【完結】逆召喚!~いつまでも黙って召喚されると思うなよ?~

オレンジペコ

文字の大きさ
42 / 77

41.考えてみた。

しおりを挟む
リオに抱かれた。
正直気持ち良かったとは思うし、いい経験だったなとは思った。
でもそれでリオに落ちたかというとそういうこともない。
処女はあげたけど、別に童貞じゃないんだし、そこまでピュアではないつもりだ。
ちょっと恋愛音痴なだけなんだ。俺は。

そして改めて条件を揃えた上でリオとバドを比べるべきだろうなとも思ったのだけど、今現在とてもそんな呑気な状況ではなく、目の前ではリオとバドが言い合いを繰り広げている。

いきなりバドが部屋に突撃してきて、俺に治癒魔法を発動した時はどうしようかと思ったが、様子を見る限り倒れそうな様子はない。
これはかなりいい傾向だ。
少しずつ魔素摂取障害も良くなってきているということだろう。

そしてリオの方だが……。

(あ~…ちょっと嘘ついてたんだな)

バドとの言い合いの中で取り繕い切れていない部分がチラッと見えた。
多分後五年もしたら上手くズルい部分が出来上がってたんだろうけど、言ってもまだ16才。
大人のようでそうではない年齢だ。
嘘を吐くのは不慣れと見える。

これはただの予想だけど、あの夜、俺が寝惚けてベッドに引きずり込んだところまでは本当で、抱いたというのは嘘だったんだと思う。

(多分後ろだけ慣らしたんだろうな)

本当は抱きたいけど、初めてはちゃんとしたい。
でも逃げられそうだし既成事実があったと偽装したら…とでも思ったんだろう。

(リオは変にロマンチストなところがあるからな)

でもこういうところはとっても可愛いと思う。
年下だからって甘すぎる?
いや。俺、これくらいの可愛げがある方が好きなんだ。
逆に完璧なスパダリだったら『俺じゃなくても別にいいだろう』ってあっさり思って、興味すら抱かなかったと思う。
そういう意味では、相手としてなくはないのか?

(う~ん……でも、どうなんだろう?)

リオもバドも可愛いところがあるから決め手に欠ける。
抱かれる側と抱く側とどっちでもいけることが分かったことだし、この際ちゃんとじっくり考えてみよう。

スパダリとちょっと嘘ついて誤魔化しきれてない可愛いところがあるリオ。
普段偉そうで喧嘩腰だけど、俺に抱かれてる時だけは可愛いバド。

一緒に居て愛されてるなと強く思うのはリオだけど、不器用ながら好きだと言ってくるバドの方が可愛いなぁと凄く思う。
多分どっちを選んでも愛してもらえるとは思うけど、自分が愛せるかと言うと悩みに悩む。
バドが言っていた『恋は落ちるもの』っていうのもイマイチよくわからないし、考えても答えなんて出ないものなんだろうか?

(ホント。恋愛ってよくわからないな)

これがあと五年後とかなら…いや、せめて三年後とかだったらまた違ってたんだろうか?
もうちょっと人生経験を積まないととても分かる気がしない。
そういう意味でもちょっと異世界に行って俺を甘やかしてくる身内から遠ざかるのは良い事だと思うんだけど…。

(…そうだ!)

ふと急に良い事を思いついた。
リオとの婚約はどさくさ紛れに勝手に決定されてしまったけど、この後父に直談判して婚約期間を長くとってもらったらどうだろう?
王族同士の婚約なんだし、俺達は二人とも成人前なんだから別に構わないはず。
そしたら万が一俺がリオを好きになれなかった場合は婚約解消することができる。
リオも俺を騙したような状況だったから強くは出れないはずだ。
条件を呑んでくれなかったら、面倒だし『すぐ異世界に行ってくる』とでも言っておこう。
強制的に距離を取るのも手ではある。

(リオはすぐ搦め手でくるから、それくらいしないと)

そっちはそうしておくとして、バドとは話し合いが不可欠だ。
できれば同じタイミングで向こうに行きたいけど、現状難しそうだし、できる限りの下準備を整えておいてこっそり後追いもありかもしれないと考えた。
実はバドの世界へのアクセスコードは把握済みだから、ちょっと手間ではあるが、行こうと思えば一人でも行けるんだ。
最初に逆召喚魔法を行使した際に、あちらの魔法陣の構造を記録する魔法式も組み込んでいたからこそ把握できたのだと言っても過言ではない。
万が一にでも逆召喚魔法が失敗した場合、次に繋げるためにと仕込んでおいたものが役に立った形だ。
姉をなんとか説得できれば俺がいない間のフォローだって頼めるし、悪くはない考えだと思う。

そこまで考えたところで俺はクシュンと一つくしゃみをした。
目の前の二人の言い合いは一体いつ終わるんだろう?

「あ~……。二人とも。そろそろ落ち着かないか?」

流石に素っ裸でずっといると寒い。
もう強制的に終わらせてやろうか。
そう思って俺はさっさと二人から離れて服を着て、バドの袖をグイッと引っ張った。

「ほらバド。行くぞ」

そう言ったらバドは嬉々として顔を輝かせたけど、リオの方はショックを受けたような顔になって引き留めてきた。

「ルル!」
「リオ。お前も早く服を着ないと風邪引くぞ」

じゃあなと笑顔で俺はバドを連れて部屋を出る。
行き先は当然バドの部屋だ。

「ルース。寒くないか?」
「寒い!いつまで言い合ってんだ!」
「悪かった」

そう言いながらバドがまるで体温を分けるようにギュッと強く抱きしめてくる。

「……良かった」
「何が」
「あのまま『さっさと部屋から出ていけ』と言われるかもと思ったから」
「そんなこと言うわけないだろ?」

一体何の心配をしてるんだか。

「言っておくけど、俺はそんなにチョロくないからな?」
「騙されて抱かれたくせに、どの口が」
「~~~~!煩いな!しょうがないだろ?!状況的にパニックになってたんだから!」
「隙だらけだからそうなるんだ!年下に甘いにも程があるぞ?!」

そうしていつも通りギャアギャアと言い合いをしながら、俺達は並んで廊下を歩き出したのだった。


しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

処理中です...