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第九章 未来へ
第90話 500年前の、山の中っっ!!
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とある森の縁に、降霊術の創始者のアキカゼがいた。
日は高く、真昼ぐらいの時刻だ。 辺りは静かな自然の景色が広がっていて、近くにはのどかな村が見える。
現代の街にしては静かで、妙に閑散としている。 発展していない村の様子を見ると、もしかしてここは数百年前の場所なんだろうか。
村には十数件程度の藁ぶきの家が並んでいて、田んぼが続いている。 しかし、田んぼは干からびて、荒れているようだ。
アキカゼが見つめる先には、人が集まっていた。 食料を貯蔵する倉庫の前で、人々が口論している様子が見える。 体を突き飛ばしたりして、一触即発の空気だ。 どうやら食料をめぐって言い争っているようだ。
アキカゼは、500年前の時代の出身だった。
村が3つに分かれていた中で起きた争いの中で、降霊術を使うという方向から村を一つにまとめるのに貢献したという過去を持っていた。
もしかしてここは、アキカゼが生きていた頃の時代なんだろうか。
森の縁から口論を眺めるアキカゼは、ひどく冷めている様子だった。 馬鹿だなああいつら、何やってんだ、みたいな顔をして、苦々しい表情で見つめている。
少しその様子を眺めていたアキカゼだったが、やがて興味が失せたように背中を向けて、森の中へと入っていった。
……アキカゼはどうしたんだろう、言い争っているのを止めなくていいんだろうか。 村人たちは、喧嘩しているようだったが……。
噂によると、アキカゼは500年前に生きていた頃には、政治的なことには関わらなかったらしい。 研究に明け暮れて、他のことは全く見向きもしなかったらしいのだ。 まあ、そういう性格なんだろう。
地面を踏みしめて、アキカゼは山の中へと入っていく。
山の中は、静かで穏やかな空気に包まれていた。 午後の強い日差しは木々に吸収されて、空気が澄んでいて涼しい。
アキカゼは辺りを見回しながら、山の斜面を歩いていく。 ときおり足を止め、何かを確認するようにじっと目を閉じたりしている。
これは霊気を確認していて、その場所がどれだけ霊気の強い場所かを感じ取っているのだ。 霊気が強い場所であればあるほど、降霊術の力を最大化できる。
いまアキカゼは、霊気が強い場所を探しているみたいだ。
しばらく山の中を歩いていたアキカゼだったが、何か異質なものを感じ取っているのような目つきをして、足を止めていった。 いい感じの場所が見つかったんだろうか。
地面にドサッと座っていき、足もきれいに組まずに、適当な格好のまま集中を始める。 どうやらこれから、この場所を本格的に調べてみるらしい。
地面に座り込んだアキカゼは、目を閉じていった。 身動きをやめて、徐々に呼吸を整えていく。
少しずつ呼吸が小さくなり、集中度が増していっているのが分かる。
気づけば、辺りの様子に変化が起きていた。 近くに生えている草木や、川の水などが、全体的に青く光りだしている。 特に川の水が光っていて、キラキラと流れる水が輝いている。
しばらく幻想的なさまがその場を覆っていたが、アキカゼが集中を解くと、その光は瞬時に霧散していった。
その場は元の様子に戻り、何の変哲のない山の様子がふたたび広がる。
「ここでも、ないか……」
よく分からないが、ダメな場所だったらしい。
アキカゼはため息をつきながら立ち上がると、再び歩き出した。 山の斜面を歩いていき、さらに山深くへと入っていく。
歩くアキカゼは、すごく真剣な表情をしている。 眉間にはしわが寄っていて、歩きながらも常に集中している。
草木をかき分け、木々を抜けて歩いていく。 目の前には次から次へと茂みが現れ、それを力強くかき分けながら進んでいく。
一体どれだけ深くまで入って行くんだろう? アキカゼは足を動かし続け、他のことは気にも留めていない様子だ。
一心不乱に集中して歩き、茂みをかき分けていると、いきなり草むらを抜けてパッと視界が広がった。 目の前には、草が少なく地面が広がっている場所が広がっていた。
ふと見ると、そこには人の姿があった。 2人ほどいて、地面にしゃがんだ姿が……。
「あ」
2人の女の子が、しゃがんでこっちを見ていた。 2人は、うんこしているようだった。 連れ立って、並んでうんこしているようだった。 顔を見ると、歌子とスズネだ。 よっしゃぁぁぁっっっ!!!!!wwwwww きたあぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!!!wwwwww
アキカゼは、何も言わずにその場を後にした。 くるっと背を向けると、すでに別のほうへと歩きだしている。 いつもの冷静な顔をしたまま、何も思うことはないみたいな感じだ。 クールだ……っ!
しかし再び茂みに入って数歩したところで、すぐにまた別の人影が目の前に現れた。
今度は大きい男で、こちらも股間に手を当ててしょんべんをしていた。 じょぼじょぼと音がしていて、透明な液体が地面に流れている。
男はこっちに気づくと、気軽な感じで挨拶してきた。
「おう、アキカゼ」
「おい、こっちもか」
こっちの男も、見たことがある。 山で降霊されて、一緒に精神科の患者を探し回ったりした人だ。 騒がしい夜の議会では、いい人オーラを出しながらスズネの地図作りに参加すると言ってくれた人でもある。 たしか、名前はマツだった。
マツは500年前の出身で、昔からアキカゼとは知り合いだったらしい。 同じ村の出身で、小さい時から友達だったとか。
研究ばかりするアキカゼとは違い、まともに人と話し合って政治を動かそうとしたとかなんとか。
2つのトイレに挟まれて、アキカゼはしょうがないな、といった表情になった。 気だるげにため息をつきながら、しかし自分も催すものがあったのか、下半身をボロンと露出させていく。
やがて、じょぼじょぼとしょんべんが放出され始めた。
「お前、ここで何してんだ?」
しっこを出しながら、アキカゼは低いかっこいい声で聞いていく。
500年前なんて、別に何もない。 ここにあるのは自然の景色がほとんどで、村の人たちも少ない。 たまには帰って、両親にでも顔を見せに行こうということだろうか。
マツはしょんべんを終えると、股間を振りながら答えた。
「地図作りを手伝ってくれって言われてな。 昔も含めて、全部の地図を作るんだと」
地図作り……。 夜の議会の日に、スズネが始めたやつのことだ。 議会も見ずに、みんなで客席で適当なことをベラベラと喋っていた気がする。
マツも近くに座っていて、協力してくれると言っていたから、いま実際に地図作りをしている最中なんだろう。
それにしても、昔を含めてすべての地図を作るとは大したものだ。
それだけしっかりしたデータベースが出来上がれば、歴史所で語られる過去の出来事とあわせて、昔のことがより近く感じられるようになる。
時間移動もできるようになったし、まるで全ての時代を含めた世界に生きているみたいだ。
アキカゼは適当に相槌を打ちながら、しょんべんを終えていった。
同時に、がさっと茂みをかき分ける音とともに、歌子とスズネがやって来た。 どうやらこの2人と一緒に、地図作りをしていたらしい。
歌子は草をかき分けながらその場に来ると、アキカゼの姿を見て、改めて、今日初めて会った感じで挨拶しなおしてきた。
「あ、アキカゼさん」
「おう」
アキカゼは愛想のない感じで、ぶっきらぼうに挨拶を返す。 アキカゼはそんなに気にしていない様子だ。 生まれた時代によっても、感覚が違ったりするのかもしれない。
一行は用を済ますと、改めて一緒に歩き始めた。
周りには木がうっそうと茂っていて、視界が悪い。 しかしアキカゼとマツは慣れているのか、迷うことなく歩いている。 この2人は、この辺りの地形に詳しいんだろう。
気づけばアキカゼの顔からは、さっきまでの真剣さは消えているようだった。 他の人に会ったし、用も足したし、少し落ち着いたのかもしれない。
辺りを見ながら歩いていたアキカゼは、ふと思い出したように振り返った。
「歌子、お前、ちゃんと休んでんのか?」
歌子は顔を上げて、目をパチパチさせる。
……あっ、来たっ!!ww 聞いた話では、イトは朝早くから、本当に色んなところを回っていったらしいんだ。 公的な人たちや、街の偉い人たちのところにまで行ったりして、キレて回ったそうなんだよね。 それで、今日は街全体がいきなり休みになったんだw
実は、私はさっきから同じことを色んな人に言われてるんだ。 どうやらイトがめちゃくちゃに色んなところで宣伝したらしく、私の体調がヤバいのではという噂が街の中で広まったらしい。
私はさっきまで家で寝てたんだけど、ちょっと昼ご飯を食べようとして街を歩いただけで、道行く人からたくさん心配された。 それで、なんだかしょうがなくなって500年前に来ちゃったんだよねw
もう、イトってあんなに極端だったんだ。 私、イトってもうちょっと冷静だと思ってたよ。
「大丈夫ですよ! さっきまでずっと寝てたから、もう退屈でっ!」
歌子はそういって、腕を元気にブンブンと振って見せる。 少しやり過ぎに見えるが、歌子なりに逆に気を使っているんだろう。
アキカゼは頷くと、安心したように笑った。
「そうか。 なら、よかった」
周囲は少しずつ明るくなってきているようだった。 木や草の数が少なくなってきて、うっそうと茂っていた緑が薄くなってきている。
歌子の横では、スズネが辺りの地面を見ながら何かを探しているようだった。 そばに落ちていた石ころに目を向けると、歩きながら拾い上げていく。
「あ、これいいね」
どうやらスズネは、地図作りをすると同時に、『石ころ改』用の石ころを探しているみたいだ。 石ころメモ用の石ころも、形が滑らかで綺麗じゃないと使いにくいから、実は選別する必要があるのだ。
スズネは肩から掛けていたポーチを開くと、その中に石ころを入れていった。
歩く一行の前に、景色が開けてきた。 木々の間に、山の中腹からの景色が見えてくる。
それに気づくと、歌子はつられるようにして走って行った。 茂みを抜けていき、立ち止まると、腕を広げて深呼吸する。
「はーっっっ!! ……あー、気持ち良いっ!」
山の木々を抜けると、広い景色が広がっていた。 連なる山々の稜線が見えていて、青空のもとに辺り一面緑に囲まれているのが見える。
残りの3人も追いついてきて、一緒に立ち止まっていった。 スズネも前に出ていくと、うーんと気持ちよさそうに伸びをする。
「やっぱり昔は、緑が深くていいですねっ!」
歌子が笑顔で言うと、横でマツが小さく頷いた。
今の島もたくさん緑はあるが、ここまで多くはない。 街が発展していくと、その部分は緑は薄くなっていく。 特に50年前から、自然の減少が加速したらしい。
日は高く、真昼ぐらいの時刻だ。 辺りは静かな自然の景色が広がっていて、近くにはのどかな村が見える。
現代の街にしては静かで、妙に閑散としている。 発展していない村の様子を見ると、もしかしてここは数百年前の場所なんだろうか。
村には十数件程度の藁ぶきの家が並んでいて、田んぼが続いている。 しかし、田んぼは干からびて、荒れているようだ。
アキカゼが見つめる先には、人が集まっていた。 食料を貯蔵する倉庫の前で、人々が口論している様子が見える。 体を突き飛ばしたりして、一触即発の空気だ。 どうやら食料をめぐって言い争っているようだ。
アキカゼは、500年前の時代の出身だった。
村が3つに分かれていた中で起きた争いの中で、降霊術を使うという方向から村を一つにまとめるのに貢献したという過去を持っていた。
もしかしてここは、アキカゼが生きていた頃の時代なんだろうか。
森の縁から口論を眺めるアキカゼは、ひどく冷めている様子だった。 馬鹿だなああいつら、何やってんだ、みたいな顔をして、苦々しい表情で見つめている。
少しその様子を眺めていたアキカゼだったが、やがて興味が失せたように背中を向けて、森の中へと入っていった。
……アキカゼはどうしたんだろう、言い争っているのを止めなくていいんだろうか。 村人たちは、喧嘩しているようだったが……。
噂によると、アキカゼは500年前に生きていた頃には、政治的なことには関わらなかったらしい。 研究に明け暮れて、他のことは全く見向きもしなかったらしいのだ。 まあ、そういう性格なんだろう。
地面を踏みしめて、アキカゼは山の中へと入っていく。
山の中は、静かで穏やかな空気に包まれていた。 午後の強い日差しは木々に吸収されて、空気が澄んでいて涼しい。
アキカゼは辺りを見回しながら、山の斜面を歩いていく。 ときおり足を止め、何かを確認するようにじっと目を閉じたりしている。
これは霊気を確認していて、その場所がどれだけ霊気の強い場所かを感じ取っているのだ。 霊気が強い場所であればあるほど、降霊術の力を最大化できる。
いまアキカゼは、霊気が強い場所を探しているみたいだ。
しばらく山の中を歩いていたアキカゼだったが、何か異質なものを感じ取っているのような目つきをして、足を止めていった。 いい感じの場所が見つかったんだろうか。
地面にドサッと座っていき、足もきれいに組まずに、適当な格好のまま集中を始める。 どうやらこれから、この場所を本格的に調べてみるらしい。
地面に座り込んだアキカゼは、目を閉じていった。 身動きをやめて、徐々に呼吸を整えていく。
少しずつ呼吸が小さくなり、集中度が増していっているのが分かる。
気づけば、辺りの様子に変化が起きていた。 近くに生えている草木や、川の水などが、全体的に青く光りだしている。 特に川の水が光っていて、キラキラと流れる水が輝いている。
しばらく幻想的なさまがその場を覆っていたが、アキカゼが集中を解くと、その光は瞬時に霧散していった。
その場は元の様子に戻り、何の変哲のない山の様子がふたたび広がる。
「ここでも、ないか……」
よく分からないが、ダメな場所だったらしい。
アキカゼはため息をつきながら立ち上がると、再び歩き出した。 山の斜面を歩いていき、さらに山深くへと入っていく。
歩くアキカゼは、すごく真剣な表情をしている。 眉間にはしわが寄っていて、歩きながらも常に集中している。
草木をかき分け、木々を抜けて歩いていく。 目の前には次から次へと茂みが現れ、それを力強くかき分けながら進んでいく。
一体どれだけ深くまで入って行くんだろう? アキカゼは足を動かし続け、他のことは気にも留めていない様子だ。
一心不乱に集中して歩き、茂みをかき分けていると、いきなり草むらを抜けてパッと視界が広がった。 目の前には、草が少なく地面が広がっている場所が広がっていた。
ふと見ると、そこには人の姿があった。 2人ほどいて、地面にしゃがんだ姿が……。
「あ」
2人の女の子が、しゃがんでこっちを見ていた。 2人は、うんこしているようだった。 連れ立って、並んでうんこしているようだった。 顔を見ると、歌子とスズネだ。 よっしゃぁぁぁっっっ!!!!!wwwwww きたあぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!!!wwwwww
アキカゼは、何も言わずにその場を後にした。 くるっと背を向けると、すでに別のほうへと歩きだしている。 いつもの冷静な顔をしたまま、何も思うことはないみたいな感じだ。 クールだ……っ!
しかし再び茂みに入って数歩したところで、すぐにまた別の人影が目の前に現れた。
今度は大きい男で、こちらも股間に手を当ててしょんべんをしていた。 じょぼじょぼと音がしていて、透明な液体が地面に流れている。
男はこっちに気づくと、気軽な感じで挨拶してきた。
「おう、アキカゼ」
「おい、こっちもか」
こっちの男も、見たことがある。 山で降霊されて、一緒に精神科の患者を探し回ったりした人だ。 騒がしい夜の議会では、いい人オーラを出しながらスズネの地図作りに参加すると言ってくれた人でもある。 たしか、名前はマツだった。
マツは500年前の出身で、昔からアキカゼとは知り合いだったらしい。 同じ村の出身で、小さい時から友達だったとか。
研究ばかりするアキカゼとは違い、まともに人と話し合って政治を動かそうとしたとかなんとか。
2つのトイレに挟まれて、アキカゼはしょうがないな、といった表情になった。 気だるげにため息をつきながら、しかし自分も催すものがあったのか、下半身をボロンと露出させていく。
やがて、じょぼじょぼとしょんべんが放出され始めた。
「お前、ここで何してんだ?」
しっこを出しながら、アキカゼは低いかっこいい声で聞いていく。
500年前なんて、別に何もない。 ここにあるのは自然の景色がほとんどで、村の人たちも少ない。 たまには帰って、両親にでも顔を見せに行こうということだろうか。
マツはしょんべんを終えると、股間を振りながら答えた。
「地図作りを手伝ってくれって言われてな。 昔も含めて、全部の地図を作るんだと」
地図作り……。 夜の議会の日に、スズネが始めたやつのことだ。 議会も見ずに、みんなで客席で適当なことをベラベラと喋っていた気がする。
マツも近くに座っていて、協力してくれると言っていたから、いま実際に地図作りをしている最中なんだろう。
それにしても、昔を含めてすべての地図を作るとは大したものだ。
それだけしっかりしたデータベースが出来上がれば、歴史所で語られる過去の出来事とあわせて、昔のことがより近く感じられるようになる。
時間移動もできるようになったし、まるで全ての時代を含めた世界に生きているみたいだ。
アキカゼは適当に相槌を打ちながら、しょんべんを終えていった。
同時に、がさっと茂みをかき分ける音とともに、歌子とスズネがやって来た。 どうやらこの2人と一緒に、地図作りをしていたらしい。
歌子は草をかき分けながらその場に来ると、アキカゼの姿を見て、改めて、今日初めて会った感じで挨拶しなおしてきた。
「あ、アキカゼさん」
「おう」
アキカゼは愛想のない感じで、ぶっきらぼうに挨拶を返す。 アキカゼはそんなに気にしていない様子だ。 生まれた時代によっても、感覚が違ったりするのかもしれない。
一行は用を済ますと、改めて一緒に歩き始めた。
周りには木がうっそうと茂っていて、視界が悪い。 しかしアキカゼとマツは慣れているのか、迷うことなく歩いている。 この2人は、この辺りの地形に詳しいんだろう。
気づけばアキカゼの顔からは、さっきまでの真剣さは消えているようだった。 他の人に会ったし、用も足したし、少し落ち着いたのかもしれない。
辺りを見ながら歩いていたアキカゼは、ふと思い出したように振り返った。
「歌子、お前、ちゃんと休んでんのか?」
歌子は顔を上げて、目をパチパチさせる。
……あっ、来たっ!!ww 聞いた話では、イトは朝早くから、本当に色んなところを回っていったらしいんだ。 公的な人たちや、街の偉い人たちのところにまで行ったりして、キレて回ったそうなんだよね。 それで、今日は街全体がいきなり休みになったんだw
実は、私はさっきから同じことを色んな人に言われてるんだ。 どうやらイトがめちゃくちゃに色んなところで宣伝したらしく、私の体調がヤバいのではという噂が街の中で広まったらしい。
私はさっきまで家で寝てたんだけど、ちょっと昼ご飯を食べようとして街を歩いただけで、道行く人からたくさん心配された。 それで、なんだかしょうがなくなって500年前に来ちゃったんだよねw
もう、イトってあんなに極端だったんだ。 私、イトってもうちょっと冷静だと思ってたよ。
「大丈夫ですよ! さっきまでずっと寝てたから、もう退屈でっ!」
歌子はそういって、腕を元気にブンブンと振って見せる。 少しやり過ぎに見えるが、歌子なりに逆に気を使っているんだろう。
アキカゼは頷くと、安心したように笑った。
「そうか。 なら、よかった」
周囲は少しずつ明るくなってきているようだった。 木や草の数が少なくなってきて、うっそうと茂っていた緑が薄くなってきている。
歌子の横では、スズネが辺りの地面を見ながら何かを探しているようだった。 そばに落ちていた石ころに目を向けると、歩きながら拾い上げていく。
「あ、これいいね」
どうやらスズネは、地図作りをすると同時に、『石ころ改』用の石ころを探しているみたいだ。 石ころメモ用の石ころも、形が滑らかで綺麗じゃないと使いにくいから、実は選別する必要があるのだ。
スズネは肩から掛けていたポーチを開くと、その中に石ころを入れていった。
歩く一行の前に、景色が開けてきた。 木々の間に、山の中腹からの景色が見えてくる。
それに気づくと、歌子はつられるようにして走って行った。 茂みを抜けていき、立ち止まると、腕を広げて深呼吸する。
「はーっっっ!! ……あー、気持ち良いっ!」
山の木々を抜けると、広い景色が広がっていた。 連なる山々の稜線が見えていて、青空のもとに辺り一面緑に囲まれているのが見える。
残りの3人も追いついてきて、一緒に立ち止まっていった。 スズネも前に出ていくと、うーんと気持ちよさそうに伸びをする。
「やっぱり昔は、緑が深くていいですねっ!」
歌子が笑顔で言うと、横でマツが小さく頷いた。
今の島もたくさん緑はあるが、ここまで多くはない。 街が発展していくと、その部分は緑は薄くなっていく。 特に50年前から、自然の減少が加速したらしい。
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