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36、茜の気持ち
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「え?」
頭が、真っ白になる。わたしが、お父さんとお母さんの実の子じゃない? それって、わたしは二人の子どもじゃないってこと? それってどういうこと…………?
「茜。あなたは、孤児だったの」
「こじ…………?」
わたしはただ、言われた単語を復唱する。
「私たちは、当時まだ赤ん坊だったあなたを施設から引き取ったの。だから茜、あなたは私たちの…………養子、ということになるわ」
「待って、待ってよ…………でも、わたしはそんなの知らな…………。!」
わたしの頭の中で、今まで感じていた違和感の謎が解けた。わたしとお母さんの瞳の色、全然ちがう。私とお父さんの髪質も、全然ちがう。わたしは、おじさんやいとこたちにも、全然似ていない。
そしてわたしは気づいてしまう。お母さんが、わたしを殺そうとした理由。
「私たちは、結婚してからも子どもに恵まれなかった。いろいろ頑張ってみたけど、だめだったの。そこで養子を受け入れることにしたの。それが茜、あなたよ」
ああ、そうか。
「本当は、あなたが今くらいに大きくなったらこの事実を伝えようと決めて、あなたを引き取った。でも、茜、ごめんね…………私の、私の弱さのせいでっ! ごめん……!」
わたしを、わたしを愛せなく、なったんだね。
「私のすべてをこの子に捧げようと、自分で生んだ子に勝る愛を与えようと! そう、誓ったはずなのに! 私は……あなたを愛しきれなかった…………。あなたの成長を傍で見るうちに、あなたの姿を見るたびに、私は……子を産むことができなかった自分を思い出して…………そしていつか、あなたの存在を、許せなくなっていた」
「……………………」
「謝って、許されることじゃないのはわかってる。あなたは私たちが望み、私たちの元に来た。そんなあなたに、愛を与えるどころか、私は…………! でも、私はあなたに謝ることしかできない! ごめんなさい、茜! ごめんなさい!」
そっ、か…………。そうなんだ…………。でも、でも! わたしは…………。
「わたしは、お母さんに感謝してるよ。」
「…………茜?」
お母さんはハッとした顔でわたしを見る。
「だって、わたしは二人が引き取ってくれたから、今のわたしでいられるんだもん。それに、わたしはお母さんのこと、大好きだったんだ。」
「茜…………!」
お母さんは涙でぐしゃぐしゃになった顔でわたしを見る。
「お母さんが、いつからわたしをそういう目で見るようになったのかはわからない。でも、でもね。わたしは、いつも二人から愛情を感じてた。それだけは確信を持って言えるんだ。だって、わたしの心に刻み込まれてることだから。」
「…………うう、茜…………!」
「もちろん、お母さんがわたしを殺そうとしたことを許す、なんて、簡単には言えないけど、でも…………」
わたしは、つないでいたアオイの手をぎゅっと握る。
「わたしの存在を認めてくれている人がこの世にはいる。だから、わたしはわたしに胸を張れるんだ!」
「だから、わたしの今の気持ちは…………」
わたしは一度、天井を仰いでから、お父さんとお母さんに、微笑む。
「わたしは二人に感謝してるし、二人のことが大好きだよ」
頭が、真っ白になる。わたしが、お父さんとお母さんの実の子じゃない? それって、わたしは二人の子どもじゃないってこと? それってどういうこと…………?
「茜。あなたは、孤児だったの」
「こじ…………?」
わたしはただ、言われた単語を復唱する。
「私たちは、当時まだ赤ん坊だったあなたを施設から引き取ったの。だから茜、あなたは私たちの…………養子、ということになるわ」
「待って、待ってよ…………でも、わたしはそんなの知らな…………。!」
わたしの頭の中で、今まで感じていた違和感の謎が解けた。わたしとお母さんの瞳の色、全然ちがう。私とお父さんの髪質も、全然ちがう。わたしは、おじさんやいとこたちにも、全然似ていない。
そしてわたしは気づいてしまう。お母さんが、わたしを殺そうとした理由。
「私たちは、結婚してからも子どもに恵まれなかった。いろいろ頑張ってみたけど、だめだったの。そこで養子を受け入れることにしたの。それが茜、あなたよ」
ああ、そうか。
「本当は、あなたが今くらいに大きくなったらこの事実を伝えようと決めて、あなたを引き取った。でも、茜、ごめんね…………私の、私の弱さのせいでっ! ごめん……!」
わたしを、わたしを愛せなく、なったんだね。
「私のすべてをこの子に捧げようと、自分で生んだ子に勝る愛を与えようと! そう、誓ったはずなのに! 私は……あなたを愛しきれなかった…………。あなたの成長を傍で見るうちに、あなたの姿を見るたびに、私は……子を産むことができなかった自分を思い出して…………そしていつか、あなたの存在を、許せなくなっていた」
「……………………」
「謝って、許されることじゃないのはわかってる。あなたは私たちが望み、私たちの元に来た。そんなあなたに、愛を与えるどころか、私は…………! でも、私はあなたに謝ることしかできない! ごめんなさい、茜! ごめんなさい!」
そっ、か…………。そうなんだ…………。でも、でも! わたしは…………。
「わたしは、お母さんに感謝してるよ。」
「…………茜?」
お母さんはハッとした顔でわたしを見る。
「だって、わたしは二人が引き取ってくれたから、今のわたしでいられるんだもん。それに、わたしはお母さんのこと、大好きだったんだ。」
「茜…………!」
お母さんは涙でぐしゃぐしゃになった顔でわたしを見る。
「お母さんが、いつからわたしをそういう目で見るようになったのかはわからない。でも、でもね。わたしは、いつも二人から愛情を感じてた。それだけは確信を持って言えるんだ。だって、わたしの心に刻み込まれてることだから。」
「…………うう、茜…………!」
「もちろん、お母さんがわたしを殺そうとしたことを許す、なんて、簡単には言えないけど、でも…………」
わたしは、つないでいたアオイの手をぎゅっと握る。
「わたしの存在を認めてくれている人がこの世にはいる。だから、わたしはわたしに胸を張れるんだ!」
「だから、わたしの今の気持ちは…………」
わたしは一度、天井を仰いでから、お父さんとお母さんに、微笑む。
「わたしは二人に感謝してるし、二人のことが大好きだよ」
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