【完結】逆召喚!~いつまでも黙って召喚されると思うなよ?~

オレンジペコ

文字の大きさ
24 / 77

23.俺の好きな人 Side.リオ

しおりを挟む
※更新が遅くなり申し訳ありませんm(_ _)m
ご心配くださった皆様、ありがとうございました。
体調も良くなりましたのでまたボチボチ更新していこうと思います。
宜しくお願いします。

****************

俺には昔から好きな人がいる。
サレーヌ王国のルルナス王子だ。
幼い日にサレーヌ王国に遊びに行った際に偶然会った一つ年上の可愛い人。

慣れない他国の城で『ちょっと遊んでなさい』と言われドキドキしながら庭へと出た際に年が近いルルナス王子をたまたま目に止めた。
何をしているんだろうと足を止め様子を窺っていると、どうやら魔法を教わっているようだと雰囲気から感じられた。
その頃の自分はまだ魔法に一度も触れたことがなかったから、凄くドキドキして、本当に発動するんだろうかとジッとそちらを見ていた。
同じようにドキドキしながら期待に目を輝かせたルルナス王子が、教わった通りに魔法を発動させる。
当然だが、一般的に初めての魔法というのは失敗して普通であり、発動しない可能性の方が高かった。
なのにルルナス王子は一発でその魔法を成功させたのだ。

成功した証拠に指先にふわりと温かくて優しい光が集まっていく。
その時の感動をどう言い表せばいいのだろう?
胸がいっぱいになって、居ても立ってもいられなくなった俺はすぐさまルルナス王子の方へと駆け寄った。

「凄い!お兄ちゃん、これ魔法?魔法だよね?凄く暖かい色!僕これ大好き!」

そう言いながらまだ幼かった俺は無邪気にルルナス王子の顔を見上げたのだが、その時のルルナス王子はちょっとびっくりしたように目を丸くしながらこちらを見ていて、これが凄いことなのだとはこれっぽっちも思っていなさそうだったから驚いてしまった。
それがなんだかじれったくて、俺は必死になってこれは凄いことなんだと身振り手振りで一生懸命訴えた。
そしたらちょっと照れ臭そうに笑って『そ、そうか。じゃあ次はもっと凄い魔法を見せられるように頑張って練習しておくよ』って言ってくれたんだ。
その時の顔があまりにも可愛くて、俺はその時完全に恋に落ちてしまった。

好き。
大好き。

国に帰ってからも彼のことがずっと忘れられなくて、何度も『またサレーヌ国へ行きたい!』とねだった。
なのに『子供だからそんなに頻繁に他国へは行けない。ダメだ』って言われてしまった。
だから情報だけ集めてもらって、大きくなったら絶対に迎えに行こうと心に誓ったんだ。

報告ではルルナス王子はとても優秀な王子だと書かれてあったから、正直婚約者ができたらどうしようと気を揉む日々。
けれど予想に反して何故かルルナス王子にはいつまで経っても婚約者はできなかった。

「第三王子だから?」

王位継承権が低いからかと最初は思った。
もしかしたらその立場的に自由恋愛を認められているのかもしれない。
だったら自分にもチャンスはあるはず。
胸に灯る微かな期待。
自分は男だけど、女以上に気配りできるようになればルルナス王子も俺を見てくれるかもしれない。

(そうだ!女なんて目じゃないくらい魅力的な男になろう!)

年下の男だからって見向きもされなかったら…そう考えるだけで嫌だった。
だからルルナス王子が成長した俺を見て恋に落ちてくれるように、勉学から剣術、魔法にダンス、社交術とできることはなんでも頑張った。
次に会った時にルルナス王子の隣に立っても恥ずかしくない自分になっておきたい。そんな一心だった。
自信を持ってルルナス王子の前に立ち、堂々と告白したい。
そう思っていたのに────。

「マリオン。ルルナス王子のことは諦めなさい」

もう子供じゃないからサレーヌ国へ留学したいと相談したところ、父から痛まし気な目で首を横に振られてしまった。

「どうしてです?!父上だってご存じでしょう?俺がルルナス王子をどれだけ想っているのか!」
「もちろんだ。だが、だからこそ言っているんだ」

その時初めて俺はサレーヌ国の内情を教えてもらった。
サレーヌ国では18才以上の優秀な者達が毎年必ず一人異世界へと召喚され、二度と帰ってくることはないのだと。

「ルルナス王子に婚約者がいないのもそれが理由だ」
「…………つまり、ルルナス王子は18才を迎えたら二度と帰ってこれない異世界に召喚されてしまうと?」
「そうだ。彼が優秀なのは周知の事実。いついなくなるともわからない相手と恋仲になったらお前が辛いだけだ。諦めなさい。お前ならどんな令嬢もより取り見取りだ。初恋相手のことなどすぐに忘れられる」

その時の心境をどう言い表せばいいだろう?
ある種絶望を味わわされたと言っても過言ではない。

ルルナス王子に会いたい。
でも会ったら辛くなるだけだと彼の国へ行かせてもらえない。
これまでの自分の積み重なった想いが胸を締め付けて、苦しくて辛くてたまらなくなった。
いっそルルナス王子をこの国へと連れ去ってしまおうか?
そうすればルルナス王子は召喚されることなくずっと自分の傍に居てくれるかもしれない。
そう思って父へと訴えてもみたけれど、返ってきた答えは諦めなさいの一言だけ。
俺が自暴自棄になるのも仕方がなかった。

そこからの俺は昔会ったルルナス王子の幻影を求めるように遊び回った。
ルルナス王子が絶対に手に入らないのなら身代わりをと言わんばかりに似た相手を抱いて、抱いて、空しくなって捨てる日々。
やっていることは最低の一言だ。
でも何もしなければ苦しくて、気持ちの持って行き場を見つけられなくて、ただただ荒れた気持ちで日々を送った。

そんなある日の事。
父王から呼び出されて一通の書状を渡された。

「マリオン。今のお前に渡していいものか正直悩んだが……気持ちの整理をつけたいのなら行ってきなさい」

その言葉にそっと手元の書状を開いてみる。

「…………え」

それはサレーヌ国からのパーティーの招待状だった。

「ルルナス王子が異世界召喚を阻止すべく逆召喚魔法というのを完成させたらしい。これでルルナス王子が向こうに召喚される事態は回避できたとサレーヌ王は言っている。向こうは初恋相手であるお前に一度会いたいと言ってくれたそうだ」
「初…恋……?」

その言葉に熱い気持ちが込み上げてくる。

(ルルナス王子が…俺を?)

自分だけじゃなかったのだという歓喜の気持ち。
そして異世界にルルナス王子を奪われる危機がなくなったという安堵。

「行きます!」

俺は即答でサレーヌ国へ行くと口にしていた。
ルルナス王子を迎えに行きたい。
そう思ってすぐさま父へと『婚約の許可を下さい』と告げた。
けれど父は困った顔でこんなことを言ってくる。

「マリオン。お前の気持ちはわかっているつもりだが…初恋はあくまでも初恋。あまり期待し過ぎぬことだ」
「ご心配なく。必ずルルナス王子を連れて帰ってまいります」

お互いに初恋同士だったのだ。
それなら難しくはないはず。
そんな気持ちで俺は嬉々としてサレーヌ国へと旅立った。



しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する

スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。 そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。 これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。 無自覚両片想いの勇者×親友。 読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

処理中です...