この世界に絶望して死んだ俺は、精霊となって神と共に完璧な世界を創ることにする。

キミちゃん

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第一章:アナザーニューワールド

25 再会

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 一方、頭部が陥没したシロクマは、M〇〇星からやってきた光の巨人に倒された怪獣のごとく、付近の木々を粉砕し、勢いよく後方に倒れる。
 地面に着地したブライアンは持っていたピコハンを地面に置き、何故かタケノコニョッキニョキのような決めポーズをしていた。

 それはブライアンなりの最高の決めポーズ。

 悲しい事に俺は既に気絶したため、その雄姿? を見る事はなかった。
 もし見ても、格好いいとはお世辞にも思えないだろうが……。


「相棒! 見ててくれたか! マドンナちゃんにしっかり伝えろよバーロー!!」


 しかし、返事は来ない。
 不思議に思い、辺りを見渡すブライアン。


「お? 相棒? どこだ? お! 相棒起きろ! 寝るには早いぜバーロー!」


 大樹の近くに倒れていた俺を見つけたブライアンは、俺の肩を掴んで必死に揺り起こす。」


「あ……ブライアン。そうか、やっつけたのか。お前は本当にすげぇよ、心から尊敬する。お前が生きててよかった……うぅ……うう。」


 自分のせいで一時は死んでしまったかと思っていた俺は、涙が止まらない。
 巨大怪獣シロクマを倒したことよりも、ブライアンが生きていた事に喜んだ。
 それと同時に、不甲斐ない自分が悔しくて、悔しくて……その瞳から涙が溢れる。


「ブライアン……ごめんな。」

「相棒……マドンナちゃんを俺っちに取られるのがそんなに悔しいのか……。でもいくら相棒でもこれだけは譲れねぇぜバーロ…」


 ブライアンは俺の涙の訳を盛大に勘違いしている。


「ちげぇよばか、マドンナちゃんって誰だよ。馬面なら興味ねぇよ……。もういいよ馬鹿、ありがとう。」


 そんな二人の感動のシーンに、また声が聞こえる。
 だが、今度は聞き覚えのある声だった。


「やっときたニャ……。待っていたニャ。」


 その声の主は、ずっと探していたアズだった。


「アズ! どこ行ってたんだよ! 本当に心配したんだからな。」

「お? チビ助みっけ! これで全員見つけたから、今度は俺っちが隠れる番だな!」


 ブライアンはまだかくれんぼだと思っている。


「馬鹿はほっといてさっさと行くニャ! ここからはシンとにゃあしか入れないニャ。この木の穴が目的の洞窟ニャ!」


 アズの後ろには、人が一人は入れるくらいの穴が大樹に開いている。


「え? ブライアンは入れないの?」


 俺はブライアンが入れないことで不安になった。
 ここまでずっとブライアンに守られてきた。だからこそブライアンがいない事は恐怖でしかない。


「そこの馬は待ってるニャ。ここは亜空間になっていて、シンとにゃあしか入れないのニャ、そこの馬は入っても進めないニャ。」

「お? また俺っちが鬼か? いいぜ、今度はもっと早く見つけてやんよ!」


 ブライアンの勘違いは続いている。


「わかった、じゃあブライアン。俺とアズはちょっと隠れるから10秒数えるまで目を開けるなよ。」


 本当はブライアンに来てほしいが、いつまでも甘えるわけにはいかない。
 ブライアンがかくれんぼだと思うならばそれに乗っかろうと思った。

 このままじゃだめだ!
 今の弱いままでは誰も助けられない。
 自分一人すら……。

 俺は今回の事で、この世界において自分が如何に無力であるかを実感した。
 故にどうしても強くなりたかった。


「よし、行くか! ブライアン、またな!」


 こうして俺とアズは、ブライアンと一時的に別れ、大樹の洞窟に入っていくのだった。
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