18 / 18
エピローグ
しおりを挟む
頭を抱え込んで大きな、それはもう大きなため息を吐く。
新しく書こうとしている小説の案が全然頭に浮かんでこないのだ。
そうやって頭を悩ませていると、誰かが1階からドタバタと2階に駆け上がる音が聞こえてきた。
そしてその足音は僕の仕事部屋の前で止まると――次の瞬間、バンッ! とドアが凄い勢いで開かれ、娘の灯が部屋に飛び込んできた。
「見て見て見てー! お母さんのスマホのメモ欄に[ラブレター]ってファイルがあったの! 気になって読んでみたらびっくり仰天! これってさ、お父さんが書いた小説でしょ?」
灯は興奮気味にそう言って、妻のスマホを僕に見せつける。
その画面に表示されていたのは、僕が18歳の時に書いた『僕と君』だった。
よくもまあこんな古いものを……ていうか懐かしいな。これを書いてからもう数十年も経つのか……じゃなくて。
「勝手に母さんのスマホ見たら駄目だろ」
「ちゃーんと母さんには許可取ってまーす。物を勝手に購入したりゲームに課金したりする以外は何してもいいって。ていうか、話を逸さないでよ。これって父さんが書いた小説なんでしょ?」
「それは……まぁ、そうだけど……」
「これって途中まではちゃんと話が繋がっているのに、どうして最後の方は似たような内容の小説が続いてるの? この『僕と君』とその前の話の『菜の花と紫陽花』との間に絶対なにか一悶着あったでしょ! それに『僕と君』のあと、お父さんたちはどうなったの? 私、結末が知りたい!」
「そりゃあ……こうして灯が産まれてるってことはそういうことだよ。お父さんとお母さんは『僕と君』のあとに付き合い、今に至ります。以上」
「そうじゃなくて! 私は書かれていない部分が読みたいの! お父さんとお母さんがどうやって結ばれたのか詳しく知りたい!」
「えぇ……親のなり初めなんか普通は聞きたくないと思うんだけどなぁ……」
「普通かどうかなんて関係ない! 私が知りたいのっ! 続きを書いてくれなきゃヤダヤダヤダヤダ! 読みたい読みたい読みたーいっ!」
中学生にもなって床を転げ回りながら駄々をこねる娘を前に、僕はため息を吐いて痛む頭を押さえる。
灯の意志を尊重して育てた結果……容姿も性格も妻に似てしまった。
容姿は可愛い妻に似て良かったと思うが、性格はもう少しだけでいいから落ち着いていてほしかった。
灯と一緒にいる時間は外仕事が多い妻よりも家仕事が多い僕の方が断然長かったにも関わらず……遺伝子というのは全くもって恐ろしい。
「なに騒いでるのー?」
あまりにも存在感のある娘を相手にしていたからか、妻がそう声を発してやっと僕は部屋に入ってきていた妻――旭さんに気付いた。
旭さんは、我儘を言ってお父さんを困らせる娘、という僕たちの日常ではよくある光景を微笑ましいものを見るような顔で見つめていた。
「灯が旭さんのスマホから僕が高校生の時に書いた小説を見つけてきて、僕たちのなり初めを詳しく知りたいから書いてほしいって駄々をこねて聞かないんだよ」
「ああ、そういうことね。書いてあげたらいいじゃん」
てっきり僕の味方をしてくれると思っていた旭さんのまさかの裏切りに、僕は「へ?」と間の抜けた声が出た。
「いやいや……僕は仕事で書かなきゃいけない方もあるし、他の小説を書いている時間なんて……」
「1年間もニートやってて何言ってんの。新作も全然書けていないみたいだし、今は暇なんでしょ?」
「ひ、暇では無いし、新作も……うん、ぼちぼちって感じだし……あと、書いてない期間をニート呼ばわりをされるのはちょっと違うかなぁというかなんというか……」
旭さんに痛いところを突かれ、僕はしどろもどろになる。
僕は一応プロの作家にはなれたものの、未だに鳴かず飛ばず……。
そんな僕とは違って旭さんはフリーランスのカメラマンとして年がら年中仕事を頑張っている。
人物だろうと風景だろうとなんでも来いのスタンスでありながら、撮る写真はどれも人を魅了させる旭さんは今や、結婚式、企業広報、風景雑誌等々、どの業界にも引っ張りだこだ。
高校生の時に再発した癌を治療してから、その後も2度癌が再発したにも関わらず、懸命な闘病の末に今では完治しているし……僕の妻は本当に凄い人だと思う。
……まぁ、だからと言って、僕が小説を書くかどうかとは別の話だけど。
「とにかく、書かないったら書かない」
「そんなこと言わずにさ、書いてあげたら? 高校生の時みたいに実際にあったことを書くことによって、またバリバリ小説が書けるようになるかもしれないよ? それに私も夕くんがあの時にどれだけ私のことを想ってくれていたのかを知りたいし。あっ……さては、もう書けないほど高校時代の記憶が薄れているとか?」
「そんなことないよ。旭さんと一緒に過ごしたあの高校時代は色褪せることのない大切な思い出だ。でも……当時の気持ちを今さら書くのはなんだか恥ずかしくて……」
「……あーあっ。昔は好きとか愛してるとか、ちゃんと言ってくれていたのに、最近は全然言ってくれなくなっちゃったなー」
菜花さんのその言葉に、僕の喉の奥から「うっ」と呻き声みたいなものが出るだけ出て、それ以上は何も言えなかった。
「灯? 私に対してお父さん冷たくなったよね? もう私のこと好きじゃなくなっちゃったのかな?」
「流石のお母さんも歳をとって少し老けたし、未だに女として見てもらおうとしているところがお父さんには重いのかも」
「灯、お母さんとよ~く話しよっか?」
「ひえぇ……」
お母さんにいらないことを言って怒られ怯える娘、というこれもまた僕たちの日常ではよくある光景を視界の端で捉えつつ、僕はこっそりと仕事部屋からの脱出を試みる。
しかし、あと一歩で部屋から出られるというところで旭さんから「夕くん?」と呼び止められ、僕は恐る恐る後ろを振り返った。
そこには満面の笑みをこちらに向ける菜花さんがいたが……なんでだろう? とてつもない恐怖を感じる。
「私、重くないよね? 夕くんは私のこと愛してるよね?」
「も、もちろん!」
「じゃあ、どうして言ってくれなくなったの?」
「それは……長年連れ添ってきた僕と旭さんの関係だし、この想いは言わなくても伝わっているだろうから、言わなくたって……」
「ダメだよ夕くん。それは甘えです。ちゃんと言葉にして伝えてくれないと、伝わらないことなんて沢山あるんだよ? ねっ、灯?」
「そ、そうだそうだー!」
怒りの矛先が再び自分に向けられないように、灯は全力で旭さんに賛同する。
分かってはいたが、どうやらこの場には僕の味方は1人もいないみたいだ。
マズイな……この流れは非常にマズイ……。
何度も身に覚えのある状況に焦りを感じていると、旭さんは僕のことをじっと見つめ、そして口を開いた。
「だからさ――」
そう言いながら旭さんは意地悪な顔で笑う。
それは高校生の時によく見た、懐かしい表情だった。
……あぁ、そうか。僕はとんだ勘違いをしてたんだ。
大人になってから旭さんは落ち着いたとは思っていたけど……何歳になろうとやっぱりあの頃から彼女は何も変わらない。
旭さんは旭さんのままだった。
「もう1度私のために書いてよ。日本で1番長いラブレターを」
あれからも僕たちは言い争い、最終的には僕が折れてこの小説を書くはめになった。
だけど、灯と旭さんにこれを読まれるのが恥ずかしいことに変わりは無いので、ネットに投稿するから勝手に見つけ出して読んでもらうという形で2人には(無理矢理)納得してもらった。
まず僕はプロローグを書き、18歳の時に書いた10本の小説の加筆と修正を行い、そして次に数十年も前のことを思い出しながら、さらに6本の小説を書いたが……これがまた骨の折れる作業だった。
……まぁ、そんな文句めいたことをボヤきながらも、このエピローグを書くまでに計186838文字を書いたところを見るに、結局は僕もこの小説を楽しみながら書いていたみたいだ。
現在進行形で書いているこのエピローグも、もう終わりが見えるところまできている。
この小説が終わってしまうことに少しだけ寂しさを感じつつ――僕はふとあることが頭を過り文字を打つ手を止めた。
このエピローグが書き終われば、あとはこの小説の題名を付けて完成だけど……その題名を何と付けよう?
僕は顎に手を添えて考え込む。――そして程なくして、良い題名が頭に浮かんだ。
旭さんが僕に言っていたある言葉。それを僕は題名に使うことにした。
僕は一行開けて、考えついた題名をさっそく打ち込む。どうせ読まれることになるのなら、またこの小説が君の心に届くように、そう願いを込めて。
『きっと日本で1番長いラブレターを君に送る』――完
新しく書こうとしている小説の案が全然頭に浮かんでこないのだ。
そうやって頭を悩ませていると、誰かが1階からドタバタと2階に駆け上がる音が聞こえてきた。
そしてその足音は僕の仕事部屋の前で止まると――次の瞬間、バンッ! とドアが凄い勢いで開かれ、娘の灯が部屋に飛び込んできた。
「見て見て見てー! お母さんのスマホのメモ欄に[ラブレター]ってファイルがあったの! 気になって読んでみたらびっくり仰天! これってさ、お父さんが書いた小説でしょ?」
灯は興奮気味にそう言って、妻のスマホを僕に見せつける。
その画面に表示されていたのは、僕が18歳の時に書いた『僕と君』だった。
よくもまあこんな古いものを……ていうか懐かしいな。これを書いてからもう数十年も経つのか……じゃなくて。
「勝手に母さんのスマホ見たら駄目だろ」
「ちゃーんと母さんには許可取ってまーす。物を勝手に購入したりゲームに課金したりする以外は何してもいいって。ていうか、話を逸さないでよ。これって父さんが書いた小説なんでしょ?」
「それは……まぁ、そうだけど……」
「これって途中まではちゃんと話が繋がっているのに、どうして最後の方は似たような内容の小説が続いてるの? この『僕と君』とその前の話の『菜の花と紫陽花』との間に絶対なにか一悶着あったでしょ! それに『僕と君』のあと、お父さんたちはどうなったの? 私、結末が知りたい!」
「そりゃあ……こうして灯が産まれてるってことはそういうことだよ。お父さんとお母さんは『僕と君』のあとに付き合い、今に至ります。以上」
「そうじゃなくて! 私は書かれていない部分が読みたいの! お父さんとお母さんがどうやって結ばれたのか詳しく知りたい!」
「えぇ……親のなり初めなんか普通は聞きたくないと思うんだけどなぁ……」
「普通かどうかなんて関係ない! 私が知りたいのっ! 続きを書いてくれなきゃヤダヤダヤダヤダ! 読みたい読みたい読みたーいっ!」
中学生にもなって床を転げ回りながら駄々をこねる娘を前に、僕はため息を吐いて痛む頭を押さえる。
灯の意志を尊重して育てた結果……容姿も性格も妻に似てしまった。
容姿は可愛い妻に似て良かったと思うが、性格はもう少しだけでいいから落ち着いていてほしかった。
灯と一緒にいる時間は外仕事が多い妻よりも家仕事が多い僕の方が断然長かったにも関わらず……遺伝子というのは全くもって恐ろしい。
「なに騒いでるのー?」
あまりにも存在感のある娘を相手にしていたからか、妻がそう声を発してやっと僕は部屋に入ってきていた妻――旭さんに気付いた。
旭さんは、我儘を言ってお父さんを困らせる娘、という僕たちの日常ではよくある光景を微笑ましいものを見るような顔で見つめていた。
「灯が旭さんのスマホから僕が高校生の時に書いた小説を見つけてきて、僕たちのなり初めを詳しく知りたいから書いてほしいって駄々をこねて聞かないんだよ」
「ああ、そういうことね。書いてあげたらいいじゃん」
てっきり僕の味方をしてくれると思っていた旭さんのまさかの裏切りに、僕は「へ?」と間の抜けた声が出た。
「いやいや……僕は仕事で書かなきゃいけない方もあるし、他の小説を書いている時間なんて……」
「1年間もニートやってて何言ってんの。新作も全然書けていないみたいだし、今は暇なんでしょ?」
「ひ、暇では無いし、新作も……うん、ぼちぼちって感じだし……あと、書いてない期間をニート呼ばわりをされるのはちょっと違うかなぁというかなんというか……」
旭さんに痛いところを突かれ、僕はしどろもどろになる。
僕は一応プロの作家にはなれたものの、未だに鳴かず飛ばず……。
そんな僕とは違って旭さんはフリーランスのカメラマンとして年がら年中仕事を頑張っている。
人物だろうと風景だろうとなんでも来いのスタンスでありながら、撮る写真はどれも人を魅了させる旭さんは今や、結婚式、企業広報、風景雑誌等々、どの業界にも引っ張りだこだ。
高校生の時に再発した癌を治療してから、その後も2度癌が再発したにも関わらず、懸命な闘病の末に今では完治しているし……僕の妻は本当に凄い人だと思う。
……まぁ、だからと言って、僕が小説を書くかどうかとは別の話だけど。
「とにかく、書かないったら書かない」
「そんなこと言わずにさ、書いてあげたら? 高校生の時みたいに実際にあったことを書くことによって、またバリバリ小説が書けるようになるかもしれないよ? それに私も夕くんがあの時にどれだけ私のことを想ってくれていたのかを知りたいし。あっ……さては、もう書けないほど高校時代の記憶が薄れているとか?」
「そんなことないよ。旭さんと一緒に過ごしたあの高校時代は色褪せることのない大切な思い出だ。でも……当時の気持ちを今さら書くのはなんだか恥ずかしくて……」
「……あーあっ。昔は好きとか愛してるとか、ちゃんと言ってくれていたのに、最近は全然言ってくれなくなっちゃったなー」
菜花さんのその言葉に、僕の喉の奥から「うっ」と呻き声みたいなものが出るだけ出て、それ以上は何も言えなかった。
「灯? 私に対してお父さん冷たくなったよね? もう私のこと好きじゃなくなっちゃったのかな?」
「流石のお母さんも歳をとって少し老けたし、未だに女として見てもらおうとしているところがお父さんには重いのかも」
「灯、お母さんとよ~く話しよっか?」
「ひえぇ……」
お母さんにいらないことを言って怒られ怯える娘、というこれもまた僕たちの日常ではよくある光景を視界の端で捉えつつ、僕はこっそりと仕事部屋からの脱出を試みる。
しかし、あと一歩で部屋から出られるというところで旭さんから「夕くん?」と呼び止められ、僕は恐る恐る後ろを振り返った。
そこには満面の笑みをこちらに向ける菜花さんがいたが……なんでだろう? とてつもない恐怖を感じる。
「私、重くないよね? 夕くんは私のこと愛してるよね?」
「も、もちろん!」
「じゃあ、どうして言ってくれなくなったの?」
「それは……長年連れ添ってきた僕と旭さんの関係だし、この想いは言わなくても伝わっているだろうから、言わなくたって……」
「ダメだよ夕くん。それは甘えです。ちゃんと言葉にして伝えてくれないと、伝わらないことなんて沢山あるんだよ? ねっ、灯?」
「そ、そうだそうだー!」
怒りの矛先が再び自分に向けられないように、灯は全力で旭さんに賛同する。
分かってはいたが、どうやらこの場には僕の味方は1人もいないみたいだ。
マズイな……この流れは非常にマズイ……。
何度も身に覚えのある状況に焦りを感じていると、旭さんは僕のことをじっと見つめ、そして口を開いた。
「だからさ――」
そう言いながら旭さんは意地悪な顔で笑う。
それは高校生の時によく見た、懐かしい表情だった。
……あぁ、そうか。僕はとんだ勘違いをしてたんだ。
大人になってから旭さんは落ち着いたとは思っていたけど……何歳になろうとやっぱりあの頃から彼女は何も変わらない。
旭さんは旭さんのままだった。
「もう1度私のために書いてよ。日本で1番長いラブレターを」
あれからも僕たちは言い争い、最終的には僕が折れてこの小説を書くはめになった。
だけど、灯と旭さんにこれを読まれるのが恥ずかしいことに変わりは無いので、ネットに投稿するから勝手に見つけ出して読んでもらうという形で2人には(無理矢理)納得してもらった。
まず僕はプロローグを書き、18歳の時に書いた10本の小説の加筆と修正を行い、そして次に数十年も前のことを思い出しながら、さらに6本の小説を書いたが……これがまた骨の折れる作業だった。
……まぁ、そんな文句めいたことをボヤきながらも、このエピローグを書くまでに計186838文字を書いたところを見るに、結局は僕もこの小説を楽しみながら書いていたみたいだ。
現在進行形で書いているこのエピローグも、もう終わりが見えるところまできている。
この小説が終わってしまうことに少しだけ寂しさを感じつつ――僕はふとあることが頭を過り文字を打つ手を止めた。
このエピローグが書き終われば、あとはこの小説の題名を付けて完成だけど……その題名を何と付けよう?
僕は顎に手を添えて考え込む。――そして程なくして、良い題名が頭に浮かんだ。
旭さんが僕に言っていたある言葉。それを僕は題名に使うことにした。
僕は一行開けて、考えついた題名をさっそく打ち込む。どうせ読まれることになるのなら、またこの小説が君の心に届くように、そう願いを込めて。
『きっと日本で1番長いラブレターを君に送る』――完
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる