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【ガヴァムからの来客】

133.※ガヴァムからの来客⑯

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『セドがロキ陛下を泣かせたのか?』と俺は真っ先に聞いてみた。
でもセドはロキ陛下を慰めていたらしい。

それを聞いて俺はロキ陛下を輪から外したことを物凄く後悔した。
もしかしたらロキ陛下はカリン陛下が俺に剣を教わるのに夢中で自分を見てくれないことに落ち込んでいたかもしれない。
セドは俺が誰かと仲良くするとわかりやすく怒ってくるけど、人によっては邪魔しちゃ悪いと思って落ち込みながら譲るパターンだって十分考えられたのに。
それでセドがロキ陛下を慰めに行ったのなら俺にだって責任はある。

(せめてロキ陛下が輪から外れる時にカリン陛下を一緒に行かせてやればよかった)

カリン陛下の代わりに安心させていたってことはつまりはそういうことなんだろう。
ちょっと考えにくいけど、セドはロキ陛下を気に入っているし『大丈夫だ』と珍しく慰めたのだと思われる。

(しかも俺がここにいるのに、カリン陛下に連れていかれたロキ陛下を気にするかのように見送ってるし…!)

もうカリン陛下だって迎えに来たんだし、いつもみたいに我関せずと言った感じでこっちを見てくれたらいいのに。
どうしてそんなにロキ陛下を気にしてるんだ?

嫌だ、嫌だ、そんな感情がぐるぐると自分の中で渦を巻く。

(こっちを…見ろよ)

そんな思いで俺はセドへと声を掛けた。

「セド…」
「どうした?」

すぐに返ってくる返事。

「俺よりロキ陛下の方が気になったり…するのか?」
「いや?」

すぐに返ってくる否定。
それに安心する自分がいる。

「俺、ロキ陛下にお前を取られたくない」
「そうか」

あからさまに嫉妬から言葉が出たけど、それに対してセドは嬉しそうに笑ってくれた。
そしてそのまま俺を抱き上げて、部屋で沢山愛し合おうと言ってきた。
いつもなら鍛錬中の休憩に離脱するなんてしたくないと言っただろう。
でも今だけはセドの言葉に素直に従って部屋に帰っていっぱい愛して欲しかった。

素直に頷いた俺をセドは弾む足取りで部屋へと連れて行って、可愛いなと言いながら嬉しそうに組み敷いてくる。
ついでにセドが自分が喜ぶ言葉も覚えるかと訊いてきたから、これ幸いと俺は頷いておいた。
でも割と恥ずかしくて卑猥な言葉が多い気がして、何度も「騙してないか?!」って聞いてしまった気がする。

『舐めほぐしてグチュグチュにして』とか『胸だけでイキたいからもっと虐めて』とか、おかしくないか?!

これくらい普通だと言われたけど、本当か?

「ほら、試しにどれか言ってみろ」
「うぅ…やだ。全部恥ずかしい……」
「アル?練習だ。考えたくないなら俺に続けて言ってみろ」

楽しげに俺に言ってくるセドの後に俺は頑張って言葉を紡ぐ。

「『セドが欲しくてヒクつく俺の孔に』」
「セ、セドが欲しくてヒクつく孔に…」
「俺の孔に、だ」
「うぅぅ…。セドが…欲しくてヒクつく俺の孔に…」
「『大好きなぺニスを挿れて、沢山突いて奥までいっぱい可愛がって』」
「そんなの言えないっ…」
「アル?」
「ゆ、許して…」

恥ずかしいから無理と言うけど、『ロキなら笑って嬉しそうに言うと思うぞ』と言われて悔しくてなんとか言ってみることに。

「だ、大好きなセドを挿れて…」
「っ…、そこはそれでいい」

何か間違ったっけ?
まあいいって言ってくれたしいいのか?

(えっと、続きは何だったっけ?)

「沢山擦り上げて、奥までいっぱい気持ちよくして」

忘れたけど、こんなんだったよな?
あれ?突き上げてだったっけ?
そう思ったけど、何故かたまらんとばかりに嬉しそうにテンションが上がったセドにそのまま襲いかかられて、言葉通り滅茶苦茶気持ちよく犯された。
沢山擦りあげられるのも、奥を緩急つけて何度も突かれるのも凄く凄く気持ちよかった。
でもそんな自分が恥ずかしくて、それを誤魔化すように言葉をこぼしてたら更に「煽るな」と言いながら激しくされた。

「あっ!セドのおっきぃので擦られるの、ダメっ!」

「そこは良過ぎて熱くなるから嫌だっ!はっ、締めちゃうからっ…やめ、てっ!」

「そんなにされたら腰が立たなくなるから、セドに支えて欲しっいっ、ぁあっ!」

こんな感じでダメとか嫌とかやめてくれと言いつつ割と我儘も言ったんだけど、セド的にはOKだったらしい。
なんならもっと言っていいとか言って、妙に嬉しそうにされた。

「奥…ゆさゆさされたらセドの締めつけちゃうぅ…」
「アル…ここも大好きだろう?『沢山愛して』と言ってみろ」
「あ、セド。沢山愛して…っ。そこ…、気持ちい…から、セドにいっぱい可愛がられたいっ、ぁあン!」
「アル、アルフレッド…!子種が欲しいと言ってみろっ!」
「ふ、あっ!やぁ…セドの熱いの、注がれたら凄く気持ちい、からダメッ…!」

絶対ここで出して欲しいなんて言わないんだからな!
前に言った時に散々揶揄われたのを覚えてるんだぞ?!
それに、いくらなんでも簡単に言える言葉と言えない言葉があるんだ!
子種が欲しいなんてそんな事っ恥ずかしいだろ?!

「ぃやだ…も、体位変えて…。もっとセドと近いのがいい…」

正常位はキスできるから好きだけど、激しくする時離れられるのが寂しくて、もっと近いのがいいって言ったら抱き上げられて対面座位にしてくれた。
そこから沢山愛してもらった後、体位も今日はいっぱい変えて可愛がってやると言われて、焦らしながらセドの好きな体位を教えられた。
そんなに色んな体位でセドを覚えこんだら全部感じてダメになるって泣いてやめてと頼んだら、セドは俺だけのものだからいいんだと言ってきた。

「こうして教えてやるのは俺を独り占めしているお前にだけだ。お前だけの特権なのに、嫌なのか?」

どこか楽しげにそう言われて、俺は素直に嫌じゃないと答えて、気づけばセドにもっと教えてとねだっていた。

甘く囁き激しく愛して俺を貪るセドに沢山溺れながら、俺はセド一色に染め上げられて、終わる頃には嫉妬はまた綺麗に全部吹き飛んでいた。

「アルフレッド。良い顔になったな」
「セド…」
「俺が好きで好きで仕方がないというその顔が凄くいい」
「あ…」
「夜通し独り占めして満たされて、幸せだと言う顔になってるぞ?」

そう言われたけどそれはその通りだったから、そのままセドを引き寄せて唇を重ねて舌を絡め合った。
セドとの口づけが気持ち良過ぎてすぐさま表情が蕩けてしまう。

「可愛いが色気が凄すぎるな」

セドが満足げに笑いながら少し休めと言ってくれて、そこに愛情を感じて嬉しくなった。
まだ夜は明けたばかり。
俺はセドに甘えるように抱き着いて、疲れから心地良い眠りへとあっという間に落ちていった。




そして起きたらもうとっくに太陽は真上に上がっていて、蒼白になってしまった。

「え?え?」

寝坊して見送りができなかったことに愕然としてしまう。
どうしてセドは起こしてくれなかったんだろう?

慌てて身支度を整えて姫の元へと走ると笑顔で迎えてくれたけど、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。

「すみません、姫!ロキ陛下の見送りに行けなくてっ…」
「アルフレッド。そんなに焦らなくても大丈夫よ?ヴィンセント陛下もセドリック王子もちゃんと普通に見送っていたから」
「ロキ陛下は何か言ってませんでしたか?」
「特に何も?」
「そうですか」

まあ側妃の一人や二人見送りの場にいなくても気にするような人ではないだろうし、大丈夫と言えば大丈夫なのかもしれない。

「それにしてもロキ陛下は可愛らしい方だったわね」
「…………どのあたりがですか?」

あれは絶対に『可愛い』という言葉が似合わない人だと思う。

「昨日の晩餐でもはにかみながらヴィンセント陛下に笑っていたのよ。凄く可愛くて、私も何かしてあげたくなっちゃったわ」
「…………姫。目の錯覚です。医師でも呼んできましょうか?」
「いらないわよ。それにほら、街歩きの時も素直に何でも聞いてくれて、一生懸命で可愛かったでしょう?」

あんな弟が欲しかったと姫は言うけど、姫の方がロキ陛下より年下だし。

「王族には珍しく純粋な方で、まるでチワワみたいに可愛いかったわ」
「あれはチワワの皮を被ったサーベルタイガーだと思います」
「アルフレッド?おかしなことを言わないでほしいのだけど」

ぷんぷんと姫は怒るけど、絶対にあの人はチワワじゃないから!

「ヴィンセント陛下もロキ陛下をとても可愛がって、父親のように頼ってくれって本気で言っていたのよ?」

正直その言葉に衝撃を受けた。
セドに気に入られていることもそうだけど、姫もヴィンセント陛下もいつの間にか落とされていて滅茶苦茶ビビってしまう。
なんだかんだでレオナルド皇子もロキ陛下の大親友だと公言してはばからないし、ほんの一週間かそこらで全員の心を掴んでいったロキ陛下に俺は身震いしてしまった。

(やっぱりロキ陛下は怖い…)

自然体でも人を惹きつけ、ドSな顔でMな相手を増やして魅了していく。
好きな相手にだって容赦はしないし、あんなに壊れてるのにチワワはないだろ?!
擬態するにも程がある。
怖い。怖すぎる。

何はともあれもうロキ陛下はガヴァムへと帰ってくれた。
脅威は去ったのだ。
今日からは平穏な日々が戻ってくる。
セドを取られなくて済んで本当に良かったと、俺はホッと安堵の息を吐いたのだった。

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