【完結】逆召喚!~いつまでも黙って召喚されると思うなよ?~

オレンジペコ

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31.諦めるはずがない Side.リオ

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ルルに振られた。
はっきりと正面から。
まさかこんな風に振られるなんて思ってもいなかった。

あのふざけた異世界人が捨て身で魔法を使いルルを奪おうとしたから、今度はそれを逆手にとってルルを手に入れようと思ったのに、それをする前に周囲の者達が余計なことを言ったせいでルルに決定的な言葉を口にさせてしまったのだ。
あれがなかったら状況的に覆すことができたというのに…。

(最悪だ)

外堀を埋め、状況的にルルが逃げられないようにして『ルルが振り向いてくれるまでずっと一途に愛を伝え続けるから、諦めて俺と婚約をしてくれ』と言おうと思っていたのに、それが全てダメになってしまった。
それもこれも全部あの異世界人が悪い。

魔法を使うことでルルを自主的に動かし、俺を振るところまでワンセット?
これまでの俺の努力をあざ笑うかのようにそんな状況に持ち込んだあの男をとても許せそうになかった。
ここが他国でなかったなら即殺してやったのに。

(でもルル。これで俺が諦めると思ったら大間違いだぞ?)

俺の魔法適正は第一魔法が闇で第二魔法が炎だ。

一般的に第一魔法が闇の者は執着心が強い。
そして第二魔法に情熱を表す炎が加わると嫉妬深さという形として現れる。
まさに俺はその典型的なタイプと言えるだろう。

ちなみにルルは第一魔法が慈愛の光で第二魔法がそれを補佐する闇だ。
それは安らぎへと繋がり、俺を落ち着かせる意味でもピッタリの相性。
だからこそ運命だと確信している。

(いっそさっさと抱いてしまおうか?)

責任は当然取るつもりだし、ここまで来たらその方が話が早い気がしてきた。
大体ルルは優しすぎるのだ。
今回だって自分を下げて、俺には勿体ないからと気遣ってくれた。
本当に嫌っているならもっと酷い言葉を投げつけて振ってきただろうし、そもそもの話最初から拒絶の姿勢を貫いたはずだ。
なのにいつだって無防備に俺の腕の中に納まって、手ずから与える菓子を全く迷うことなく食べてくれていた。
脈がないなんてあり得ない。
時間さえかければ確実に落とせたのに────。

「……マリオン王子?」

茶会のメンバーが気遣うように声を掛けてくるが、考え事をしているのにと舌打ちをしたくなる。
とは言え今日の茶会の主催は俺だ。
ここは一先ず冷静になって無難に終わらせるべきだろう。
下手を打てばあっという間に俺がルルに振られた話が広がってしまう。
それだけは避けたい。

「どうやら言葉が足りずルルを怒らせてしまったようですね。異世界人の彼にももっと気を遣うべきでした」
「そんなっ。マリオン王子は悪くないですわ!」
「いえ。ルルにあんな言葉を紡がせてしまったのは俺の責任だと思うので、これから誠心誠意謝って再度気持ちを伝えられたらと思います」
「何て健気なんでしょう?」
「本当に。きっとルルナス王子も落ち着いたらマリオン王子に申し訳ないとお思いになると思います」
「そうですわ!マリオン王子はこんなに素敵な方ですもの。きっとすぐに仲直りができますわ!」
「僕達もお二方が仲直りできるよう応援しています!お力になれることがあればなんでも言ってくださいね!」

皆が口々に俺とルルの仲を応援すると言ってくれる。

「ありがとう。そう言ってもらえると心強いです」

そして俺は力なく微笑み皆へと礼を述べた。
この場はこれで問題はないだろう。

それから皆こちらに好意的な態度でそれぞれの家へと帰っていった。
残された俺は片づけの指示を出しすぐさま動き出す。

今日ルルはあの男を抱くだろう。
非常に腹立たしいが、ルルは別にあの男が好きなわけではない。
それは俺が一番よく知っている。
普通好きな相手がいれば他の男と仲良くしたりはしないからだ。
そしてルルとあの男は魔力補給という繋がり以外にほとんど交流はない。
あの男が差し入れを持ってきてもルルは研究の方が大事と言わんばかりに受け取るだけ受け取ると言った感じらしい。
その辺りはルルと一緒に魔法を開発している研究員が教えてくれた。
だから今この時を耐えさえすればまた一か月ほどルルとあの男は距離が開くのだ。
そしてこれも研究員から得た情報だが、あの男を元居た世界に帰す魔法自体はもう完成しているらしい。
ついでに言うと向こうに召喚されてしまった者達をこちらに呼び寄せる魔法の方もほぼ出来上がっているらしい。
流石ルルだ。
素晴らしい才能だと思う。
まあその才能故に18才になったら召喚されると言われていたし、当然と言えば当然か。
恋愛方面の才能も全部そちらに持っていかれているんじゃないかと疑いたくなるほどこちら方面は疎いのにと思わなくもない。

ルルは初恋は俺だと言ってはくれたが、今日茶会に来てくれた者達に向ける目を見て俺は理解した。
彼らを見つめるルルの目は純粋に可愛いものを愛でるようなキラキラした目でしかなかった。
それは犬猫に向けるような慈しみの気持ちと変わらないものだ。
それを見てルルは恋を知らないのだと確信した。

幼い日のことは、きっと初めてルルに無邪気に話しかけた俺が偶々眩しくて可愛かったと言うだけの話だったんだろう。
単純に新鮮だったんだと思う。
それをルルが恋と勘違いした。
それが真相だ。

本当の恋というものはそんな簡単に諦められるものではないし、寝ても覚めても相手のことを考えてしまうものだ。
相手の行動に一喜一憂してしまうし、自分以外の誰かを見つめていれば嫉妬だってする。
きっとルルにはそんな気持ちを理解しろと言ってもわからないだろう。
何故なら恋をしたことがないのだから。

そんなルルを問答無用で意識させたいなら抱いてしまうのが一番だ。
俺を意識させてドロドロに甘やかして俺以外の誰にも目が向かないようにしてやりたい。
あの異世界の男はどうせもうすぐ自国へと帰るのだ。
そうすればもう二度と邪魔は入らない。

異世界召喚された者達が皆帰ってきたらルルは英雄になってしまうだろうが、そのせいで身動きが取れなくなってしまう前に外堀を埋めきって皆に祝福されながら国に連れ帰れるように手はずを整えてしまおう。
そのためにもルルを抱いていいという許可を予めもらっておきたい。
王と王妃は渋い顔をするだろうが、今日の茶会の話と俺の気持ちをしっかり伝えれば認めてくれる可能性もゼロではない。
最近の俺達は誰の目から見てもラブラブだったからそれも多少は判断材料になってくれるはずだ。

そして俺は速やかに謁見許可を取り、『無理強いはしないこと』という条件の元、無事に許可をもらうことができたのだった。


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