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父との日常
しおりを挟むビケージュ皇国は栄えた国である。
故に他国からの侵略を受ける事も多々あり、その豊な土壌と豊かな資金と豊かな美形を奪わんとする敵国は跡を絶たない。
その他国からの侵略を護る一人の勇者が居た。
その者こそジョルジュ=ダディア、ダディア公爵家の家主であり国の宝であるグルガナ=ダディアの父である。
その日、ダディア家に対して一報が飛び込んできた。
『東国のブーサイク帝国より侵略、ダディア公爵家はただちに兵と共に出陣されたし』
その報せは、過去朝に目が覚める筈が嫁に縛られていたことから不埒な性癖に目覚めたジョルジュにとっても驚きの報せだった。
ブーサイク帝国、ビケージュ皇国の怨敵にして相反する思考を掲げる不細工の集団国家。
されど侮るなかれ、顔は整わずとも軍備は整っているのがブーサイク帝国であり、不細工の本当の意味はその強さが故に戦に細工は不要という意味と噂される程に強靭で不細工な軍隊を保有している。
戦争においても並び立つはブーサイク帝国とキンニック公国のみと言われるビケージュ皇国にとって、その戦が持つ意味は大きな物だった。
その報せを受けたジョルジュは静かに軍備を整えながらも夜の営みでは家畜が如き声を上げ、日夜忙しい日々を送りながらも娘には悟らせまいと秘密裏に事を進めていた。
戦争となれば娘であるグルガナは参戦を表明する事は目に見えており、もう一方の秘密はバレれば親子の縁を切られ兼ねないと危険視したのだ。
だが、ジョルジュは娘を完全には理解していなかった。
まさか娘が聴力まで鍛えており5km先で落ちた針のサイズから素材まで当てられるなど誰が予想出来ようか、そして父の性癖を理解しており毎晩耳を塞ぎ顔を真っ赤にして眠っている事など誰が想像出来ようか。
グルガナはジョルジュに自ら進言した。
「戦が迫っているのなら、私を連れだすが正道」
それは偽り無き言葉だった。
グルガナが戦いに加わればブーサイクであろうともひとたまりも無いだろう。それは事実であり、国を想う忠臣であるならば正しき行為だとジョルジュも頷く事が出来たであろう。
しかし、ジョルジュが出した答えは反対。
「例えそれが正道なれど、歩まぬが我が道」
これにはグルガナも驚き、思わず上げた声で家のシャンデリアが落下しそうになりジョルジュは肝を冷やした。
「悪戯心や意地悪から言うのでは無い」
諭す様に語りかけるジョルジュに、グルガナは自然と耳を傾けていた。
そうする事で三倍聞こえるので心に残りやすいのだ。
「強かれど娘、何処に娘を喜び勇んで戦場に連れて行く親がいようか」
ジョルジュは忠臣である事よりも、父親である事を選んだのだ。
結論から述べると、ビケージュ皇国はブーサイク帝国に勝利した。
その帰結に至るまで多くの物事が生じたが、大きな要因としてジョルジュの名を後世の歴史家達は上げる。
この戦についてブーサイク帝国はこう記している。
『人数、兵の熟練度、時の選びの全てにおいて我が国はビケージュを勝った。 されど将という点においてジョルジュ=ダディアは石壁が如き堅牢さを誇り、将自らが矢面に立ち剣檄による痛みに笑みを浮かべる様は生涯の悪夢であった』と……。
グルガナの稽古に付き合い正面から彼女の攻撃を凌ぐ事の出来る稀有な男ジョルジュ、彼は持ち合わせた頑強さと性癖も相まって最大の戦果を上げたのである。
長女グルガナを戦地に送りたく無いという親心、傍目から見た彼の行動は偉大なる父に映り、同じ家中に住まうメイド達からは戦が終わり帰って来た際の第一声が「気持ち良かった」であることからも変態として映ったという特異な人物である。
戦の度に繰り広げられる父親としての誇りを携えたジョルジュ=ダディアの気概。
それはジョルジュ=ダディアにとって、もはや日常と化していた。
そして夜に虐げられ恍惚の声を上げる事も彼の日常である。
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