最弱装備でサクセス〜どうのつるぎとかわの防具しか買えなかった俺だけど【レアリティ777】の効果が凄すぎて最強になってしまった〜

キミちゃん

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第三部 オーブを求めて

第三十一話 股間に忍ばせたる物

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 その後、俺とカリーは、一番奥の間の少し手前側にあった大広間で、残りの盗賊全てを捕縛した。
 後は、ガンダッダ一人という事もあったので、そいつらはその部屋内に縛り付けてある。

 ここまで順調であったが、やはり気になるのはノロ隊長の存在。
 ノロ隊長は、確かにこの隠しアジトに入ったはずだ。
 しかし、隠しアジトにいた盗賊の殆どを捕縛したものの、ノロ隊長だけは見つからない。
 

 なんだか嫌な予感がするな……


「なぁサクセス。このガンダッダ一味ってのは馬鹿なんだな。これだけ仲間が次々に捕縛されてても気づきやしねぇし、それどころか暢気に酒盛りしてやがる。おかげで二人でやった割には、意外と簡単に終わったな。」


 カリーは最後のガンダッダ一味を縛り上げながら、そんな言葉を漏らす。
 彼の中では、既にこの仕事は終わったも同然らしい。

 かく言う俺も、確かにそう言う気持ちになっている……が、以前もそれで大変な目にあった。
 ガンダッダが絡むと、なんだか悪い予感しかしてこないのだ。
 あの時……イーゼを失いそうになった時のような思いだけは二度としたくない。


「安心するのは早いぞ、カリー。まだ目的のガンダッダは捕縛していないんだ。最初に俺に油断するなって言ったのはカリーだろ。安心するのは、全て終わってからだ。」


 最初と違って、若干緊張感が欠け始めているカリーを俺は戒める。
 その言葉はカリーだけでなく、油断しそうな自分に対して向けた言葉でもあった。


「あぁ、そうだったな。わりぃ、俺の悪い癖だ。俺は昔から、どうしても最後に気が緩んじまうんだわ。それで随分、姉さんやフェイルに迷惑をかけたんだったな。悪かったサクセス、気を抜かずにいくよ。」


    パチンッ!


 カリーは両手で頬を叩いて気合を入れた。


 まぁしかし、そうは言ったものの、やはり残りガンダッダ一人と思うと、俺だって気が緩みそうになる。
 だが、ノロ隊長も見つかっていない今、楽観視するのは些か(いささか)早いだろう。


「じゃあ最後の部屋に案内してくれ、カリー。そこでも、先手必勝だ。」

「わかった、んじゃいく……ぜ?」


 俺達が部屋を出ようと扉に向かった瞬間、そいつは突然部屋の扉を開けて入ってきた。


 カリーは驚きながらもバックステップを踏み、直ぐに武器を【ひのきのぼう】ではなく、普段使っている剣に持ち替えて、戦闘態勢を取った。
 続けて俺も、直ぐに【破邪のつるぎ】を抜く。


「おいおい、こいつはまぁ……随分と舐めた真似してくれるじゃねぇか? あぁん?」


 そいつの姿を忘れるはずはない。
 目出し帽を被っている、ガタイの良いパンツ姿の男。
 ガンダッダだ!


「お前は! ガンダッダ! くそ、カリー。不意打ちは失敗だ。こいつが、目的のガンダッダだ。」


 俺がカリーに向けてそう言うと、ガンダッダも俺の事を見て驚いた。


「て、てめぇは……あの時の……小僧!! 追って来やがったのか! くそ……しつこい野郎だ。」


「そうだ。覚えているだろ? なら、もう諦めて投降しろ。部下は全員捕まえてある、残るはお前だけだ。」


「そうか……部下は全員か……そうか……そうか……。」


 なんだかガンダッダの様子がおかしい。
 諦めて意気消沈しているようにも見えなくはないが、なんだか違う気がする。


「覚悟を決めろ。お前は生きたままアバロン王に引き渡す。」


「生きたまま……か。くっくっく……あ~っはっはっはっは! こいつは最高だぜ! あぁ、最高だとも! まさかあれが手に入った途端、お前の方から現れてくれるなんてな! がっははは! 運命としか思えねぇぜ。俺はな、あの日からずっとお前を殺したくて……殺したくて、殺したくて!! 仕方なかったんだ!」


 ガンダッダは突然、不気味な笑みを浮かべながら、大声で笑い始めた。


「何がおかしい!? お前と俺じゃ実力が違いすぎる。お前が俺を殺すのは不可能だ。」


「あぁ、そうだろうなぁ。さっきまでの俺じゃ、てめぇには勝てねぇ。だが、今は違う! 今ならお前を殺せる。俺が手に入れたこの力でな!!」



 ガンダッダはパンツの股間部分に忍ばせていた青い宝石を取り出した。
 

 汚な!!
 どこから取り出してんだよ!


「なんだよ、それ。それで俺を買収でもする気か? お前の股間に入れてた物なんかいらねぇぞ?」


「いいや、違うね。これはな……こうするんだよ!!」


 ガンダッダは徐に(おもむろに)その青い宝石を口の中に放り込むと、一気にそれを飲み込んだ。


「うわ!! サクセス、こいつまじかよ? あんな消化に悪そうなもん飲み込んじまったぜ。こりゃ、俺らが捕縛するまでもねぇんじゃねぇか?」


「いや……待てカリー。様子がおかしいぞ。」


 ガンダッダは、その宝石を丸呑みすると、体全体から黒いオーラを発し始めた。
 それは、まるであの時……そう、魔王の影が突然現れた時と似ている……が少し違う。

 以前のように、黒いモヤが浮き上がっていくような感じではなく、ガンダッダの体に何かがまとわりつくような……。


 ん? こいつ……
 体が膨らんでいくぞ!


「サクセス! 逃げるぞ!」


 それを見たカリーは、一瞬で顔色を変えて叫んだ。


「逃げるって?」


 カリーの顔からさっきまでの余裕が消えている。


 どういうことだ?


 確かに危険そうではあるが、倒せばいいだけだ。
 そこまで焦る程のプレッシャーはない。


「いいから、外に出るぞ! このままじゃ間に合わなくなる!」


 カリーは俺の手を引っ張って外に連れ出そうとするが、俺はその手を振り払った。


「落ち着けカリー! 逃げるって言ったって、他の盗賊はどうすんだよ?」


「そんなもんほっとけ! どうせ犯罪者だ。それよりも……この洞窟、崩れるぞ!」


「え? どういうこと?」



 シュっ!!
 ポンッ!



 カリーはその瞬間、ナイフを魔法のロープに向けて放つと、魔法のロープを斬った。
 それによって、捕縛されていた盗賊たちは解放される。

 更に、最後にカリーが投げた、粉の入った袋からには気付け粉が入っていたようで、気絶していた盗賊達が気を取り戻し始めた。


「これでいいだろ? 頼む! 俺を信じてくれサクセス!」


 カリーは必死だった。 
 あのカリーがだ。
 ならば、信じるしかねぇ。


「わかった! じゃあ逃げるぞ!」


 そして俺達は、ガンダッダの捕縛を一時諦めて、入口へと走っていく。



「まぁぁぁぁぁぁでぇぇぇぇぇぇぇ!」


 後ろから不気味な声が響いて来るが、俺達は振り向かない。
 とにかく今はカリーを信じて逃げるだけだ。


 そのままカリーを先頭に、俺達は必死で隠しアジトの出入口に戻っていくのであった。


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