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第一章 島からの旅立ち
第十八話 一段落
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☆その後の会話
「納得してくれて良かったよ…あんなに強引に迫られたら、僕ドキドキしちゃって全然思考が巡らなかったから」
「う…わ、忘れてよね、私だってそれだけ必死だったんだから」
衣服を整えて、二人で港に設置されている休憩所で暖を取っていた。
休憩所には簡易的な椅子と、暖を取る為の焚き火が用意されている。
焚き火の周りには石が積まれていて風で火が消える事が無い様に工夫されていてありがたい。
「その、僕ってああいう事に免疫が無いから、どうしても困惑しちゃって…」
「へぇ…それなら、あのまま押し続けてれば危なかったって事かしら?」
目を細めて意地悪そうに聞いてくるクレア姉さんだったけれど、僕は誤魔化したく無くて正直に答えた。
「…うん」
か、顔が熱い、きっと焚き火の所為だけど、顔が熱い!
「ん…ふふっ、アル、正直なのは美徳だけど、そこまで可愛らしいのは罪よ」
「?」
言われた意味が良く分からず、思わず首を傾げてクレア姉さんを見るとにっこりと笑っていた。
二人して休憩所にあった毛布に身体を包んでいるのに、何故かクレア姉さんは自分の毛布を畳み始めて、
「アルの毛布に一緒に入ろ?」
と、一枚の毛布に肩を寄せ合って二人で入る事にした。
「アルがえっちな事に慣れていないのは分かり切っていたけれど、あそこまで受け身体質とは思わなかったわ」
「うけみたいしつ?」
受け身っていうと、怪我をしない様に衝撃を逃がす体捌きのことだろうか?
どちらかというと、えっちな事をされた時の僕は快楽を逃がす術をしらずに身を捩るばかりなのだけれど…。
「なんていうのかしら、こう…誘われているに近い気がしてくるのよね、アルの涙目とか、肩や鎖骨なんかが自分を食べて欲しいって言ってきてる様な気さえしたわ」
「僕は自分を食料として提供する気は流石に無いよ…」
「多分大人気で看板メニューになるわね、うちで出せないかしら」
「い…色んな人に食べられちゃうのは、嫌だな」
深く考えないで言ったつもりだったけれど、それを聞いたクレア姉さんは顔を赤くしてこちらに向き直った。
「そ、それは…アル、私になら食べられても良いってこと…?」
「ふぇ!?」
い、今のってそう聞こえてしまうのだろうか、ど、どうしよう、何だか否定もしづらいよ!
「………まさか、ギルバートさんにならって意味じゃ無いわよね?」
「ふええぇええ!!?」
ぎ、ギル兄にえっちな事をされちゃうの!?
う、うーん、うーん…嫌な様な、う、嬉しい様な…分からないよぉ。
「ギルバートさんとアルが………………」
「く、クレア姉さん?」
いきなり黙って考え始めたクレア姉さんに僕は思わず困惑した。
何を考えているのだろうか、まさか、僕とギル兄がえっちなことをしている所?
「アリね」
「無しだよぉ!!」
涙目で否定して、クレア姉さんが元気に笑って僕に謝る。
年齢も、立場も、色々と変わってしまったけれど、あの日と同じ景色がそこには在った。
☆ギルバートの苦悩
湯浴み宿での出来事だ。
アルとお風呂に入って変態共を鉄拳制裁した後、二人で湯船に使って寒さに凍えた身体に湯の熱が芯まで染み込んできて白い息を思わずといった様子で吐き出した。
アルの銀色の髪の毛が水気を得て艶やかに輝き、髪を伝い、頬を伝い、顎先に至った水滴が静かに張られた湯に落ちた。
思わず、視線はそのまま顎先から下、アルの男根がある部分に向きそうになり、俺は何故か慌てて視線を空に戻した。
男同士なのだから、別に見ても恥ずかしさなんて無いハズなのに、何故か俺はアルのソレを見る事が出来なかった。
我ながらおかしな事を言っているのは分かっているが、もしも男根が無かったらどうすればいいんだ。
間違いなく俺は―――。
いやいやいや、親友の息子だぞ親友の息子。
そんな悩みは露知らず。アルは俺の腕をぺたぺたと触ってきた。アルは筋肉に憧れがある所為か、俺の筋肉をよく触って来る。
以前、起きた際にアルが俺のベッドに潜り込んで胸板に顔を押し付けて眠りに就いていたいた時は夢かと思った。蕩けたチーズみたいにもちもちの肌が俺の胸板に乗せられていて、幸せのあまり反動でその日は死ぬんじゃないかとびくびくしていた。
…あぁ、不味い事を思い出した。
以前、アルが修行中に腕を使い過ぎて身体をタオルで拭けなかったときの事だ。
アルは俺に拭いて欲しいというので、仕方なく乗り気なフリをしていそいそと俺は準備をした。
そしていざ拭くとなった際に、アルは…アルはとても、くすぐったがり屋さんなんだ。
お腹辺りを拭いている時に、アルは必死に声を我慢していた。だけど、そのまま笑ってくれた方が助かった。
「んっ…ふぅぅうっ…くぅ…」
なんて声、聞いているこっちが赤面するわ!
大陸の方じゃ色々な呼び名で恐れられている俺だが、俺が一番恐ろしいのはアルだよ!こいつは何処まで俺を惑わす気だよ!?
アルが魔人種のサキュバスやインキュバスとかじゃなくて良かったぜ、こんな誘惑…もしもアルがもう少し性の知識があったら、例えコイツが男でも耐えられる気がしない。
――――――――――――――
明日から平日になるので、一日の投稿数が減るかと思います。
「納得してくれて良かったよ…あんなに強引に迫られたら、僕ドキドキしちゃって全然思考が巡らなかったから」
「う…わ、忘れてよね、私だってそれだけ必死だったんだから」
衣服を整えて、二人で港に設置されている休憩所で暖を取っていた。
休憩所には簡易的な椅子と、暖を取る為の焚き火が用意されている。
焚き火の周りには石が積まれていて風で火が消える事が無い様に工夫されていてありがたい。
「その、僕ってああいう事に免疫が無いから、どうしても困惑しちゃって…」
「へぇ…それなら、あのまま押し続けてれば危なかったって事かしら?」
目を細めて意地悪そうに聞いてくるクレア姉さんだったけれど、僕は誤魔化したく無くて正直に答えた。
「…うん」
か、顔が熱い、きっと焚き火の所為だけど、顔が熱い!
「ん…ふふっ、アル、正直なのは美徳だけど、そこまで可愛らしいのは罪よ」
「?」
言われた意味が良く分からず、思わず首を傾げてクレア姉さんを見るとにっこりと笑っていた。
二人して休憩所にあった毛布に身体を包んでいるのに、何故かクレア姉さんは自分の毛布を畳み始めて、
「アルの毛布に一緒に入ろ?」
と、一枚の毛布に肩を寄せ合って二人で入る事にした。
「アルがえっちな事に慣れていないのは分かり切っていたけれど、あそこまで受け身体質とは思わなかったわ」
「うけみたいしつ?」
受け身っていうと、怪我をしない様に衝撃を逃がす体捌きのことだろうか?
どちらかというと、えっちな事をされた時の僕は快楽を逃がす術をしらずに身を捩るばかりなのだけれど…。
「なんていうのかしら、こう…誘われているに近い気がしてくるのよね、アルの涙目とか、肩や鎖骨なんかが自分を食べて欲しいって言ってきてる様な気さえしたわ」
「僕は自分を食料として提供する気は流石に無いよ…」
「多分大人気で看板メニューになるわね、うちで出せないかしら」
「い…色んな人に食べられちゃうのは、嫌だな」
深く考えないで言ったつもりだったけれど、それを聞いたクレア姉さんは顔を赤くしてこちらに向き直った。
「そ、それは…アル、私になら食べられても良いってこと…?」
「ふぇ!?」
い、今のってそう聞こえてしまうのだろうか、ど、どうしよう、何だか否定もしづらいよ!
「………まさか、ギルバートさんにならって意味じゃ無いわよね?」
「ふええぇええ!!?」
ぎ、ギル兄にえっちな事をされちゃうの!?
う、うーん、うーん…嫌な様な、う、嬉しい様な…分からないよぉ。
「ギルバートさんとアルが………………」
「く、クレア姉さん?」
いきなり黙って考え始めたクレア姉さんに僕は思わず困惑した。
何を考えているのだろうか、まさか、僕とギル兄がえっちなことをしている所?
「アリね」
「無しだよぉ!!」
涙目で否定して、クレア姉さんが元気に笑って僕に謝る。
年齢も、立場も、色々と変わってしまったけれど、あの日と同じ景色がそこには在った。
☆ギルバートの苦悩
湯浴み宿での出来事だ。
アルとお風呂に入って変態共を鉄拳制裁した後、二人で湯船に使って寒さに凍えた身体に湯の熱が芯まで染み込んできて白い息を思わずといった様子で吐き出した。
アルの銀色の髪の毛が水気を得て艶やかに輝き、髪を伝い、頬を伝い、顎先に至った水滴が静かに張られた湯に落ちた。
思わず、視線はそのまま顎先から下、アルの男根がある部分に向きそうになり、俺は何故か慌てて視線を空に戻した。
男同士なのだから、別に見ても恥ずかしさなんて無いハズなのに、何故か俺はアルのソレを見る事が出来なかった。
我ながらおかしな事を言っているのは分かっているが、もしも男根が無かったらどうすればいいんだ。
間違いなく俺は―――。
いやいやいや、親友の息子だぞ親友の息子。
そんな悩みは露知らず。アルは俺の腕をぺたぺたと触ってきた。アルは筋肉に憧れがある所為か、俺の筋肉をよく触って来る。
以前、起きた際にアルが俺のベッドに潜り込んで胸板に顔を押し付けて眠りに就いていたいた時は夢かと思った。蕩けたチーズみたいにもちもちの肌が俺の胸板に乗せられていて、幸せのあまり反動でその日は死ぬんじゃないかとびくびくしていた。
…あぁ、不味い事を思い出した。
以前、アルが修行中に腕を使い過ぎて身体をタオルで拭けなかったときの事だ。
アルは俺に拭いて欲しいというので、仕方なく乗り気なフリをしていそいそと俺は準備をした。
そしていざ拭くとなった際に、アルは…アルはとても、くすぐったがり屋さんなんだ。
お腹辺りを拭いている時に、アルは必死に声を我慢していた。だけど、そのまま笑ってくれた方が助かった。
「んっ…ふぅぅうっ…くぅ…」
なんて声、聞いているこっちが赤面するわ!
大陸の方じゃ色々な呼び名で恐れられている俺だが、俺が一番恐ろしいのはアルだよ!こいつは何処まで俺を惑わす気だよ!?
アルが魔人種のサキュバスやインキュバスとかじゃなくて良かったぜ、こんな誘惑…もしもアルがもう少し性の知識があったら、例えコイツが男でも耐えられる気がしない。
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