【完結】逆召喚!~いつまでも黙って召喚されると思うなよ?~

オレンジペコ

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29.策略家なライバル Side.バド

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二人の間に何食わぬ顔をしながら割り込み、兎に角ルースの意識を俺へと向かせようと勢いよく言葉を吐き出していく。

「ルース!お前は何をやってるんだ?!」
「……へ?」
「そんな色情魔の膝の上にノコノコ乗ったら危険だということくらいわかるだろう?!」

そう言いながらマリオン王子とルースを引き剥がし、その腕の中から取り戻す。

「いくら年下だからって油断し過ぎだ!」
「別に油断したわけじゃない!」
「じゃあなんだ?!自分から乗ったとでも?!」
「し、仕方がないだろう?!ここ最近はこれが普通だったんだからっ!」

ルースは全く迷うことなくマリオン王子の膝の上を『普通』だと言い切った。
その言葉にマリオン王子が喜色に満ちた表情を浮かべたのを俺は見逃さなかった。
悔しいが現時点で完全にこちらが負けている。
兎に角ルースに『この普通はおかしい』と認識させないとと思い、はっきりと指摘することに。

「これが普通なわけないだろう?!どれだけ隙だらけなんだ!」
「煩いな!大体俺とリオのことなんだからお前には関係ないだろう?!」

『お前には関係ない』────その言葉に思わずカチンときてしまった。
あんなに好きだとちゃんと伝えたのに、それを忘れたように言い切られて腹が立った。

「関係大有りだ!俺のライバルなんだぞ、そいつは!」

忘れないでくれ。
俺をちゃんと見てほしい。
そんな思いで強く強くルースを見つめる。
なのにルースは溜息でも吐きそうな感じで疲れたような目を俺へと向けてきた。
きっと俺があまりにギャアギャア言うから嫌気が差したんだろう。
気持ちはわかる。
マリオン王子との良い雰囲気をぶち壊された後のこれだったのだから、当然と言えば当然だ。
でも何もせずそのままライバルに奪われたくなかったんだから許してほしい。

そんな睨み合うような雰囲気の俺達に、マリオン王子が余裕の表情で言葉を挟んできた。

「まあまあルル。そうだ、バド…だったか。明日俺主催の茶会を開くんだが、よかったら参加しないか?」
「……は?」
「ルルと違って暇だろう?気分転換にもなると思う」
「結構だ!」

ライバルにさえなりえないと言わんばかりのその余裕の態度に腹が立ち、思わず噛みつくように拒絶の返事を返した俺に、ルースが全く気にすることなく明後日方向の言葉を口にしてきた。

「あ、そうか。バドの好みは俺と真逆だもんな。色気過多な大人の女性が来ないと来る気になれないか」

その言葉に、その茶会にはルース好みの年下可愛い系男子が集められるのだと察した。
きっとそれでルースの好感度を更に上げる気なのだろう。
そしてマリオン王子はそんなルース好みの相手にも負ける気は更々ないと。
その自信は一体どこから湧いてくるのだろう?
ある意味羨ましい。

「そうか。バドの好みはそう言った者達なのか。それなら後でルルの姉君に相談してみよう」
「なっ?!」

しかも俺の好みの相手まで呼ぼうとするその懐の深さに臍を噛む。

(勝てない…)

勝てる要素がない。
俺はこの男よりも年上なのに、全く歯が立たないのが無性に悔しくてならなかった。

「ちょ、ちょっと待て!俺は行くなんて一言も言ってないぞ?!」
「気楽な茶会になる予定だから来れたら来てくれ。それじゃあ」

しかも睨むのが関の山の俺を余裕で見返し、華麗に去っていく姿は俺の目から見てもカッコ良くて、ルースが惚れても仕方がないなと思わされてしまう。

(悔しい!誰がそんな茶会に行くものか…!)

思わずそう思ってしまったものの、結局気になるのは気になって、翌日ソワソワしていたら時間を見計らったかのように呼び出しを受けた。
こういうところもスマートすぎてルースが『スパダリ』と称したのも頷ける有様だった。

そして茶会の席へとやってくると、そこにはルース好みの可愛らしい少年達が沢山いて、同時に俺のために集められたと思しき女性達が待っていた。

年上の妙齢の女性達は俺が国にいた頃と変わらぬ笑みで俺を褒めそやすかのように近づいてくる。
この国に来てから初の好意的な対応と言ってもいいかもしれない。
これまでルースや研究員達はそれなりに仲良くしてはくれていたが、それ以外はあくまでも義務的な対応ばかりで、俺は事情も事情だしそれも仕方のないことだと受け止めていた。
それが手のひらを返したようにこんな態度を取られたものだから正直戸惑いしかない。
だからどうしていいのか勝手がわからず、狼狽え半分に席に着き、問われるままに質問へと答えていた。

どうやらこの場にいる女性達は召喚された者達の近しい者達ばかりらしく、あれこれと自分の知り合いはどうなったのかと探りを入れてくる。
ルースの魔法で戻っては来るはずだが、無事を確認しておきたいのだろうと俺もわかる範囲で答えていく。

そうしているうちにルース好みの少年達がマリオン王子に憧憬の眼差しを送っていることに気が付いた。
これはもしかしてチャンスなんじゃないだろうか?
俺がタイミングよくマリオン王子に『他にも目を向けてみろ』とでも言ってやれば、その答え次第でルースの中のマリオン王子の評価が下がるかもしれない。
そう思ったのも束の間。
あの男は俺に一瞬挑発的な流し目を送ったかと思うと、そっと一枚クッキーを手に取り、ルースの口元へと持っていった。

(……?)

その行為に何の意図がと思ったのは一瞬だった。
あろうことかルースは全く躊躇うことなくそのクッキーをパクッと食べてしまったのだ。

(ルース?!)

まさかそんな馬鹿なと驚愕の眼差しで見ていると、たちまちその場はそんな二人を祝福するような空気に包まれてしまった。

「マリオン王子とルルナス王子は本当にお似合いですね」
「僕達、お二人を応援しています」
「ありがとう」

(あり得ない!)

満足げににこやかに答えるマリオン王子。
その雰囲気を特に喜ぶ様子もなく『ゲッ』とばかりに嵌められた感満載の表情になるルースの姿にだけはホッとしたものの、このままだとマリオン王子との仲が周知されるのは明らかだった。

だから俺は思い切って動くことにしたのだ。
たとえそれが悪手だったとしても────。


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