魔性少女カスミちゃん~隣の刹那君は私に惚れない~

三一五六(サイコロ)

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八性 終わりの始まり

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 十分ほど経ち、やっと輝琉の足が止まる。

「ハァ、ハァ……」
「……ハァ。何で、何でこんなに急いで逃げたの?」
「住宅街で銃声をあれだけ鳴らしたからな。おそらく、通報されていると思って」

 そういうことね。警察に捕まれば、必ず死刑だもんね。

「でも、ここまでくれば安心だ」
「ここって?」
「俺の家の近くの路地裏。それよりゴメンな、こんな思いさせて」

 ち、近い! 暗いのに顔がはっきり見えるぐらい近い!
 この路地裏がせますぎるのか。それになんか熱いし……。

「輝琉が謝ることじゃないよ。私が全ての原因なんだから」

 そう、全ての原因は私。それぐらい自分でも理解している。
 薫は私を愛するため、下毛さんは私の頼みを聞くため、大志君は私を殺すため。
 この事件の中心にいるのは全て私だ。

「でも、良かった。助けられて」
「あ、何で私の居場所が分かったの?」

 私すらどこにいたのか分からなかったのに。本当に不思議だ。
 超能力者なの? いや、漫画やラノベの世界じゃないしな……。
 でも、もしかして……

「ああ、それは……今日あげた消しゴム」
「け、消しゴム?」

 超能力よりも意外な答えだよ。斜め上だな。
 てか、消しゴムってプレゼントだよね?

「あの消しゴムの中にはGPSが内蔵されていたんだ。だから、分かったってわけ」
「最初からこうなることを分かっていたの?」
「確信はなかったが、念のために」

 私へのプレゼントじゃなかったのか。……なんか悲しい。
 だけど、あの消しゴムは私を守るためにくれたものだよね?
 それってやっぱり私に惚れてるってこと? 絶対そうだよ!
 うわー、ついに私はこの男を惚れさせたのか!

「それだけ私を守りたかったんだね!」
「いや、たまたま四手家を殺すのに最適だったから」
「ひどいよ! そこは嘘でも守りたかったって言うの!」

 本当に輝琉は男らしくないな。男ならそこははっきり言うでしょ!
 それに私からの答えやすいパスを簡単に空振りしないでほしいわ。

「でも……カスミに死なれると困る」

 ……ドキッ!

 私の心臓が大きく振動する。そして鼓動は早くなっていく。
 何、何これ? 私の心臓はどうしたの? 急に何なの?
 体を弄られて興奮する時や死の恐怖とは全く違う。体中にその振動が伝わって来る。
 こんなに心臓が弾けるように動くことなんて、人生で一度もなかった。
 一体、何なの? 私はどうしちゃったの?

 ――心臓のドキドキは恋!

 今日の真心の一言が頭を過る。
 ……私が恋? この私が輝琉のことを好きってこと?

「どうした? 血の匂いでしんどくなったか?」
「ち、ちかっ!」
「おい、いきなり押すな。どうしたんだ?」
「いや、びっくりして。ごめん……」

 何で私は意識しているの! 輝琉だよ輝琉!
 でも、眼鏡なしの輝琉って少しカッコイイ……。
 あー、何を考えているの私! 心臓もうるさい! 静かにして!

「俺は帰る。あ、その前に血の付いた服だけ処分しておくから脱げ」
「あ、うん」

 血塗れのシャツを脱ぎ、下着姿の私は顔を逸らしながら輝琉に渡す。

「その格好じゃ風邪を引くから、この上着をやるから着て帰れ」
「う、うん……」
「じゃあな」

 輝琉はあっという間に消えてしまった。

「ハァ……何してんだろ私……」

 魔性少女――工口翔朱未は四月の最終日に輝琉に恋をしてしまった。
 生まれて初めての恋――初恋。
 どんな人間でも恋をする。それは決定事項だが、いつなのか分からない。
 私の場合はそれが今だったのだろう。
 けど……

「輝琉が私に惚れる予定だったのに、私が輝琉に惚れてどうするのよ……」

 何故か目から涙が零れた。
 初恋が嬉しかったのか、初恋を奪われたのが悔しかったのか。
 その理由は私にも分からない。
 でも、一つ分かったことがあるのは確かだ。
 それは……私が本気になったってこと。

 ――だから……絶対に輝琉を惚れさせてやる!

 私はそう心に誓った。
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感想 3

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みんなの感想(3件)

夏葉ひなた
2020.08.16 夏葉ひなた

フェラシーンめっちゃエロいですわ三一五六さん……。

2020.08.17 三一五六(サイコロ)

えへへ、興奮したみたいですね(^▽^)/

解除
花野りら
2020.08.15 花野りら

エロ…えぐちってことかな?笑 つづき楽しみにしてます☺️

2020.08.15 三一五六(サイコロ)

工口<こうくち>と言います。
この作品のキャラ名は独特なので、ちゃんとルビを振ってます!

解除
夏葉ひなた
2020.08.15 夏葉ひなた

この設定がどう生きてくるのか気になります。更新頑張ってください!

2020.08.15 三一五六(サイコロ)

夏葉さん読んでいただいきありがとうございます!
昔に書いた作品なので、もう完結しています。
なので、明日から一日二更新です!
予約も済んでいるの楽しんで読んでください!
(ただのエロ作品)

解除

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