やっかいな幼なじみは御免です!

ゆきな

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ネリーにとっては永遠にも思えたお茶会の時間も、ようやく終わりを迎えた。

「すごく楽しかったですわ!
是非ネリー様も、またいらして下さいね」

と、満足げに手を振るアリスの笑みが、扉の向こうに消えると、ネリーにマーティ、シェイマスは、馬車に乗るべく、屋敷を背にして歩き出した。

その途端、どっと疲れが出てきて。
ネリーは体中の空気を吐き出すかのように、深く息をついた。

しかしマーティの感想は正反対のようで

「あー、楽しかった。
あっという間だったな」

と、嬉しそうだ。

「ええ、本当に」

まさか本音を言うわけにもいかず、とりあえずネリーもそう言って合わせておく。
するとマーティも上機嫌で

「良かった。ネリーもアリスと仲良くなってくれれば、皆でまた集まれるから、嬉しいよ」

などと満足そうに頷いている。



……本当になんにも分かってないんだから。



恨みがましい目で見ても、全く気づく様子のないマーティ。
その隣で、申し訳なさそうに、こちらを見ているシェイマスと目が合って、思わず苦笑いしあってしまった。

そのあと、シェイマスはネリーに小さく頷いて見せてから、マーティに言った。

「ちょっと話したいことがあるんだけど、いいか?」
「え、ああ、いいけど。でもネリーを送っていかないと……」

マーティが答えながら、チラリとこちらを見る。
ネリーは急いで

「大丈夫、先に馬車に乗って待っていますわ」

と言って、先に立って歩き出した。
馬車に乗る直前、なにげなく振り返ると、二人がいつになく真剣な顔をして顔を寄せ合っているのが見えた。

シェイマスが上手くマーティを説得してくれることを、今は祈るしかない。
馬車の扉を御者が閉めると、ようやく静かな空間に一人きりになって、ネリーはほっと一息つくことが出来た。

「まったく、散々なお茶会だったわ」

ついつい、そう呟いて目を閉じれば、浮かんでくるのはアリスの笑顔。

「彼女は、マーティもシェイマス様も、独り占めしたくて仕方がないんだわ……」

と考えていると、今度は、アリスをじっと見つめるマーティの笑顔が浮かんでくる。
しかし、不意に、今度はそれがシェイマスの顔に変わった。


『あなたが婚約者だったら、僕も嬉しかったのですがね』


そう言う彼の声が思い出されて、ネリーは顔を赤らめた。

「な、なんで急にこんなこと思い出したのよ!」

自分でもわけが分からず、火照った頬を冷ますべく手を当てながら、急いで目を開けた。
すると、シェイマスの顔も、消える。

ネリーは暗い車内で、今日の出来事を一つひとつ思い浮かべていった。
それから、再び静かに目を閉じた。

ぼんやりと浮かび上がってくる、シェイマスの端正な横顔。
その吸い込まれてしまいそうな魅力的な瞳が、不意にこちらを向いた。

「あ……」

想像の中の出来事だというのに、ネリーは慌てて目を開けた。
そして

「なにしてるんだろ、私……」

と一人呟いて、長く長く息を吐き出したのだった。
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