【完結】王子の本命~ガヴァム王国の王子達~

オレンジペコ

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19.※国際会議④

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ミラルカ皇国はちょうどブルーグレイ王国へと姫が嫁いだ国だ。
とは言え今回の会議は基本的に王、もしくは代理として宰相が来ることが多いらしいのでうちのように王子が揃って来るのは珍しいはず。
今回は兄が恐れているらしいブルーグレイの王太子とは顔を合わせずに済むことだろう。

(確か噂ではブルーグレイの王太子が動けば国が亡ぶと言われてるんだったか…?)

きっとブルーグレイの王もそんな噂のある王太子をわざわざ国際会議に出席させて場を混乱させようとは思わないはずだ。
だからこそ楽観視していた面はあったと思う。
けれど到着早々王宮で寛ぎ、兄と一緒に少し散策でもと思って庭園に出たところで不意に声を掛けられた。

「あ、カリン王子」
「ひっ?!」

その声が掛けられた途端、これまで普通に横を歩いていた兄がビクッと身を震わせ蒼白になったので、一体誰だろうとそちらの方を見遣るとミラルカの騎士服に身を包む黒髪の騎士の姿があったので首を傾げてしまう。

「お元気そうでよかったです。急病で国に帰ったと聞いていたので心配してたんですよ」
「あ…あぅ……」

一体誰なんだろう?
向こうは普通に話してきているのに兄の怯え方は異常だった。
キョロキョロとやけに周囲を警戒しているし、その姿は挙動不審そのものだ。

「兄上。お知合いですか?」

けれど兄はそんな言葉に答えることはせず、縋りつくようにしながら俺に懇願してきた。

「ロ、ロキッ!悪いことは言わない!国に帰ろう!」

これは困った。
まさかそんなことを言われるとは思ってもみなかったからだ。
帰るのは別に構わないが、その場合宰相に事情を説明しなければならない。
さてどうしようかなと考えていたところでその冷ややかな声がその場に響いた。

「カリン王子。今すぐアルフレッドから離れろ」

低く低く場を支配する声。
可哀想に。兄はその声に震えあがってしまった。

「ひっ…!」

割り込んできたのは存在感溢れる金髪の男で、どうやらこの相手が兄が恐れている張本人だったのだと一目で察することができた。

(これは多分ブルーグレイの王太子だろうな)

聞いていた特徴と、兄の怯え具合から察するにそうとしか考えられない。
来ないと思っていたけれどどうやら予想は外れてしまったようだ。

相手はこちらを警戒するように睨んでいるが、俺としては別に他国の王子と仲良くする気もないし、兄だけ無事であればそれでいい。

「どこのどなたかは存じませんが、兄が怯えているのでここは引いてもらえませんか?」

だから睨むのはやめてほしいと相手に暗に言い放つ。
特に自己紹介もしていないのだし、こう言って知らぬ存ぜぬでさっさとここから去ってもらえるよう促したっていいはずだ。
別にそこのアルフレッドとかいう相手にも俺は全く興味はないし、連れて行ってくれても全然構わないのだから。

「…………」
「俺に威嚇しても無駄ですよ?正直言って兄以外どうでもいいと思っているので」

どれだけ凄まれようと別に何も怖くはない。
だってそこには悪意も愉悦も露ほども含まれてはいないのだから。
あるのはただ、好きな相手に近づくなという、ただそれだけ。

「……お前は?」

けれど淡々と答えていたにもかかわらず、意外なことに相手の方から名前を訊かれてしまった。
こんな俺に興味があるのか?
変な王太子だなと思いながらも流石にここで名乗らないのもおかしいかと仕方なく口を開く。

「ガヴァム王国から参りました、ロキ=アーク=ヴァドラシアと申します」
「そうか。お前が噂の狂王子という訳か」

狂王子?そんな風に言われているなんて初耳だ。
まあ当たらずとも遠からずなので別に気にはしないけれど。

「ブルーグレイ王国の王太子。セドリックだ。そこのカリン王子とは以前少し関わりがあったのでな」

やはり思った通りの人物だったようなので、自己紹介もしたことだしここはひとつお礼を言っておこうかなと思った。
兄にとっては恐怖体験以外の何ものでもなかっただろうが、ブルーグレイで色々あったからこそ今の自分達があるのだから別に礼を言うこと自体大きく間違ってはいないだろう。

「ああ、貴方がブルーグレイの。ではここで御礼を。貴方のお陰で兄と仲良くなる事ができました。ありがとうございます」

けれど折角にこやかに礼を述べたのに何故か面食らったような顔をされてしまった。
まさかここで礼を言われるとは思わなかったのだろう。
素直に受け取ってくれるだけでいいのに。
そんなことを考えていると焦ったように兄に袖を引かれた。

「ロ、ロキっ!」
「なんですか?兄上」
「は、早く行こうっ!」

確かに面倒臭い相手とこれ以上一緒に居なくてもいいかとあっさりと気持ちを切り替える。
そんなことより可愛い兄を愛でる方がいいに決まっているのだから。

「ふふっ。そんなに俺と二人きりになりたいんですか?いいですよ?ではセドリック王子。我々はこれで失礼します」
「ああ」

向こうも特にこれと言って話す気はなかったようだしあっさりと別れることができた。
だからこそ思う。

「兄上。そんなに怯えなくても大丈夫ですよ」
「うぅ……」
「怖かったんですよね?ちゃんと慰めてあげますよ」

取り敢えず、庭園でいっぱい甘やかしてあげようか。
きっと可愛い顔で蕩けた顔を見せてくれるだろうから…。


***


「んっんっ…」

人が来ない庭園の片隅で、服を着たままの兄を可愛がる。
声を出さないようにと言い含めているので一生懸命声を我慢しているが、その表情はすでにトロトロだ。

「ほら、兄上。声が漏れないようもっとしっかり指を舐めてください」
「はぁ、はぁ、んぅう…」
「そう。上手ですよ?辛かったら噛んでもいいですからね?」

そんな言葉と共にさっきから動かず挿れっぱなしにしていた楔で奥を嬲る。

「ひぅっ!」
「兄上。ほら、我慢してください」
「ひっ、うっ…!」
「出したら服が汚れるので、中イキだけにしてくださいよ?」
「はぁ…ロ、ロキぃ…」

もどかし気に身を捩られるが、このままゆったり可愛がる。

「ふふっ。ちゃんと中イキできたら部屋に戻りましょうか。そこでリヒターに挿れさせたらきっと気持ち良くなれますよね?」

そんな姿を視姦させてくださいって耳元で囁いてお願いしたらやけに興奮されたからそのまま中イキさせてあげた。

「あ…いや…いやぁ……。足りないぃ…。もっとしてぇ…。奥をたっぷりロキに虐められたいのにぃ…」

リヒターではなく俺がいいと抱きつきながらおねだりされるのは凄く嬉しい。

「兄上は本当に可愛いですね。じゃあ部屋に戻ったら沢山可愛がってあげますね?」

ちゃんと自分で可愛がってあげますよと言ってやるだけでホッとしたように笑う兄がまた愛おしい。
だからそのまま衣服を整えてあげて、発情してまだ顔の赤い兄を連れ帰った。

その姿を見た変態の面々が羨ましいとか叫んでいたけど、俺が愛でるのは兄上だけだから邪魔するなと言ってリヒターに追い出してもらい、大好きな兄をたっぷりと満足させてあげたのだった。

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