。

「ここ最近ずっとベッドで訳がわからなくなるくらい喘がされ続けたから、ベッド以外がいい」

(ルーセウスに飽きられたくない)

マンネリは敵だとよくロキ父様も言っていた。
好きな相手に対しては絶対に手を抜いてはいけない。
全力で夢中にさせ続ける。
それが絶対なんだって。
昔はピンとこなかったけど、今はすごくよくわかる。
毎日毎日相手任せに抱かれ続けたら、こっちは何もしてないのと同じだ。
いつ飽きられ捨てられても文句は言えない。

だから昨日騎乗位を提案してみたのに、ルーセウスにサラッと躱されいつも通り押し切られた。
ちゃんと騎乗位で可愛がったって言われても、そうじゃないのにと不満が募る。
俺は一方的に抱かれるんじゃなくて、ルーセウスとちゃんと愛し合いたいんだ。

今日は絶対流されない。
毅然とした態度で俺の要求を突きつける。
ベッドで勝てないならそれ以外の場所で勝負だ。

ルーセウスの余裕を奪って、自分のペースに持ち込みたい。
俺に飽きないように、翻弄して夢中にさせてやりたい。
理性を無くさせるのはどうしたらいいだろう?

ディアはよくルーセウスのことを脳筋脳筋と言うけど、ルーセウスはこう見えてすごく理性的だし、冷静に見るべきところは見ている。
判断も正確だし、実行力も高い。
それを崩すのはある意味至難の業。
抱き潰してくる時でもどこか余裕を残しているほどの徹底っぷりだ。

(取り敢えずいっぱい褒めつつ好き好きアピールをしてみよう)

俺のことが大好きって公言して憚らないルーセウスだし、狙って誘惑したらもしかしたら上手くいくかもしれない。
そう思って頑張ってみたけど、やっぱりルーセウスの方が大人だった。
そう簡単に理性は崩れない。

「ルーセウス…どうしたらもっと好きになってくれる?」

激しく口づけ、鍛えられた身体をゆっくりと撫で上げ官能を引き出しながら直球で聞いてみるけど、『これ以上好きにさせてどうする気だ?!俺はもういっぱいいっぱいだぞ?!』なんて言われてしまった。
まだまだ余裕があるくせに。

(もっと余裕をなくさせないと)

「ルーセウス。ルーセウスが好きな事、してあげたい。弱いところ、俺にだけ教えて?」
「うぅっ…」
「はだけたシャツからのぞく鎖骨も色っぽくて好き。腹筋も…綺麗に割れてカッコいい」
「ディオ。そろそろ俺を煽るのはやめろ。理性が飛ぶ」
「ルーセウスの理性を崩したい。いつも俺ばっかり理性を飛ばしてるのも不満だったから」

それに本当に思ってることを言ってるだけだから、責めるのはお門違いだ。

(やっぱり直接的に攻める方が効果があるかな?)

そう思ってフェラに移行してみた。
久し振りにルーセウスのモノを口にしてみたけど、やっぱり大きい。
全部は入らないから手でも扱きつつ喉奥へと引き込んだ。
グプグプと口をスライドさせつつ舌も絡めて弱いところを責め立てる。
頬を染め必死に耐えるルーセウスは明らかに余裕がない。

(やった!)

思わず喜びが込み上げてきて、ちょっと口元を緩めたのが悪かった。
ドプッと吐き出された白濁を少しだけ口で受け止めたと思ったら、そのまま屹立が口からこぼれ落ちて白濁が顔に飛び散ったのだ。

元気いっぱいのルーセウスの分身に愛おしさが込み上げてくる。

「ルーセウス。元気過ぎ」
「そう言いながらソコに頬擦りするなっ!」

ルーセウスが照れ隠しに叫ぶけど、愛おしくてしょうがないんだから別にいいじゃないか。

(わかってないな。ルーセウスは)

もっとそんな風に余裕をなくした姿を俺に見せてほしい。

そう思っていたらそのまま湯殿へと連れていかれ、全身泡だらけになったところで、後ろをほぐされバックでゆっくりと貫かれた。

「は…っ、あぁっ…!」
「ハァッ、ディオ。気持ちいい…」
「アッ、ルーセウスの、さっき出したのに、おっきい…っ」
「ディオが散々煽るからだっ!」

興奮したようなルーセウスの声が耳を擽って、嬉しくて全身が悦びに満ちていく。

「ディオ。今日は覚悟しろよ?煽った責任は取ってもらうからな?」

嬉しい。嬉しい。
俺の身体を愛撫する手はいつもより少し力が籠っているし、俺に向けられるその目もいつもよりギラリと光って見える。

「今日は荒々しく俺を抱くルーセウスが見たい」

夢中になって俺を抱いてほしい。
いつもは俺に見せないその姿を曝け出して見せてほしい。

「ルーセウス。好きに犯して?」

そうやって誘ったら、グイッと身体をひっくり返されて、両足を抱えられながら抱き上げられて、前立腺を狙うように何度も擦られ突かれ、その気持ち良さに喘がされた。
自分から抱き着いて好きなようにルーセウスへと口づけ、もっととねだる甘い時間。
ルーセウスに揺さぶられるのがたまらなく気持ちいい。
身体の奥がキュンキュンと疼いて早く早くと待ちかねている。

「ルーセウス…奥、恋しい。いっぱい、突かれたいっ」
「まだダメだっ」
「アッ、んっ!」
「今日は立位で思う存分ディオを可愛いがって、ベッド以外でも俺で満足できるようにしてやる」
「え?」

ちょっと狙いとは違ってきたような…?

「さっき、覚悟するようにって言ったよな?」

そう言って手早く泡を洗い流し、湯殿を後にすると、ルーセウスは色んな立位で、ゆっくり出し入れしながら大きさをしっかり身体で覚えこもうかって言ってきたり、腰を緩々動かしながら胸だけでイこうかって虐めてきたり、奥をツンツンと期待させるように突いてきたりとあの手この手で焦らしにかかった。
その都度期待させられては体位を変えられ、ねだっては躱されるの繰り返し。

「やぁ…ルーセウス。もう待てないっ。早くっ、早くぅ…」

感度が上がりきって、ピクピクと震える身体を持て余し、涙目でおねだりする俺。
そんな俺を見て、ルーセウスが待ってましたとばかりに片足を抱え上げ、腰を押し付けるように一気に奥を突き上げてきた。
欲しかったひと突きが与えられ、前を触っていないのにはしたなく達してしまう。
しかもそこから激しいピストンが始まって、悲鳴のような嬌声しか上げられなくなった。

気持ち良過ぎてたまらない。
ルーセウスがいつもより荒々しく自分を貪っているのが嬉し過ぎて、いつも以上に強く締め付けてしまう。

「あっ、ぁんっ!はぁんっ!ひぅうっ!」
「ディオっ、ディオっ、愛してるっ!」
「アッ、アッ、ダメッ、ダメッ!」

突かれる度に潮を噴き、身体の熱は高まるばかり。
イキっぱなしと言っても過言ではない。

「あっあっ、激しいのも、好きぃっ!」
「ディオッ!」

ルーセウスが相手ならなんでも気持ちいい。
そう思ったからそう言ったのだけど、そこから立ったまま結腸責めが始まって、多分完落ちさせられた。

多分というのは、勿論途中から覚えてないからだ。
すっごくすっごく気持ち良過ぎて、気づいたら朝だった。
おかしいな?

ちなみにベッドではしてないアピールなのか、身綺麗にされガウンを羽織らされた俺はベッドに。
ルーセウスはソファーで寝ていた。
そこまでしなくても一週間お預けなんてしないのに。

「ルーセウス…」
「ディオ。おはよう。よく眠れたか?」

いつも通りの優しいルーセウスの笑顔にちょっと申し訳ない気持ちになる。

「朝起きてルーセウスが隣に居なくて寂しかった。もうあんなこと言わないから、一緒に寝てほしい」

そっとルーセウスのガウンの袖を摘んで、自分が悪かったと謝ると何故かまた両手で顔を隠しつつ天を仰がれたけど、許してもらえるだろうか?

「ディオ。俺以外にそんな可愛いセリフ、絶対に言うなよ?」
「言わないよ」

そもそもルーセウス以外に俺を抱く相手なんていないんだから、言うはずがない。

「それと、不満は溜め込まずにちゃんと言うこと」
「うん。ゴメン」
「でも確かに俺がここに戻ってきてからずっと、俺ばっかりディオを可愛がってたなって気づいて反省はしてる。悪かった」
「え?」
「元々は昨日みたいにディオが誘って駆け引きしながら抱き合って、最終的に俺がディオをトロトロにする流れだっただろう?」

改めて言われると恥ずかしい。
でも確かにこれまではずっとそうだったなと思い出す。

「なのに次から次にディオの尻が狙われるから、ちょっとムキになってたかも」
「???」

意味がわからない。

「俺の尻なんて、誰も狙ってないと思うけど?」
「あー…。うん。わからないならわからないでいい。その代わり約束してくれ」
「何を?」
「ディオを可愛がれるのも、ディオの後ろに挿れられるのも俺だけだって」
「勿論そうだけど?」
「玩具も全部禁止だぞ?」

なるほど。
この間、俺がディルドを作るって言ったから嫉妬したのかも。

「フフッ。ディルドはルーセウスのを模したもので作るのに…」
「笑うな!俺のを模してても絶対禁止だ!後、酒も出来るだけ禁止だ!パーティーでもワイン二杯まで!それ以上は飲むな!」
「はいはい」

可愛い嫉妬だなと微笑ましく思いながらクスクス笑う。

「ルーセウス。そんなに嫉妬しなくてもいいだろう?」
「ディオは魅力的だから心配なんだ。本当に油断も隙もあったものじゃない」
「よくわからないけど…そんなに心配なら、結婚式の本番でもする?」
「え?」
「ガヴァムで双方の結婚式をするんだろう?多分誰かが言い出すと思うんだ。ガヴァムで式を挙げるのに、ガヴァム式で行われないのはおかしいって」

実は言い出しそうな大臣に数名心当たりはある。

「だから、もし言われたら俺達が式を挙げよう?」

ルーセウスがディアを抱くのを目の前で見たくはないし、逆もまた然り。
ルーセウスだって俺がヴィオレッタ王女を抱くのは見たくないと思うから。

「ディオ…」
「ダメ…かな?」

俺の中で、ミラルカの鉱山ホテルで挙げた式はあくまでも予行練習だったというのが本当のところだ。
あれでルーセウスとの婚姻が成立したのは有り難かったけど、本番もできればしてみたい。
ちゃんとした立会人の元で祝福されたい気持ちはあった。

だからそう言ったのだけど、ルーセウスは俺をギュッと抱きしめてはくれたけど特に何も言わなかった。
残念。

(まあ三つも式を挙げるなら時間的にも厳しいか)

こればっかりは仕方ない。

「じゃあ今日も仕事に励もうかな」

結婚式の準備を万全にするためにも、気持ちを切り替えて仕事を頑張ろう。

「ルーセウス。もし気が変わったら言ってくれ。俺はルーセウスとなら何度でも神に誓いたいから」

できれば、ちょっとくらいは考えてくれたら嬉しいんだけど。




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