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第二章 船上の証明
第三十四話 姉として
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最後の夜がやってきた。
果たして私は、最後に…アルに何をするべきなのだろう。
最初は、私に対する感情の全てを封印して、アルに私が知る人体構造のイメージを渡して去るつもりだった。
だけど、今の私は…アルの事を知った今の私は、もっと何かできる事があるんじゃないだろうか。
私が、私がアルに…出来る事。
第三十四話 姉として
「アル、待ってたわ」
既に涙目になっているアルがやって来た。胸元を必死に抑えて、腿をすり合わせているいじらしい姿。
確か十一日目の夜、アルはこの場所に来ただけでおちんちんが大きくなっちゃうと、股間を抑えながらやってきた。
勿論、アル達にとって船旅の五日目のあの日から、アルはずっと射精をしていない。お陰で魔法のイメージは簡単に伝わってくれて、私としては助かるばかりだ。
「アリス…姉さん…今日も、キス…してくれる?」
息が荒く。頬が紅潮し、涙目で見つめられるとつい抱きしめてしまいたくなる。
旅装に包まれながらも自己主張をするおちんちんが、服の上からでも私との会話の中で跳ねている事が分かる。
だけど、私は自分で決めた事をアルに話そうと考えていた。
私だって気が付いている。これだけの時間、何度も唇を交わして、何度もお預けされて、他に女性と接する機会なんて目にする程度で会話は無いだろう。
だから、アルは今、疑似恋愛を覚えているに過ぎない。
「アル…その前にお話、少しだけ…難しいね」
「お話?」
「うん、真面目な話よ…聞いてくれる?」
「…っうん!」
アルは頷くと、私がよりかかっていた船の手摺に、私を真似る様に寄りかかった。
二人、月を天に仰ぎながら会話を始める。
「…私にはね、弟がいたの、アルみたいに元気で、純粋で、誰からも好かれる様な可愛い弟が」
今から私がアルに伝える事は、私と同じ世代の女性が聞いたら正気を疑う様な事かもしれない。
「だけど、死んだわ…魔族に殺されてね、私がギルバートと知り合いになったのは、その恨みを晴らす為に傭兵になったから…弟が最後に残した言葉が今でも思い出せない私は、弟から貰っていた私を想う感情の中に答えが在るんじゃないかと思って、色んな男と寝たわ」
本題に入らず。少しでも心の準備をする為に、私の過去を話す。
「だけど分からないのは当然、弟が私に向けてくれていた愛情と、他の男が私に向ける愛情は別の物だった…私を求めてはいるけれど、そうね…『外面』を求めているだけで、『内面』は全然肯定してくれない、そんな求め方だったわ」
今なら、自分が自然とそうなっても仕方の無い振る舞いをしていたんだと理解出来る。だって私が求めていたのは明確には答えであって、愛情を求めてはいなかったのだから。
「私の『内面』なんて、こんなに汚いのよ?男を愛する事はせず、男に答えだけを求める。そんな女、ギルバートにクソ女って言われても仕方が無いわよね」
アルからは見えない目から、思わず涙が零れた。
自分の汚さをアルに話して、それでもアルが私を嫌いにならないという自信があったから。
アルならば全肯定してくれると確信していたから。熱に浮かされて、思考が上手く働かないアルならきっと…。
そうしてくれれば、私はアルを弟と完全に重ねて愛せるかもしれない、そうすれば、弟の伝えたかった事が分かるかもしれないから。
「ねぇアル、こんな私でも好きでいてくれる?こんな私でも…肯定してくれる?もしもしてくれるなら私は…私は自分にできる全てで、この先、貴方を守り抜くわ」
それが、私にできる事。
自身を満足させ、アルを守る。それが最高の形…。
きっと頷いてくれる。
そう思って視線を向けたアルは、俯いていた。何かに震えて、必死に何かを堪えている様子だった。
見てみると、アルの握った拳から血が垂れていた。
驚き、思わず一歩下がった私に、アルは顔を上げた。
それは、いつもこの場所で見ている呆けた表情では無く。修行の時に見せる強い意志を秘めた顔だった。
もしかしてこの子、私の話を真面目に聞く為に…自分で自分を傷付けたの!?そうやって血を抜いて、冷静になる為に…。
だとしたら、私はこの子に拒絶されてしまうかもしれない…こんな汚い私、幾らアルでも…。
「馬鹿ッ!!」
少年の高く幼い声が夜の闇に響いて、私に届く。
「どうして、どうしてそんな顔をするのさ、どうして自分が汚いだなんて言うの!?」
波の音さえ静まり返る。不思議な迫力が私に届く。
怒りを確かに感じるのに、同時に悲しみを抱くアルのこの感情は…何?
「僕は、僕は嫌いになんてならない!僕の修行に付き合ってくれて、少しエッチな所もあるけれど…『外面』も『内面』も、考えてきた事全部、やってきた事全部がアリス姉さんでしょ!?」
アルは今、どうして泣いているの?
「僕が嫌いになるんじゃないかって、そんな顔をしてた。だから―――」
少し小走りで近付いて来たアルは、そのまま私の腕を掴んだ。
「教えてあげる」
そして、精一杯背伸びをして、私にキスを…温かいキスをくれた。
唇は柔らかくて、いつもなら私が感じさせるその感触を私は感じていた。アルの、何でも受け入れてくれるような、柔らかな唇。
それは幼いキスで、気持ちが良いとは言えない物だったけど、確かに唇に熱は残っていた。
きっといつまでも、私を安心させてくれるようなそんな熱。
「キスって、キスって不思議だよね、こんなに一杯教えてくれるんだよ。アリス姉さんは僕の事をどう感じた?僕は、アリス姉さんからキスをされている時にいつも優しさを感じてた」
私の腕を掴んだまま、アルは言葉を続ける。
「汚さって何?目的の為に邁進する事が悪い事なの?『内面』とか『外面』って何?裏表があったら駄目な事なの?僕が好きなのは、僕に色々と教えてくれる強いアリス姉さんじゃないんだ」
真っ直ぐに私の眼を見て、言葉を告げる。
「僕が好きになったのは、優しくて、だけど少し意地悪で、気付けばギル兄と喧嘩してる様な…そんな等身大のアリサス・マージョリ―だ」
私が涙を溢れさせてしまう言葉を。
「…わ、私は貴方と弟を重ねて、そんな視点で見ていたのよ!?」
「そんな事、関係無い!僕と誰かを重ねて良いさ、僕は誰かの代わりには慣れないけれど、大切な人の想い出が忘れずにいられる切っ掛けになれるのなら嬉しい位だ!」
「さっき肯定していれば、私がずっと守ってあげたのよ?」
「嫌だ!いつか僕がアリス姉さんを守るから!」
そしてアルは叫ぶ。
「自分を卑下しないでよ、自分を嫌いにならないであげてよ、何よりもその愛情を自分に注いであげてよ…僕が姉さんを好きでいる事を、疑わないでよ!」
―――!
その言葉は、私が気付いていなかった事だった。
…私は、もしかして、自分を大切に出来ていなかったの?
それに私は、確信を持っているなんて言っておきながら、アルの『好き』を疑って…。
きっと私がここで、それらに対する弱音を放ったらまた怒られてしまう。
だって、だってもう疑問も抱かない、アルは私を好きでいてくれるって確信できる。
アルを守ろうと想っていたのに、もしかして…この日々で一番、心を守られていたのって…。
駄目、私じゃアルに勝てない、今しがた心も守られて、ようやくずっとアルの中に見るあの子の陰に、荒んでいた心が潤いを得ていたんだと気が付いた。
涙目のアルが私を見つめる。悲しそうな瞳で、その中に怒りを携えて。
あぁ、そうか、これが『愛情』だ。『好き』とは違う。誰かの為なら怒れる程の愛。
私の為に…『愛情』を…。
「…アル、ありがとう。本当にありがとう」
これが『愛情』で、今、私の胸に早鐘を鳴らしているのはきっと、他でも無い『愛情』だ。
もう…言い訳なんて必要ない、重ねる事も必要ない、アルはアル。たまに私の弟を思い出させてくれる存在で―――。
「改めて言わせて貰うわアル」
「私も、貴方が大好きよ」
――――私が本気で好きになった人間だ。
果たして私は、最後に…アルに何をするべきなのだろう。
最初は、私に対する感情の全てを封印して、アルに私が知る人体構造のイメージを渡して去るつもりだった。
だけど、今の私は…アルの事を知った今の私は、もっと何かできる事があるんじゃないだろうか。
私が、私がアルに…出来る事。
第三十四話 姉として
「アル、待ってたわ」
既に涙目になっているアルがやって来た。胸元を必死に抑えて、腿をすり合わせているいじらしい姿。
確か十一日目の夜、アルはこの場所に来ただけでおちんちんが大きくなっちゃうと、股間を抑えながらやってきた。
勿論、アル達にとって船旅の五日目のあの日から、アルはずっと射精をしていない。お陰で魔法のイメージは簡単に伝わってくれて、私としては助かるばかりだ。
「アリス…姉さん…今日も、キス…してくれる?」
息が荒く。頬が紅潮し、涙目で見つめられるとつい抱きしめてしまいたくなる。
旅装に包まれながらも自己主張をするおちんちんが、服の上からでも私との会話の中で跳ねている事が分かる。
だけど、私は自分で決めた事をアルに話そうと考えていた。
私だって気が付いている。これだけの時間、何度も唇を交わして、何度もお預けされて、他に女性と接する機会なんて目にする程度で会話は無いだろう。
だから、アルは今、疑似恋愛を覚えているに過ぎない。
「アル…その前にお話、少しだけ…難しいね」
「お話?」
「うん、真面目な話よ…聞いてくれる?」
「…っうん!」
アルは頷くと、私がよりかかっていた船の手摺に、私を真似る様に寄りかかった。
二人、月を天に仰ぎながら会話を始める。
「…私にはね、弟がいたの、アルみたいに元気で、純粋で、誰からも好かれる様な可愛い弟が」
今から私がアルに伝える事は、私と同じ世代の女性が聞いたら正気を疑う様な事かもしれない。
「だけど、死んだわ…魔族に殺されてね、私がギルバートと知り合いになったのは、その恨みを晴らす為に傭兵になったから…弟が最後に残した言葉が今でも思い出せない私は、弟から貰っていた私を想う感情の中に答えが在るんじゃないかと思って、色んな男と寝たわ」
本題に入らず。少しでも心の準備をする為に、私の過去を話す。
「だけど分からないのは当然、弟が私に向けてくれていた愛情と、他の男が私に向ける愛情は別の物だった…私を求めてはいるけれど、そうね…『外面』を求めているだけで、『内面』は全然肯定してくれない、そんな求め方だったわ」
今なら、自分が自然とそうなっても仕方の無い振る舞いをしていたんだと理解出来る。だって私が求めていたのは明確には答えであって、愛情を求めてはいなかったのだから。
「私の『内面』なんて、こんなに汚いのよ?男を愛する事はせず、男に答えだけを求める。そんな女、ギルバートにクソ女って言われても仕方が無いわよね」
アルからは見えない目から、思わず涙が零れた。
自分の汚さをアルに話して、それでもアルが私を嫌いにならないという自信があったから。
アルならば全肯定してくれると確信していたから。熱に浮かされて、思考が上手く働かないアルならきっと…。
そうしてくれれば、私はアルを弟と完全に重ねて愛せるかもしれない、そうすれば、弟の伝えたかった事が分かるかもしれないから。
「ねぇアル、こんな私でも好きでいてくれる?こんな私でも…肯定してくれる?もしもしてくれるなら私は…私は自分にできる全てで、この先、貴方を守り抜くわ」
それが、私にできる事。
自身を満足させ、アルを守る。それが最高の形…。
きっと頷いてくれる。
そう思って視線を向けたアルは、俯いていた。何かに震えて、必死に何かを堪えている様子だった。
見てみると、アルの握った拳から血が垂れていた。
驚き、思わず一歩下がった私に、アルは顔を上げた。
それは、いつもこの場所で見ている呆けた表情では無く。修行の時に見せる強い意志を秘めた顔だった。
もしかしてこの子、私の話を真面目に聞く為に…自分で自分を傷付けたの!?そうやって血を抜いて、冷静になる為に…。
だとしたら、私はこの子に拒絶されてしまうかもしれない…こんな汚い私、幾らアルでも…。
「馬鹿ッ!!」
少年の高く幼い声が夜の闇に響いて、私に届く。
「どうして、どうしてそんな顔をするのさ、どうして自分が汚いだなんて言うの!?」
波の音さえ静まり返る。不思議な迫力が私に届く。
怒りを確かに感じるのに、同時に悲しみを抱くアルのこの感情は…何?
「僕は、僕は嫌いになんてならない!僕の修行に付き合ってくれて、少しエッチな所もあるけれど…『外面』も『内面』も、考えてきた事全部、やってきた事全部がアリス姉さんでしょ!?」
アルは今、どうして泣いているの?
「僕が嫌いになるんじゃないかって、そんな顔をしてた。だから―――」
少し小走りで近付いて来たアルは、そのまま私の腕を掴んだ。
「教えてあげる」
そして、精一杯背伸びをして、私にキスを…温かいキスをくれた。
唇は柔らかくて、いつもなら私が感じさせるその感触を私は感じていた。アルの、何でも受け入れてくれるような、柔らかな唇。
それは幼いキスで、気持ちが良いとは言えない物だったけど、確かに唇に熱は残っていた。
きっといつまでも、私を安心させてくれるようなそんな熱。
「キスって、キスって不思議だよね、こんなに一杯教えてくれるんだよ。アリス姉さんは僕の事をどう感じた?僕は、アリス姉さんからキスをされている時にいつも優しさを感じてた」
私の腕を掴んだまま、アルは言葉を続ける。
「汚さって何?目的の為に邁進する事が悪い事なの?『内面』とか『外面』って何?裏表があったら駄目な事なの?僕が好きなのは、僕に色々と教えてくれる強いアリス姉さんじゃないんだ」
真っ直ぐに私の眼を見て、言葉を告げる。
「僕が好きになったのは、優しくて、だけど少し意地悪で、気付けばギル兄と喧嘩してる様な…そんな等身大のアリサス・マージョリ―だ」
私が涙を溢れさせてしまう言葉を。
「…わ、私は貴方と弟を重ねて、そんな視点で見ていたのよ!?」
「そんな事、関係無い!僕と誰かを重ねて良いさ、僕は誰かの代わりには慣れないけれど、大切な人の想い出が忘れずにいられる切っ掛けになれるのなら嬉しい位だ!」
「さっき肯定していれば、私がずっと守ってあげたのよ?」
「嫌だ!いつか僕がアリス姉さんを守るから!」
そしてアルは叫ぶ。
「自分を卑下しないでよ、自分を嫌いにならないであげてよ、何よりもその愛情を自分に注いであげてよ…僕が姉さんを好きでいる事を、疑わないでよ!」
―――!
その言葉は、私が気付いていなかった事だった。
…私は、もしかして、自分を大切に出来ていなかったの?
それに私は、確信を持っているなんて言っておきながら、アルの『好き』を疑って…。
きっと私がここで、それらに対する弱音を放ったらまた怒られてしまう。
だって、だってもう疑問も抱かない、アルは私を好きでいてくれるって確信できる。
アルを守ろうと想っていたのに、もしかして…この日々で一番、心を守られていたのって…。
駄目、私じゃアルに勝てない、今しがた心も守られて、ようやくずっとアルの中に見るあの子の陰に、荒んでいた心が潤いを得ていたんだと気が付いた。
涙目のアルが私を見つめる。悲しそうな瞳で、その中に怒りを携えて。
あぁ、そうか、これが『愛情』だ。『好き』とは違う。誰かの為なら怒れる程の愛。
私の為に…『愛情』を…。
「…アル、ありがとう。本当にありがとう」
これが『愛情』で、今、私の胸に早鐘を鳴らしているのはきっと、他でも無い『愛情』だ。
もう…言い訳なんて必要ない、重ねる事も必要ない、アルはアル。たまに私の弟を思い出させてくれる存在で―――。
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