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41.考えてみた。
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リオに抱かれた。
正直気持ち良かったとは思うし、いい経験だったなとは思った。
でもそれでリオに落ちたかというとそういうこともない。
処女はあげたけど、別に童貞じゃないんだし、そこまでピュアではないつもりだ。
ちょっと恋愛音痴なだけなんだ。俺は。
そして改めて条件を揃えた上でリオとバドを比べるべきだろうなとも思ったのだけど、今現在とてもそんな呑気な状況ではなく、目の前ではリオとバドが言い合いを繰り広げている。
いきなりバドが部屋に突撃してきて、俺に治癒魔法を発動した時はどうしようかと思ったが、様子を見る限り倒れそうな様子はない。
これはかなりいい傾向だ。
少しずつ魔素摂取障害も良くなってきているということだろう。
そしてリオの方だが……。
(あ~…ちょっと嘘ついてたんだな)
バドとの言い合いの中で取り繕い切れていない部分がチラッと見えた。
多分後五年もしたら上手くズルい部分が出来上がってたんだろうけど、言ってもまだ16才。
大人のようでそうではない年齢だ。
嘘を吐くのは不慣れと見える。
これはただの予想だけど、あの夜、俺が寝惚けてベッドに引きずり込んだところまでは本当で、抱いたというのは嘘だったんだと思う。
(多分後ろだけ慣らしたんだろうな)
本当は抱きたいけど、初めてはちゃんとしたい。
でも逃げられそうだし既成事実があったと偽装したら…とでも思ったんだろう。
(リオは変にロマンチストなところがあるからな)
でもこういうところはとっても可愛いと思う。
年下だからって甘すぎる?
いや。俺、これくらいの可愛げがある方が好きなんだ。
逆に完璧なスパダリだったら『俺じゃなくても別にいいだろう』ってあっさり思って、興味すら抱かなかったと思う。
そういう意味では、相手としてなくはないのか?
(う~ん……でも、どうなんだろう?)
リオもバドも可愛いところがあるから決め手に欠ける。
抱かれる側と抱く側とどっちでもいけることが分かったことだし、この際ちゃんとじっくり考えてみよう。
スパダリとちょっと嘘ついて誤魔化しきれてない可愛いところがあるリオ。
普段偉そうで喧嘩腰だけど、俺に抱かれてる時だけは可愛いバド。
一緒に居て愛されてるなと強く思うのはリオだけど、不器用ながら好きだと言ってくるバドの方が可愛いなぁと凄く思う。
多分どっちを選んでも愛してもらえるとは思うけど、自分が愛せるかと言うと悩みに悩む。
バドが言っていた『恋は落ちるもの』っていうのもイマイチよくわからないし、考えても答えなんて出ないものなんだろうか?
(ホント。恋愛ってよくわからないな)
これがあと五年後とかなら…いや、せめて三年後とかだったらまた違ってたんだろうか?
もうちょっと人生経験を積まないととても分かる気がしない。
そういう意味でもちょっと異世界に行って俺を甘やかしてくる身内から遠ざかるのは良い事だと思うんだけど…。
(…そうだ!)
ふと急に良い事を思いついた。
リオとの婚約はどさくさ紛れに勝手に決定されてしまったけど、この後父に直談判して婚約期間を長くとってもらったらどうだろう?
王族同士の婚約なんだし、俺達は二人とも成人前なんだから別に構わないはず。
そしたら万が一俺がリオを好きになれなかった場合は婚約解消することができる。
リオも俺を騙したような状況だったから強くは出れないはずだ。
条件を呑んでくれなかったら、面倒だし『すぐ異世界に行ってくる』とでも言っておこう。
強制的に距離を取るのも手ではある。
(リオはすぐ搦め手でくるから、それくらいしないと)
そっちはそうしておくとして、バドとは話し合いが不可欠だ。
できれば同じタイミングで向こうに行きたいけど、現状難しそうだし、できる限りの下準備を整えておいてこっそり後追いもありかもしれないと考えた。
実はバドの世界へのアクセスコードは把握済みだから、ちょっと手間ではあるが、行こうと思えば一人でも行けるんだ。
最初に逆召喚魔法を行使した際に、あちらの魔法陣の構造を記録する魔法式も組み込んでいたからこそ把握できたのだと言っても過言ではない。
万が一にでも逆召喚魔法が失敗した場合、次に繋げるためにと仕込んでおいたものが役に立った形だ。
姉をなんとか説得できれば俺がいない間のフォローだって頼めるし、悪くはない考えだと思う。
そこまで考えたところで俺はクシュンと一つくしゃみをした。
目の前の二人の言い合いは一体いつ終わるんだろう?
「あ~……。二人とも。そろそろ落ち着かないか?」
流石に素っ裸でずっといると寒い。
もう強制的に終わらせてやろうか。
そう思って俺はさっさと二人から離れて服を着て、バドの袖をグイッと引っ張った。
「ほらバド。行くぞ」
そう言ったらバドは嬉々として顔を輝かせたけど、リオの方はショックを受けたような顔になって引き留めてきた。
「ルル!」
「リオ。お前も早く服を着ないと風邪引くぞ」
じゃあなと笑顔で俺はバドを連れて部屋を出る。
行き先は当然バドの部屋だ。
「ルース。寒くないか?」
「寒い!いつまで言い合ってんだ!」
「悪かった」
そう言いながらバドがまるで体温を分けるようにギュッと強く抱きしめてくる。
「……良かった」
「何が」
「あのまま『さっさと部屋から出ていけ』と言われるかもと思ったから」
「そんなこと言うわけないだろ?」
一体何の心配をしてるんだか。
「言っておくけど、俺はそんなにチョロくないからな?」
「騙されて抱かれたくせに、どの口が」
「~~~~!煩いな!しょうがないだろ?!状況的にパニックになってたんだから!」
「隙だらけだからそうなるんだ!年下に甘いにも程があるぞ?!」
そうしていつも通りギャアギャアと言い合いをしながら、俺達は並んで廊下を歩き出したのだった。
正直気持ち良かったとは思うし、いい経験だったなとは思った。
でもそれでリオに落ちたかというとそういうこともない。
処女はあげたけど、別に童貞じゃないんだし、そこまでピュアではないつもりだ。
ちょっと恋愛音痴なだけなんだ。俺は。
そして改めて条件を揃えた上でリオとバドを比べるべきだろうなとも思ったのだけど、今現在とてもそんな呑気な状況ではなく、目の前ではリオとバドが言い合いを繰り広げている。
いきなりバドが部屋に突撃してきて、俺に治癒魔法を発動した時はどうしようかと思ったが、様子を見る限り倒れそうな様子はない。
これはかなりいい傾向だ。
少しずつ魔素摂取障害も良くなってきているということだろう。
そしてリオの方だが……。
(あ~…ちょっと嘘ついてたんだな)
バドとの言い合いの中で取り繕い切れていない部分がチラッと見えた。
多分後五年もしたら上手くズルい部分が出来上がってたんだろうけど、言ってもまだ16才。
大人のようでそうではない年齢だ。
嘘を吐くのは不慣れと見える。
これはただの予想だけど、あの夜、俺が寝惚けてベッドに引きずり込んだところまでは本当で、抱いたというのは嘘だったんだと思う。
(多分後ろだけ慣らしたんだろうな)
本当は抱きたいけど、初めてはちゃんとしたい。
でも逃げられそうだし既成事実があったと偽装したら…とでも思ったんだろう。
(リオは変にロマンチストなところがあるからな)
でもこういうところはとっても可愛いと思う。
年下だからって甘すぎる?
いや。俺、これくらいの可愛げがある方が好きなんだ。
逆に完璧なスパダリだったら『俺じゃなくても別にいいだろう』ってあっさり思って、興味すら抱かなかったと思う。
そういう意味では、相手としてなくはないのか?
(う~ん……でも、どうなんだろう?)
リオもバドも可愛いところがあるから決め手に欠ける。
抱かれる側と抱く側とどっちでもいけることが分かったことだし、この際ちゃんとじっくり考えてみよう。
スパダリとちょっと嘘ついて誤魔化しきれてない可愛いところがあるリオ。
普段偉そうで喧嘩腰だけど、俺に抱かれてる時だけは可愛いバド。
一緒に居て愛されてるなと強く思うのはリオだけど、不器用ながら好きだと言ってくるバドの方が可愛いなぁと凄く思う。
多分どっちを選んでも愛してもらえるとは思うけど、自分が愛せるかと言うと悩みに悩む。
バドが言っていた『恋は落ちるもの』っていうのもイマイチよくわからないし、考えても答えなんて出ないものなんだろうか?
(ホント。恋愛ってよくわからないな)
これがあと五年後とかなら…いや、せめて三年後とかだったらまた違ってたんだろうか?
もうちょっと人生経験を積まないととても分かる気がしない。
そういう意味でもちょっと異世界に行って俺を甘やかしてくる身内から遠ざかるのは良い事だと思うんだけど…。
(…そうだ!)
ふと急に良い事を思いついた。
リオとの婚約はどさくさ紛れに勝手に決定されてしまったけど、この後父に直談判して婚約期間を長くとってもらったらどうだろう?
王族同士の婚約なんだし、俺達は二人とも成人前なんだから別に構わないはず。
そしたら万が一俺がリオを好きになれなかった場合は婚約解消することができる。
リオも俺を騙したような状況だったから強くは出れないはずだ。
条件を呑んでくれなかったら、面倒だし『すぐ異世界に行ってくる』とでも言っておこう。
強制的に距離を取るのも手ではある。
(リオはすぐ搦め手でくるから、それくらいしないと)
そっちはそうしておくとして、バドとは話し合いが不可欠だ。
できれば同じタイミングで向こうに行きたいけど、現状難しそうだし、できる限りの下準備を整えておいてこっそり後追いもありかもしれないと考えた。
実はバドの世界へのアクセスコードは把握済みだから、ちょっと手間ではあるが、行こうと思えば一人でも行けるんだ。
最初に逆召喚魔法を行使した際に、あちらの魔法陣の構造を記録する魔法式も組み込んでいたからこそ把握できたのだと言っても過言ではない。
万が一にでも逆召喚魔法が失敗した場合、次に繋げるためにと仕込んでおいたものが役に立った形だ。
姉をなんとか説得できれば俺がいない間のフォローだって頼めるし、悪くはない考えだと思う。
そこまで考えたところで俺はクシュンと一つくしゃみをした。
目の前の二人の言い合いは一体いつ終わるんだろう?
「あ~……。二人とも。そろそろ落ち着かないか?」
流石に素っ裸でずっといると寒い。
もう強制的に終わらせてやろうか。
そう思って俺はさっさと二人から離れて服を着て、バドの袖をグイッと引っ張った。
「ほらバド。行くぞ」
そう言ったらバドは嬉々として顔を輝かせたけど、リオの方はショックを受けたような顔になって引き留めてきた。
「ルル!」
「リオ。お前も早く服を着ないと風邪引くぞ」
じゃあなと笑顔で俺はバドを連れて部屋を出る。
行き先は当然バドの部屋だ。
「ルース。寒くないか?」
「寒い!いつまで言い合ってんだ!」
「悪かった」
そう言いながらバドがまるで体温を分けるようにギュッと強く抱きしめてくる。
「……良かった」
「何が」
「あのまま『さっさと部屋から出ていけ』と言われるかもと思ったから」
「そんなこと言うわけないだろ?」
一体何の心配をしてるんだか。
「言っておくけど、俺はそんなにチョロくないからな?」
「騙されて抱かれたくせに、どの口が」
「~~~~!煩いな!しょうがないだろ?!状況的にパニックになってたんだから!」
「隙だらけだからそうなるんだ!年下に甘いにも程があるぞ?!」
そうしていつも通りギャアギャアと言い合いをしながら、俺達は並んで廊下を歩き出したのだった。
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