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10.王女は俺を恨んでいるらしい Side.バド
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ルースに抱いてもらってから体調が頗るよくなった。
医者からも当面は大丈夫そうだと太鼓判を押してもらえて一安心だ。
こちらでの生活も段々慣れてきたことだし、無理をしない範囲で勉強して知識を得よう。
そんな風に思いながら日々を過ごしていたある日、廊下を歩いていたらルースに遭遇した。
どこかへ行っていたんだろうか?
こんな風にばったり出くわすのは初めてだったから、凄く驚いてしまった。
「ルース」
俺だけが呼ぶ愛称で名を呼ぶと、向こうもそれに応える形で以前とは違う名前で呼んでくれる。
「バド。体調は大丈夫か?」
「ああ。今のところは」
「そうか。ちょっと悪い時ならまだキスで対処できるが、あまり無理し過ぎないようにな。また俺に嫌々抱かれる羽目になるぞ?」
(別に嫌々抱かれたわけではないし、あの時は選択肢がなかっただけだと思うんだが?)
特に拒絶反応もなかったし、そんな風に言わないで欲しい。
それにあの時はフェラが嫌で我慢していただけだ。
キスをしてもらえるならそこまで我慢なんてしなかったと思う。
「大丈夫だ!」
俺はルースが相手なら抱かれてもいい。
だからそう言った。
「そうか」
「そうだ!それにあの時は…流石にフェラは無理だと思って…」
素直に俺は俺の主張をしたのだが、それを聞いて申し訳ないと思ってくれたのか、ルースはあっさりと今度からはキスでしてやると言ってくれる。
「それはすまなかった。今度からはちゃんとキスで対応してやるから無理はするな」
それは願ったり叶ったりの提案だったはずだ。
でも何故か俺とはもう寝ないと言われたような気分になって、なんだか嫌な気持ちになってしまう。
胸がこんなにもやもやするのはどうしてだろう?
俺は良かったのに、ルースは違ったのかもしれないと現実を突きつけられた気がしたから?
それとも、本音では寝たくなんてなかったんだと暗に言われたような気がしたからか?
いずれにせよなんだかモヤッとして仕方がなかった。
とは言えこいつは最初から俺なんて嫌いだという姿勢を崩さなかったし、言ってみればそれは当然の事でもあって、モヤモヤする方がきっとおかしいんだろう。
そう思ったからこそ、別の話題に変えてしまおうと思った。
「これからまた研究か?」
帰還魔法の研究は順調に進んでいるんだろうか?
「今日はもう終わった。お前は?」
「俺は図書室へ行く途中だ」
「そうか。勉強熱心だな」
勉強熱心…か。
元々そこまで勉強が好きというわけではないから、こんな風に言われるとなんだか擽ったく感じられる。
「まあな。こっちでしか得られない知識をせめて沢山持ち帰りたいと思っている」
でも折角ここに滞在しているのならできるだけ沢山のことを覚えて帰る気だったから正直にそう口にした。
そんな俺にルースは意外なことを言ってきた。
「じゃあノートとペンも用意してやるし、必要だと思ったものはそれに書き留めておいたらどうだ?本は持ち帰れなくてもそれなら持ち帰れるだろうし」
正直こちらの利になるようなことを言ってくれるなんて考えてもいなかったのだ。
どれほど性根が優しいルースでも、やはりこれまでの恨みから内心では『何も得られなくて残念だったな。ざまあみろ』という気持ちがあるはずだと思っていたから。
それなのにそんな風にあっさりと持って帰れる知識は持って帰ればいいとばかりの態度を取られると困惑してしまう。
「……いいのか?」
「寧ろ俺がダメだと言うとでも思ったのか?」
「思った」
だから素直にそう答えたのだが、その答えはどうやらルースの気に障ったらしい。
「嫌ならいい。好きにしろ」
ムッとしたように顔を顰め、一気に不機嫌になって踵を返してしまう。
それに焦ったのは俺だった。
別に今回は怒らせる気なんて全くなかったんだ。
これまでの売り言葉に買い言葉なんてものとは違う。
誤解だとどう言えば伝わるんだろう?
そもそも相性が悪くて喧嘩になりがちだから口を開かない方がいいのか?
ならどうする?
そうして内心パニックになった俺は、何故かルースを引き寄せて、行かないでくれと言わんばかりにキスで引き留めてしまっていた。
どうしてそんな行動に出てしまったかなんて自分でもさっぱりわからない。
ルースも驚いているが俺だって驚いている。
これまでとは違って陶酔感はないものの、ルースとのキスは気持ち良かった。
なんでだろう?
ルースの魔力を俺が欲しているから?
でも今は別に魔力が不足している状況ではない。
ならどうしてこんなに気持ちがいいんだろう?
自分で自分が分からないままただただキスを堪能していると、いきなりズビシッと思い切りデコピンをされてしまった。
その威力に思わず唇を離し、痛みに悶えてしまう。
「お前な。いくらなんでも一言くらい断ってからキスしてこい。図々しいにもほどがあるぞ?」
「…………っ!」
確かにルースからしたらいきなり何をするんだと言った状況だっただろう。
怒りたくなるのも当然だ。
「それに、俺はいつもお前に補給する時のキスは意識的に多めに魔力を乗せてしてやってるから、勝手にやったらちょっとしか補給できないんだぞ?もうちょっと考えろ!この馬鹿!」
「す…すまない」
「わかればいい」
今回の件はどこからどう見ても俺が悪かった。
だから言い返したりすることなく素直に謝罪を口にする。
そんな俺に呆れたようにしたものの、ルースは俺が魔力が欲しくてやったのだと思ったのか、俺を呼び寄せキスをしてくれた。
先程自分からしたキスとは違い、しっかりと魔力が乗せられたキス。
そのキスが心地よくて、ついねだるように自分から舌を絡めてしまう。
その姿が余程魔力に飢えているように見えたんだろう。
ルースはこれまで以上にじっくり魔力を送り込んでくれてからそっと唇を離した。
なんだかとっても名残惜しい。
「あんまり調子に乗って魔力を使おうとするなよ?」
そしてかけられるのは俺を心配してくるようないつもの気遣いの言葉。
どうしてルースは嫌っている相手にまでこんな言葉がかけられるんだろう?
これじゃあ絆されても仕方がないじゃないか。
思わずそう考えて慌てて頭を振る。
(この気持ちは勘違い…だよな?)
答えなんて出るはずもない問いを胸に、俺は困惑を隠せぬままルースの背を見送った。
それから三日後のこと。
図書室で本を選んでいた俺のところに一人の女性がやってきた。
「貴方が例の異世界人かしら?」
どこかルースと似た顔立ちの美しい女性だ。
けれどその美しい顔は見事に嫌悪に歪んでしまっている。
「汚い髪色だこと。私達とは大違いね。その心根を表すかのように淀んだ色で、見ていて吐き気がするわ」
真っ直ぐにぶつけられる悪意。
その言葉を聞いたのは俺だけではなく側に居た俺の世話役もだったが、彼は真っ青になりながらただただ俯いている。
「貴方。弟が優しいからって随分生意気な口を利いているらしいわね?自分の立場が分かっているのかしら?」
どうやら彼女はルースの姉らしい。
つまりはこの国の王女だ。
なるほど。世話役が何も言えないのもよくわかる。
恐らく立場的に何も言えないのだろう。
「取り敢えずここでは人目もあるわ。私についてきなさい」
命令だと言わんばかりのその態度に一応俺は大人しく従った。
ここで何を言ってもきっと無駄だろうと思ったからだ。
でも────これは流石にないんじゃなかろうか?
「貴方にはこれ以上弟とかかわってほしくはないの。研究の邪魔よ」
そう言いながら押し込められたのは恐らく使用人用の小部屋。
「目障りだから今後一切城の中をウロウロしないでちょうだい。口にするものだって水だけで十分よ」
それは流石にやめてほしい。
死んだらどうしてくれるんだ?
そう思ったのは自分だけではなかったようで、慌てたように世話役の者が声を上げてくれる。
「ヴァーリア王女!それは流石に酷うございます!」
「何が酷いのよ。こいつは人攫いの一味なのよ?泣いて助けてと私の名を呼んだ友人を攫った極悪人なのよ?死んで当然でしょう?!」
「ですが彼はあちらへ繋がる唯一の方です!もし帰還魔法に彼の協力が必要となったらどうなさるおつもりですか?!」
「…………」
「それに彼は魔素摂取障害を患っているのです。治療はルルナス王子にしかできません。彼が倒れたらルルナス王子は彼につきっきりとなるでしょう。それこそ研究が進まなくなって本末転倒になると思いませんか?」
「…………」
「お気持ちはわかりますが、どうか彼を解放してください」
「…………言いたいことはわかったわ。でも解放はしないわよ?最低限の食事だけ与えて生かしておきなさい。この部屋から出すことも許しません」
「ヴァーリア王女!」
「これは命令です!ルルナスにも何も言ってはダメよ?あの子は優しいからすぐに助けようとしそうですもの」
「…………」
「返事は?ジーゴ」
「……かしこまりました」
渋々という感じで返事を返した世話役を満足げに見遣り、ルースの姉はあざ笑うかのように俺を一瞥した後、『御機嫌よう。犯罪者さん』と言ってそのまま部屋を出ていった。
「ロードクルス様。大変申し訳ございません」
世話役は恐縮しながらそう言ったが、助けてくれる気はなさそうだった。
(これは立派な監禁だぞ?)
無理矢理出ようとすれば出れるかもしれないが、相手は王女だ。
様子は見た方がいいのかもしれない。
(無理に魔法を使って倒れるのは嫌だし、ここはギリギリまで我慢してみるか)
幸い魔力はまだ潤沢に体内に残っているし、一週間から10日くらいは持つと思う。
(できれば早めにルースが助けに来てくれるといいんだが…)
そんなことを考えながら俺は深々と溜息を吐いた。
医者からも当面は大丈夫そうだと太鼓判を押してもらえて一安心だ。
こちらでの生活も段々慣れてきたことだし、無理をしない範囲で勉強して知識を得よう。
そんな風に思いながら日々を過ごしていたある日、廊下を歩いていたらルースに遭遇した。
どこかへ行っていたんだろうか?
こんな風にばったり出くわすのは初めてだったから、凄く驚いてしまった。
「ルース」
俺だけが呼ぶ愛称で名を呼ぶと、向こうもそれに応える形で以前とは違う名前で呼んでくれる。
「バド。体調は大丈夫か?」
「ああ。今のところは」
「そうか。ちょっと悪い時ならまだキスで対処できるが、あまり無理し過ぎないようにな。また俺に嫌々抱かれる羽目になるぞ?」
(別に嫌々抱かれたわけではないし、あの時は選択肢がなかっただけだと思うんだが?)
特に拒絶反応もなかったし、そんな風に言わないで欲しい。
それにあの時はフェラが嫌で我慢していただけだ。
キスをしてもらえるならそこまで我慢なんてしなかったと思う。
「大丈夫だ!」
俺はルースが相手なら抱かれてもいい。
だからそう言った。
「そうか」
「そうだ!それにあの時は…流石にフェラは無理だと思って…」
素直に俺は俺の主張をしたのだが、それを聞いて申し訳ないと思ってくれたのか、ルースはあっさりと今度からはキスでしてやると言ってくれる。
「それはすまなかった。今度からはちゃんとキスで対応してやるから無理はするな」
それは願ったり叶ったりの提案だったはずだ。
でも何故か俺とはもう寝ないと言われたような気分になって、なんだか嫌な気持ちになってしまう。
胸がこんなにもやもやするのはどうしてだろう?
俺は良かったのに、ルースは違ったのかもしれないと現実を突きつけられた気がしたから?
それとも、本音では寝たくなんてなかったんだと暗に言われたような気がしたからか?
いずれにせよなんだかモヤッとして仕方がなかった。
とは言えこいつは最初から俺なんて嫌いだという姿勢を崩さなかったし、言ってみればそれは当然の事でもあって、モヤモヤする方がきっとおかしいんだろう。
そう思ったからこそ、別の話題に変えてしまおうと思った。
「これからまた研究か?」
帰還魔法の研究は順調に進んでいるんだろうか?
「今日はもう終わった。お前は?」
「俺は図書室へ行く途中だ」
「そうか。勉強熱心だな」
勉強熱心…か。
元々そこまで勉強が好きというわけではないから、こんな風に言われるとなんだか擽ったく感じられる。
「まあな。こっちでしか得られない知識をせめて沢山持ち帰りたいと思っている」
でも折角ここに滞在しているのならできるだけ沢山のことを覚えて帰る気だったから正直にそう口にした。
そんな俺にルースは意外なことを言ってきた。
「じゃあノートとペンも用意してやるし、必要だと思ったものはそれに書き留めておいたらどうだ?本は持ち帰れなくてもそれなら持ち帰れるだろうし」
正直こちらの利になるようなことを言ってくれるなんて考えてもいなかったのだ。
どれほど性根が優しいルースでも、やはりこれまでの恨みから内心では『何も得られなくて残念だったな。ざまあみろ』という気持ちがあるはずだと思っていたから。
それなのにそんな風にあっさりと持って帰れる知識は持って帰ればいいとばかりの態度を取られると困惑してしまう。
「……いいのか?」
「寧ろ俺がダメだと言うとでも思ったのか?」
「思った」
だから素直にそう答えたのだが、その答えはどうやらルースの気に障ったらしい。
「嫌ならいい。好きにしろ」
ムッとしたように顔を顰め、一気に不機嫌になって踵を返してしまう。
それに焦ったのは俺だった。
別に今回は怒らせる気なんて全くなかったんだ。
これまでの売り言葉に買い言葉なんてものとは違う。
誤解だとどう言えば伝わるんだろう?
そもそも相性が悪くて喧嘩になりがちだから口を開かない方がいいのか?
ならどうする?
そうして内心パニックになった俺は、何故かルースを引き寄せて、行かないでくれと言わんばかりにキスで引き留めてしまっていた。
どうしてそんな行動に出てしまったかなんて自分でもさっぱりわからない。
ルースも驚いているが俺だって驚いている。
これまでとは違って陶酔感はないものの、ルースとのキスは気持ち良かった。
なんでだろう?
ルースの魔力を俺が欲しているから?
でも今は別に魔力が不足している状況ではない。
ならどうしてこんなに気持ちがいいんだろう?
自分で自分が分からないままただただキスを堪能していると、いきなりズビシッと思い切りデコピンをされてしまった。
その威力に思わず唇を離し、痛みに悶えてしまう。
「お前な。いくらなんでも一言くらい断ってからキスしてこい。図々しいにもほどがあるぞ?」
「…………っ!」
確かにルースからしたらいきなり何をするんだと言った状況だっただろう。
怒りたくなるのも当然だ。
「それに、俺はいつもお前に補給する時のキスは意識的に多めに魔力を乗せてしてやってるから、勝手にやったらちょっとしか補給できないんだぞ?もうちょっと考えろ!この馬鹿!」
「す…すまない」
「わかればいい」
今回の件はどこからどう見ても俺が悪かった。
だから言い返したりすることなく素直に謝罪を口にする。
そんな俺に呆れたようにしたものの、ルースは俺が魔力が欲しくてやったのだと思ったのか、俺を呼び寄せキスをしてくれた。
先程自分からしたキスとは違い、しっかりと魔力が乗せられたキス。
そのキスが心地よくて、ついねだるように自分から舌を絡めてしまう。
その姿が余程魔力に飢えているように見えたんだろう。
ルースはこれまで以上にじっくり魔力を送り込んでくれてからそっと唇を離した。
なんだかとっても名残惜しい。
「あんまり調子に乗って魔力を使おうとするなよ?」
そしてかけられるのは俺を心配してくるようないつもの気遣いの言葉。
どうしてルースは嫌っている相手にまでこんな言葉がかけられるんだろう?
これじゃあ絆されても仕方がないじゃないか。
思わずそう考えて慌てて頭を振る。
(この気持ちは勘違い…だよな?)
答えなんて出るはずもない問いを胸に、俺は困惑を隠せぬままルースの背を見送った。
それから三日後のこと。
図書室で本を選んでいた俺のところに一人の女性がやってきた。
「貴方が例の異世界人かしら?」
どこかルースと似た顔立ちの美しい女性だ。
けれどその美しい顔は見事に嫌悪に歪んでしまっている。
「汚い髪色だこと。私達とは大違いね。その心根を表すかのように淀んだ色で、見ていて吐き気がするわ」
真っ直ぐにぶつけられる悪意。
その言葉を聞いたのは俺だけではなく側に居た俺の世話役もだったが、彼は真っ青になりながらただただ俯いている。
「貴方。弟が優しいからって随分生意気な口を利いているらしいわね?自分の立場が分かっているのかしら?」
どうやら彼女はルースの姉らしい。
つまりはこの国の王女だ。
なるほど。世話役が何も言えないのもよくわかる。
恐らく立場的に何も言えないのだろう。
「取り敢えずここでは人目もあるわ。私についてきなさい」
命令だと言わんばかりのその態度に一応俺は大人しく従った。
ここで何を言ってもきっと無駄だろうと思ったからだ。
でも────これは流石にないんじゃなかろうか?
「貴方にはこれ以上弟とかかわってほしくはないの。研究の邪魔よ」
そう言いながら押し込められたのは恐らく使用人用の小部屋。
「目障りだから今後一切城の中をウロウロしないでちょうだい。口にするものだって水だけで十分よ」
それは流石にやめてほしい。
死んだらどうしてくれるんだ?
そう思ったのは自分だけではなかったようで、慌てたように世話役の者が声を上げてくれる。
「ヴァーリア王女!それは流石に酷うございます!」
「何が酷いのよ。こいつは人攫いの一味なのよ?泣いて助けてと私の名を呼んだ友人を攫った極悪人なのよ?死んで当然でしょう?!」
「ですが彼はあちらへ繋がる唯一の方です!もし帰還魔法に彼の協力が必要となったらどうなさるおつもりですか?!」
「…………」
「それに彼は魔素摂取障害を患っているのです。治療はルルナス王子にしかできません。彼が倒れたらルルナス王子は彼につきっきりとなるでしょう。それこそ研究が進まなくなって本末転倒になると思いませんか?」
「…………」
「お気持ちはわかりますが、どうか彼を解放してください」
「…………言いたいことはわかったわ。でも解放はしないわよ?最低限の食事だけ与えて生かしておきなさい。この部屋から出すことも許しません」
「ヴァーリア王女!」
「これは命令です!ルルナスにも何も言ってはダメよ?あの子は優しいからすぐに助けようとしそうですもの」
「…………」
「返事は?ジーゴ」
「……かしこまりました」
渋々という感じで返事を返した世話役を満足げに見遣り、ルースの姉はあざ笑うかのように俺を一瞥した後、『御機嫌よう。犯罪者さん』と言ってそのまま部屋を出ていった。
「ロードクルス様。大変申し訳ございません」
世話役は恐縮しながらそう言ったが、助けてくれる気はなさそうだった。
(これは立派な監禁だぞ?)
無理矢理出ようとすれば出れるかもしれないが、相手は王女だ。
様子は見た方がいいのかもしれない。
(無理に魔法を使って倒れるのは嫌だし、ここはギリギリまで我慢してみるか)
幸い魔力はまだ潤沢に体内に残っているし、一週間から10日くらいは持つと思う。
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そんなことを考えながら俺は深々と溜息を吐いた。
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