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パルデモニウムの苦労と救出
しおりを挟むしまった。私とした事が。アスモ閣下が命じたウールという下等生物の護衛を不覚にも失敗してしまった。
私の背中にいる小僧を、大事そうに下等生物を抱き上げた男は愛おしさを隠しもせず下等生物に視線を注ぐ。永らく生きているドラゴンの私も見惚れてしまうような芸術的な美貌の男だった。
すぐに下等生物を奪いかえそうとしたのに。
その手に持つ剣には見覚えがあった。何代も前の勇者が持っていたもので、私にも攻撃が通るその剣にすこしびびってしまった。あの剣には、すごく嫌な思い出がある。
最後には、美しい男は私を殺さんばかりに睨んできたが、いかんせん私は巨大なので美しい男をどうにかしようにも下等生物もろとも殺傷するしか手がなく、それはまずい。慌てている小僧に後で迎えにいくとだけ伝えた。
まあ、あの様子ならば殺されはしないだろう。クルクルと同じ時期に来た、あの下等生物をなんとかしなければ。
クルクルも一緒に捕まったぽいが、クルクルの護衛は命じられていないので、どうでもいい。
思えば、キメラにしたクルクルのように小僧も魔物か魔人に掛け合わせて複合生物にしてしまえば、このように煩わしい護衛なんてしなくても良かったのに。
マダールーの城の上をずっと旋回を続けていたが、何度か攻撃されたので、かなり上空から城を見守っていた。
すこしうとうとしていた朝方、もう陽も高く、アスモ閣下にどう言い訳しようかなとも考えていると、マダールーの城の一部がドカンと爆発を起こした
旋回しながら近づいてみると、奇妙な肉塊が手を伸ばし、犬の頭が変形し目玉が飛び出ながら巨大化していくクルクルだった。
第三形態に入ったのだろう。キメラに改造された人はこの形態時に適合しなければ死ぬし、適合できてもあの感じは少し歪だろう。
生き残ったとしてもクルクルは失敗だった。あれでは魔人にはなれない。
しかし、クリーチャーになったとして置いていくのも忍びない。それにどうやらクルクルに、あの下等生物は取り込まれているようだ。
すぐにでも分離しなければ…まあ分離しなくても生きていれば咎められはしないだろう。
何せ、アスモ閣下が、あの下等生物を飼う理由は一つだけ。顔が恐ろしく閣下の溺愛していた弟に似ている。
それだけだ。
素材があれば紛い物はつくれるし、そもそもあの下等生物が生かされていた理由は代替だ。
それでも回収しなければアスモ閣下の怒りを買うだろう。
私はマダールーの城の崩れた一区画に向けて急降下し、展開された攻撃魔法を解除しながら肉塊と化したクルクルを鋭い爪で掴んで回収すると、痛みからクルクルが凄まじい咆哮を上げて暴れて抵抗しだした。
ええい、暴れるんじゃない!
掴み直しながら再び飛びあがろうとすると、周りに結界を張りながら、ピンク頭の小さな男が走ってくる
勇者の一行だろう。少しはホワイトドラゴンである私に畏怖の念を覚えればいいものを。
生意気にも殴りかかってきたので、ちょうど掴んでいたクルクルで殴って昏倒させ、ついでに男も掴んで飛び上がる。
アスモ閣下は、いつも素材を探してらっしゃるからな。
再び翼を羽ばたかせ、空に急上昇すると、それを追いかけるように、あの勇者の剣の白い血脈が、どこまでも追ってきていた。
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