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9.平穏だったのは俺だけだったらしい
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(これは一体…何が起こっているんだ?)
突然始まったキスに俺は目を見開いて困惑していた。
もしかして急に魔素摂取障害の症状が出始めたとか?
たまたま一緒に居たから、勝手に口づけて補給中ってことだったり?
(流石にそれは失礼だぞ?!)
そう思ったから俺は思い切りバドにデコピンをしてやった。
ズビシッ!
結構痛かったのか、バドはその場で額を抑えて呻いている。
ざまあみろ。
「お前な。いくらなんでも一言くらい断ってからキスしてこい。図々しいにもほどがあるぞ?」
「…………っ!」
「それに、俺はいつもお前に補給する時のキスは意識的に多めに魔力を乗せてしてやってるから、勝手にやったらちょっとしか補給できないんだぞ?もうちょっと考えろ!この馬鹿!」
「す…すまない」
「わかればいい」
全く。これだから文化圏の違う奴は困る。
もうちょっとこっちの常識を学んで欲しい。
でもまあ仕方がないからちゃんと補給だけはしてやろう。
ここで適当に終わらせて後でまた呼び出されるのも面倒だしな。
「ほら。してやるから来い」
そう言ったら素直にこちらへとやってくる。
やっぱり魔力を補給したかっただけらしい。
まあどうせそれ以外にキスする理由なんてないんだから当然と言えば当然だけど。
そして魔力を上乗せしながらキスをしてやったら気持ちよさそうに舌を絡め始めた。
よっぽど魔力に飢えてたんだな。
可哀想に。
仕方がないからちょっとサービスしていつもより長くキスしてやった。
これでまた暫くは大丈夫だろう。
「あんまり調子に乗って魔力を使おうとするなよ?」
どこか名残惜しそうにするバドにそう言い置いて、俺はサクッと踵を返す。
そんな俺の背をバドが見つめていたような気がしたけど、俺はお前の餌じゃないぞと言ってやりたかった。
それから数日。
特に呼び出しを受けることなく俺は自由に研究を進めていたのだが、ここで父がパーティーの日取りが決まったと連絡を入れてきた。
(なんて迷惑な…)
正直言って行きたくない。
一応研究を理由に断ってみたけれど、参加は絶対だと言い切られてしまった。
厄介にもほどがある。
でもここでスルーしても別の日にまた同じようなパーティーを開かれるだけだろうし、ここは一先ず頷いて、適当なところでトンズラしようと思った。
「わかりました。では当日」
そしてその一週間後、俺は色んな女性に囲まれることになる。
(あ~面倒臭い)
どこかに俺好みの可愛い弟系男子はいないだろうか?
目の保養にもってこいなんだけどな。
ロリ系巨乳は好きじゃないし、年上の清楚と見せかけた内面肉食系も全く好みじゃない。
俺は素で可愛らしい感じが好みなんだ。
間違っても胸を強調したり、香水の匂いをぷんぷんさせてる相手は好きじゃない。
そう考えた時に何故かバドの顔が頭に浮かんで俺は首を傾げた。
(なんでここでバドが?)
意味不明だ。
まああの時の顔は可愛いと言えば可愛かったが、今ここで思い出すのもおかしな話だ。
(そう言えばもう二週間近く補給してないけど、大丈夫なのか?)
ふとそこに思い至って、なんとなく気にかかった。
特に呼び出しは受けていないものの、あれ以来顔を見たわけではないから少し心配だ。
(図書室や部屋なんかでぶっ倒れてなんかいないだろうな?)
そう考えたら妙にソワソワしだして、やっぱり適当なところでと言わずすぐにでも切り上げたいなと思い始めた。
「ルルナス王子。私、今回の逆召喚の魔法、本当に感動いたしましたわ」
「私もです。もうこれで二度と我が国の宝が失われないと思うと嬉しくて仕方がありません」
「お父様も是非王子に感謝の気持ちをお伝えしておいてくれと申しておりましたわ。本当にありがとうございます」
口々に紡がれる賛美の言葉。
でも攫われた者達を取り戻していない今、まだその言葉に満足すべきではない。
「お言葉は有り難いですが、逆召喚はまだ序の口に過ぎません。今後は向こうに奪われた者達をこちらへと帰還させたく思っているので、どうか温かく見守っていてください」
「まあ…なんてご立派なんでしょう」
「流石はルルナス王子。私、ルルナス王子に惚れてしまいそうですわ」
うっとりした表情でこっちを見てくるけど、全く興味はないから!
頼むから離れてほしい。
(癒しが欲しい)
そう思いながら、トイレを理由になんとか脱出した。
あー疲れた。
それからちゃんと用を足して、どうせパーティーを開くなら彼女達の弟達も呼んでくれたら良かったのにと思いながら廊下を歩く。
そんな中、不審な動きをしている者を発見した。
装いは普通に侍女だ。
手には盆を持ち、食べ物を運んでいるようだが、何やらコソコソしている。
俺はそれがやけに気になって、そっと様子を伺った。
するとその侍女に別の侍女が声を掛けてきた。
「それ、ロードクルス様のでしょう?随分品数が少ないのね」
「だってヴァーリア王女がこうしなさいって…」
「体調を崩された方が厄介よ?ルルナス王子にバレたら叱られてしまうわ。研究の邪魔になってご迷惑を掛けてしまうし、ヴァーリア王女もそこまではお望みでないでしょう?」
「でもヴァーリア王女はこれでも気が済まないって仰ってて、水だけで十分と仰ったのをお世話役の方がなんとか諌めてここで落ち着いたのですもの。仕方がないわよ」
どうやらバドは今、姉の指示の元、どこかで酷い目に合わされているらしい。
これは想定外だ。
世話役がつけられているから身の安全は保証されていると思い込んでいたが、姉が絡んできたなら彼らでは逆らえなかっただろう。
(姉上はリセル嬢の件でかなり参ってたからな)
きっと逆恨みしたんだと思う。
だから一概に怒れないんだけど、バドを放っておくこともできない。
だってバドが彼女を召喚したわけではないんだから。
(しょうがないな)
そして俺は溜め息をひとつ吐くと、バレないようにそっとその侍女の後を追ったのだった。
突然始まったキスに俺は目を見開いて困惑していた。
もしかして急に魔素摂取障害の症状が出始めたとか?
たまたま一緒に居たから、勝手に口づけて補給中ってことだったり?
(流石にそれは失礼だぞ?!)
そう思ったから俺は思い切りバドにデコピンをしてやった。
ズビシッ!
結構痛かったのか、バドはその場で額を抑えて呻いている。
ざまあみろ。
「お前な。いくらなんでも一言くらい断ってからキスしてこい。図々しいにもほどがあるぞ?」
「…………っ!」
「それに、俺はいつもお前に補給する時のキスは意識的に多めに魔力を乗せてしてやってるから、勝手にやったらちょっとしか補給できないんだぞ?もうちょっと考えろ!この馬鹿!」
「す…すまない」
「わかればいい」
全く。これだから文化圏の違う奴は困る。
もうちょっとこっちの常識を学んで欲しい。
でもまあ仕方がないからちゃんと補給だけはしてやろう。
ここで適当に終わらせて後でまた呼び出されるのも面倒だしな。
「ほら。してやるから来い」
そう言ったら素直にこちらへとやってくる。
やっぱり魔力を補給したかっただけらしい。
まあどうせそれ以外にキスする理由なんてないんだから当然と言えば当然だけど。
そして魔力を上乗せしながらキスをしてやったら気持ちよさそうに舌を絡め始めた。
よっぽど魔力に飢えてたんだな。
可哀想に。
仕方がないからちょっとサービスしていつもより長くキスしてやった。
これでまた暫くは大丈夫だろう。
「あんまり調子に乗って魔力を使おうとするなよ?」
どこか名残惜しそうにするバドにそう言い置いて、俺はサクッと踵を返す。
そんな俺の背をバドが見つめていたような気がしたけど、俺はお前の餌じゃないぞと言ってやりたかった。
それから数日。
特に呼び出しを受けることなく俺は自由に研究を進めていたのだが、ここで父がパーティーの日取りが決まったと連絡を入れてきた。
(なんて迷惑な…)
正直言って行きたくない。
一応研究を理由に断ってみたけれど、参加は絶対だと言い切られてしまった。
厄介にもほどがある。
でもここでスルーしても別の日にまた同じようなパーティーを開かれるだけだろうし、ここは一先ず頷いて、適当なところでトンズラしようと思った。
「わかりました。では当日」
そしてその一週間後、俺は色んな女性に囲まれることになる。
(あ~面倒臭い)
どこかに俺好みの可愛い弟系男子はいないだろうか?
目の保養にもってこいなんだけどな。
ロリ系巨乳は好きじゃないし、年上の清楚と見せかけた内面肉食系も全く好みじゃない。
俺は素で可愛らしい感じが好みなんだ。
間違っても胸を強調したり、香水の匂いをぷんぷんさせてる相手は好きじゃない。
そう考えた時に何故かバドの顔が頭に浮かんで俺は首を傾げた。
(なんでここでバドが?)
意味不明だ。
まああの時の顔は可愛いと言えば可愛かったが、今ここで思い出すのもおかしな話だ。
(そう言えばもう二週間近く補給してないけど、大丈夫なのか?)
ふとそこに思い至って、なんとなく気にかかった。
特に呼び出しは受けていないものの、あれ以来顔を見たわけではないから少し心配だ。
(図書室や部屋なんかでぶっ倒れてなんかいないだろうな?)
そう考えたら妙にソワソワしだして、やっぱり適当なところでと言わずすぐにでも切り上げたいなと思い始めた。
「ルルナス王子。私、今回の逆召喚の魔法、本当に感動いたしましたわ」
「私もです。もうこれで二度と我が国の宝が失われないと思うと嬉しくて仕方がありません」
「お父様も是非王子に感謝の気持ちをお伝えしておいてくれと申しておりましたわ。本当にありがとうございます」
口々に紡がれる賛美の言葉。
でも攫われた者達を取り戻していない今、まだその言葉に満足すべきではない。
「お言葉は有り難いですが、逆召喚はまだ序の口に過ぎません。今後は向こうに奪われた者達をこちらへと帰還させたく思っているので、どうか温かく見守っていてください」
「まあ…なんてご立派なんでしょう」
「流石はルルナス王子。私、ルルナス王子に惚れてしまいそうですわ」
うっとりした表情でこっちを見てくるけど、全く興味はないから!
頼むから離れてほしい。
(癒しが欲しい)
そう思いながら、トイレを理由になんとか脱出した。
あー疲れた。
それからちゃんと用を足して、どうせパーティーを開くなら彼女達の弟達も呼んでくれたら良かったのにと思いながら廊下を歩く。
そんな中、不審な動きをしている者を発見した。
装いは普通に侍女だ。
手には盆を持ち、食べ物を運んでいるようだが、何やらコソコソしている。
俺はそれがやけに気になって、そっと様子を伺った。
するとその侍女に別の侍女が声を掛けてきた。
「それ、ロードクルス様のでしょう?随分品数が少ないのね」
「だってヴァーリア王女がこうしなさいって…」
「体調を崩された方が厄介よ?ルルナス王子にバレたら叱られてしまうわ。研究の邪魔になってご迷惑を掛けてしまうし、ヴァーリア王女もそこまではお望みでないでしょう?」
「でもヴァーリア王女はこれでも気が済まないって仰ってて、水だけで十分と仰ったのをお世話役の方がなんとか諌めてここで落ち着いたのですもの。仕方がないわよ」
どうやらバドは今、姉の指示の元、どこかで酷い目に合わされているらしい。
これは想定外だ。
世話役がつけられているから身の安全は保証されていると思い込んでいたが、姉が絡んできたなら彼らでは逆らえなかっただろう。
(姉上はリセル嬢の件でかなり参ってたからな)
きっと逆恨みしたんだと思う。
だから一概に怒れないんだけど、バドを放っておくこともできない。
だってバドが彼女を召喚したわけではないんだから。
(しょうがないな)
そして俺は溜め息をひとつ吐くと、バレないようにそっとその侍女の後を追ったのだった。
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