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恋の日常-1
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グルガナ=ダディアは誰よりも強いが、そこに至るまでに誰かに負けたことは当然ある。
多くの場合は感情の大半を悔しさが占めより一層の奮起に影響していたのだが、とある1度の敗北の際には恋心という感情が悔しさに勝る事があった。
白髪皺面加えて髭面、50代も後半に差し掛かりグルガナとの歳の差は40を数える程、老練という言葉が似合う御仁であり、グルガナが修練を積み他を寄せ付けぬ強さを持った今でさえ、10回続けて戦えば確実に1度は勝利を収めるだろう。
ファビエル=ダンソン、それが老将軍の名であり教本を人間にしたかの様な存在である。
グルガナに対して基本が大切である事を教えた偉大な人間でもあり、その基本を活用、応用する事で安定した勝利を収める事を可能としていた。
18の頃から戦場に赴き25で指揮する立場となりそれから30余年、戦場において彼が指揮した部隊は一度の壊滅、敗走も無く成果を上げ続けている。しかしその成果から、部隊で成果を築き上げる事は出来ていない。
つまりは、様々な部隊に配属されては臨機応変に対応する事で成果を上げているのだ。
これまでの28の戦場、76の部隊、134の開戦において確実に成果を上げている事こそがファビエルの優秀さを表している。
その戦略は基本を忠実にしている。
何故、そこまで基本という物が強いのか、それは簡単な話だ。
数学において方程式という物も元を正せば足し算と引き算や掛け算割り算で説明が付くのと同じ様に、戦術においても基本という物があってこそ全ての応用に通じる物があるのだ。
ファビエルは自身の部隊に対して基本を徹底する。
それこそが、ファビエルが部隊を変遷させられる理由でもある。
彼が1度率いた部隊は精強な部隊となるのだ。
それでいてファビエル自身も個人として相当な戦力である。
グルガナには負ける事こそあれど、ファビエルの学習能力と即時応用力は並のソレでは無い。
故に10度戦えば1度は勝つ、ファビエルは基本を知るからこそ応用をと奇を衒った攻撃を有効に行う。
10度の戦いの中でグルガナの戦い方の基本となっている物を分析、対応速度や思考の流れを分析し確実に勝てる方法を導き出す事が出来る。
だからこそ、ファビエルはグルガナと敵対する事は決してしたく無いと言う。
他の者であれば1度の戦いの中で全てを読み解く事が出来るがグルガナだけは10度と戦わねば読み解けない、それは強いというレベルでは無く常軌を逸した成長を伴っているのだ。
ビケージュ皇国にとって全てが危機に瀕した際の最終兵器がグルガナであるとするならば、その最終兵器が混乱し牙を剥いた時の防衛線がファビエルであった。
が、割と長々とファビエルという男についての情報を書き連ねたが重要なのはグルガナがファビエルに恋をした過程である。
個々の価値観、グルガナが何故ファビエルを恋愛対象として見るのか、それは己に勝つ事が出来る唯一の男だからという単純な物だ。
恐らくはグルガナも戦いで1度負けただけならば惚れるまでは至らなかった。恋の炎は灯す事が難い、ともすれば彼女の恋の炎になおも薪がくべられているのは何故なのか、
それは、彼女が今だ最強と呼ばれていなかった時代、今より5年前まで時は遡る。
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国名が笑えます。
話からすると、父親はMで母親はSという事になるのかな?
何かのきっかけで「フオー」と覚醒しそう。
仮にウルスラ嬢(なめこプディング氏の作品に登場)と出会った場合
意気投合するのかそれとも強敵と書いて「とも」と呼ぶ間柄になるか?
自分の頭が小学生低学年レベルのネーミングセンスしか無いので許して下せぇ。
最早性癖覚醒の朝は迎えているので既にバンバリバンバンドMでございます。
もしも出会ったら……好敵手か強敵のどちらかでしょうね……。
面白そうな冒頭。好きになれそう。
この物語には筋肉と変態と馬鹿が多数含まれますのでご注意下さい。
感想ありがとうございます。