【完結】竜王は生まれ変わって恋をする

オレンジペコ

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【本編】

45.ディオンが絶倫だと判明して慄いた件 Side.ヴォルフガング

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ラスターと恋仲になったディオンはそれはもう俺の前だろうとどこだろうとラスターに甘々だった。
仕事ぶりを学ぶためにやってきたからちゃんと学んでいるが、あの二人は器用すぎる。

イチャイチャしているのに無駄なく仕事を次々と終わらせ、難しい対策も意見を出し合っていたりする。
下地があるからこそできることなんだろうなと思ったから、メモを取って俺が城に帰ったらすべきことを自分なりにまとめておいた。
上辺だけじゃなく、基礎からじっくり積み上げて身に付けるようにしなければ。
そんな俺をリックは優しく見守ってくれていて、適度に休憩を挟みながら気疲れしないよう気遣ってくれる。
側近としては100点満点な奴だ。
でも口説いていいと言ったのに積極的じゃないから凄くもどかしい。

あの日────ラスターが間に入ってスルスルとリックの心情を聞き出したのは衝撃的だった。
俺ではこんなに簡単にはいかなかっただろう。
流石狸な外交官達の懐にあっという間に潜り込んで交渉をまとめた男。
側近に加えたい手腕だ。
今回辺境伯の養子になったと聞いたし、ディオンと一緒に城に来ないか誘ってみようか?
辺境伯はまだまだ若いし、代替わりまでで構わないからどうだと言ってみるだけ言ってみてもいいかもしれない。
たとえ数年でもそこから学べることはきっと多いはず。
是非とも頼みたい。

それにしてもリックは一体いつになったら俺を口説いてくれるんだ?

(許可を与えたんだから、もっと積極的にグイグイくればいいのに…)

『好きだと言ったくせに』と不満がたまる。

そんなこんなでディオンに愚痴をこぼしてみた。

「リックがちっとも迫ってこない。俺に魅力が足りないのか?」
「そんなことはないのでは?」
「もっとこう…キスとかなんとかしてくればいいのに…っ」
「ああ、キス。いいですよね。俺は昨日それで求愛されて、初めてラスターを抱きました」
「なっ?!早くないか?!付き合ってまだ一週間だろう?!」
「お誘いされたので」
「くっ…羨ましい…っ!」

なんてことだ。
平民は事に至るまでが早いと聞いたが噂は本当だったらしい。

「ち、ちなみにどうだった?」

知識だけはあるが、閨指導に実技指導はなかったから気になる。
実際問題、どうなんだろう?

「凄く良かったです」
「ぐ、具体的には?」
「具体的に、ですか?」
「ああ」
「凄く感じてくれたので、嬉しくなって6回とも張り切ってしまいました」

輝く笑顔でそう言われ、俺は物の見事に固まった。

「…………ディオン。聞き間違いか?6回と聞こえたような気がするが…」
「はい!言いましたよ?」
「おかしいだろう?!ラスターもお前も、は、初めてだろう?!」
「そうですよ?でもラスターがいいって言ってくれたので」

サラッととんでもない発言を聞かされて頭が痛くなった。
絶倫にもほどがある。
きっとラスターはディオンが好き過ぎて、無理をして付き合ってやったに違いない。
何て健気なんだろう?
俺には無理だ。

「初めてでそれは鬼畜の所業だぞ?」
「そんなことありません。普通です」
「普通なわけがあるか!!初めてで6回なんて、聞いたこともないぞ?!俺だったら尻が壊れる!」

そこからちゃんと優しくしてやれと説教をして、俺はぷんぷん怒りながらリックへと愚痴をこぼした。

「初めてで6回は絶対にあり得ないよな?!」
「そうですね。ちょっと多過ぎかと」
「そうだよな?!なのにあいつは笑顔で普通だと言い切ったんだぞ?信じられない絶倫だ!」
「ちなみに殿下は何回が普通だと思いますか?」
「俺か?さあ…経験がないからな。でも普通2、3回くらいじゃないのか?」
「私もそう思います」

リックの答えにホッとしたものの、今は二人きりなのに『私』と言ったのを聞いてどうして一人称が『俺』じゃないんだと不満に思う。
これでは手は出しませんよと言われたようなものだ。
もっとこのすました顔を崩してやりたい。
どうしたら崩れるんだろう?
そう思ったから、取り敢えず隣に座れと言ってやる。

「リック」
「なんでしょう?」
「ここに座れ」
「え…?」
「口説く許可を与えてやったのにお前はちっともやってこないだろう?いいから座ってやってみろ!」
「……そう言うのは雰囲気というものがあると思うんですが」
「そんなことを言っていたらあっという間に十年くらい経ってそうだから言ってるんだ!いいから来い!命令だ!」
「はぁ…わかりました」

渋々と言った様子のリックに益々モヤモヤする。
いっそこっちから襲ってやろうか?

「座りましたよ?これでいいですか?」
「よし!」

(先手必勝!唇は頂いた!)

逃げられないように首に腕を回して唇を重ねたら凄く驚いたように目を見開いて、次いで真っ赤になってあたふたしていた。
いつもすました顔のリックがこんなに慌てふためくなんて凄く楽しい。

「ふはっ…!不意打ち成功だな!」
「……俺で遊ばないでください」
「遊んでない。お前が来ないから俺からいったんだ。悪いか?」
「……そういうのはズルいと思います」

そう言ってリックはそっと俺を抱き寄せて、初めて自分から来てくれた。

「ん…」

思った以上に丁寧で優しいキスだ。

「折角我慢してたのに、台無しにしたのは殿下ですよ?」
「我慢しろなんて言っていないだろう?寧ろもっと積極的に迫ってこい」
「後悔しても知りませんからね?」

段々深くなるキスに酔いそうになりながら、これは思った以上に癖になりそうだと思いながらうっとりと身を任せた。


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