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マダールー攻略2
しおりを挟むゴクリ吐息を呑みながら、丁寧に先程かけた即死回避のバフの上から物理攻撃軽減、魔法カウンターのシールドも構築していく
額に汗をかきながら、薄青いシールドがクルクル達を覆うと、褒めるかのようにクルクルが見上げてきた
遠いから見えにくいけど、親指を立ててるから、褒めてるのだろう
少し嬉しくなりながら、今から攻めいられるマダールーの街を見下ろすと城壁の隙間から逃げ出す人たちが、包囲していた魔物たちに襲われていくのが見えた
大きな馬車が引きちぎられ、大量の地龍の子供達に包囲されていく
大勢の人たちが地龍達に四方に奪い合うように食い散らかされているのから目を逸らす
「うぷっ……」
ぼくも人だから、見るのがきつい
じりじりと近づいていくクルクル達を、誰が止められるだろうか
魔王軍最強の部隊、魔人クルクルが隊長の咆哮が響く
咆哮を皮切りに、城壁が地龍達によって破壊されていき、争いというより一方的な殺戮がはじまる
人の兵士は魔人と地龍に敵わず、城壁の門は跡形もなく破壊されて部隊が傾れ込んでいく
「ああ、よく今まで無事だったね…マダールーの街…」
薙ぎ倒されていくマダールーの戦士達を見ながら呟くとバルデモニウムがゆるく旋回する
「人の身の下等生物の為に置いてたんだが、最近になって兵器を仕入れ出したのと、どうやら勇者を名乗るものが滞在しているみたいで魔王様の駆除対象になったようだな」
「勇者がいるの…?勇者って、何人もいるものなの?」
「いや、長く生きているが、勇者は一世に一人だけだ」
バルデモニウムの言葉に、ぎゅうと立て髪を握る
ぼくが勇者のはずなんだけど…やっぱり剣が抜けていて、それを拾っただけ?でも光ってたし…
ぶつぶつ独り言を言っていると、マダールーの街に入り込んだ部隊が逃げるように場外に溢れて来る
「………えっ」
撤退して来た部隊の犬達だが、腕や、脚が灰になり朽ちていく
これは見た事があるような気がする…いや、見覚えがありすぎる
空気中に、街に血脈のように白いものが広がっていく
「撤退しろ!!!!クルクル!!!!!」
空から喉がちぎれそうになるくらい叫んで、血脈のように走る白い空中の不気味な走りに、慌ててシールドを張る
即死回避と魔法カウンターをしていたのに、効かないなんて!これはどの種類の攻撃に当たるのだろう!?
ぼくにわかることは、物理的な距離だけが、この血脈から逃れる唯一の方法だ
全体シールドと全回復をかけながら、撤退の合図を部隊に送ると、白い血脈の攻撃が止まる
「バル!クルクルを回収しに行ける!?クルクル、全回復かけてるのに、動けなくなってる!」
バルを急かすように立て髪を引っ張る
「駄目だ。下等生物に傷ひとつなく帰さねばならないから、犬がどうなろうと私の知ったことではない。駄目なら、撤退するだけ」
「そんなぁ…クルクル、なんで動かないんだろぅ…」
ふと、クルクルに一人の男がしがみついているのが見える
あれは、確か
あのピンク頭は確か、ゴルディ達の仲間だったミルディコではないだろうか?
何か、叫んでる声が聞こえる
「あああ!!ゴルディ!!ゴルディだよ!!攻撃しないで!!ゴルディ、僕だよ、ミルディコだよ!!思い出して!ゴルディ、何でこんな事に!!」
「どいてください、ミルディコさん!今のゴルディさんは魔人になってます!危険です!」
見覚えのある、金髪のふわふわした、どこか弱気に見える青年は、パンだろうか?
じゃあ、勇者、勇者は一体、誰なんだ!?
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