魔性少女カスミちゃん~隣の刹那君は私に惚れない~

三一五六(サイコロ)

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二性 ピンク色の日常

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 それから数時間後。
 夕日は落ち、外は真っ暗。空には星が輝いていた。

「そうちゃん~。ご飯ができましたよ!」
「今イク!」

 そうちゃんも近藤と一緒なの? 今すぐその言い方はやめなさい。
 って言いたいけど、純粋なそうちゃんにそんなこと言ったら「何で?」って聞かれるのが目に見えているから言わない。それに勉強熱心だから一度興味持ったことは調べつくす。
 そうなったら、そうちゃんの純白な脳がピンクに染まってしまう。
 そんなのは絶対にイヤ。私のそうちゃんは可愛いままでいて欲しいからね。

「かーか? 早くご飯食べようよ!」
「う、うん。今、持っていくね!」
「今日も美味しそうだね!」
「美味しそうじゃなくて美味しいんだからね!」
「じゃあ! いただきまーす!」
「はい、私もいただきます」
「やっぱり最高だよ! かーかのご飯が世界一!」
「そうちゃんに喜んでもらえて嬉しいわ」

 本当はそうちゃんに褒められて嬉しいの! その笑顔眩しいって!

「今日は僕の好きなハンバーグにしてくれるなんて、かーか大好き!」

 だ、大好きって言った? 言ったよね?
 そんな言葉がすぐに言えるなんて天然って凄い。けど、照れるな、へへへ。

「かーか、何でニヤニヤしてるの? また自分のご飯の美味しさに笑みがこぼれたんでしょ!」

 あ、顔に出てたみたい。本当に私は何で顔に出やすいのかな?
 いつもは大丈夫なのに時々、顔に出ちゃうんだよな。無意識って怖いね。

「あ、バレた! そうちゃんは凄いね! 私のことをよく知っているんだね!」
「ふふーん! かーかのことは僕が一番分かっているからね!」

 まぁ、正解と言えば正解だけど、それは私が家にいる時の私だね。
 みんな見ていたら分かると思うけど、私は外と家ではキャラを変えている。
 外では清楚系で静かな女子、家では家事や弟のお世話ができるお姉さんと大きく二つの顔がある。
 もちろん、この他にもみんなが知らない顔を私は持っているけどね。

「流石、そうちゃんだね!」

 流石とか言ってるけど、この顔を一番分かっていて当たり前だ。だって、私の家の顔を知っているのはそうちゃんだけなんだから。

『次のニュースです。都内で有名ホテル経営者兼社長――四手《して》社長が銃で頭を撃たれて亡くなられました。
 今日、午後一時頃、都内の自宅マンションのガラスが割れる音を確認した警備員が割られた部屋に行くと、頭から血を流して倒れている四手社長を発見したようです。すぐに病院に運ばれたようですが、すでに亡くなっていたらしく、警察は連続殺人事件とみて捜査を行っています』

 ご飯中にテレビを見るのは私の家ではいつものことだ。
 そうちゃんがニュースは勉強になると言って勉強ができないご飯中にテレビを見ることになっている。
 ニュースが勉強などとは私は思ったことないけどね。

「最近の連続殺人事件って僕達が住む辺りだよね。正直、怖いんだ僕……」
「連続殺人犯は一般人は殺してないでしょ? だから、大丈夫だよ!」
「そんなの分からないよ! どんなに良い人でもテレビに出るぐらい凄い有名人でも、いつ死ぬか分からないんだよ。かーかは気楽すぎだよ!」
「いつ死ぬか分からないなら気楽に生きた方が楽しいでしょ?」
「確かにそうだけど……かーかが心配だよ……」

 心配させるつもりはなかったんだけどな。本当に優しいんだから。

「私は死なないよ! なぜなら、そうちゃんがいるからね! そうちゃんを一人にして天国へは行けないもん!」

 もし死んだら、童貞狩りの罪で地獄だろうな。

「そ、そうだね!」

 心の声を読んでその言葉を発してないよね?

「そんなに箸を止めてたら、大好きなハンバーグが冷めるわよ」
「うん!」

 そうちゃんはその顔が一番だ。そう、笑顔が一番。
 それにしても、そうちゃんも良い男になったな。自分のことよりも姉のことを第一に心配するなんて。
 笑顔は相変わらず可愛いけどね。
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