やっかいな幼なじみは御免です!

ゆきな

文字の大きさ
47 / 73

47

しおりを挟む
ネリーとイーディスは舞踏会場に戻ると、再びシェイマスと合流し、軽食を片手に、つまらない世間話で間を持たせていた。

とは言えネリーは、すっかり上の空。
会話に集中することなど出来ずに、ソワソワしながら、扉を見つめていた。

もちろん、マーティとアリスが戻って来るのを今か今かと待っていたのである。

しかし、待てど暮らせど2人は現れなくて。
やっと彼らが連れ立って入ってきたのに気がついた時には、すっかり心が疲れてしまっていて

「あ……」

と、小さく呟きはしたものの、それ以上なにも言えなくなってしまっていた。

シェイマスも、すぐに2人に気がついたらしい。
彼が手を上げて見せると、2人は早足にこちらに向かってきた。

「皆ここにいたのね」

とアリスは言いながら、一同を眺め回した。
そしてイーディスに目をやったものの、誰なのか思い当たらなかったらしく、首を傾げている。
それを察したマーティが、慌てて言葉をつないだ。

「イーディス様も一緒だったんですね。
こんばんわ、楽しんでいらっしゃいますか?」
「ええ。ねえ、ネリー?」
「そ、そうね……」

思わず声がかすれたネリーを、マーティが不思議そうに見る。
しかしネリーは、彼の視線をまともに受け止めることが出来ずに、慌てて目を逸らした。

マーティは何気なくネリーの隣に立ち、イーディスと話を続けている。
それだけのことなのに、ネリーは隣のマーティを過剰に意識してしまって、息苦しいほどだった。

「シェイマスったら、どこに行っていたの?
探していたのよ」

と、すっとぼけた様子で言ったのは、もちろんアリスである。
それに小さくため息をついてから、シェイマスは答えた。

「探していたのは、こっちの方さ。
アリスこそ、いったいどこへ行っていたんだ?
マーティとダンスをしていた後、全然戻って来なかったじゃないか」
「どこって……ちょっとその辺を散歩していたのよ」

シェイマスの問いに、アリスは小さく舌を出して微笑んだ。

その笑みには、誰もを黙らせる効果があると、自覚しているのだろう。
アリスはしばらく上目づかいのまま一同を見ていたが、突然イーディスが口を開くと、その沈黙を破った。

「最近ずっと思ってたんですけど……こうしてみると、マーティ様とネリーって、すごくお似合いですよね!」
「……え?」

唐突に話の主導権を奪われて、驚いたアリスが、間抜けな声を上げる。
しかしイーディスは、そんなことは気にもとめずに続けた。

「最初に2人が婚約したって聞いた時は、正直に言って、全然釣り合わないって思ってたんです。
でも、2人がどんどん仲良くなっていくのを見ていると……なんだか、すごくしっくりくるような気がしてきて!
婚約すると、こんなに雰囲気変わるんですね」

わざとらしいほど、はしゃいだ声で言ってから、イーディスはアリスに顔を向けた。

「ね?アリス様も、お似合いだと思いませんか?」

イーディスは確かに笑顔を浮かべているはずなのに。
その目は笑っていなかった。
ネリーには、瞳の奥にメラメラ燃えている炎までもが見えるような気がして、思わず息を呑んだ。
しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

姉妹のお相手はわたくしが見つけますわ ー いき遅れ3姉妹の場合

葉月ゆな
恋愛
「フェリシアが結婚して、フェリシアの子供が侯爵家を継げばいい」 女侯爵である姉が言い出した。 3姉妹が10代のころに両親がなくなり侯爵家の建て直しで、この国では行き遅れと呼ばれる部類に入っているシャルロッテ(長女)、フェリシア(次女)、ジャクリーン(三女)の美人三姉妹。 今日まで3人で頑張って侯爵家を建て直し、落ち着いたからそろそろ後継者をと、フェリシアが姉に結婚を薦めれば、そんな言葉が返ってきた。 姉は女侯爵で貿易で財を成している侯爵家の海軍を取り仕切る男装の麗人。 妹は商会を切り盛りする才女。 次女本人は、家内の采配しかできない凡人だと思っている。 しかしフェリシアは姉妹をけなされると、心の中で相手に対して毒舌を吐きながら撃退する手腕は、社交界では有名な存在だ(本人知らず)。 なのに自慢の姉妹は結婚に興味がないので、フェリシアは姉妹の相手を本気で探そうと、社交に力を入れ出す。 フェリシアは心の中で何か思っているときは「私」、人と喋るときは「わたくし」になるのでご注意を。

薬師の能力を買われた嫁ぎ先は闇の仕事を請け負う一族でした

あねもね
恋愛
薬師として働くエリーゼ・バリエンホルムは貴族の娘。 しかし両親が亡くなって以降、叔父に家を追い出されていた。エリーゼは自分の生活と弟の学費を稼ぐために頑張っていたが、店の立ち退きを迫られる事態となる。同時期に、好意を寄せていたシメオン・ラウル・アランブール伯爵からプロポーズを申し込まれていたものの、その申し出を受けず、娼館に足を踏み入れることにした。 エリーゼが娼館にいることを知ったシメオンは、エリーゼを大金で身請けして屋敷に連れ帰る。けれどそこは闇の仕事を請け負う一族で、シメオンはエリーゼに毒薬作りを命じた。 薬師としての矜持を踏みにじられ、一度は泣き崩れたエリーゼだったが……。 ――私は私の信念で戦う。決して誰にも屈しない。

あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

じじ
恋愛
「あんな女、金だけのためさ」 アリアナ=ゾーイはその日、初めて婚約者のハンゼ公爵の本音を知った。 金銭だけが目的の結婚。それを知った私が泣いて暮らすとでも?おあいにくさま。あなたに恋した少女は、あなたの本音を聞いた瞬間消え去ったわ。 私が金づるにしか見えないのなら、お望み通りあなたのためにお金を用意しますわ…ただし、利子付きで。

【完結】恋を忘れた伯爵は、恋を知らない灰かぶり令嬢を拾う

白雨 音
恋愛
男爵令嬢ロザリーンは、母を失って以降、愛を感じた事が無い。 父は人が変わったかの様に冷たくなり、何の前置きも無く再婚してしまった上に、 再婚相手とその娘たちは底意地が悪く、ロザリーンを召使として扱った。 義姉には縁談の打診が来たが、自分はデビュタントさえして貰えない… 疎外感や孤独に苛まれ、何の希望も見出せずにいた。 義姉の婚約パーティの日、ロザリーンは侍女として同行したが、家族の不興を買い、帰路にて置き去りにされてしまう。 パーティで知り合った少年ミゲルの父に助けられ、男爵家に送ると言われるが、 家族を恐れるロザリーンは、自分を彼の館で雇って欲しいと願い出た___  異世界恋愛:短めの長編(全24話) ※魔法要素無し。  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆ 

婚約破棄された伯爵令嬢ですが、辺境で有能すぎて若き領主に求婚されました

おりあ
恋愛
 アーデルベルト伯爵家の令嬢セリナは、王太子レオニスの婚約者として静かに、慎ましく、その務めを果たそうとしていた。 だが、感情を上手に伝えられない性格は誤解を生み、社交界で人気の令嬢リーナに心を奪われた王太子は、ある日一方的に婚約を破棄する。  失意のなかでも感情をあらわにすることなく、セリナは婚約を受け入れ、王都を離れ故郷へ戻る。そこで彼女は、自身の分析力や実務能力を買われ、辺境の行政視察に加わる機会を得る。  赴任先の北方の地で、若き領主アレイスターと出会ったセリナ。言葉で丁寧に思いを伝え、誠実に接する彼に少しずつ心を開いていく。 そして静かに、しかし確かに才能を発揮するセリナの姿は、やがて辺境を支える柱となっていく。  一方、王太子レオニスとリーナの婚約生活には次第に綻びが生じ、セリナの名は再び王都でも囁かれるようになる。  静かで無表情だと思われた令嬢は、実は誰よりも他者に寄り添う力を持っていた。 これは、「声なき優しさ」が、真に理解され、尊ばれていく物語。

裏切り者として死んで転生したら、私を憎んでいるはずの王太子殿下がなぜか優しくしてくるので、勘違いしないよう気を付けます

みゅー
恋愛
ジェイドは幼いころ会った王太子殿下であるカーレルのことを忘れたことはなかった。だが魔法学校で再会したカーレルはジェイドのことを覚えていなかった。 それでもジェイドはカーレルを想っていた。 学校の卒業式の日、貴族令嬢と親しくしているカーレルを見て元々身分差もあり儚い恋だと潔く身を引いたジェイド。 赴任先でモンスターの襲撃に会い、療養で故郷にもどった先で驚きの事実を知る。自分はこの宇宙を作るための機械『ジェイド』のシステムの一つだった。 それからは『ジェイド』に従い動くことになるが、それは国を裏切ることにもなりジェイドは最終的に殺されてしまう。 ところがその後ジェイドの記憶を持ったまま翡翠として他の世界に転生し元の世界に召喚され…… ジェイドは王太子殿下のカーレルを愛していた。 だが、自分が裏切り者と思われてもやらなければならないことができ、それを果たした。 そして、死んで翡翠として他の世界で生まれ変わったが、ものと世界に呼び戻される。 そして、戻った世界ではカーレルは聖女と呼ばれる令嬢と恋人になっていた。 だが、裏切り者のジェイドの生まれ変わりと知っていて、恋人がいるはずのカーレルはなぜか翡翠に優しくしてきて……

噂の悪女が妻になりました

はくまいキャベツ
恋愛
ミラ・イヴァンチスカ。 国王の右腕と言われている宰相を父に持つ彼女は見目麗しく気品溢れる容姿とは裏腹に、父の権力を良い事に贅沢を好み、自分と同等かそれ以上の人間としか付き合わないプライドの塊の様な女だという。 その名前は国中に知れ渡っており、田舎の貧乏貴族ローガン・ウィリアムズの耳にも届いていた。そんな彼に一通の手紙が届く。その手紙にはあの噂の悪女、ミラ・イヴァンチスカとの婚姻を勧める内容が書かれていた。

果たされなかった約束

家紋武範
恋愛
 子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。  しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。  このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。  怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。 ※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。

処理中です...