幽霊だらけの古代都市!発達した呪術国家で、破滅的な未来なんて蹴り飛ばせっ! 幽霊たちと一緒に、ワクワクしながら元気に走り回るっっ!!!

折紙いろは

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第八章 混ざっていく世界、『時のはざま』

第79話 タイムマシンで300年前にGO!

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 その会話の近くでは、病院から解放されたアキラが図書館の仕事をしていた。 2人の会話は気になるのかもしれないが、真面目に仕事をしているみたいだ。 手元を見て淡々たんたんと業務を進めている。
 そこへ、イトがズカズカと足音を鳴らしながらやって来た。

「アキラくん。 今から、300年前に行くから」
「え? ……あぁ」

 何の話だろうか? ……300年前に行く? 何が何だか分からないが、どうやら2人はこれから300年前に行くらしい。 アキラはあわてて仕事を終えて、イトの後を追っていく。

 300年前と言えば、降霊こうれい能力を持った一族がいて、『時のはざま』の事件が起こった時代だった。 他にも失踪しっそう者が多発したり、同じ時期に降霊能力を持った人が一族以外からも出てくるなど、ごちゃごちゃしてて複雑な時期だった。
 結局、今のところは分かっていることは少ない。 降霊洞穴こうれいほらあなで見つかった骨は別のものだったし、同時期に流れたという『夢見酒ゆめみざけ』なんてちらりとも見えない。 情報提供してくれている一族の『コガネさん』が、時のはざまの様子を、前半部分だけ表現してくれたことぐらいだ。
 これはもう、実際にその場に行くっきゃないだろっ!! ってことだろうか。 よーっし乗ったっ!! 行こうぜ、300年前っ!!! フゥゥゥッッッ!!!!!!wwww

 2人は図書館の中を歩いていくと、今度は千代ちよの姿が見えてきた。
 さっきイトたちの会話をのぞき見していたが、また自分のことに戻ったらしい。 テーブルに座って再び紙を広げて、うーんとうなって勉強しているようだ。

「千代ー。 今から、300年前に行くって」

 近づきながら呼びかけていくと、千代は顔を上げた。 分かったと一言返事をして、手元の勉強道具を急いでまとめていく。
 どうやら千代も、一緒に行く約束をしていたらしい。 よーっし、ついに来たぜっ!! みんなでタイムマシンに乗っていこうぜ。 時間移動もできるようになったなら、もう怖いものは何もない。

 図書館の2階から階段を下りていると、後から荷物をまとめた千代が追いついてきた。 3人は黙ったまま、足音を鳴らして階段を下りていく。
 さっきの激しい口論こうろんの様子を見ていたからか、千代はなんだか気まずそうだ。 鼻をすすったり、どこか別のところを見たりとムズムズしていたが、思いついたように言った。

「あっ! ……コガネさんは? 一緒に行くの?」
「コガネさんとは、待ち合わせの約束してる。 ハルは後から来るって」

 お! 300年前の『時のはざま』の情報提供をしてくれたコガネさんと、ようやく連絡がついたらしい。 コガネさんはマイペースで、こっちの呼びかけに反応しないといってイトがキレていたが、なんとかなったみたいだ。
 それにハル……街のおさまで関係しているとは、結構大きな話が進んでいるようだ。 みんなでタイムマシンに乗って、イェェイっっ!!!!www って感じだろうか。 いいじゃないの、やればいいじゃん。

 キレたようにズンズンと歩きながら、機械的に反応を返すイトを見て、千代はしらけたような顔になった。 スンとあきれた顔をしてみせると、「あ、そう」とだけ言って、再び黙り込んでいく。 千代は大人しいが、意外とお茶目なんだろうか。


 3人は図書館を出て、広く大きな廊下を歩き始めた。 巨大な建物の中のようで、見上げると遠く天井が見える。 ただの廊下なのにずいぶん立派なつくりで、まるで豪華絢爛ごうかけんらんな西洋の城のようだ。
 廊下は大きな石がめられていて、横に開いた窓からは、街の景色が見えていた。 日差しがまだら模様を作りながら廊下に入ってきていて、風がゆったりと通り抜けていく。

「あ、そうだ。 2人に、渡しておきたいものがあるの」

 先頭を歩いていたイトは、肩からさげたポーチを開いていった。 何やら色々なものが入っているようで、ポーチの中ではガチャガチャと音がしている。 やがて、髪飾かみかざりのようなものを取り出した。 3つあるようだ、イトは取り出すと、はいと言って2人にも渡す。

「……え、なにこれ」

 受け取っていき、アキラはまじまじと手元を見る。 髪飾りは綺麗きれいで、可愛らしい模様がたくさん入っていた。
 ……一体どういうことだろう? 俺がこれをつけろって? そんな趣味、無いけど。 ……いや!! おどくるうか、これつけてさ。 ダンシング・フィーバーでもやろうか。 よく分からんけど。
 適当なことを考えながらアキラは困惑こんわくしていると、イトが歩きながら説明していく。

「こうやってつけて、手を当てて話すの。 そしたら、離れてても声が伝わるから」

 イトは自分の髪飾りを頭につけると、手を当ててみせた。 どうやら街は、無線通信デバイスまで発明したらしい。 未来研究所の人たちが、頑張って作ったんだろう。
 2人は不思議そうな顔で髪飾りをつけると、手を当てて、さっそく通信を始めた。

「あー。 ……聞こえる?」
「あ、ほんとだ! あー」

 2人は、特に変だとは思ってないみたいだ。 不思議そうだが楽しそうにして、あーあーとずっと言っている。 科学技術なんて、そんなものだろう。

 廊下を歩いていると、横のほうに下へと下りる階段が見えてきた。 イトは向きを変えて、その階段へと入っていく。
 階段の下の向こうには広い空間が見えていて、まるで地下鉄への入り口のようだった。 人も多く行きかっていて、ますます街が未来っぽくなってきている。

 イトは階段に差し掛かると、数段下りたところで立ち止まり、端の方に身を寄せていった。 何の場所かは分からないが、どうやらここが、コガネさんとの待ち合わせ場所らしい。
 暇をつぶすように辺りを眺めていると、ちょうどその時、髪飾りから通信の声が入ってきた。

『イトちゃん?』

 若い男の子の声だ。 軽い調子で名前を呼んでくる。 どうやらこの人が、コガネさんらしい。
 イトは、髪飾りに手を当てて答えた。

「コガネさん?」
『俺、先に来てるから、追ってきて』

 どうやらコガネは、待ち合わせを無視して先に行ったらしい。 まったく、相変わらずマイペースな人だ。 イトはキレながら、返事をした。

「あぁ、分かりました。 ……じゃ、行こう」

 イトは後ろを振り返り、残りの2人をうながした。 2人はまだ通信で遊んでいるようで、あーあーと笑いながら言い続けていた。 それを無視して、イトは階段を下りていく。
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