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Episode 12 君がいなくなってから
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君がいない後期の授業期間が再開した。ここは僕が君――有坂未央と出会っていない世界。
別に休みになっていたわけでもないので、再開したというのはおかしいのだけれど。
これまでと同じように、僕は講義を受けては大学と下宿を往復する、変わり映えのしない日々を送っている。
あれから何度か試しに君にアプリからメッセージを送ってみたけれど、既読もつかず、返信も返ってこなかった。やっぱり君はいなくなってしまったのだ。
その事実を受け止めるのが辛かった。出会ってたった一ヶ月なのに、君との時間は本当はもっと長かったんじゃないか、なんて思う。
夏菜子とはあれから一度も会っていないし、メッセージのやり取りもできていない。あのままで良いとは思えないし、何か話さないといけないと思うけれど、何を話していいのかわからない。何を言っても彼女を傷つけてしまうだけな気がする。
『――夏菜子ちゃんと幸せにね』
君が最後に言った言葉。
それがどんな未来なのか、僕はまるで見えないでいる。
僕は君に会いたいんだ。
【2024年10月22日】
「――あ、やっと見つけた。――お前、携帯ずっと圏外だぞ、なんとかしろよ」
大学のカフェで一人のどかにランチを食べていると、翔が現れた。
肩にはいつものギターケースを背負っている。
「あ、翔じゃん。おっす」
「お前なぁ。おっすじゃねえよ。携帯鳴らしても全然出ないんだから」
言われてカバンからスマートフォンを取り出す。
電源ボタンを押しても画面は暗いままだった。
「――あ、充電切れてる」
呆れた様子で溜め息を吐くと、翔は前の椅子を引いて腰をおろした。
店員が水を持って注文を聞きに来たので、翔はコーヒーだけを注文した。
「スマホの電源が切れてて、そこまで気にせず生きていけるの、昨今の大学生としてヤバいと思うぞ」
ごもっともである。
ただ単に携帯を充電する習慣が相変わらず身につかず、出先で「あっ」となるというのを繰り返しているだけだが。その分、充電器は持ち歩くようにしているのだけれど。今はそれすらないみたいだ。
「それで、僕を探していたみたいだけど、なんかあった? そういえば事故の時の怪我はもういいの?」
「いつの話をしてるんだよ。あんなのもう二週間以上前だろ」
時間が経つのは早いものである。
未央がいなくなってぽっかり空いた心の穴は、全く修復される気配がない。
「――まあ、その調子じゃ、お前に聞いても仕方ないのかな」
「何のこと?」
翔は髪をかきあげながら、頭を抱えるみたいなポーズをとった。
「お前、夏菜子と何かあったか? ここんところ夏菜子と連絡が取れないんだよ」
思わず視線を逸らす。心当たりがありすぎて辛い。
「――何かあったんだな。もしかして、あの日か? 俺が入院していた日。事故の日に話す予定だったことが話せなかったから、なんだか代わりに夜に会うって言っていたよな?」
僕は無言で頷く。
「マジかよ。じゃあ、もう二週間近くじゃないか。……なんだよ、本格的に振ったとかそんな感じか? お前の態度も煮え切らなかったからなぁ」
「――それはちょっと違うかな。もうちょっと複雑な話だよ」
「どんな話だよ。俺が聞いて良いのか知らないけれど」
翔にはバンドのことでずっと心配も迷惑もかけて来た。
この前の事故でも翔は夏菜子を守ってくれた。
夏菜子もきっと翔に話す分には許してくれるだろう。放っておたらどっちにしろ夏菜子が翔に話す気がする。
「わかったよ。話すよ。だけど、ここはちょっとアレかな」
「壁に耳あり障子に目あり的な? じゃあ、久しぶりに密室にでも行くか? ベース辞めたわけでもないんだろ?」
翔はどうしてだか、悪戯っぽく笑った。
*
ベースアンプから鳴る余韻とノイズ音が懐かしい気持ちを胸の奥に掻き立てる。
スタジオに入るのはいつぶりだろうか。
演奏の余韻に浸りながら、僕はペットボトルの蓋を開いて水を口の中へと流しこんだ。三曲くらいやった。去年のバンドの持ち歌。
「――あんまりブランク感じないじゃん」
翔はニヤニヤしながら言う。
重いのでベースを肩から下ろして立てかける。
「そう言ってもらえると嬉しいけどな。それでも時間は止まったままだけど」
一人でも暇つぶしにベースの練習はしていた。部屋の中とか河原とかで。実家と違って下宿は狭いし壁も薄いから、他の人がいる時間はあまり音を出せず、練習時間は限られていたけれど。
でも、一人で目的もなく弾いていただけだったから、ブランクは感じさせなかったかもしれないけれど、上達は多分ない。僕の半年はやっぱり無為に消えたのかもしれない。
「止まっていたわけでもないんじゃないの? 時間なんて海岸の波みたいなもんだから、寄せては引いて、加速したり減速したり、そんなもんだろ」
「――良いこと言うな、翔。誰かの受け売り?」
「俺の人生哲学。なるようになるさ的なやつだよ」
まるで人生経験豊富な先輩みたいだ。
そういえば、どこかのタイミングで急に大人っぽくなったような気がしたことがあった。いつのタイミングだったかは覚えていないけれど。でも、目立つ翔は翔なりにいろいろ経験しているから、そのせいなのだろう。
「弾いてみた動画の閲覧回数も伸びたり、伸びなかったりだしなぁ」
「なんだか急に即物的で、短絡的で、現実的で、ありがたみがなくなったな」
「うるさいよ。ミュージシャンは配信サイトで生きていかないと無理な時代なの。俺だって上の世代みたいにライブハウスとか、CDデビューとか、そういうのに憧れてわきゃわきゃやりたかったよ。……って、何の話だよ」
「翔が自分で言いだしたんだろ?」
「まあ、そうか」
そう言うと、翔は膝の上にギターを乗せて、コードをガシャガシャと鳴らし始めた。これもまた持ち歌の一つで、夏菜子がボーカルを務めていた曲だ。僕は立てかけていたベースを手に取り、そのリズムに合わせ始めた。
僕らのバンドには決まったボーカルがいなかった。全員歌えるっちゃ歌えるんだけど、誰も飛び抜けていなかったし、誰もメインボーカルになりたいとは言わなかった。それゆえにボーカルを曲によって切り替えるという珍しい形式を取ることになった。これはこれで曲の幅が広がったりもするし、悪くはなかった。
これ、そういえば、去年の冬、初めてのライブハウスでやったやつだ。ベースとギターだけでメロディラインもキーボードの上物もないんだけど、それでも脳裏にはそのメロディが流れた。どこかノスタルジックな曲。
三分ほどの演奏の果てに、僕の脳内映像イメージはエンディングに突入し、最後のルート音を叩いた。やがて余韻が退いていく。
「それで、夏菜子と何があったんだよ?」
ギターを置いた翔が伸びをしながら聞いた。スタジオで話すことでもないけれど、これ以上は引っ張れないかな、と何となく思った。翔になら話しても良いだろう。話さないといけないだろう。
だから僕は話した。僕と夏菜子が異母兄妹だってことを。恨みつらみとかじゃなくて、できるだけフラットに。こんな主観的な経験にフラットも何もあったものじゃないけれど、できるだけ感情的にならないように注意した。
翔は途中まで僕の話を促すように頷いたりしていたけれど、途中から相槌すら打たなくなった。話の内容が突拍子もなかったのだろう。
「――以上、かな。……ちょっと突然かもしれないけれど、……通じたかな」
翔は吸音の穴が開いた壁に背を預けながら、無言で頷いた。
「やっぱり驚いた?」
「そりゃそうだろう。これは驚かないやついないだろ?」
「いや、勘の良い翔なら何か、うっすらと気づいていたとか……」
「無いだろう。それはさすがに。そんなこと、思いつきもしないよ」
真剣な表情で俯くと、翔は親指を噛んだ。
「――そうか。それが、悠人がずっと夏菜子に言いたかったことなんだな。言えずに、どうしようもなく、袋小路にはまっていた。――目覚めない夏菜子に」
まるでそれは独り言のようで、僕はしゃがんでエフェクターを片付けながら、その顔を見上げた。
「袋小路? ……何のこと?」
「いや、なんでもない」
翔はなんだか自己完結したみたいに首を振った。もうすぐスタジオの使用時間が終了する。翔もプラグを部屋のアンプから引き抜いて、帰り支度を始めた。
動きながら、翔が口を開く。
「なあ、悠人、二つ聞いていいか?」
「いいよ。この際、何でも」
僕もベースをケースへと片付けながら、答える。翔に背中を向けたまま。
「――俺たちと、夏菜子とバンドを組んだのはそれがあったから、意図的にだったりするのか? こっそり夏菜子に近づくためとか」
言われると思っていた質問。自分にも何度となく問うていた質問。
「それは違うと思う。サークルで偶然に夏菜子を見つけて、そうだと知って、だから近くで見ていたくてサークルに入ったというのはあるかもだけど。そこからバンドの結成とか、そういうのは成り行き任せ。変に距離を取ったりするのも違うし、普通にやりたい曲をやりたかったし。――血が繋がっていると、音楽の趣味も似るのかね」
「血は争えない、ってやつかね」
「そうかもね。もちろん、無意識とか、宿命とか、自分でもわからないやつが作用していた可能性はゼロじゃないけどね」
「――まあ、そこまでは責任を求めねーよ」
ベースを片付け終えた僕は、ペットボトルを開いて水を口に含む。
「ありがたいよ。――それで、二つ目は?」
一瞬、間を置いてから、翔は振り返ると、僕へと質問を投げかけた。
「それで、悠人が今、好きなのは、夏菜子じゃなくて、未央ちゃんってことでいいのかな?」
僕は口に含んだ水を思いっきり吹き出した。
別に休みになっていたわけでもないので、再開したというのはおかしいのだけれど。
これまでと同じように、僕は講義を受けては大学と下宿を往復する、変わり映えのしない日々を送っている。
あれから何度か試しに君にアプリからメッセージを送ってみたけれど、既読もつかず、返信も返ってこなかった。やっぱり君はいなくなってしまったのだ。
その事実を受け止めるのが辛かった。出会ってたった一ヶ月なのに、君との時間は本当はもっと長かったんじゃないか、なんて思う。
夏菜子とはあれから一度も会っていないし、メッセージのやり取りもできていない。あのままで良いとは思えないし、何か話さないといけないと思うけれど、何を話していいのかわからない。何を言っても彼女を傷つけてしまうだけな気がする。
『――夏菜子ちゃんと幸せにね』
君が最後に言った言葉。
それがどんな未来なのか、僕はまるで見えないでいる。
僕は君に会いたいんだ。
【2024年10月22日】
「――あ、やっと見つけた。――お前、携帯ずっと圏外だぞ、なんとかしろよ」
大学のカフェで一人のどかにランチを食べていると、翔が現れた。
肩にはいつものギターケースを背負っている。
「あ、翔じゃん。おっす」
「お前なぁ。おっすじゃねえよ。携帯鳴らしても全然出ないんだから」
言われてカバンからスマートフォンを取り出す。
電源ボタンを押しても画面は暗いままだった。
「――あ、充電切れてる」
呆れた様子で溜め息を吐くと、翔は前の椅子を引いて腰をおろした。
店員が水を持って注文を聞きに来たので、翔はコーヒーだけを注文した。
「スマホの電源が切れてて、そこまで気にせず生きていけるの、昨今の大学生としてヤバいと思うぞ」
ごもっともである。
ただ単に携帯を充電する習慣が相変わらず身につかず、出先で「あっ」となるというのを繰り返しているだけだが。その分、充電器は持ち歩くようにしているのだけれど。今はそれすらないみたいだ。
「それで、僕を探していたみたいだけど、なんかあった? そういえば事故の時の怪我はもういいの?」
「いつの話をしてるんだよ。あんなのもう二週間以上前だろ」
時間が経つのは早いものである。
未央がいなくなってぽっかり空いた心の穴は、全く修復される気配がない。
「――まあ、その調子じゃ、お前に聞いても仕方ないのかな」
「何のこと?」
翔は髪をかきあげながら、頭を抱えるみたいなポーズをとった。
「お前、夏菜子と何かあったか? ここんところ夏菜子と連絡が取れないんだよ」
思わず視線を逸らす。心当たりがありすぎて辛い。
「――何かあったんだな。もしかして、あの日か? 俺が入院していた日。事故の日に話す予定だったことが話せなかったから、なんだか代わりに夜に会うって言っていたよな?」
僕は無言で頷く。
「マジかよ。じゃあ、もう二週間近くじゃないか。……なんだよ、本格的に振ったとかそんな感じか? お前の態度も煮え切らなかったからなぁ」
「――それはちょっと違うかな。もうちょっと複雑な話だよ」
「どんな話だよ。俺が聞いて良いのか知らないけれど」
翔にはバンドのことでずっと心配も迷惑もかけて来た。
この前の事故でも翔は夏菜子を守ってくれた。
夏菜子もきっと翔に話す分には許してくれるだろう。放っておたらどっちにしろ夏菜子が翔に話す気がする。
「わかったよ。話すよ。だけど、ここはちょっとアレかな」
「壁に耳あり障子に目あり的な? じゃあ、久しぶりに密室にでも行くか? ベース辞めたわけでもないんだろ?」
翔はどうしてだか、悪戯っぽく笑った。
*
ベースアンプから鳴る余韻とノイズ音が懐かしい気持ちを胸の奥に掻き立てる。
スタジオに入るのはいつぶりだろうか。
演奏の余韻に浸りながら、僕はペットボトルの蓋を開いて水を口の中へと流しこんだ。三曲くらいやった。去年のバンドの持ち歌。
「――あんまりブランク感じないじゃん」
翔はニヤニヤしながら言う。
重いのでベースを肩から下ろして立てかける。
「そう言ってもらえると嬉しいけどな。それでも時間は止まったままだけど」
一人でも暇つぶしにベースの練習はしていた。部屋の中とか河原とかで。実家と違って下宿は狭いし壁も薄いから、他の人がいる時間はあまり音を出せず、練習時間は限られていたけれど。
でも、一人で目的もなく弾いていただけだったから、ブランクは感じさせなかったかもしれないけれど、上達は多分ない。僕の半年はやっぱり無為に消えたのかもしれない。
「止まっていたわけでもないんじゃないの? 時間なんて海岸の波みたいなもんだから、寄せては引いて、加速したり減速したり、そんなもんだろ」
「――良いこと言うな、翔。誰かの受け売り?」
「俺の人生哲学。なるようになるさ的なやつだよ」
まるで人生経験豊富な先輩みたいだ。
そういえば、どこかのタイミングで急に大人っぽくなったような気がしたことがあった。いつのタイミングだったかは覚えていないけれど。でも、目立つ翔は翔なりにいろいろ経験しているから、そのせいなのだろう。
「弾いてみた動画の閲覧回数も伸びたり、伸びなかったりだしなぁ」
「なんだか急に即物的で、短絡的で、現実的で、ありがたみがなくなったな」
「うるさいよ。ミュージシャンは配信サイトで生きていかないと無理な時代なの。俺だって上の世代みたいにライブハウスとか、CDデビューとか、そういうのに憧れてわきゃわきゃやりたかったよ。……って、何の話だよ」
「翔が自分で言いだしたんだろ?」
「まあ、そうか」
そう言うと、翔は膝の上にギターを乗せて、コードをガシャガシャと鳴らし始めた。これもまた持ち歌の一つで、夏菜子がボーカルを務めていた曲だ。僕は立てかけていたベースを手に取り、そのリズムに合わせ始めた。
僕らのバンドには決まったボーカルがいなかった。全員歌えるっちゃ歌えるんだけど、誰も飛び抜けていなかったし、誰もメインボーカルになりたいとは言わなかった。それゆえにボーカルを曲によって切り替えるという珍しい形式を取ることになった。これはこれで曲の幅が広がったりもするし、悪くはなかった。
これ、そういえば、去年の冬、初めてのライブハウスでやったやつだ。ベースとギターだけでメロディラインもキーボードの上物もないんだけど、それでも脳裏にはそのメロディが流れた。どこかノスタルジックな曲。
三分ほどの演奏の果てに、僕の脳内映像イメージはエンディングに突入し、最後のルート音を叩いた。やがて余韻が退いていく。
「それで、夏菜子と何があったんだよ?」
ギターを置いた翔が伸びをしながら聞いた。スタジオで話すことでもないけれど、これ以上は引っ張れないかな、と何となく思った。翔になら話しても良いだろう。話さないといけないだろう。
だから僕は話した。僕と夏菜子が異母兄妹だってことを。恨みつらみとかじゃなくて、できるだけフラットに。こんな主観的な経験にフラットも何もあったものじゃないけれど、できるだけ感情的にならないように注意した。
翔は途中まで僕の話を促すように頷いたりしていたけれど、途中から相槌すら打たなくなった。話の内容が突拍子もなかったのだろう。
「――以上、かな。……ちょっと突然かもしれないけれど、……通じたかな」
翔は吸音の穴が開いた壁に背を預けながら、無言で頷いた。
「やっぱり驚いた?」
「そりゃそうだろう。これは驚かないやついないだろ?」
「いや、勘の良い翔なら何か、うっすらと気づいていたとか……」
「無いだろう。それはさすがに。そんなこと、思いつきもしないよ」
真剣な表情で俯くと、翔は親指を噛んだ。
「――そうか。それが、悠人がずっと夏菜子に言いたかったことなんだな。言えずに、どうしようもなく、袋小路にはまっていた。――目覚めない夏菜子に」
まるでそれは独り言のようで、僕はしゃがんでエフェクターを片付けながら、その顔を見上げた。
「袋小路? ……何のこと?」
「いや、なんでもない」
翔はなんだか自己完結したみたいに首を振った。もうすぐスタジオの使用時間が終了する。翔もプラグを部屋のアンプから引き抜いて、帰り支度を始めた。
動きながら、翔が口を開く。
「なあ、悠人、二つ聞いていいか?」
「いいよ。この際、何でも」
僕もベースをケースへと片付けながら、答える。翔に背中を向けたまま。
「――俺たちと、夏菜子とバンドを組んだのはそれがあったから、意図的にだったりするのか? こっそり夏菜子に近づくためとか」
言われると思っていた質問。自分にも何度となく問うていた質問。
「それは違うと思う。サークルで偶然に夏菜子を見つけて、そうだと知って、だから近くで見ていたくてサークルに入ったというのはあるかもだけど。そこからバンドの結成とか、そういうのは成り行き任せ。変に距離を取ったりするのも違うし、普通にやりたい曲をやりたかったし。――血が繋がっていると、音楽の趣味も似るのかね」
「血は争えない、ってやつかね」
「そうかもね。もちろん、無意識とか、宿命とか、自分でもわからないやつが作用していた可能性はゼロじゃないけどね」
「――まあ、そこまでは責任を求めねーよ」
ベースを片付け終えた僕は、ペットボトルを開いて水を口に含む。
「ありがたいよ。――それで、二つ目は?」
一瞬、間を置いてから、翔は振り返ると、僕へと質問を投げかけた。
「それで、悠人が今、好きなのは、夏菜子じゃなくて、未央ちゃんってことでいいのかな?」
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