【完結】逆召喚!~いつまでも黙って召喚されると思うなよ?~

オレンジペコ

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68.謝罪 Side.ジードリオ

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マリオン王子からの呼び出しを受け、俺は戦々恐々としながら彼が待つ部屋へと向かった。
そしてドアをノックし部屋へと入り、どこか申し訳なさそうな顔をするマリオン王子の表情を見て、俺は完全にバレているのだと悟りその場で勢いよく頭を下げた。

「すまなかった!!」

謝ってすむことではないということは十分にわかっている。
けれどそれでも謝らないわけにはいかないと思った。
騙していたのは事実なのだから。

「ジードリオ王子。顔を上げてください」

マリオン王子はそう言ってくれるけど、そんなに簡単に上げられるものではない。
けれどそんな自分にマリオン王子は重ねて言ってくる。

「謝るとしたら俺の方です。貴方だけではなく陛下達含め皆様に気遣っていただいていたのですから」
「…………」
「きちんと謝りたいので、どうか頭を上げてもらえませんか?」

その言葉に恐る恐る顔を上げると、申し訳なさそうにしながらそっと手を差し伸べてくれる。

「本当は、初めからわかっていたんです」
「え……」
「でも、辛くて…耐えられそうになかったから、貴方達の優しさに甘えてしまいました」

そう言いながら俺を席までエスコートして座らせてから、マリオン王子は俺へと深々と頭を下げてくる。

「申し訳ありませんでした」
「マリオン王子…」

どうして…彼が謝る必要があるの言うのだろう?
悪いのは全部ルルナスなのに。
そう思って悲しくなった。
だから謝る必要はないと素直に口にした。

「マリオン王子。謝るべきはルルナスだ。貴方じゃない」
「でも…」

それでも申し訳なさそうにするマリオン王子をなんとか安心させたくて、俺は無理矢理笑顔を作った。

「マリオン王子との時間はとても有意義な時間だった。だから申し訳ないなんて思う必要もないし、逆に『騙された!』とこちらを責めてくれてもいいくらいだと俺は思う」
「そんなことは…」

戸惑うように言葉を探すマリオン王子に俺は重ねて真摯に言葉を紡ぐ。

「弟が貴方を傷つけて申し訳なかった」

なのにそう言った途端マリオン王子の目からポロリと涙が零れ落ちて、何故か『貴方は優しすぎる』と言われてしまった。
そしてルルナスが帰ってきた瞬間に思いがけず立ち会ってしまったことから始まり、はっきりと振られてしまったということまでぽつぽつと語ってくれる。
ルルナスからすれば好きな相手ができたから中途半端なことはせず筋を通そうとしたのだろう。
それはわからなくはない。
でも今目の前で落ち込むマリオン王子の姿は以前婚約者に捨てられてしまった直後の自分とも姿が重なって凄く胸が痛くなった。
それが好きな相手だから尚更だ。
だから俺はそっと立ち上がり、椅子の横で泣くマリオン王子をそっと抱きしめた。

「マリオン王子。ここには俺しかいない。だから全部気持ちを吐き出して沢山泣いて欲しい」
「ジ、ジードリオ…王子……っ」
「我慢すればするだけ辛いって、俺が一番よくわかってるから、こういう時はしっかり泣くのが一番だと自信を持って言えるぞ?」

そう言ってやったら甘えるように抱き着いてきて、マリオン王子は失恋の辛さを吐き出すように俺の腕の中で暫く泣いていた。

それからある程度落ち着いたところでお茶を飲んだのだけど、その表情は幾分晴れ晴れとしているようにも見えたから、少しは気持ちも楽になったのだろうとホッと安堵の息を吐く。
そんな中、マリオン王子が『子供っぽく泣いてすみませんでした』と恥ずかしそうに言ってきたのが印象的だった。
まだまだ子供なのにそんなセリフが出てくるところが可愛らしい。
でもそんな姿にも愛おしさが湧いてきて胸を焦がすのはどうしたらいいのだろうか?

「ジードリオ王子。話を聞いてくれてありがとうございました」
「いや。少しでも気持ちが軽くなったのならいいんだが」

そう言った俺に穏やかに微笑んで、けれど次の言葉に俺は心臓が凍り付くかと思った。

「ルルに振られてしまったので、俺がここに居る理由がなくなってしまいました」

確かにそうだ。
マリオン王子はそもそもルルナスに好きになってもらうためにここへと滞在していたに過ぎないのだから。

「そ…うか……」

こうしてお茶を一緒に飲める時間もあと僅か。
下手をしたらこれが最後なのかもしれない。
そう思うだけで胸がズクズクと嫌な痛みに襲われ始めた。

「でも、せめて全てが終わるまで見届けてから帰りたいと言う気持ちもあります。それくらいの時間は滞在が許されるでしょうか?」

その言葉に俺はハッと顔を上げ、もちろんだと力強く答えを返す。

「父上には俺から口添えをしておくから、マリオン王子さえよければいくらでも滞在していって欲しい」
「ありがとうございます」

どこかホッとしたような顔でそう告げてくる姿に俺はグッと拳に力を籠め、思い切ってダメ元でマリオン王子を誘った。

「マリオン王子!もしこの後時間があるなら、一緒に街へ出かけないか?」
「え…」
「俺はルルナスより街には詳しいし、折角この国に来ているのだから色々な場所を案内したいと思っていた。どうだろうか?」

ただでさえ失恋した後だ。
このまま部屋で一人過ごしていたら吹っ切れる気持ちも吹っ切れないだろう。
それなら無理にでも外へと連れ出して、気分転換をさせてやりたいと思った。
断られる可能性は当然高いだろう。
それでも言わずにはいられなかった。

そんな俺の思いを汲み取ってくれたのか、マリオン王子はどことなく嬉しそうにしながら承諾の言葉をくれる。

「ジードリオ王子のお誘いなら、喜んで」

その返事に俺が喜んだのは間違いない。

ちなみに出掛ける前に、どうせ街を歩くのならあまり王子とバレない方がいいだろうということになって、俺はマリオン王子をルルの姿でなく今の姿で『リオ』と呼ぶことが許された。
それを受けて俺も好きに呼んでくれて構わないと口にしたら、『愛称はジードですか?』と訊かれたから違うと答えた。
大抵の騎士は俺をジードリオ王子と呼ぶし、親しい者はジド殿下と呼ぶ。
でもマリオン王子がジドと呼ぶとリオと発音が似ているからややこしいんじゃないかなと思い、そう口にした。
するとセカンドネームで呼んでもいいかと聞かれたから、まあいいかと思い承諾することに。

「セカンドネームはランスだ。ジードリオ=ランス=サレーヌ」
「ランス…。ではそう呼ばせてもらいたい」
「よろしく」

マリオン王子だけが呼ぶ俺の名前。
それがなんだか嬉しくて、俺ははにかむように笑った。


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