幽霊だらけの古代都市!発達した呪術国家で、破滅的な未来なんて蹴り飛ばせっ! 幽霊たちと一緒に、ワクワクしながら元気に走り回るっっ!!!

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第四章 動乱の前日

第30話 宴会じゃ~~っっ!!!……え、300年前の事件の話?

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 私は、小春に言われた第1区画にやって来た。 スズネのことは気になるけど、とりあえず私は腹が減ったのだ。

 わらぶきの建物に入ってみて、見回しながら歩いてみる。 建物の中は明るくて、いつもとは違う雰囲気に満ちていた。 お酒を飲んでる人がいて、遊んでる子供たちがいて……いつもの3倍はさわがしいっ!
 住居はあちこち繋がってるから、街全体が自分の家……みたいな感じなんだよね。 この場所も私は初めて来るけど、普段行かない家でも、なんとなく普通に入っていけるんだ。
 子供たちも、家と家のつなぎ目を通って、ほら、その辺を走り回ってる。
 みんなの世界のイメージで言えば、親戚の集まりをずっと巨大にした感じなのかも。

 この辺の住居は、地下のほうにまで家をつなげているみたいだ。 上下左右にグルグルと繋がっていて、もうちょっとした迷路だね。
 階段を伝って地下へと下りていくと、下の家の明かりが見えてきた。 土でできた階段を、素足で下りていく。 たぶん、約束の場所はこの辺りだと思うけど……。


 小春が、土の上に座っていた。 手を頭の後ろに組んで、暇そうにしている。
 周りには、雨子やミツバなどのいつもの面々がいた。 今は食事をしているみたいだ、低いテーブルを囲んで座っている。

「……あ、やっと、来たわね。 歌子、おそーいっ!」

 歌子を見つけて、小春が大声で呼びかけた。 向こうでキョロキョロと辺りを見回していた歌子は、こっちに気づいて走ってくる。

「ごめんっ!」
「……あら、スズネは? 一緒じゃないの?」

 小春が姿勢を正しながら、聞いてくる。 一緒のテーブルに座っていきながら、さっき見たことを思い返しながら話した。

「ん? なんか、見つけて声かけたんだけど、私はいいやって……」
「なんで?」
「んー、さあ? ……あ! 料理買ってくるの、忘れた!」

 すっごくお腹すいてるのにっ! なんで忘れたんだろう。 もう一度外に出て、料理を売ってる人を探さなきゃいけない。

「これ、妹ちゃんが、持ってきたよ」

 雨子が指したほうを見ると、テーブルの上には饅頭まんじゅうの山がどっさりあった。 ……あれ? これ、私の家の饅頭じゃん。 余ったにしては多いから、特別に、家族が作ってくれたのかも。 宴会だと聞いて、急いで用意したとか?

「あぁ、分かった。 じゃ、これ食べよう」

 いつも食べてるから、正直ちょっと飽きてるんだけどね。 家族の気づかいは、それでも嬉しい。

 歌子がもぐもぐと食べ始めると、横にいたミツバが、饅頭を見ながら聞いてきた。

「俺もいいか?」
「ん、いいよ」

 待ってたぜと言わんばかりに、ミツバは腕を伸ばして饅頭を手に取っていく。 バクバクと口に入れて、うわー、すごいスピード。
 ……もしかして、私が食べ始めるまで、遠慮してたのかな? どう見ても、私だけで食べられる量じゃないから、遠慮しないで食べたらいいのに。 

「……歌子、なんかあった?」

 小春が、いきなり聞いてきた。 変に神妙しんみょう面持おももちだ、どうしたんだろう。 歌子は口に饅頭をほおばりながら、聞き返す。

「ん?」
「今日一日よ。 何か面白いこと、あった?」

 なんだ、それだけか。 私は拍子抜ひょうしぬけしつつも、いつもの日常会話をする。

「んー、お酒を作ったよ、雨子が言ってたやつ」

 夢見酒ゆめみざけ……夢と現実が混ざるお酒、だっけ。 作り方は雨子に聞いたのを、そのままやってみたけど……果たして、あれでよかったんだろうか。
 会話を聞きつけて、雨子が入ってくる。

「作ったの?」
「うん」

 目の前の小春はじっとして、微動だにしない。
 ……あれ、小春、どうしたのかな。 おならでも、我慢してるの? 別にしてもいいよ、幽霊のおならは臭くないし。
 そう思っていると、小春がぼそっと聞く。

「……それだけ?」
「え? ……うん」

 歌子が、きょとんとした顔で頷く。 別になんてことない、ただのありふれた日常だったよ。 そう思っていると、小春はいきなり爆発するように、声を上げた。

「あー、もう、つまんないわねっ!! なんで、こんな退屈なのっ?!」

 沸騰するようにウワーッッ!!!と頭を振ると、手足をじたばたさせて、赤ちゃんのように小春はわめく。 なんだ、そういうことか。
 小春はたまに、こういう状態になるんだ。
 退屈した日々が連続すると、我慢できなくなるみたい。 変な火山みたいになって、爆発するんだ。

「じゃあお前、何があったら楽しいんだ?」

 しょうがねえな、みたいな感じでミツバが聞いてやる。 それを受けて、小春は顎に手を当てて、今までにないほど真剣な顔になった。 ……うーん、今まで聞いたことに、なにか心当たりはあったかしら。

「うーん。 ……そうねえ、あほら、前言ってた、夢と現世うつしよが繋がるってお酒とか……」
「え? だから、これが、そのお酒だよ?」

 きょとんとした顔で、雨子が入ってくる。 小春火山は、再びドッカンと爆発した。

「そんなわけ、ないじゃないっ! なに、ミカンとヨモギを混ぜたら、夢見酒って。 そんなんで夢と現世が混ざるなら、今頃この世はぐちゃぐちゃよ」

 はははと、横でミツバが笑った。 歌子も思わず笑ってしまう。 まあ、そりゃそうなんだけど。
 小春は、変なところで現実的だし、言ってることが矛盾している。 自分で見つけてきた都市伝説も、いつも自分で否定しようとするんだ。 どういう心の動きなんだろう?

 そんなことを話していると、別のほうから声をかけられた。 私たちの近くには、別のテーブルがあるんだけど……男の人たちが、お酒を飲んでたみたい。 その一人が、こっちの話に興味を持ったのか、話しかけてくる。

「お、君ら、夢見酒のことを、知ってんのか?」

 いきなり話しかけられて、近くに座っていた雨子が振り向いた。

「あ、はい」
「え?!! おじさん、知ってんのっっ??!!」

 小春が勢いよく、どんと机を鳴らしながら、おじさんに聞いていく。 そばにいた、物静かすぎるクルミが、びっくりして体をふるわせた。 ……あ、今日はクルミも、一緒にいるよ。
 あと、さっきから喋ってないけど、ホナミもいるよ。 いつもは宙に浮いてフワフワしてるけど、今はさすがに座ってるみたい。 『まぼろし』で作ったお酒を、一人でちびちび飲んでる。

 おじさんは、頭からつっこんできた小春を見て、変な目で見ながら答えていく。

「あぁ。 今の時代にも、あるんだな、そんな噂」

 もしかして、新しい情報が聞けるかもっ! やったぁぁーっっ!!! テンション上がってきた歌子は慌てて辺りを見て、例の記録帳を探す。
 ……あっ! そうだ記録帳は、憶え屋に預けてるから、ここには無いんだった!
 しょうがない、一つ持っていた石ころを取り出して、書く準備をしていく。

「いつの時代ですか?」
「300年前だよ」

 おっ! さっそく新情報っ!! 夢見酒は、300年前の話らしい。

「300……。 ……あれ、誰か、その辺りじゃなかったっけ?」

 小春が眉をひそめて、テーブルに座った面々を見ていく。 色んな時代の人がぐちゃぐちゃに混じっているから、いちいち憶えてないのよね。 私の記憶力が悪いわけじゃ、ないわよ。
 そう思ってると、歴史所勤めの歌子が、すばやく答える。

「イトだよ。 あと、ホナミも」
「あぁ、そうだったかしら」

 聞いた話によると、ホナミも300年前に生きていて、イトとまったく同じ時間を生きていたというのだ。
 住んでたところも、けっこう近かったらしいから……友達だったかと思いきや、年齢が大きく離れてたから、大して話さなかったんだとか。
 この街に降霊されたのはホナミのほうが先だから、いまは年齢差が縮まって、話しやすくなったらしいけど。

 イトが医者の弟子としてあくせく働くかたわらで、ホナミは何をしてたんだろうか? 歌子は想像をめぐらす……。 うーん、さすがに宙には浮いてないだろう、足で歩いて、一人でブラブラ散歩でもしていたのかな。 今と変わらないんじゃないかーいっっ!!!!www

「どんな話なんですか?」

 夢見酒の話に興味を持って、雨子がずいっと聞いていく。
 雨子も、『まぼろし』の紙と筆を、手元に用意しているみたいだ。 メモを取ると記憶が残りやすいらしくて、雨子は憶えるときはいつもこうやるんだ。

 おじさんは、当時を思い出すように話しだした。

「ある有名な一族がいてね。 当時は、降霊術って、誰でもできるってわけではなくてね。 力を持つ、ごく限られた人しか出来なかったんだ」

 話を聞きながら、雨子がうんうんと頷いている。 雨子はもともと巫女みこだったから、そういうことには、すごく詳しい。
 その横で、小春もうんうんと頷きながら、よく分かってないのに適当に相槌あいづちを入れていく。

「まあ、そりゃそうよね。 ……今でも、そうなんじゃないの?」

 雨子がすぐに、ツッコミと訂正を入れていく。

「いや、今は道具を使えば、誰でも出来るんだよ」
「へえ、そうなの。 ……すごいわね」

 本気で感心するように、小春は驚いた顔で言う。 それを見たミツバが、馬鹿にするように笑った。

「お前、そんなことも知らねえのかよ」

 これぐらい、この街に住んでる人なら、知ってて当たり前だ。 第一、小春だって、この街に来てそんなに日が浅いわけではない。
 でも、小春にはそんなの関係ないようだ。

「知らないわよ、そんなこと! 私が、何年前から来たか、知ってんのっ?」

 そういって、大げさに逆切れする。 私たちの中で何度も繰り返されてきた、いつものやりとりだ。

「800年前だろ? 何回も聞いたって、ユメと、ほとんど同じだって」

 それを聞き、今度は雨子が、きょとんとした顔で入ってくる。

「あれ、2人、そんなに古かったっけ?」
「古いって、失礼ね! こんなに、ぴちぴちギャルなのに……」
「あ、それで、続きは?」

 歌子がおじさんに、話の続きを聞いていく。
 小春がヒートアップするのは、いつものことだ。 こんなのほっといて、続きを聞こう。

「あぁ。 それが出来る人たちってのが、ある一族に集中しててね。 大岩のそばに、大きな家を建てて住んでて。 いくつもの家族が、同居どうきょしてさ」

 大岩っていうと、降霊洞穴こうれいほらあながある所だろう。 この街で最も重要な場所……その入り口のそばに、一族の家があったのか。 今は代わりに旧祈祷所きゅうきとうじょがあるけど……まあ霊力が強い場所だし、立地にはおかしな点はないと思う。 ふむふむ……。

 ……あれ? でも、いくつもの家族が同居って言った? そんなこと、歴史所に書いてあったっけ。

 歌子でも、さすがに歴史所のすべてを憶えているわけではない。 1000年以上ぶんの記録があるから、いちいち細かいことは、気にしていられないのだ。

「え? 家族がいくつも一緒に住んでたんですか?」

 つい、気になって聞いてしまった。 おじさんは頷く。

「うん。 俺が小さいときは、2つだったかな。 ……前は、もっといたらしいけど」
「ふーん。 ……なんか、きな臭いわね、その家」

 小春が、不審そうに言う。
 ……たしかに、そうだ。 いくら降霊能力を持ってる人の集まりとはいえ、なんで一つの家にまで、集まって住むんだろう。

「それで、その一族が、夢見酒っていう不思議な酒を飲んでるって噂が、ちょっとだけ流れた時があったんだ。 ……ま、噂なんだけど」
「へー……」

 雨子が、ぼんやりと考えるように、相槌の声を漏らしている。 こういうことに詳しい雨子ですら、知らなかったようだ。
 ……うーん、どういうことなんだろう? 考え込むように歌子はじっとしていると、ふと疑問が浮かんだ。 あれ? ホナミも同じ時期に、生きてたんだよね。

「ホナミは、何か知らない?」

 そういって、ホナミのほうを見てみる。 ホナミは、相変わらず『まぼろし』の酒を、ちびちびと飲んでいた。 ホナミは顔を上げて、小さく首を振る。

「いや、知らない」

 知らないっていうか、関心がないの、間違いでは。
 とはいえホナミも、当時は小さかったらしいから、知らなくてもしょうがないか。

 じっと考えていた雨子は、ふと何かに気づいたように、言った。

「……ん? でも確か、ちょうどその辺りで、一族だけじゃなくて、他の家からも、能力者が出るようになったんですよね?」

 その時期から、一族以外からも降霊能力が出てくるようになって、降霊用の洞穴も、一族以外に開放されていったとか。 それまでは、ほとんど一族の独占状態だったらしい。
 おじさんは思い出したように、大きく頷く。

「あぁ、そうそう。 ……そうだな、確かに、その辺りの時期、同じだな」

 うーん、一体、どういうことなんだろう?
 300年前に、降霊能力を持つ一族がいた。 ……彼らの身の回りに、夢見酒の噂が流れた。 同じ時期に、一族以外からも、降霊能力を持つ人が出てきた……。
 まだ、よく分からない。 ピースが揃ってないみたいな感じだ。

 歌子は腕を組んで考えていると、ある別のことに気がついた。

「ふーん。 ……あ、そうだ! 時のはざまの人殺し……とかって、聞いたことありますか?」
「え? 時のはざま?」

 おじさんは、初めて聞いたような声で聞き返す。 歌子は、さっきのイトの話を思い返しながら話す。

「はい。 ちょうどその時期に、そういうことがあったらしいんですけど」
「え?! 何その話、初耳だけど」

 再びどかっとテーブルとたたいて、小春が顔を近づけてくる。 ……って、あれ? 小春、時のはざまは、洞窟どうくつを探検した時に話したじゃない。

「え? 小春、知ってるでしょ?」
「そうじゃなくて……それが、その時期ってことがよ」

 あぁ、そっか。 それが300年前だと分かったのは、私にとってもさっきのことだ。 ごめんごめん。
 そう思っていると、横から雨子が補足情報を入れてくる。

「イトが、口座に入れてたよ。 自分の生きてた頃の噂だって、分かったって。 ……あ、さっきだけど」
「あ、そうなの?」
「イトちゃん?」

 おじさんが、その名前に反応した。 ……そうか、ひょっとして、おじさんはイトのこと知ってるのかも?!

「知ってますか?」
「うん、医者の先生のあとに、ついてた子の、1人じゃない?」

 イトと、この街のおさは、医者の先生のもとで働く弟子だった……。 さっき大樹のところでお酒を作った時、あの後、昔のことをもっと聞かせてもらった。

 300年前、村には凄腕すごうでの医者……のような人がいて、人々の病気を薬草を使って治していた。
 先生は変な人で、1人で山にこもって薬草を探したり、人体実験まがいのことをやろうとしたりするような、ヤバい奴だったらしい。
 2人はなんとか先生を抑えたり、振り回されたり、色々走り回ったりしたそうな。

 イトが死んでから、1人になってさらに大変だったと、長がさっきグチグチ言っていた。 イトは酒の中を眺めながら、ふーんとかへーとかずっと言って、全然興味なさそうだったけど。

 歌子は、それを思い出しながら、頷いて答える。

「そうです」
「あぁ、憶えてるよ!」
「すごく、変な医者の先生なんですよね。 一人で山にこもったり、人体実験をやろうとしたりするような……」
「そうそう!」
「あぁほらほら! それで、その人殺しってのは?」

 盛り上がる会話を、小春が無理やり終わらせて、元の話に引き戻す。
 おじさんは改めて、頭をひねった。 時のはざまの、殺人……?

「うーん、それは聞いたことが無いなあ。 ……大体、人殺し自体、俺が生きてた頃は聞かなかったけどな」

 小春は身を引いていきながら、納得するように言う。

「まあ、そりゃそうよね。 考えてみれば、降霊術があるんだから、殺したって、すぐ犯人がわかるじゃない」
「まあ、そうだな」

 ミツバが笑った。 歌子もうんうんと、同意するように頷く。

 小春のいうことは、正しい。 殺人を犯しても、殺された人を降霊してしまえば、誰が犯人かなんて、すぐに分かってしまう。 この街で殺人が起こった話など、私も聞いたことがない。

 それに、そのために精神科の医療いりょうが発達したという歴史も、この街にはある。

 人殺しが起きるということは、たいていはそれを引き起こす、何らかの問題があるということだ。
 もし、人殺しが起きなかったら? ……ある意味では、その問題がずっと残ることになってしまう。 反撃の結果としての殺人、が起こらないからだ。

 それに、幽霊たちも無関係ではない。 生身の体が無いから暴力は振るえないとはいえ、いじめや悪口など、精神的なものはある。 その場合も、問題が残り続ける恐れがある。

 だから、そういった人間関係などの問題をきちんと取り除くために、精神科のポスターが、街中のいたるところに張ってあるのだ。 公的な仕事をしている人になら、誰にでも声をかけてくださいと書いてある。
 私も、公的な歴史所で働いているから、もしそういう相談を受けた場合は、局長に報告する必要がある。

 ……だけど、実際に精神科を見たことのある人は、なぜか、いない。 これが都市伝説のひとつ、『まぼろしの精神科』なんだ。


 歌子はそんなことを考えていると、また、300年前のことについて、思い出したことがあった。

「あれ? ……でも、たしか、失踪者しっそうしゃが結構いたとか……じゃなかったっけ? 子供ばかりが、連続で消えたって……」

 変な話だが、そんなことも聞いたことがある。 おじさんは、思い出すように答えた。

「あぁ、それはあったな。 神隠かみかくしにあったっていって、なんかたたりじゃないかーとか言って、騒いでたな。 ……それも、その一族がまつりをやって、しずめようとしてたっけ」

 ……もう、色々なことが入り乱れてて、よく分からなくなってくる。
 一族の同居に、夢見酒の噂。 時のはざま……。 失踪者が多発して、一族以外からも能力者が……。
 ……何かが繋がりそうに見えるけど、でもよく分からない。
 ま、いっか!ww なんとかなるよねっ!!!wwww イェイっ!!ww

 歌子が楽観的に笑っていると、いきなり小春がぼそっと呟いた。

「……ところで、スズネ、遅いわね」

 そういって、きょろきょろと辺りを見回す。 一緒になって、歌子も辺りを眺めた。
 ……スズネは、来るつもりはないのかな? でもさっきの様子は、やっぱり気になる。

「ちょっと待ってて。 私、探してくる」

 歌子はそういって、席を立っていった。
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