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第五章 油断大敵

89.※嫁の誘惑

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部屋へと戻り、ドアをくぐるとすぐさまディオが俺に抱きつくようにしながらキスをしてきた。
いつになく積極的だ。

「ルーセウス」

熱を孕んだ瞳で見つめられながら、暗に早く欲しいと訴えられて股間が痛い。
今すぐ挿れたい。

「ディオ。今すぐ抱きたい。ディオが欲しい」

いつもならすぐに頷いてくれるし、今日は酒も入っている分もっと素直に受け入れてくれるはず。
そう思ったのに、ディオは開口一番『ダメ』と言ってきた。

「え?!」

(何故?!)

煽りまくられたのに、ここでお預けなんて酷い。
小悪魔に磨きがかかってるぞ?!

「今日はベッドではしない」
「ディオ。何か俺がやらかしたか?さっき酒を取り上げる形になったのがダメだったとか?」

もしそうなら飲み直したっていいぞと言ってみる。

「違う。飲み直しじゃなくてルーセウスに抱かれたい」
「え?」

でもさっきしないって言ってたんじゃ…?

「ここ最近ずっとベッドで訳がわからなくなるくらい喘がされ続けたから、ベッド以外がいい」

つまり、俺ばっかりディオを悦ばせたのが不満だった、と。

(そう言えば昨日、騎乗位で上に乗りたいってアピールしてたな)

結果的にちゃんと上に乗せたからいいかと思っていたけど、本質はそこではなかったらしい。
ディオは単純に騎乗位がしたかったわけじゃない。
一方的に愛されるんじゃなく、俺と愛し合いたかったんだ。
それに気づいた途端胸に熱いものが込み上げてきて、どうしようもないほどの愛おしさを持て余す羽目になった。
こんなに愛おしいのに、ベッドでそれを余すことなく伝えられないなんて、どんな拷問だ。

「ディオ。無理。ベッドでいっぱい愛し合いたい」
「嫌」
「ディオぉお…」
「今日は俺がフェラでルーセウスのを大きくして、色んな立位でルーセウスと繋がりたい。だからベッドには行かない」

ちょっと拗ねたようにプイッとそっぽを向く姿がまた可愛いんだが?!
多分本人的に『ここは譲らないぞ』って毅然とした態度を取ってるつもりなんだろうけど、可愛い我儘にしか見えない!
そもそもわざわざフェラなんてしなくても、もうとっくに勃ってるのに…!

「ディオ。それは明日にしないか?えっと…そう!閨指導本を読み直してちゃんと満足させるから」
「あれはルカ王子に貸し出し中なんだろう?」
「でもディオだって持ってるだろう?」
「持ってるけど貸さない。このまま実践がいい」

どうやら微塵も譲る気はない様子。
なんて小悪魔なんだ。
仕方がない。
取り敢えず繋がって、なし崩し的にベッドに連れていこう。
もうそれしかない。

「わかった。じゃあ…」
「最初に言っておくけど、前みたいに途中からベッドに移動はしないこと。したら一週間寝ないから」
「え?!」

それは酷い。
蛇の生殺しにも程がある。

「ルーセウスに飽きられたら嫌なんだ。もうディアに嫉妬したくない。ダメ…かな?」

ここで下手に出てのお願い?!
狡いぞディオ!
こんなの断れないじゃないか!

流石パーシバル相手に一歩も引かない交渉上手。
まさかそのスキルをここで発揮してくるなんて…。

本音はベッドでしたいけど、ここは我慢だ。
もうこうなったら立位の方も極めよう。
何事もポジティブに考えればいいんだ。

(……立位のいいところは、どこででも始められるところ、か?)

風呂場で繋がることもあるけど、あれは短い時間だ。
部屋に入ってすぐ繋がった時も割とすぐにベッドに移動してた。
一番長かったのは、それこそ予行練習と称してガヴァム式の結婚式で繋がった時くらいかもしれない。

「わかった。頑張る」

渋々ながらそう答えたら、パッと顔を輝かせたディオが嬉しそうに抱きついてきて、秘め事を教えるかのように告げてくる。

「予行練習で抱かれた時、安定感がすごくてびっくりしたんだ。俺とは全然違う普段から鍛えてる身体が頼もしくて、うっとりした」

(ふぐぅううっ!ここでそれを言うのか、ディオ!)

「ルーセウス。抱いて?」

(喜んでっっっ!)

単純?いや、こんなの誰だって勝てないと思う。
ディオは危険だ。
無自覚小悪魔だ。
逃げられないようガッチリ捕まえておかないと。

「じゃあディオ。ベッドには行かないから、このままいっぱい愛させてくれ」

逸る気持ちを抑えて精一杯の余裕を見せたものの、多分無理。
ここまで煽られたらきっと一回始めたら止まらない。
場所も体位も関係ない。
貪り尽くしたい。
絶対抱き潰す自信はある。

(大好きだ!!)

そして俺はディオにそのまま激しく口づけた。




互いの荒い息が部屋へと響く。
ディオは積極的に俺の身体を撫で回して、煽るように囁いてくるからタチが悪い。
これ以上俺を煽ってどうする気だ?!
理性を掻き集めて保つのも大変なんだぞ?!

「ディオ。そろそろ俺を煽るのはやめろ。理性が飛ぶ」
「ルーセウスの理性を崩したい。いつも俺ばっかり理性を飛ばしてるのも不満だったから」

(だから、そういうところが可愛い過ぎるんだっ!)

また拗ねながら言うし…!
もう今日は立位全部試す勢いで抱こう。
そうしよう。

後ろは準備万端。俺の指を甘くキュッと食い締めて、ねだるように物欲しげにヒクついている。

「ディオ。最初は前からがいいか?それとも後ろ?」

理性がまだ働いているうちに聞いておこう。
どうせディオもすぐに理性は飛ぶだろうし、今日くらい溺れあって獣のように交わるのもアリかもしれない。

「ん。じゃあ先に口でイかせてあげようかな?かなり辛そうだし」
「え?」

言うが早いかディオは俺の前に跪き、躊躇うことなく俺のモノを口に含んで竿を手で扱きながら美味しそうにしゃぶり始めた。
そして忘れそうになっていたが、ディオはフェラが上手い。
当然煽りに煽られた今の俺に我慢なんてできないわけで……。

「ディオ…っ」

元気いっぱいの俺の愚息はディオの口に出したばかりか途中でディオの口からブルンと勢いよく飛び出して、そのまま顔射するというとんでもない暴挙に。

「ルーセウス。元気過ぎ」
「そう言いながらソコに頬擦りするなっ!」

コクリと喉を鳴らして口に吐き出された子種を飲み込み、顔に白濁が飛び散った状態でそっと俺の逸物に頬を寄せ、愛おしそうに微笑むのはやめてくれ。
物凄くエロいし、途轍もなく目の毒だ。
当然だがそんな姿を見せられて、あっという間に俺の愚息は復活したぞ?

(俺の嫁が全力で俺を誘惑してくるっ!)

でも汚してしまった顔も綺麗にしてやりたくて、そのまま湯殿へ攫っていって、洗いながらバックで挿入してやった。
これでもうこれ以上俺を煽るのはできないだろう。

「は…っ、あぁっ…!」
「ハァッ、ディオ。気持ちいい…」
「アッ、ルーセウスの、さっき出したのに、おっきい…っ」
「ディオが散々煽るからだっ!」

グイッと顎を掴んで深く口づけ舌を引きずり出すように絡めて、そのまま強く吸ってやる。
そうしながら強めに突き上げたらビクビク震えて、胸の尖りがピンッと立った。

(感じてる)

自分だけが興奮しているんじゃない。
それがわかるから嬉しくなって、そのまま後ろからディオを抱き込むようにしつつ胸も可愛がり始めた。

(いっぱい身悶えさせてやる)

いつもと違い余裕があるディオをベッド以外でも堕とす。
それが今日の目標だ。

もし堕としきれなくても、せめて『ベッドで愛して』と言わせたい。

貪りたいが、欲しがるように焦らしたい。
そんな相反する思いが理性を繋ぎ止める。
さっき一回出したのも勿論大きいだろう。
心の余裕が全然違う。

「ディオ。今日は覚悟しろよ?煽った責任は取ってもらうからな?」

そう言った俺にディオは淫美に笑って、『今日は荒々しく俺を抱くルーセウスが見たい』と追い打ちをかけてきたのだった。


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