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1章

舞踏会前(アイビー)

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ある日俺は突然王城に呼び出された。
俺は王太子と幼馴染なのでよく王城に行くが呼び出されて行くことは滅多にない。
不思議に思いながらも通された部屋に行くと殿下とシオンとライラックが既にいた。
「あれ?みんなもう着いてたのか?」
普通は不敬だと怒られるが、今は大人が居らず子供だけだ。
「お前が遅すぎるんだよ‥」
「もっと責任感を持て」
シオンに立て続けライラックにも怒られる。ていうか、シオン俺が入るまで寝てただろ!
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」
王太子であるディオンが二人を諌める。
一見優しそうだが、一番この中で腹黒い。
「で、みんな揃ったところで本題に入ろうか。」その場の空気が張り詰める
今からは幼馴染でなく王太子と臣下だ。
「次の王家主催の舞踏会なんだけど君たちには初仕事をしてもらおうと思う。」
「次って、強制的に子供全員参加させるのですよね?表向きには子供同志の親睦を深めるってもので実際は王太子の婚約者候補と側近候補を決めるという。」
確認のため一応聞く。
「まぁ、臣下は決まってるんだけどね。
君たちにはそれぞれあらかじめ絞った婚約者候補をどんな人か僕につたえてほしんだよ。」つまり監視しろという意味だ。
「シオンとライラックには2人ずつなんだけどアイビーは特別に1人だけね。」
「誰ですか?それは」
他は2人ずつなのに1人だけ
大体誰かは予想はつくが‥
「スターチス公爵家のアベリア嬢だよ。」
「アベリア嬢は公爵家を継ぐのでは?」そんなライラックの疑問に
「いや、実はスターチス家の奥方が妊娠してるみたいなんだよ」
「情報源は?」
「僕の精霊」
シオンがそう答える。
「じゃあ確かだな。」
ライラックが納得したようだ。
シオンは数少ない妖精と話せる人間で見える妖精は少ないが何匹か使役して
情報収集をさせている。
妖精達は嘘をつくメリットがないので
正確性が高い。
「なぜ、私が担当なんですか?」
興味本位で聞く。
「実は、アベリア嬢は非常に優秀な令嬢って噂なんだけどね、それ以外驚くほど情報がないんだよ。シオンの精霊達も何故かスターチス家の屋敷には侵入できなくてね。
なんとか奥方が外に出た時確認できたけど‥入れない理由を聞いても、僕らにとって害にはならないってことしかいわないんだよ。
不思議じゃない?
それに、この中で一番会話能力が長けているのは君だけだし、僕が行きたいんだけど多分無理だろうからね。
だから君に頼むよ。」
「わかりました。」
確かにこの中で会話能力があるのは俺だけだし、多分魔法を使えるのもあって指名したんだろう。
「じゃあ、後は雑談でもしようか。」
その一言で臣下から幼馴染に戻る。
「僕もう寝たい‥」
「ここで寝るなシオン!」
「ライラックのいう通りだって、
せっかく集まったし話そう」
俺はみんなと話しながら舞踏会までについて考える。アベリア嬢についてもう一度噂などを調べようと。
なんだか面白いことになりそうだ。
この時は少しの興味だった。
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