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51.国王との対面
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リセル嬢のところへ行った後で部屋へと戻ってゆっくりしていると、国王から晩餐に招待したいというお誘いが入った。
そう言えば俺、まだ挨拶も何もしていなかった。
バドと再会できた喜びですっかり頭から飛んでいたけど、物凄く失礼な行為だったなと反省してしまう。
「うっかりしてたな。ゴメン、バド」
だからそう言ったのだけど、バドは気にする必要なんてないから言ってくれて、いきなりおかしなことを言い出した。
「ルース。晩餐の席で何か薬を盛られる危険性がある。回避できる魔法はないか?」
「え?」
薬ってなんだと思ってよく聞くと、国王は俺とバドを結婚させてこの国に確実に滞在してほしいらしい。
そのためにその結婚準備中俺の具合を悪くさせておこうと画策している節があるのだとか。
「なるほど」
なかなかやることが酷い。
まあこっちもこっちでごっそり召喚された者達を取り返そうとしてるんだし、ある意味酷いことを計画している段階だからどっちもどっちかもしれないが。
(こうなったら騙し合いだな)
向こうは俺を手に入れたい。
こっちは全員取り戻したい。
(ふふふ。見てろよ)
バドには悪いが、この国が人攫いの国だという事実は何も変わらないのだ。
上手く出し抜いて最後に愕然とさせてやろう。
「それに関しては大丈夫だ。俺は鑑定魔法も使えるしな。それよりバド。例の召喚魔法が書かれた書物って見せてもらえるのか?」
「ルースは難しいだろうな。あれは特別書庫の中でも王族だけが見ることができるエリアに保管されているから…」
「そっか。それならこっそりここまで持ってきてくれないか?」
「え?」
「闇魔法で影に隠して持ってきたらバレないだろ?」
「……そんな魔法、知らないんだが?」
「じゃあ教える」
すぐにできるようになるからと軽い感じで伝え、サクッと教えたらあっさり覚えた。
バドは物凄く驚いたようだけど、別にそんなに驚くようなものではないと思う。
魔法って使いこなしたら本当に便利だし、自分の得意な魔法だけでもいいからもっとその奥深さを知ってほしい。
「他に召喚関連の本って存在してたりするのか?」
「いや。特には」
「じゃあ神殿の方で召喚魔法について記録しているとかそういうのは?」
「それは当然あるが、儀式関連は一か所にまとめてあるからルースが見たいなら見ることはできると思う」
「ふ~ん…」
他にも細々とバドに確認を取ってみると、案外俺がやろうとしていることは可能だということがわかった。
「何とかなりそうだな」
「ルース。物凄く悪そうな顔になってるぞ?まさか…」
「そのまさかだ」
逆召喚魔法は作ったものの、毎年毎年バドみたいにこっちの世界の人間がやってきたら面倒臭い。
それならいっそのこと誰も来れないようにしてしまえばいい。
つまり、こっちに来ているついでに召喚関連の一切の書物を燃やすなりなんなりして処分してしまえばいいのだ。
そうすれば二度と誰一人召喚されることはなくなるし、異世界の者に悩まされずに済む。
帰らない選択をした者達にはその分腹を括ってもらわないといけなくなるけど、自分が選んだ選択だしそこだけは諦めてほしいと思う。
「バレないように上手くやらないとな」
できれば元凶である魔法陣は早い段階で処分してしまいたい。
そんなことを考えながら俺は晩餐の席へと向かった。
***
【Side.国王】
息子が言っていた異世界の天才魔法使いがとうとうやってきた。
報告を受けバドにすぐさま迎えに行かせたが、上手く連れ帰ることはできただろうか?
バドの伴侶に相応しい広い部屋を用意し、丁重に扱うよう周囲にも伝達を出したし、料理長にもとっておきの料理を作ってもらえるよう指示を出しておく。
(そうだ。ダメで元々、ワインに媚薬を盛るよう伝えておこうか?)
これなら上手くいきさえすれば食後に勝手にバドといい雰囲気になるはず。
手を打つのは早ければ早いほどいい。
早速実行だ。
そのまま事に及べば明日の朝祝福の言葉を贈りつつ結婚の話をしてしまおう。
そこでもし断られてしまったとしても薬を使って上手く軟禁して、結婚式に持ち込んでしまえばこちらのものだ。
魔法契約書である婚姻届けに署名さえさせられればもう逃げられないのだから。
そんなことを考えながら晩餐の席へと招待した。
晩餐の席へとやってきたのは品の良い可愛らしい青年だった。
身長はほぼバドと同じくらいだが、その顔は年齢より幾分幼く見える。
(騙しやすそうな相手だな)
天才魔法使いなどとバドが言うから多少警戒していたが、これなら全然大丈夫そうだ。
「挨拶が遅れて申し訳ありません。ルルナスと申します。どうぞよろしくお願い致します」
少し不安そうにこちらを見てくる姿に『まだまだ子供だな』と微笑ましく思いながら『気にする必要はない』と笑顔で言ってやるとホッとしたような顔で礼を言ってきた。
なかなか素直そうな子だ。
ちなみに晩餐の席にはバドと第二王子のビージーも同席させている。
王妃も当然一緒だ。
「ルルナス王子。話はバドから聞いている。あちらでは世話になったそうだな」
「いえ。慣れない生活の助けになったのなら幸いです」
はにかむように答える姿に敵意はなく、これまで接してきたどの召喚者達とも違い非常に好感が持てた。
けれどそれを怪しんだのはビージーだ。
「ふん。どういった意図でここに来たのかは知らないが、俺は騙されないぞ。どうせ腹の中ではこれまでの者達同様勝手にこちらを恨んでるんだろう?」
「と言うと?」
「あいつらは皆揃いも揃って泣きながらこう言うんだ。『家に帰して』『家族が待ってるんだ』と。だが帰れないと知るや否や『何故呼んだ!』とこちらを睨み逆恨みしてくる。神からこの国に来る栄誉を賜ったのに酷いものだ」
「……そうですか。実に罪深いですね」
ビージーの言葉にルルナス王子はポツリとそう言ったが、その目にはやはり憎しみや怒りと言った感情は何一つ見られない。
と言うよりも、難癖つけられて困惑している印象を受けた。
折角ルルナス王子はこちらに悪い印象を持っていなかったようなのに、ビージーのせいで悪印象を持たれてしまったら困るではないか。
「ビージー。客人に失礼だ。口を慎め」
「ですが父上!」
「煩いぞ。ルルナス王子、愚息が申し訳ない。さあさあ、折角来られたのですから我が国自慢の料理を堪能してもらいたい。料理長が腕によりをかけて作った自信作ですぞ」
「ありがとうございます」
そしてルルナス王子は優雅に食事をし始めた。
王妃の厳しいマナーチェックが入るかと思いきや、そんな隙を一切与えず綺麗に食べる姿は素晴らしいの一言。
妃は『異世界人は性格が攻撃的で野蛮だから好きではない』と公言して憚らず、バドの話もどこか不満気に聞いていたが、ルルナス王子の品の良さに好印象を抱いたようだった。
「ルルナス王子。あちらでのバドの様子はいかがでしたか?」
しかもそんな風に和やかに話まで振るとは余程気に入った様子。
「はい。よく研究室へ差し入れを持ってきてくれました」
「まあ。仲が良いのですね」
「お陰でこちらに戻す魔法を開発するのもはかどりました」
「そうなの。そう言えばルルナス王子は魔法の天才なのだと聞いたわ。凄いのね」
「ありがとうございます」
和気藹々と話す二人。
そんな中またしてもビージーが横槍を入れる。
「ふん。年だって私とそう変わらないくせに偉そうに。どうせ指示だけ出して優秀な部下達に作らせたんだろう?それくらい分かるんだぞ」
「ビージー!!」
流石にこの暴言はいただけない。
「もういい。お前は出ていけ」
「……え?」
「客人をもてなす気のない愚か者はこの席に着く資格などない。今すぐここから出ていけ!」
「父上?!」
驚くビージーを無視して、ルルナス王子へ謝罪し、そうだと思いここでワインを勧めてみる。
「お耳汚しをしてしまい申し訳ない。ビージーはすぐに退席させるので許してもらいたい。一先ずワインでもどうだろうか?きっと気に入ってもらえると思う」
けれどそれに腹を立てたビージーが突然風魔法を放ちルルナス王子のワイングラスを割ってしまう。
飛び散るワインがルルナス王子の衣服へとかかり、たちまちワインの染みが広がった。
「ふん。咄嗟に防御魔法も展開できない無能が!いい気味だ!」
そんな捨て台詞を吐きながらさっさと退室していくビージーに怒りが湧いた。
あいつは暫く謹慎処分にしてやろう。
若しくは性根を叩き直すべく騎士団で扱いてもらわねば。
「ルルナス王子。申し訳ない」
「いえ。着替えのため退席する許可を頂けますか?」
「仕方がない。では食事はまた後で部屋へと届けさせよう」
「ありがとうございます」
そう言って綺麗な礼をしてルルナス王子は下がっていった。
怒り狂うでもなく実に穏やかな王子だ。
(ビージーとはそもそもの出来が違うな)
そう考えた上で『これなら無理に薬を使わなくても、上手く言い包めるだけでここに居てもらえそうだ』と思ったのだった。
そう言えば俺、まだ挨拶も何もしていなかった。
バドと再会できた喜びですっかり頭から飛んでいたけど、物凄く失礼な行為だったなと反省してしまう。
「うっかりしてたな。ゴメン、バド」
だからそう言ったのだけど、バドは気にする必要なんてないから言ってくれて、いきなりおかしなことを言い出した。
「ルース。晩餐の席で何か薬を盛られる危険性がある。回避できる魔法はないか?」
「え?」
薬ってなんだと思ってよく聞くと、国王は俺とバドを結婚させてこの国に確実に滞在してほしいらしい。
そのためにその結婚準備中俺の具合を悪くさせておこうと画策している節があるのだとか。
「なるほど」
なかなかやることが酷い。
まあこっちもこっちでごっそり召喚された者達を取り返そうとしてるんだし、ある意味酷いことを計画している段階だからどっちもどっちかもしれないが。
(こうなったら騙し合いだな)
向こうは俺を手に入れたい。
こっちは全員取り戻したい。
(ふふふ。見てろよ)
バドには悪いが、この国が人攫いの国だという事実は何も変わらないのだ。
上手く出し抜いて最後に愕然とさせてやろう。
「それに関しては大丈夫だ。俺は鑑定魔法も使えるしな。それよりバド。例の召喚魔法が書かれた書物って見せてもらえるのか?」
「ルースは難しいだろうな。あれは特別書庫の中でも王族だけが見ることができるエリアに保管されているから…」
「そっか。それならこっそりここまで持ってきてくれないか?」
「え?」
「闇魔法で影に隠して持ってきたらバレないだろ?」
「……そんな魔法、知らないんだが?」
「じゃあ教える」
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バドは物凄く驚いたようだけど、別にそんなに驚くようなものではないと思う。
魔法って使いこなしたら本当に便利だし、自分の得意な魔法だけでもいいからもっとその奥深さを知ってほしい。
「他に召喚関連の本って存在してたりするのか?」
「いや。特には」
「じゃあ神殿の方で召喚魔法について記録しているとかそういうのは?」
「それは当然あるが、儀式関連は一か所にまとめてあるからルースが見たいなら見ることはできると思う」
「ふ~ん…」
他にも細々とバドに確認を取ってみると、案外俺がやろうとしていることは可能だということがわかった。
「何とかなりそうだな」
「ルース。物凄く悪そうな顔になってるぞ?まさか…」
「そのまさかだ」
逆召喚魔法は作ったものの、毎年毎年バドみたいにこっちの世界の人間がやってきたら面倒臭い。
それならいっそのこと誰も来れないようにしてしまえばいい。
つまり、こっちに来ているついでに召喚関連の一切の書物を燃やすなりなんなりして処分してしまえばいいのだ。
そうすれば二度と誰一人召喚されることはなくなるし、異世界の者に悩まされずに済む。
帰らない選択をした者達にはその分腹を括ってもらわないといけなくなるけど、自分が選んだ選択だしそこだけは諦めてほしいと思う。
「バレないように上手くやらないとな」
できれば元凶である魔法陣は早い段階で処分してしまいたい。
そんなことを考えながら俺は晩餐の席へと向かった。
***
【Side.国王】
息子が言っていた異世界の天才魔法使いがとうとうやってきた。
報告を受けバドにすぐさま迎えに行かせたが、上手く連れ帰ることはできただろうか?
バドの伴侶に相応しい広い部屋を用意し、丁重に扱うよう周囲にも伝達を出したし、料理長にもとっておきの料理を作ってもらえるよう指示を出しておく。
(そうだ。ダメで元々、ワインに媚薬を盛るよう伝えておこうか?)
これなら上手くいきさえすれば食後に勝手にバドといい雰囲気になるはず。
手を打つのは早ければ早いほどいい。
早速実行だ。
そのまま事に及べば明日の朝祝福の言葉を贈りつつ結婚の話をしてしまおう。
そこでもし断られてしまったとしても薬を使って上手く軟禁して、結婚式に持ち込んでしまえばこちらのものだ。
魔法契約書である婚姻届けに署名さえさせられればもう逃げられないのだから。
そんなことを考えながら晩餐の席へと招待した。
晩餐の席へとやってきたのは品の良い可愛らしい青年だった。
身長はほぼバドと同じくらいだが、その顔は年齢より幾分幼く見える。
(騙しやすそうな相手だな)
天才魔法使いなどとバドが言うから多少警戒していたが、これなら全然大丈夫そうだ。
「挨拶が遅れて申し訳ありません。ルルナスと申します。どうぞよろしくお願い致します」
少し不安そうにこちらを見てくる姿に『まだまだ子供だな』と微笑ましく思いながら『気にする必要はない』と笑顔で言ってやるとホッとしたような顔で礼を言ってきた。
なかなか素直そうな子だ。
ちなみに晩餐の席にはバドと第二王子のビージーも同席させている。
王妃も当然一緒だ。
「ルルナス王子。話はバドから聞いている。あちらでは世話になったそうだな」
「いえ。慣れない生活の助けになったのなら幸いです」
はにかむように答える姿に敵意はなく、これまで接してきたどの召喚者達とも違い非常に好感が持てた。
けれどそれを怪しんだのはビージーだ。
「ふん。どういった意図でここに来たのかは知らないが、俺は騙されないぞ。どうせ腹の中ではこれまでの者達同様勝手にこちらを恨んでるんだろう?」
「と言うと?」
「あいつらは皆揃いも揃って泣きながらこう言うんだ。『家に帰して』『家族が待ってるんだ』と。だが帰れないと知るや否や『何故呼んだ!』とこちらを睨み逆恨みしてくる。神からこの国に来る栄誉を賜ったのに酷いものだ」
「……そうですか。実に罪深いですね」
ビージーの言葉にルルナス王子はポツリとそう言ったが、その目にはやはり憎しみや怒りと言った感情は何一つ見られない。
と言うよりも、難癖つけられて困惑している印象を受けた。
折角ルルナス王子はこちらに悪い印象を持っていなかったようなのに、ビージーのせいで悪印象を持たれてしまったら困るではないか。
「ビージー。客人に失礼だ。口を慎め」
「ですが父上!」
「煩いぞ。ルルナス王子、愚息が申し訳ない。さあさあ、折角来られたのですから我が国自慢の料理を堪能してもらいたい。料理長が腕によりをかけて作った自信作ですぞ」
「ありがとうございます」
そしてルルナス王子は優雅に食事をし始めた。
王妃の厳しいマナーチェックが入るかと思いきや、そんな隙を一切与えず綺麗に食べる姿は素晴らしいの一言。
妃は『異世界人は性格が攻撃的で野蛮だから好きではない』と公言して憚らず、バドの話もどこか不満気に聞いていたが、ルルナス王子の品の良さに好印象を抱いたようだった。
「ルルナス王子。あちらでのバドの様子はいかがでしたか?」
しかもそんな風に和やかに話まで振るとは余程気に入った様子。
「はい。よく研究室へ差し入れを持ってきてくれました」
「まあ。仲が良いのですね」
「お陰でこちらに戻す魔法を開発するのもはかどりました」
「そうなの。そう言えばルルナス王子は魔法の天才なのだと聞いたわ。凄いのね」
「ありがとうございます」
和気藹々と話す二人。
そんな中またしてもビージーが横槍を入れる。
「ふん。年だって私とそう変わらないくせに偉そうに。どうせ指示だけ出して優秀な部下達に作らせたんだろう?それくらい分かるんだぞ」
「ビージー!!」
流石にこの暴言はいただけない。
「もういい。お前は出ていけ」
「……え?」
「客人をもてなす気のない愚か者はこの席に着く資格などない。今すぐここから出ていけ!」
「父上?!」
驚くビージーを無視して、ルルナス王子へ謝罪し、そうだと思いここでワインを勧めてみる。
「お耳汚しをしてしまい申し訳ない。ビージーはすぐに退席させるので許してもらいたい。一先ずワインでもどうだろうか?きっと気に入ってもらえると思う」
けれどそれに腹を立てたビージーが突然風魔法を放ちルルナス王子のワイングラスを割ってしまう。
飛び散るワインがルルナス王子の衣服へとかかり、たちまちワインの染みが広がった。
「ふん。咄嗟に防御魔法も展開できない無能が!いい気味だ!」
そんな捨て台詞を吐きながらさっさと退室していくビージーに怒りが湧いた。
あいつは暫く謹慎処分にしてやろう。
若しくは性根を叩き直すべく騎士団で扱いてもらわねば。
「ルルナス王子。申し訳ない」
「いえ。着替えのため退席する許可を頂けますか?」
「仕方がない。では食事はまた後で部屋へと届けさせよう」
「ありがとうございます」
そう言って綺麗な礼をしてルルナス王子は下がっていった。
怒り狂うでもなく実に穏やかな王子だ。
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