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なんか顔隠すものないかな?
しおりを挟む「おい、お前ふざけてんのか?」
クルクルの冷たい目に、さっと視線を逸らす。
あれから、顔を隠すものないかな~と魔王城内を物色したものの、何もなかった
仕方ない、何か手頃な布で顔を隠すかと諦めた時、ふと視界に入ったもの
それはクルクルの戦闘用の口枷だった
犬の口吻を型取り、目も防護用に色付きレンズが入っていて、おまけに耳の防護の為に犬の耳を模ったマスクだった
これを着けてクルクルと並ぶと、同じ種族みたいだ
「これしかないから仕方ないじゃん。クルクル、もう使わないし、いらないって言ってたじゃん」
「他人が使ってたら急に必要になることもあるだろうが。返せ」
クルクルが手を伸ばしてきたので、サッと避けるとクルクルもムキになってきたらしい
「もうぼくのものだよ!諦めてよ!」
「随分、楽しいそうだね」
枷を引っ張られながら、ふざけて蹴り合いをしていたら、アスモが気怠げに髪をかきあげながら室内に入ってきた
ぼくの部屋に来るなんて珍しい
「あ、アスモ!どうしたの?」
クルクルの手を避けて、アスモに駆け寄ると少しパチパチと火の粉が上がった
これは、アスモが動揺していると出るらしい
たまに出してるけど何に動揺しているかは聞いたことがない
「あまりクルクルと親しくしないように。ああは言ったけれど、ウールは戦闘する必要はないから。クルクル達に任せて…ドラゴンを用意したから、ドラゴンから空から眺めてるだけでいいから。危なくなったらクルクルを置いて退避してくること」
くしゃりと髪を撫でながらアスモは心配そうな顔で言い募る
ポーズだけなら行かなくていいんじゃと言いたいが、ぼくを嫌いな勢力がいる。ぼくが嫌いというか人間がダメな勢力なんだけど
そいつらがスパイ疑惑や人間側の人をアスモの側に置いておく事を反対しているからだ
アスモとしては、この襲撃で、ぼくを周りに認めさせたいのだろう
「クルクル、すぐにマダールーの街を破壊して引き上げてくるように」
「魔王様の命令、頂戴しました」
クルクルが跪いて頭を下げるのに習って跪く
ドラゴンに乗っていくのか…大丈夫かな?高いところ怖いかも…
そう思いながら、アスモに連れられてドラゴンの厩に行くと一頭綺麗な白いドラゴンがいた
「か、かっこいい…!」
目をキラキラさせながらドラゴンに駆け寄ると、アスモが複雑そうな笑みを浮かべた
「これの名前はバルデモニウム。バルと呼ばれるホワイトドラゴンだ。クルクル達は、地龍に乗っていくから、ウールはバルに乗って行きなさい」
ことさら優しく言ってくるアスモに真剣に頷く
するとアスモが、すすすっと横に近づいて来た
「何か、こう…その口枷してると、胸が少しぷっくりしてるせいか…いやらしいな?」
じろじろ舐めまわすように見ながら、こそこそ言ってくるアスモに飛び上がるくらい驚く
ぼくの今の格好は、口枷で全く顔は見えない。上半身は裸で、首輪と拘束具、アスモがくれた腕輪と少し長い装飾品と腰布、編み上げのサンダルという出立だ
口枷以外はいつもと変わりない
い、いやらしい??????
「乳首も…薄桃色で…吸ってもいいか?」
熱っぽく囁いてくるアスモに距離を取るように、横に移動する
「セクハラだ。ぼくに近づくな」
「じゃあ少し触るだけ…触れるぐらいで我慢するから」
腰を抱かれて、アスモの大きな手が迫ってくる
「ダメだって、ちょっ…!??」
もう少しで触れそうな所で、バルが大きな首を伸ばしてアスモとぼくの間に入ってくれた
「早く行こう。背中に乗ればいい」
低い声が厩に響いて、ぼくは目を見開いた
ドラゴンがしゃべった!!!!!!
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