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マダールー攻略
しおりを挟む「何を驚いている。下等生物が。私の背中に乗れるなんて身に余る光栄だぞ。感謝しろ」
あ、性格は悪そう。巨大なバルデモニウムが身をかがめたのでアスモに手伝ってもらいながら大人しくバルデモニウムの背中によじ登ると、結構地面から高くて怖くなった
「バル、危なくなったら戦わず退避するんだぞ。ウールに傷一つ許さない」
アスモの言葉にバルデモニウムは鼻息だけで馬鹿にしたように答える
「私に攻撃出来るものがいるものか。適当に小僧を乗せたまま空中旋回して帰ってくるだけよ」
「アスモ、行ってくるね」
気が進まないまでもアスモに声をかけると、アスモが浮かんできて、口枷の額にキスをする
「早く帰ってくるように」
切なそうなアスモの表情に、一瞬でもどきりとする
アスモは美形だからか憂いた表情は絵になる
「あ、早く、帰ってくるから…行ってきます…」
なんとなく気恥ずかしくて照れながら言うと、アスモも火の粉を散らしながら赤い肌の顔を赤くしながら、頷く
なんか、恥ずかしいな。なんなんだろう、この空気
「ケッ、早く行くぞ。しっかり捕まってろ」
そう言うとバルデモニウムが飛び上がり、舌を噛みそうになりながら剛風が吹き荒れる中、一気に暗雲を突き抜けて空に浮かぶ
あっという間に遠くに見える魔王城を下に見ながら、バルデモニウムから落ちないようにするのに必死だった
あとで怒られるかもしれないけれど、バルデモニウムの背中の立て髪にしがみ付き体に巻きつける
何かで固定してないと怖すぎる
「ひいぃいい、歯の根が合わないぃ…」
「ふん。もうすぐマダールーだ。クルクル達の部隊を待とう」
旋回しながら、バルデモニウムは空に留まる
バルデモニウムにしがみつきながら、界下の景色を不思議に思いながら見つめる
大きなマダールーの都市は砂漠の真ん中に栄える人の都市だ
ぼくはまだ物心着く前にアスモに攫われて来た
もう顔もうっすら忘れかけているけれど、お父さんやお母さん、姉と妹がいた
今もこんな風に家族や、ヴァイスも日々を暮らしているのだろうかと、ドラゴンの出現に大勢の人たちが外に出て来て指差しながら騒いでいる都市を見下ろす
ぼくの役目は、アスモには見ているだけでもいいと言われたけど、回復と防御魔法でクルクル達を手助けすることだ
攻撃魔法はさっぱり上達しなかったけれど、防御魔法は自信がある
回復はちょっぴり苦手だけど、魔人達ほどではないけど出来る
やがて東の方から土煙が上がり、ぼくと同じ口枷を着けた犬の頭をした魔人達がクルクルを先頭に地龍に乗ってやって来る
陣営は周りにぐるっとマダールーの都市を囲み、水で囲まれた跳ね門の前に大量に戦力を割いたようだ
慌てたマダールーの城壁の跳ね橋は、バルデモニウムに乗ったぼくが現れた時点で上げている
クルクルは戦闘部隊としては魔神の中でも一二位を争う
多分、この都市はあっという間に占領されるだろう
魔王城からも近い都市なので、今まで無事だったのが不思議なくらいだし
クルクルは口枷を、ぼくに奪われたので、恨みがましい目で見上げて来ていたが、素知らぬふりをした
「攻めいるみたいだ。初陣だろ。しっかりシールド張れよ。下等生物」
バルデモニウムの言葉に頷く
じりじりと後退していくクルクル達に、城門では緊張が走る
ぼくも周りに遅れないようにクルクル達、戦闘部隊に筋力アップのバフと、即死回避のバフをかけていく
練習はしていたけれど、実戦でかけるのは初めてだから緊張する
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