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開けられた箱の話

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「け、け、け、け、桂林!!大丈夫!?」

小さな塊が飛び込んできたと思ったら、皇族の衣服を身に纏った燕核に輿入れする最上殿下の後に、この屋敷に移動してくる小さな互助殿下だった

俺の寝ている布団にしがみつき、ぐしぐしと泣いている

「ご、互助殿下……」

互助殿下の小さな頭を撫でようとすると、再び扉が荒々しく開く

「桂林!倒れたときいた!大丈夫か!?あ?互助殿下…どうしてここに…」

護衛の樹恩まで来たようだ。互助殿下とはあまり仲が良くないらしく2人はいがみ合っていた

なんか大事になってしまったな…

「倒れてないし、大丈夫だよ。ちょっと疲れが出ただけ。樹恩は仕事大丈夫なの?」

本当に落ち込んでるからか声に力が入らない。燕核の結婚は俺の全てを奪っていった

自分から手放したのに

「ほらほら、病人は休ませないといけません。互助殿下も樹恩も、もう出てください」

女中の円が追い立てるようにして、2人を追い出してくれた

円も他の仕事があるからと部屋を下がったので、一気に室内は静かになった

ふと目を上げると、あの日江見からもらった寄木細工の箱が目に入り手に取る

「そういえば、自分で開けたことなかったな」

細工をいじりながら箱を開けていく

すると箱の中から一枚の紙が入っていた

「なんだこれ……え?桂林に永遠の愛を誓う…えん、かく………」

見覚えのある筆跡に、手が震え涙が溢れてくる

「ふっ……うぐっ、うっ…うっ……」

燕核から離れて寂しくて悲しくて仕方なかった

桂林にとっても燕核は愛おしい存在で可愛い弟であり、自分の男だった

一頻り泣いたあと、顔を上げる

いつまでもメソメソしていられない。自分で決めた道だ。燕核に迷惑をかけられない

でも、一目、あと一目だけでも燕核に会いたい

一目見たら、あとは諦めて義母の言う南東の国へ向かおう

一目見て、燕核に縋りついてしまいそうな弱い自分を頭から振り払い、久しぶりに外行きの服に着替える

西上殿下と結婚まで決めたのだ。とても彼女を気に入ったのだろう。燕核は自分を恨んでいるだろうか?それとも忘れてしまっただろうか?でも、それでもいい

久しぶりに、燕核に会える

あれが最後だと決めていたのに、自分の決意の甘さに苦笑いしながら、履物を履いていると円が飛んでくる

「起き上がって大丈夫なのですか?!まだ寝てないと!」

「ごめん、大丈夫。少し外の空気を吸ってくるだけだから。大丈夫だよ」

そう言うと、少しだけですからねと念を押されて、頷く

本当に少しだけだ。此処から本邸までは徒歩で30分ほど。燕核を見れるかわからないが、ほんの少しだけだ

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