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Prologue
Prologue End
しおりを挟む一人の男が嘆いた。それを傍で見守る男が居た。
街に残された男達は、衛兵隊から逃げ切る事に成功した。それは一重に、駆け付けてくれた無口な男のお陰だろう。
一人の男は決心した。
ある決心をした。
歴史を動かす程の決心をした。
それに付き従う者達は、その決意を支える決断をした。
その日、一つの盗賊団が時代から消えた。
一人の少年が空を駆けていた。
義父の背に乗り、何処までも雄大な空の光景に感動を覚えていた。
少年がこの世界に来た時、森の中を走り感動を覚えたのと同じ様に、何処までも美しい蒼の景色に心を動かされていた。
一頭の龍が微笑んでいた。
自らが望んだ父になれた事を喜び、また。その出会いに感謝していた。
その龍は考えていた。何処へ行こうかと、広い世界の何処に行けば、自らの息子の幸せを見付ける事が出来るのだろうかと。
旅は、始まったばかりだった。
数か月の時を経て、一つの傭兵団が設立された。
世界を巡り、まるで何かを探す様に全ての褒章を断りながら各地を旅した。
その頭目たる男は、銀色の美しい髪に、白銀の剣と盾を携えていたと言う。
これは、幸せを知る異世界転移の物語。
少年に関わった者達が、自らの幸せを求めて走り出す物語だ。
少年は知らない、自分がどの様な存在であるかを、少年は知らない、自らを送り出してくれた女性が、神という存在であった事を。
少年は知らない、その神が既に死んでしまっている事を…。
これは、幸せを知る異世界転移の物語。
物語はまだ。
始まったばかりだ。
―――Prologue End――――
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