勇者として生きる道の上で(R-18)

ちゃめしごと

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第一章 島からの旅立ち

第十四話 誘惑 ②

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 パジャマだけだと寒いなぁ…なんて考えながら歩いていたら、いきなり後ろから毛布を掛けられた。
「ったくアル、そんな格好で出歩く奴がいるか?散歩もいいけど、程々にしろよ?」

 そう言ってくれたのはギル兄だった。
 僕が水浴びをした時はベッドの中に居たので既に眠っている物だと考えていたけれど、どうやら僕が外出したのに気が付いて毛布を持ってきてくれたらしい。

 肩に羽織ってギル兄を見ると、黒い髪の奥に見える瞳を空へと向けていた。
 吐いた息が白さを伴って空へと昇って行くのがとても絵になっていた。

「ありがとうギル兄、でも、もう寝たんじゃ?」
 見上げながら問い掛けると、ギル兄は頬を掻いて照れくさそうに笑いながら答えた。
「いやよ…アル、お前今日の稽古の時に少し集中出来て無かったから心配でな」
 その仕草がどうしてか可愛く思えて、僕はえへへーと笑いが漏れた。

「た、ったく、俺は先に戻ってるからな!」
 そのまま少し赤面したギル兄はスタスタと歩いて宿屋へと戻って行った。
 
 背中を見せながら、ギル兄は声を大きく張った。

「俺は…!」
 
「俺は…アルの選択を優先するからよ」

 葛藤があった事が窺える言い方だった。
 その言葉から、ギル兄は僕がクレア姉さんから一緒に居て欲しいと言われている事を知っている様に思えた。

 姿が見えなくなったギル兄、その背中があった場所を、僕は見つめていた。

 そこに、いたって普通に、まるで昼間に会った時と何も変わらない様子で、僕は声を掛けられた。


「アル、こんばんは」

 
 クレア姉さんが、そこに居た。

「ギルバートさん、良い人だよね」

 こちらに近づいてきながら、笑顔は崩さずに、ゆっくりと歩む。

「アルのことが大好きで、優しくて、格好良くて」

 ただ、その開かれる口の大きさも、表情も、歩幅も、一切が変化無く近付いてくる。

「頼りになって、昔からアルの事を知っていて…ふふふ」

 どこまで近づいてくるのかと思っていたら、僕の股の間に脚を割り込ませて、腿の部分で僕のおちんちんを刺激してきた。
「あぅ」
 そして、左手を肩越しに背中に、右手を僕のお尻に持って行って逃げる事が出来ない様に確保された。

「ねぇアル、ギルさんはこんなことしてくれる?」

 痛くは無い程度に、それでも確かに布越しに手の感触が伝わる強さで僕のお尻を揉みしだく。
「んっ…!」
 寒さが肌を敏感にしていて、僕の身体が弄ばれる事を喜んでいる。

「お昼に私の働いてるお店に来てくれたよね…?」
 揉みしだく動作から、三本の指を立てて腿の裏側を撫でる動きに変わる。

 全体的に刺激されるのでは無く、部分的に刺激されて身体が跳ねる。
「あの時、もしもお手洗いに立ってくれたらこういう事してあげたのになぁ…」
 その誘う様な言葉が、僕の鼓膜を震わせる。

「明日、もし来てくれて、お手洗いに立ってくれるんだったら…シて、あげようか?」
 目を見つめながら言われて、まるで命令をされた様な錯覚に陥る。
 行かなくちゃいけない様な、行く事でシてもらえるという期待があるのなら、行きたいという願望すら胸の内に生まれる。

「だけどその時は、私と一緒に島に残ってくれるって約束してね…?」
 若干の潤みを帯びた瞳が、僕を射ぬく。

「その決断を早める為にも、今夜も…イジめてあげる…」
 刺激され、性感が高められている僕の肌に、パジャマの内側に右手が入れられた。
「んにゃぁっ…!」

 お尻に直接触れた右手が、まるで柔らかさを楽しむように指を喰い込ませる。
「鍛えてるのに、こんな女の子みたいな柔らかさして…可愛い…」
 悪戯に揉みし抱かれ、形を変えながらも相手の指を受け入れる。
 ぐにっと深く指が食い込めば身体が跳ねる反応を魅せ、優しく全体を撫でまわされれば震える様な反応を魅せる。

「だっ…駄目っ…やめ、て…」
 その気持ち良さが癖になってしまいそうで、いつまでも楽しんでいたいという考えが脳裏を過り、咄嗟に口を突いて出たのは弱い抵抗だった。

「アル、私の脚、こんな濡らして…気付いてる?」
 お尻に集中していた意識が唐突に引っ張り上げられ、僕の股の間に差し込まれたクレア姉さんの脚が僕のおちんちんから漏れ出た何かで濡れている事を指摘された。
「いけない子…だね…」
 そして、意識がそちらに向いた事が分かったクレア姉さんは自分の脚を上下して、僕のおちんちんを刺激しに掛かった。

「まっ…ひゃ、すりすり…きもちっ…んぁ…」
 お尻に感じていた気持ち良さ以上の物を与えられ、膝から力が抜け落ちそうになるのを何とか堪える。
 堪えているけれど、クレア姉さんにほとんど寄り掛かる形で立つことを維持していた。

「そんなに気持ち良いの?ねぇ、気持ち良いの?」
 体重がクレア姉さんに掛けられている分、おちんちんを押しつける形になってしまい気持ち良さが増大する。
「ふあぁ…」
 声にならない声を出し、与えられる気持ち良さに僕は頭を支配されつつあった。

「…言わないと、分からないよ?」
「えぅ…?」
 すっ…とクレア姉さんの脚が僕のおちんちんから離されて、僕は思わず疑問の声を上げてしまった。

「気持ち良くないなら、やめちゃおうかな…」
 その言葉に、もっとやって欲しいと喉まで出掛かる。
 だけど、脚でおちんちんを気持ち良くしてもらうのは、なんだか恥ずかしい。

 恥ずかしくて、とても言えない事だ。
 だけど、だけどそれでも、気持ち良くしてもらいたい。

「きもち…かったよ…」
 頬が熱い、きっと顔は真っ赤になっちゃってる。

 僕は、僕は質問に答えているだけだから…。

 別にやめて欲しくない訳じゃ…無い。
 そう。心の中で言い訳をした。
 
「なぁに?ちゃんと…言って?」
 笑みを浮かべながら、熱に浮かされた表情でクレア姉さんは僕に尋ねた。

 口にする事で、より実感してしまう言葉を求められた。

「気持ち良かったの…」
 小さく身体を震わせて、クレア姉さんは頬に手を添えて笑みを深くした。
 
「誰の…何が…どうして…気持ち良かったの?」
 楽しんで、弄んで、クレア姉さんは僕で遊んでいる。
 僕にはそれが分かっているのに、もっと気持ち良くしてもらいたいから、それを肯定してしまう。

 そして僕自身も、言葉にする事を…言葉にしろと言われる事を、何処かで悦んでいた。


「クレア姉さんの脚が…」
 今も濡れている膝や腿が―――。

「僕のおちんちんをぐにぐにしてくれて」
 柔らかさを持って僕のおちんちんを刺激して―――。
「気持ち良くなっちゃっ…た…」
 それが、気持ち良かったんだ。


 ぶるぶるぶるっと、身体を震わせて口から白い吐息を漏らすクレア姉さん、「んっ…はぁ…」と声を漏らし、自らの身体を抱いて唇を舌で湿らせる。


「そっか…アル、気持ち良くなっちゃったんだ…」
 目と目を合わせて、今にも唇が重なりそうな距離で問い掛けられる。答える事も出来ず。小さく。恥ずかしさを隠す様に頷く事しか出来なかった。

「もう、可愛すぎるよアル…んっ」

 そのまま唇を奪われ、柔らかな感触を楽しむ。
 柔らかさと一緒にクレア姉さんの果実の様な香りが鼻孔をくすぐり、僕は思わず鼻で息を吸い込んでしまい灰が一杯になった。

「んむっ…ん、ぷはぁっ…んん!!?」

 一度唇を離して息を吐きだそうとすると、顔を離した途端にクレア姉さんは不満気に唇を再度重ねてきた。
 
「んっ…はぁ、んっ…ずずっ…んっ…」

 今度は唇だけでは無く、その中にまで柔らかさが飛び込んできた。
 柔らかくて、ざらざらとしていて、動きまわるソレ。

 僕の舌を絡めとり、歯をなぞる様に楽しみ、口内の柔らかい部分を突いたりなぞったりして刺激してきた。
 意図せずに口の中に満たされた唾がクレア姉さんに吸い取られ、自分という物を搾取されている気分にもなる。

「アルの唾液っ…甘くて…ずずっ…美味しっ…」
「んんっ…んんんんっ…んっ…」

 こちらに隙を与えず、口の中を蹂躙される。
 なのに、感じるのは不快感では無くてむしろ、気持ち良さばかりだ。

「ぷはっ…あ…はぁ…アル、どうだった?」
 そう問われても、僕は思考が巡らない。
 何を考えるべきなのか分からない。

 ただ、もっと一杯気持ち良くしてもらいたくて、もっと一杯クレア姉さんに触れたかった。
「うぅ…うみゅ…」
 だから抱きついた。
 出来るだけぎゅって、一杯触れられる様にぎゅって抱きついた。

「ふふ、甘えたいの?それなら、ね?この島に居てくれたら毎日甘えられるよ?」
 柔らかなクレア姉さんに抱きつきながら、僕は心が安らぐのを感じていた。
 耳に入ってくる言葉が全て肯定的な事に聞こえる。

「ね?この島に居よう?私と一緒に居よう?」
 ぽーっと熱に浮いた頭では思考もまともに巡らず、僕は口を開きかけて―――


『俺は…アルの選択を優先するからよ』


 耳奥に残ったギル兄の言葉の残響が、確かに聞こえた。

「ダメ…駄目だよ…!」
「!」

 弾けるようにしてクレア姉さんから離れた僕はクレア姉さんを正面から見据えた。

「僕は、人魔戦争を…止めるから…!」
 揺らぐ心に自分の言葉で叱咤を入れて想いを固める。

 今も、おちんちんは大きなままだけど、それでも―――僕は。

 そんな僕を見て、クレア姉さんは視線を落とすと一歩下がった。
「ふぅん…それなら、今日は諦めてあげる…」

「次は明後日、まだ五日あるんだから、じっくりと私と居たいって気持ちを強めてあげる」
 一連の事でずり落ちた毛布を僕の肩に掛け直してくれたクレア姉さんは、昨日と同じ様にその場を後にした。

「は…ふぅ」
 寒かったはずなのに、身体が火照っていてむしろ暑いくらいだった。
 風が吹く度に濡れた股間がぶるぶるっと寒くなるけれど、どれだけ風を浴びても頬の熱だけは消える気がしなかった。

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