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第八章 混ざっていく世界、『時のはざま』
第77話 図書館!
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街では、新たに『図書館』も作った。 現代の日本のように、様々な文書を保存して、閲覧できる場所だ。 たくさんの棚が置かれていて、一つ一つには整理された書類が並んでいる。
今までこの街では、たくさんの知識を蓄えてきた。 冒険隊に行って知識を持って帰ってきたり、研究所で実験をしたり……。 それらの知識を、改めてまとめようということになったのだ。
建物に入っていくと、受付のカウンターがある。 ここで貸し出しなどの処理を行うなど、未来的なシステムになっているらしい。
中へと進んでいくと、図書館の様子が見えてくる。 建物は5階建てで、中央は吹き抜け構造になっていて、下から見上げると全ての階が見通せるように作られている。
受付のカウンターには、今は一人だけ座っている人がいた。 ここで仕事をして働いている、図書館司書の人だろう。 ……と思ったら、おや? 座っているのは、物静かすぎるクルミだ。 今は一人で椅子《いす》に座って、筆を動かして文章を書いている。
じつは、クルミは図書館に勤めることになったのだ。 朝っぱらからやることなくてブラブラしていたら、街の長に無理やりひっ捕まえられて来たらしい。 『あなた、ここで今日から働くのよ』『はい』そんな感じだったようだ。 特に毎日することもなかったから、抵抗せずに勤めることになったんだとか。
カウンターの近くには、別の人もいた。 第3病院で重い病気にかかっていて、包帯グルグル巻きで松葉づえをついていたアキラだ。 混乱の時にスズネと直接会って話して、小春が元気すぎてこれ以上デマを流すと殴るぞお前とか言って、ブチギレていたのを思い出す。
……おや? しかし、今はなにか様子が違う。 前に病院の中で見た時は、包帯を巻いていて松葉づえをついていて、いかにも病人らしい姿だった。 髪も白っぽくて、顔もしわが多くて……まるで老人のようで年齢が分かりにくかったが、今は違う。
包帯は一つも身に着けていないし、髪の毛も黒々としていて、若返ったかのようだ。 見事に体が再生していて、生き生きと動いている。
一体どんなヤバい手術を受けたら、こんな風になるのだろう。 まあいいか、ともあれ元気そうでよかった。
アキラは病院にいる必要がなくなったようで、筋肉をバネのように動かし、はつらつと図書館の職員として働いていた。
前に見た時よりも、表情も分かりやすくなっている。 一目見たところでは、賢そうな感じに見える。 混乱の最中にも小春にキレていたことからも分かるように、冷静な性格でもあるんだろう。
アキラはカウンターの横を通り過ぎながら、ちらっと物静かすぎるクルミの様子を見ている。 作業の進み具合でも確認しているようだったが、安心したような顔で通り過ぎていった。
クルミがちゃんと仕事が出来ているかを心配していたようだが、その必要はなかったらしい。
そこへ、今度は別の声が聞こえた。
「アキラくーん!」
女の人の声が、高いところから聞こえてくる。 しかし、あまり聞きなれない声だ。
声は、2階のほうから聞こえていた。 見ると、穏やかそうな女の人が手すりに手を当てて、こっちを見下ろしていた。
前回の混乱の時に、山で精神科の患者を探すのを手伝ってくれた、人探しの上手い女の人だ。 名前はアワだ。
アワも、図書館司書として働くことになったらしい。 たった一回の人探しのためだけにこの世に戻って来て、図書館で毎日働かされることになったのだ。 本人からしたらいい迷惑である。
アワに、病院にいたアキラに、物静かすぎるクルミ……。 見慣れない人たちが、新しい建物の中で仕事をしていて、新鮮な空気を感じる。
ここ最近の変化に連動して、新しい日常の風景が出来てきた感じだ。
「はーい!」
アキラは大声で返事をすると、2階へと向かった。 まだ図書館で働く人は少ないから、やることが多くて忙しいのだ。
カウンターから離れていくアキラと入れ違いになるように、今度は職員ではなく利用者の人がやって来た。
この人もあまり見慣れない人だ……大陸出身のヨウだ。 ミツエダお姉さんとともに大陸を旅した後にこの島に来て、『破滅的な未来』の論文を書くだけ書いて死んで、生き返ったら小春にキレられた人である。
ヨウは図書館に日常的に来ているのか、慣れた足取りで受付のカウンターへと近づいてきた。 肩には網を担いでいて、中には大量に石ころが入っているみたいだ。 重そうに息を吐きながら、歩いてくる。
カウンターのそばには、大きなカゴのようなものが置かれてあった。 ヨウはそこへ来ると、網をひっくり返してゴロゴロと石ころを入れ始めた。
「補充しとくね」
そういって、座っている物静かすぎるクルミに声をかけていく。
ゴロゴロと投入されていく石ころは、白くて綺麗だった。 どうやら、『新品』の石ころを作って、図書館に納めに来てくれているらしい。 この図書館でも同じように、メモ紙としての利用をするんだろう。
50年前に石ころメモを始めたこのヨウやススキたちは、現代で嬉しかったことの一つが、歌子の作った『石ころ改』らしい。 白く塗って文字を分かりやすくして、更に再利用もしやすくなった。
この発明を、2人は大いに気に入ったようだ。 自分たちでも『石ころ改』を作るなど、かなりハマっているらしい。
一方で、アキラは階段を上って2階へとつくと、忙しそうに動き回っていたアワのところへと向かっていた。
「アキラくん、これ頼んでいい? ちょっと、書庫のほうを、早く進めなきゃいけないらしくて」
「あぁ、分かりました」
図書館の職員の会話を交わしているようだ。 差し出された書類を受け取ると、アキラは身をひるがえしていく。
歩きながら辺りを見ると、広い図書館の中には、岩でできたテーブルがあちこちに置かれている。 この机に座って調べものや、勉強をしたりしていいことになっているのだ。 こちらも、現代の日本と似た仕組みのようだ。 今は人は少なく、ほとんど人がいない。
一人だけ、テーブルに座っている人の姿が目に入った。 こちらもあまり見ない人で、200年前出身の千代だ。 東の洞穴で、ソラを一人で治療していたという、病気に詳しい女の子だ。 大人しい性格で、山でナツミに振り回されていた人でもある。
今は勉強でもしているのか、図書館の資料を横に山積みにしていた。
「千代。 来てたんだ」
資料を読んでいた千代は、気づいて顔を上げた。 2人は挨拶は済ませているらしく、日常会話を始める。
「あぁ、アキラくん」
「勉強?」
「うん、そう。 ここに来て、また憶えなくちゃいけないことが、たくさんあるみたいだから」
千代は現代で、病院で勤めることになったようだ。 200年前には医療に詳しい人はいなかったから、当時はほとんど独学で勉強していたらしい。
しかし、現代では違う。 発達した医療がこの街にはあるから、たくさん勉強して追いつかなければならないのだ。
今までこの街では、たくさんの知識を蓄えてきた。 冒険隊に行って知識を持って帰ってきたり、研究所で実験をしたり……。 それらの知識を、改めてまとめようということになったのだ。
建物に入っていくと、受付のカウンターがある。 ここで貸し出しなどの処理を行うなど、未来的なシステムになっているらしい。
中へと進んでいくと、図書館の様子が見えてくる。 建物は5階建てで、中央は吹き抜け構造になっていて、下から見上げると全ての階が見通せるように作られている。
受付のカウンターには、今は一人だけ座っている人がいた。 ここで仕事をして働いている、図書館司書の人だろう。 ……と思ったら、おや? 座っているのは、物静かすぎるクルミだ。 今は一人で椅子《いす》に座って、筆を動かして文章を書いている。
じつは、クルミは図書館に勤めることになったのだ。 朝っぱらからやることなくてブラブラしていたら、街の長に無理やりひっ捕まえられて来たらしい。 『あなた、ここで今日から働くのよ』『はい』そんな感じだったようだ。 特に毎日することもなかったから、抵抗せずに勤めることになったんだとか。
カウンターの近くには、別の人もいた。 第3病院で重い病気にかかっていて、包帯グルグル巻きで松葉づえをついていたアキラだ。 混乱の時にスズネと直接会って話して、小春が元気すぎてこれ以上デマを流すと殴るぞお前とか言って、ブチギレていたのを思い出す。
……おや? しかし、今はなにか様子が違う。 前に病院の中で見た時は、包帯を巻いていて松葉づえをついていて、いかにも病人らしい姿だった。 髪も白っぽくて、顔もしわが多くて……まるで老人のようで年齢が分かりにくかったが、今は違う。
包帯は一つも身に着けていないし、髪の毛も黒々としていて、若返ったかのようだ。 見事に体が再生していて、生き生きと動いている。
一体どんなヤバい手術を受けたら、こんな風になるのだろう。 まあいいか、ともあれ元気そうでよかった。
アキラは病院にいる必要がなくなったようで、筋肉をバネのように動かし、はつらつと図書館の職員として働いていた。
前に見た時よりも、表情も分かりやすくなっている。 一目見たところでは、賢そうな感じに見える。 混乱の最中にも小春にキレていたことからも分かるように、冷静な性格でもあるんだろう。
アキラはカウンターの横を通り過ぎながら、ちらっと物静かすぎるクルミの様子を見ている。 作業の進み具合でも確認しているようだったが、安心したような顔で通り過ぎていった。
クルミがちゃんと仕事が出来ているかを心配していたようだが、その必要はなかったらしい。
そこへ、今度は別の声が聞こえた。
「アキラくーん!」
女の人の声が、高いところから聞こえてくる。 しかし、あまり聞きなれない声だ。
声は、2階のほうから聞こえていた。 見ると、穏やかそうな女の人が手すりに手を当てて、こっちを見下ろしていた。
前回の混乱の時に、山で精神科の患者を探すのを手伝ってくれた、人探しの上手い女の人だ。 名前はアワだ。
アワも、図書館司書として働くことになったらしい。 たった一回の人探しのためだけにこの世に戻って来て、図書館で毎日働かされることになったのだ。 本人からしたらいい迷惑である。
アワに、病院にいたアキラに、物静かすぎるクルミ……。 見慣れない人たちが、新しい建物の中で仕事をしていて、新鮮な空気を感じる。
ここ最近の変化に連動して、新しい日常の風景が出来てきた感じだ。
「はーい!」
アキラは大声で返事をすると、2階へと向かった。 まだ図書館で働く人は少ないから、やることが多くて忙しいのだ。
カウンターから離れていくアキラと入れ違いになるように、今度は職員ではなく利用者の人がやって来た。
この人もあまり見慣れない人だ……大陸出身のヨウだ。 ミツエダお姉さんとともに大陸を旅した後にこの島に来て、『破滅的な未来』の論文を書くだけ書いて死んで、生き返ったら小春にキレられた人である。
ヨウは図書館に日常的に来ているのか、慣れた足取りで受付のカウンターへと近づいてきた。 肩には網を担いでいて、中には大量に石ころが入っているみたいだ。 重そうに息を吐きながら、歩いてくる。
カウンターのそばには、大きなカゴのようなものが置かれてあった。 ヨウはそこへ来ると、網をひっくり返してゴロゴロと石ころを入れ始めた。
「補充しとくね」
そういって、座っている物静かすぎるクルミに声をかけていく。
ゴロゴロと投入されていく石ころは、白くて綺麗だった。 どうやら、『新品』の石ころを作って、図書館に納めに来てくれているらしい。 この図書館でも同じように、メモ紙としての利用をするんだろう。
50年前に石ころメモを始めたこのヨウやススキたちは、現代で嬉しかったことの一つが、歌子の作った『石ころ改』らしい。 白く塗って文字を分かりやすくして、更に再利用もしやすくなった。
この発明を、2人は大いに気に入ったようだ。 自分たちでも『石ころ改』を作るなど、かなりハマっているらしい。
一方で、アキラは階段を上って2階へとつくと、忙しそうに動き回っていたアワのところへと向かっていた。
「アキラくん、これ頼んでいい? ちょっと、書庫のほうを、早く進めなきゃいけないらしくて」
「あぁ、分かりました」
図書館の職員の会話を交わしているようだ。 差し出された書類を受け取ると、アキラは身をひるがえしていく。
歩きながら辺りを見ると、広い図書館の中には、岩でできたテーブルがあちこちに置かれている。 この机に座って調べものや、勉強をしたりしていいことになっているのだ。 こちらも、現代の日本と似た仕組みのようだ。 今は人は少なく、ほとんど人がいない。
一人だけ、テーブルに座っている人の姿が目に入った。 こちらもあまり見ない人で、200年前出身の千代だ。 東の洞穴で、ソラを一人で治療していたという、病気に詳しい女の子だ。 大人しい性格で、山でナツミに振り回されていた人でもある。
今は勉強でもしているのか、図書館の資料を横に山積みにしていた。
「千代。 来てたんだ」
資料を読んでいた千代は、気づいて顔を上げた。 2人は挨拶は済ませているらしく、日常会話を始める。
「あぁ、アキラくん」
「勉強?」
「うん、そう。 ここに来て、また憶えなくちゃいけないことが、たくさんあるみたいだから」
千代は現代で、病院で勤めることになったようだ。 200年前には医療に詳しい人はいなかったから、当時はほとんど独学で勉強していたらしい。
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